ことば悦覧in東京2010 春版 記録集   

  佐藤敏宏 刈谷悠三さんに聞く 2010年5月8日 晴れ新宿御苑

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 (RAJについて10 11 ) 

    その10 

 チーム・ラウンドアバウト・ジャーナルとの関係 

佐藤:ラウンドアバウトジャーナル(RAJ)に関係したのは 大阪に居ながらにして藤村さんとメールを切っ掛けに繋がり塚本研経過でつながっていったから
刈谷:そうですね
佐藤:やっぱり引きずりこまれちゃったわけですか

刈谷:いや、実際の繋がりとしては、僕が塚本研究室に入ったときはちょうど藤村さんがオランダに留学していたときで、であまり関わり無かったんですけど。2年目の時に藤村さんが帰ってきて、半年ぐらい一緒だったんですけども。言ってみればその程度だったです。それから数年したときに、丁度 藤村事務所で忘年会があったんです。渋谷にあった前の事務所でです。で、忘年会があって、一杯人が居たんですけど、たまたま僕が残っていて、遅い時間まで

そしたら丁度松島君とか、藤井ちゃんとかがいて。今から打ち合わせ始めるんだけどって。ふふふ邪魔だ的な雰囲気あったかも知れないですけど、横で聞いてたいんですよ。 ふふふふ 写真撮られると恥ずかしいな〜ふふふ

佐藤:恥ずかしいですか写真 撮られると
刈谷:はい。それで話を、打ち合わせをし始めて。内容っていうのが藤村さんの個展をやるという話で。ギャラリーで。で、その時のために何かフリーペーパーを作くれないかっていう話を急にし始めて。で、色んな話をしてたんですけど。僕が残っていたのでたまたま話に参加して。そのときグラフィックデザイン事務所に勤めてたんで、印刷のこととか、ある程度分かるので、印刷のこととか口だし始めてへへへへへへへ

佐藤:専門家は黙って聞いてられない ふふふふ
刈谷:そしたら、まあ、一緒にやろうか〜みたいなふふふははいきなり巻き込まれちゃって。で、やりましょうということになって。

佐藤:それで 最初の1,2号合併紙から。
刈谷:はいそうです。
佐藤:合併号を藤村個展会場で配って、5000部ぐらいでしたかね
刈谷:5000部 刷りました

佐藤:合併号のデザイン、他なにをしたんですか、インタビューもしましたか
刈谷:インタビューは、その場に居て聞いていたりとかしましたけど。基本的にはそこまで、文字起こしをしたりっていうことはなく、データを全部集めて
佐藤:カラー計画 あのピンク色の計画は刈谷さんが提案したと
刈谷:はいそうですね。もちろんこういう色でやりますよってプレゼンはしました。だけどあのときは、凄い雑多などういうものが始まるのか分からなかったので。

佐藤:縦組み横組みの裏表からはじまり 真ん中見開きで混沌が組まれていると
刈谷:そうですね建築のことを語っている紙面都市のことを語っている紙面が。都市が横組み水平方向に広がるので横組み、ふふっふふふ。建築だと、縦方向に伸び広がるので縦組みっていうことでダジャレ的なことで始めたんですけど。なんとなく巧くいくことが分かって。やっているうちに。

で、文章の形式として段組っていうものがあるんですけど。段組が段々裏表紙・表紙の両方から多くなっていけばなるほど縦組みと横組みが最終的には近似して一緒になるんじゃないかということにして。

佐藤:その提案は誰が考えたですか

刈谷:一応僕が考えふふっふふ、それで内容としても外側にある程度重要な記事というか、っていうのがあるので、段組が広い方がゆったりしている。
佐藤:段々小さくなり真ん中見開きで空洞が出来ているね、あれが面白いよね
刈谷:ふふふふ、そういうことを提案して。印刷して
佐藤:チームは合併号を乗り越えてないんじゃないかという気がする ふふふ

刈谷
:それ以降はなんとなく、やりかたが分かって来たこともあって、ある程度しっかり作り込むようになっちゃったというか。ミプロ的なふふふ感覚で。ただ内容としてはたぶん先鋭化していると思うんですけども。見せ方としては何となく、どっちかと言うとオーソドックスな感じの方が良いんじゃないかと。読み応えがあるような文章が多かったので。まあそうしてますけど。

ただ8号とかは全部基本的に横組みなんですけども横組みの段と段の間に、そのテキストから抜き出した象徴的な言葉があるんですけども、それが開いたときに、上下にだいたい二人の関係している人が喋っているんですけど。それが通ったり通らなかったり、話が咬み合ったり咬み合わなかったりとかふふふ、そういうことをやったり。ある程度挑戦はしているんです。ふふふふふ

佐藤:今どういう議論をしなければいけないか議論の背景というのが1,2号は分かり易いんだけど。段々に専門化して入り込んで行くから、背景が曇りだしてと。良いのか悪いのか、専門化してくるっていうことはそういうことなんでしょう。刈谷さんはRAJに関わってみて 印象なり、批評なり何かありますか

刈谷:僕はどっちかというと、ある程度離れた立場っていうか。ある程度引いた立場っていうか。客観視しなきゃ〜 デザイン出来ない立場なので。そこまで踏み込んではない、議論の内容とかに関しては。もちろん、賛成する部分も有るんですけど。だけどまあ、どうなんでしょう、ああいうムーブメントというのはかなり面白いというか。やっててかなりのやりがいが有りましたね。

