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布野修司さんに聞き語る | |||
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07 SDL雑感 雑談開始 |
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布野:青木淳が審査員長でいたんでしょう 佐藤:審査員長は要所だけで語りでした。他はおとなしく自分の価値観を押し付ける人ではなかったです 布野:俺が呼ばれてたらその場でギャーギャー言うよ。何のためにやっているのって。 佐藤:審査委員長は各地の卒業設計などの講評会に呼ばれていて、卒業設計展を講評することの限界や不毛を知っているような身振りに見えました 布野:歴代ベスト10がどうなているか調べてみると面白そうだね 佐藤:そうですね。2010年、学生が色々言うので「一位になった人に連絡して、仙台に呼んで議論してみよう旅費は俺が持つ」と一度けしかけたことがあるんです 布野:どういう人たちですか 佐藤:日本一位は8人いたはずなんだけど、一人しか応じて仙台に来ませんでした。 布野:どういうところに勤めてるの 佐藤:応じた大室佑介さんですが彼は勤めてないです。三重県内に個人美術館など開いて活動しているようです。そうそう、彼を聞き取りにいかねば。 布野:だけど他の奴らは、日建設計とかに勤めているんじゃないの。 佐藤:そうですかね。建築家にならず別な道を進む可能性もありますね。 布野:別の領域の才能を拓く、そういう機能を働かせるなら意味あるじゃない。大手ゼネコンに行くんじゃなくって、他の道に行く奴を育てるだぞ〜って裏の意図があるんだったら、ガンガンやればいいけど。 僕が聞いたのは「仙台に出した模型をもって、賞をもらっていた方が面接や入社にいいから」と聞いているから。そういう子が出している 佐藤:聞き取った3人は修士に進学してました。学部を卒業して即、設計会社に入社する者がいなくなっているんじゃないですか。修士卒じゃないと組織事務所などは採用しないのかも。 布野:リーマンショック直前ぐらいまで。学生の情報だから。 佐藤:日本一決定戦というネーミングに問題がありそうです。スポーツイベントならプロのスカウトマンが来て、社会に出ても勝つため育てるコーチも、応援団も来て賑やかですよ。 布野:そうだよな、日建設計のトップが気にしているとは思えない。 佐藤:アマチュア日本一を決める戦いで、一位になったらプロ日本一に入団できるかのようなイメージ抱くけど。16回経ってもそうはなってない。学生が就職活動に活かしてればいいんですね。 布野:仙台にも、東海にも九州にも出している。 佐藤:一位になった渡辺さんは横浜で開かれる「赤レンガ卒業展にも出した」そうです。同じような時期に開催するそうで、事前に申し込んでしまっていて、一位になっても、お付き合いで参加したそうです。 布野:辻君は仙台に出してたの 佐藤:仙台にも出してないそうです(辻さん初・審査員でしたか) 布野:出してないのに審査員になったか 佐藤:学生に人気があるんだと思います。 布野:学生が審査員を指名できる仕組みがあるの 佐藤:そう聞いてます、先生のアドバイスを聞き入れ対応調整するんだと思います。 布野:「なんで俺を呼ばないんだ」って言ったことある 佐藤:「学生が決める」と言うでしょう、予選の審査員も東北大とその仲間たちだのようです。実・建築設計の社会との決定戦のつながりは薄いように感じました。年に一度のお祭りが盛り上がるのはいいんだけど、祭りに仙台市内の主な建築家たちは参加してない。広告支援ですね、学生が主な祭りになってます 布野:そういうことを言われるから、もうちょっとちゃんと機能するというか、ここで一位にならないと日建にはいけないみたいな。ここに参加してない奴はいいかげんな学生だみたいな仕組みにしてしまうとかね。そうすると大学の方が力が持ってる。そうはいかないんだよ。 佐藤:それも問題ありですよ。大学でもない実設計界とも結ばれてない、未来は大丈夫かな〜。学生はしっかりしているので、遊びに偏るか学問に傾斜するか、どちらかの方がいい感じがします 布野:今日はいい情報をいただき、ありがとうございます 佐藤:卒業設計の現実を知ってみようと、観察して決定戦の実態を知りたいだけです。似たような場が多数あり、建築家を育てるために日本一決定戦は機能していのかもです。一位になった若者をデザインリーグ関係者がサポートして、追いかけて、背中をおしたり励ましたりして、応援している形には至ってないんです 布野:そういうのにした方がいいねー 佐藤:建築家や建築人を育てるためにも、建築家コーチや応援する組織が付いてる方がいいと思います。一位だったり、ファイナリストなど若者を長い目で見守るっている組織がどこかに要ります。著名な者だけを扱わないかのような、建築メディア報道ですかね。 決定戦を運営する裏方も毎年更新され、審査員も参加学生も更新されて、ブツブツに切れてしまいます、学生の思いも連続してないからでしょう。仙台内大学の決定戦好きと、先生の繋がりや次の先生を目指す者しか残らないのでしょうね。 