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聞き語り記録 福留愛さん(SDL2018遠方参加者)に聞き語る |
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08 君は狂っていい まどさんの絵と対応してる |
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福留:これです 佐藤:最初の案は地の部分が平凡だったね 福留:ははははは 佐藤:最終案の方は楔状の空間が重なり全体をまんべんなく埋めている。最終版の方がぐーんと魅力的だ。そこまで成長させた理由はなんでしたか。福留さんの意識が働いていますよね 福留:はじめは管理諸室とか普通の部屋にしているんですよ。私は田中智之先生の弟子、田中智之研出身なんです。 田中先生に「中途半端だ」って言われたんですよね。「君は狂いなさい」って言われて。ふふふふふ「君は狂っていいよ」みたいに言われて。私はいままで、真面目に付き合っちゃう癖があって。 佐藤:最初の案には、まじめに付き合う、元福留の名残が現れ 福留:でそれはやめようと思って、解放されたんですよ。 佐藤:田中先生に「お前は狂っていい」と引導を渡された 福留:「あ!いいんだ」ふふふ、こうなりました。大きい建築なので、最初の案だと、だだっ広い空間が広がっているんですね。ヒューマンスケールを展開させていくような。 佐藤:直径が104mの建築なので一日居ても、見尽くせないんじゃない。 福留:まどさんの一生分というか、時代を辿っていくような展示の仕方をしようとしているので、一日で観れなくっても、次に来てもらう。それでもいい。 佐藤:第一案と比べると最終案が圧倒的にいいと自分でも思うでしょう 福留:はい 佐藤:どこを体験しても同じでない、どこをとっても同じ空間になってない 福留:最終案になってくると屋根が決まってたので、階段で上がっていくとか、ボイドの使われ方が動線になっているんです。だから、回遊するようになっていて。第一案だと、まだその発想がなかったので。ただのデッド・スペースになっていた。 佐藤:デット・スペースが消え回遊もできた、よかったです。自分の建築が出来ちゃった。エスキス塾のプレゼン、変な屋根でしたよね。もったいないと思たけど。屋上平面図ありますか。プランがいいのに、何で変な屋根なんだろうと思ったんだよ 福留:これです 佐藤:エスキス塾では、この形状でなかったね、変な屋根だったなー 福留:佐藤さんは何を言っているんだろうと私はずーっと思っていて。写真観たら凄いズレていて、あれ??みたいな 佐藤:でしょう。屋根変だって言っていた。平面と屋根が合ってなかった。この模型写真だったら合ってる。プレゼンでは蓋が開いている形状だった 福留:開いてました。そこは仙台の運営している学生に任せていたので、仕方がない、文句は言えない 佐藤:完成模型写真を付けて送った方がよさそうだね。開封後の組み立て間違を防ぐためにも。対策は要るね。 屋上には登れるんですよね。屋上に降りていけたりする。それを理解できる模型の屋根でなかったんだ。住宅の方に突き出ている屋根にセットされていた 福留:ふふふ。分からなかったのかなーとちょっと謎でしたね 佐藤;なんて〜ぐじゃぐしゃの屋根なんだ。理解できなかったよ。そういう理由なのか。 福留:私の建築は複雑なので、仙台の学生が架け方分からなかった。そこは申し訳ない。紙に描いてあげたりしたらよかったのかなーと反省しました。 佐藤:住宅地に建ってる問題ですが、地域と福留さん建築はアンバランスなの 福留:学校ではなにも言われ、指摘がなかった。仙台デザインリーグで周辺の話を指摘され意外過ぎて。何か、あそう、すみませんみたいな感じになってしまって。色々もっと考えていたので、意見を言えたらよかったかなーと。 佐藤:周辺の写真や家並から見た壁なので、そこに多様な開口部と空洞があって、のぞき込めたりするのだから。チラ見で語っていたのかもしれないね。段ボールの素材で模型の精度の低さが足を引っ張ったのかな。 福留:はははは。反省しました 佐藤:上位に選出されないのは謎だと思っているでしょう 福留:選ばれる 佐藤:プレゼンでの掴み処が少ない。反省の弁はあったんだけ、勉強してないわりには 福留:勉強してます。まあまあしてます 佐藤:リベスギントの博物館に近づいたのかなーと 福留:ユダヤ博物館ですかね 佐藤:憧れの建築家とか、好みの建築は。 福留:うーん。アルバロ・シザとか。この人というのはない。