佐藤:おもしろいでは参加したり、チームの中枢に居ない人には伝わらないので、刈谷さんがもう少し説明してくれないと ふふふ このように面白かったという部分を
刈谷:僕個人の話では、議論の内容とか議論のありかたとか、出版の仕方とか。出し方も含めてトータルで、デザインを入り込ますことが出来るっていうことが楽しいっていうことですね。

佐藤:チーム活動のトータルデザイン出来たことがオモロイと。で即日発行というのは刈谷さんが考えたんですか
刈谷:いやいや、あれは確か、僕と松島君と藤井君と藤村さんが一緒になんか、電車で帰るときに。じゃもうこれだったらライブでやっちゃうか!みたいな。ははあはははははは 話になったと思うんですよ。
佐藤:ツイッター前夜だったから、速報性や共感性のあるライブフリーペーパーとして出し。会場で渡すってショッキングだったと。ツイッターをLRAJに参加者した人が気軽に使うようになったことで、速報性の意味が変化したっていうことなのかな。
刈谷:そうですね、役目が変わった感じはします

佐藤:今後、速報性を重視しその場で印刷配布のフリーペーパーの意味がどういうふうに変化していくか、そこの処は興味深いよね。ツイッターはまだ使い慣れてしまったとは言えないので。

刈谷:そうですね〜、だから今年のライブ印刷はけっこう満を持して役目が終わった感じがしてへへへへへへへ

   二人ふふふふふふふふ

佐藤:ライブ印刷一応メディア移行期の役割は済んだと、 新しいメディアが登場したし、ユーストリュームも出たし。印刷無しでもいいぞ、これはと。でも印刷する意味は有るよね。前に話した印刷メディアはどうしなければいけないかって問題は消えてないというか、逆に印刷媒体の意味を再考することになる。逆照射されていて考えないとしょうがないよね。アーカイブとしての機能とか、140文字のぶつ切り文では 記憶のためのアーカイブに使いこなせるのかどうかなど。 前回のライブでは印刷してたツイッター内容は、一旦あの場で編集してていたし。

刈谷:そうですね。あとから復習するときに一番思ったのはユーストリュームを観ながら即日発行のフリーペーパーを見ると完全に頭にってくるっていうははははははとうことはありましたけど
佐藤:メディアミックスこそが記憶を再生産し強化するんだと ふふふふふふふ。目の前で起きている事実。主催者が伝えたい事実が伝わるのかどうかは別だよね。
刈谷:そうですねあれでようやく補完されている
佐藤:各メディアの欠陥が分かったで済ませないで、その体験を越えて違うメディアなりメディアミックスの方法なりを探り出しつくらないとLRAJの体験は活かせないと
刈谷:そうですね、だから、リアルとバーチャルっていう変な二項対立ではなくって、リアルの良い面とバーチャルの良い面、バーチャルのスペックの高い面とリアル。そのことがパラレルに

佐藤:生活全体が過去の記憶と目の前の出来事をミックスさせて成り立つっていうことだから。日々そうして人々は生きているんだからね。リアルとアンリアルの混合によって判断して生きている、そのままだと。過去の記憶は事実かどうかは確かめずにどんどん混合されて 記憶が核分裂して生きていくって人間らしい。普通の暮らし方なんだけど。

今までは印刷媒体って提示されたとき、それが特別のことになっていた、特殊な意味を発生させていたんだと 気が付いたと。印刷媒体に過剰な権威や権益を与えたり期待付けをしてしまていたという吐露でもあるよね。

リアルとアンリアルを混交させて会話している事実を無視したかのような状況から脱することが出来たんだと。人間のコミュニケーションの可能性を印刷媒体が限定してたんだとも考えられるよね。印刷媒体もようやく違う意味に変わるチャンスであるという気がするんだよね。

刈谷:何かの情報を確認するための、補完材として、それがメーインではなくって。補完するものとしてはかなり便利と思うんです。

佐藤:補完するべく情報はばしっとした印刷媒体の体裁を採る必要もないんだ。LRAJの場が印刷媒体を出すことに収斂していたとしたら、議論の場の意味と今後の可能性を捨てていた可能性は高いかもしれないよね。ツイッター記載は裏を採って書き込むわけではない、だがそのことで満足してしまっている罠 満足できる罠。

刈谷:ふふふふふふ
佐藤:LRAJ2010も盛り上がったけど そこはどう考えるんだっていう。それで終わってよいのか??と思うんだけど。メディアの相互性能の組み合わせの出現によって 出現したことで問題が明らかになったように思うだけどね。

刈谷:そうですねそういう問題が露呈したっていうことはかなり意義が有った
佐藤:そうだよね。人間の生活っで記憶の補完として裏を採ってある印刷媒体でね、リアルとアンリアルの思いつきみたいなツイッターを混合・融合させることで新たな考え方が産まれるかもしれない。今日の御苑ワイワイは、裏なし記憶だけでワイワイしている。こういう状態は生活のなかの情報交換としては極普通の様なんだけど、未来社会の会話はキンドルやアイパッドのようなものを使った情報の会話のやりとりに変質していくかもしれない。

今ここで会話している記録したデーターが 未来の今に呼び出されて参加することになているかもしれないしね〜
刈谷そうですね〜

佐藤:今が多層になっていくよね、今ってこんなに沢山の今が!人間の過去の数だけの今が有るんだみたいな状態が普通になっていく。凄く分厚くってタフな思考が産まれるように思うんだけど。事実がタフになる、記憶が太くタフになるっていうのかな。そううのが構築できるように思うんだよね。  15:24

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