で仲間内が小さくなって内向きのままになるでしょうから、価値観の異なる布野先生や外国の先生にも、年寄りにも応援の声が掛からない、掛けないのでしょうね。 布野:おっしゃる通り。それ応援なら年寄りもやっていいよ 佐藤:建築が好きな老若男女が集い語り合い、応援し続ける場を期待しちゃうますね〜。一般人の観客はほぼいないですよ。 布野:当事者だけか 佐藤:そうですね。いい祭りはやっているので、周りの大人社会との関係がもう少し獲得されるような工夫が要りそうです。 布野:そこまでやるんだったら、他のジャンルの社会学者とか評論家とかを審査員にすればいいんだね。著名な学者を呼んで審査させたら、けちょんけちょんに言うんじゃないの。そういうの選ばないと思うよ絶対。そうしたら鍛えられるが。 佐藤:他ジャンルを呼ぶと「議論が拡散してまとまらない」と言い訳できますね。けちょんけちょんに論破される方が、後々よい効果がでると思いますが。 布野:ははははは。だいぶ様子が分かったはははは 佐藤:日本一決定戦、裏の方まで体験しまして。違和感を解消したいので当事者に聞き歩くのがいいと思って。主催の学生会議の面々は秋保温泉当たりの温泉だと思いますが、打ち上げ大宴会してますよ。しめでたい限り!!ですかね。決定戦最大の効果であり、裏方の学生の皆さんは、これ身内のみでの演芸会をやりたいのかもです。大いに楽しむのはいいことですけど。 (絵:仙台建築都市学生会議 ブログ 20180328~0329 追いコンより)
布野:もういいんじゃないレコーダー止めても。他の話したいんだよ 佐藤:脱線、OKです。記録は残しましけど。 布野:東京に帰って来て丁度3年経ったけど。1991年に関西で大歓迎されてからね。あれが凄い大変だったの知っている 佐藤:知らないです 布野:京大から「あいつは何だ」って怪文書が来たりして、えら目に遭ったんだよ。1991年に京大に呼ばれて行った、渡辺さんとか高松が大騒ぎするから、大変だったのよ。怪文書飛ばされて、俺は気にしてなかったけど。その後、高松が、また問題起こしたけどはははは。それはそれでいいんだけど。 で滋賀県大を経て、3年前東京に帰って来たじゃない。今は色々付き合っていて、若い人が組織している吉祥寺に建築会ってのがある。何かピンと来ねーなーと。理顕さん、門脇が居てバラバラなの、段々見えて来る。そいつら繋げてやろうかなーと。今ね、色々考えているのよ。 佐藤:いいすね 布野:一つは、若い奴らが実施コンペに、なかなか参加できないから。その仕掛けをどうするのか。ハイボールを一つ 店員:ハイボール一つ。 ワイワイガヤガヤ店内さらに騒然としだしている 佐藤:コミュニティー再生とかまちづくりとか、耳障りの好いことを語る人が多いいるじゃないですか。役所語りのコミュニティだけで、実態はほぼ無いですね。俺が設計し、完成したら建築にすぐ色々な人を呼んで使い初めをして、盛り上げ支援をしてたんだけど、そういう事をやり続けていたら仕事が来なくなりました。 布野:あ、はははは 佐藤:建て物が完成したら祝ってくれるんだろうと勘違いしてた。祝い合うコミュニティーが要るだろうと思ってた、勘違いでしたね、俺は。 20年前だって個々に分断されてましたね。それでも俺が近所の人とお祝いせよ!と指示を飛ばしてワイワイしたが、結果は散々なものでした。 俺の実感ですが職業がバラバラで、各自の欲望を消費尽くす現代では身近なコミュニティーなんてもう要らない・無いんだなーと思ってました。近所の建築になんて全く興味がない。あるのは役所が誘導してるコミュニテー再生のお題目だけ。大地震が来きても、原発事故が起きようとも、役所の支援を待つだけの人々。自分で思考して地域を創ろうなんていう人間は、311後でも都市計コンサルぐらいしか見てない、会ってないです。政治家も私益誘導タイプ。 自邸を完成から四半世紀「建築あそび」と称して実践し色々な人と交流してたけど、地域の人交流がある、お題目的な豊かな社会なんて作れませんでした。今は別な便利、サービスがありまして、選択縁というかネット繋がりで、各地をろついて楽しがってます。 布野:(若者は)アートに行くんですよ。アートに行くと何となく居所が在る。アートとて扱われるとね、ごく一部が、しょうがねーなーって言って。磯崎さんでもアートだし、皆、アート気分。そういうのは美術館とかやると活きる。それで散々ぱら文句言われた。使いにくい、使い勝手が悪いとかね なんだこれはーみたいな、ギャップが凄く大きい 佐藤:建築を受け止める人々との思いのずれ、隔たりがある 布野:あるよ。今の連中は仕事がリノベだとか言いそうだし。連中を見ていると、東京はまだ仕事がいろいろある。 で、上の方の奴が使ってくるわけ。大手を使うのは、お金がかかるから、若いの使うのよ。若い者はみんなそれで忙しいんだよ。呑んでいるんだけど。3年経ってそういう奴らが幾つか見えだした。俺がやると疲れるから、動くように、動くように、やろうと思っている、上手くいくかどうかは分からない その08へ続く |
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