佐藤:ここまでで、今回のSDLに関して聞かなきゃいけないことは全部、聞いたような気がする。再度チェックしますね。動機は聞き、出品までの経過は聞いたね。9月ぐらいから始めて、論文も書きながらの作業だったと。論文のテーマはなんでしたか。 福留:コンテクストと設計手法の関する、 佐藤:文脈を合わせた事例とかですか 福留:A+Uで、コンテクストを参照している事例を集めていって、その設計がどういう建築を目指しているのか。建築家の言説をみて研究する。 佐藤:福留的my論文に沿って自分の建築を語ってみてください 福留:これは、まど・みちおという人を、コンテクストを形にしてるんです。コンテクストと言うと皆周辺の環境だったり、歴史とかそこの土地の話なんです。私の場合は、まど・みちおという人をコンテクストにしていたのです。赤松審査員が言う通り、周辺の環境との関係とか、話だったりというのが無くって。かなり嫌がる人は嫌がる。 佐藤:福留さんの今回の建築の外部は福留自身さんだから。その外部周辺でいいんじゃないかね。物の内外じゃなくってね。建築をつくる人は概ね内部という囲い込み意思で他と整合させている。自分が外部で、まど・みちおが内部なんだという論でいけばいいんじゃないのかな。 福留:まだ頭の回転が遅いので、言われて あーあーとなって 佐藤:素直な性格、なんでも応じてしまうんだと 福留:すみませんみたいな 佐藤:無視するとか、ずらして応じるとか。自分の論は変えずに相手を納得させてしま技を身に着けることも今後の課題だということで。 福留;そこまでの度胸はなかったです。 佐藤:問いに素直に応えるために脳味噌使うのは無駄だ。そういう対応の仕方も要るかな。掛った経費は聞いたね。熊本から仙台に出品すると、足代と宿代の割合が高く負担が大きいよね。資金はアルバイトで貯めたんですか 福留:前から両親にこういうのに出したいから、お願いしますって 佐藤:30万までよ、とか言われましたか 福留:両親からは10万ぐらいしかもらってない。バイトで貯めてましたね。 佐藤:一位の渡辺さん(後日公開)はテニス・コーチを務め貯めたそうです 福留:体育会系だったんですね 佐藤:渡辺さんは中学での成績は悪かったそうですが気にしてなかったそうです。福留さんはどうしてか。 福留:私は中学校の時はよかったですね 佐藤:渡辺さんとは真逆だね 福留:私は180人中の上位で微妙な感じで 佐藤:まどさんの詩集とか読んで、詩集が好きなんだ 福留:はい、こういう本です。どちらかと言うと絵が好きで、抽象画を描いているですよ。 (絵:まどみちお 詩集を撮る) 佐藤:これですか、この本を見ると、福留さんの平面はまどさんの絵と応答、対応しているんだね。 福留:ちょっと影響受けてますね 佐藤:めちゃくちゃ影響受けているね〜 福留:受けていいのかなーと思ってます 佐藤:抽象画も色々あるけど。詩人で画家でもあるんですね 福留:そうなんですよ。めちゃくちゃいい絵なんですよ。私はこういのが好きなんです。 佐藤:福留さんの建築と共鳴し合っているね。平面や空間は双子的だ〜 福留:影響受けちゃっている ふふふふ めちゃくちゃ好い絵なんです 佐藤:一番お気に入りの絵と2ショットしておきましょう 福留:一番好きなのは、これです 佐藤:ちゃんと窓がついてるね、光の窓を描いてるじゃん。時間や体験や光の変化の層が重なって表現されている。 よかったね、まどさんの詩集と対話しながら卒業設計を作っていたんだ。外部と対話しなくってもいいんじゃない。 福留:全作品集も買ったんです。分厚い作品集 佐藤:表紙も撮ろう 写真を撮る佐藤 その09へ続く |
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