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布野修司さんに聞き語る | ||
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03ファイナル10選(1) |
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佐藤:この居酒屋、すごい賑やか 音録大丈夫かなー。まいいや。 布野:毎日このぐらい入っているけど、今日は賑やか。 佐藤:賑やか過ぎて文字起しできないかもしれない。その時はまた来ます. 布野:はははは 佐藤:絵が日本一決定戦ファイナル10選です。左上から発表順に並べてあります。順位ではないです 布野:全部で10作品で、単に左から順に並べた作品という意味。模型写真か 佐藤:発表順、そうです。左上の36番から順に少し伝えていきます。瀬戸物の金継ぎにたとえて語っていました。 一世帯一住戸一工法という閉じられた住居が持っているシステム、クローズのシステムをいかに開くか、そしてつなげるか。大量生産プレファブリケーションという文脈で生まれたものをどう使い倒すか、消尽するか。そして、ここでは新しくものを作り出す設計ではなく、既に在る物と物の関係性を調整することによって設計できないかを考えました これが導入の説明です。金色の部分に当たる部材をつくりだすことで、各戸の関係性を調整して設計しようという案です。敷地の境界も曖昧にして、メーカーが別々なんだけど繋いでリノベするんですね。 布野:プレハブ団地をね 佐藤:敷地は仮想です、各メーカのプレハブ住宅が集まっている住宅地を想定してました。でクランプで継ぐ提案をしてました。 例えば下の絵の様に、それぞれの家々を繋いでいくという想定でした。日本三位の作品です 布野:一見、テーマはいいけど。これじゃ〜ないんじゃないの。要するに、これは物をやっているけど。解体して繋ごうっていうの。これをどうするか?このクランプをどうやって付けていくのか。それぞれの家をちょん切って何かやってとか、なら話は分かるけど。こうじゃないんじゃない。 佐藤:具体的には 「積水ハウス2Bの とミサワホームの外壁パネルを入れ子状に使い、新しいサニタリースペースを提案しています。」 下のような絵で語ってました 布野:コメント言うと、このイメージでは無いんじないの、敷地、つながっていかないと意味ないよね。 佐藤:敷地、それぞれ個別所有の現在では、卒業設計なので、 布野:これを一本に一杯・部品をね持って来るんじゃなくって、こうなったときに、どういう住み方になるのか?っていう提案が無い。 佐藤:「敷地境界を跨いで呼継ぎと言われる小さな建築、いろんな工法が混ざり合う建築を配置することによって、新築では作れない、様々な多様な場所が生まれます」という説明でしたから、住み方の提案ではないです。 布野:住み方の提案がないと拙い。着想のところは好かったけどね。「どういう形で、こういうことが起こりうるのか」 リアルっぽく言ったら面白いけど。 これなら生産工学部に、もっといい案がある。なるほど。 佐藤:二番目に発表の118番の作品です。大阪の福島に在る呑み屋街を、ファザードの転回による都市風景の再編計画です。新築案なんです。ファサードを裏返したり、上下も入れかえたりしているのかな。 「ファサードを採取し回転することで、ファサードに影響されて空間が出来るという、これまでの反対というの図式が出来、多様な思想をもった空間が生まれます」 という説明でした。理解できなかったです 布野:こういう案もよくある。生産にもあったけど、敷地は動かしてないの。新築の色んな呑み屋を色々、なんでこれが10選に入るの。 佐藤:決戦で一票入ってたけど、説明を聞いて票は逃げました。 布野:なんでこういうの10選に入れるのかね、もっと良いのあったよ。リアルで必要な案。へーえ。何かレベル低くない。10分の2観たんでしょう。 佐藤:まあ、観てやってください。三番目の168番の発表です。「物語、言語・言葉の面白さと、現在私が学ぶ建築を結ぶことができないか」と考え、この卒業設計に取り組みました。建物語、それは訪れる度に、読者自らが既存の物語に囚われず、自らの物語を紡がせる、そういったシステムです」との説明でした。この建物を体験すると物語の内容を体験できるのだそうです。言葉と物の関係で卒業設計に取り組んだんですね 「10の建築要素を抽出し、それらが人間に与える本能的な感情や影響について、考えました。そしてこれらの、シンボル、建築記号を用いて31の物語の展開一つ一つを空間化していきました。」との解説でした。恐怖や快楽や人間に与える感情影響を考え記号空間を創ったということでした。絵の凸凹してる模型は感情を記号化した模型で、その空間を体験し物語を体感するらしいです。 布野:具体的に何かやて見せたら、まだいいけど。 佐藤:「花咲じじい」を具体的に示してみるとか、具体的な物語で、卒業設計を説明していませんでした。この作品は二位でした。 布野:これが二位なのへーえ。建築的な才能 無いね。 佐藤:どういう意味ですか。穴だらけの造形力ですか 布野:造形が問題だ 佐藤:次に4番目の117番です。東京の谷中の防災地区ターザン計画です。谷中は谷底地形になっているようで、坂やお墓が多いので防災センターへ至るために、避難タワーを三か所作って、ターザンで防災センターに逃げるという案です 布野:ふふふふ。これが10選に入ったわけ。えー!何、どうなっているの 佐藤:説明で「私はこの町に提案するのは防災計画と共にスキを形づくる、防災地区ターザン計画です」ということで、計画上でも具体的にでも各所にスキをつくるのがテーマのようでした 布野:これは審査員の誰が推したの 佐藤:辻審査員が推してました 布野:へーえ〜 佐藤:プレゼンペーパーのターザンの絵が審査員一堂に注目されて、35選外だったんですが、「競り」で引き上げられた作品です 布野:ハンディキャップある者はどうするの、老人はどうするの 佐藤:日頃は子供の遊具なんだけど、いざとなったら避難に使う。町全体で日頃から訓練して防災力を高めようという。建築計画で対応せずその地域の人間力に期待し、人間を信じようということでした。老人はターザンできなんだけど、そのむちゃくちゃさが受けてましたね 布野:あ、そう。 佐藤:次が5番目で227番の作品です。伊豆の大島と新島に在る三つの港をえらび「塩を通した人々の営みを再考することで、塩田が織りなす建築の可能性を提案し、島国日本の社会像を模索します、諸島の航路を活かし、島の玄関口である港を再編していくことで、新たな船のドックとしても生まれ変わります」という説明でした 港を再生させるために塩をつくる施設と、宿泊施設を融合させ、港をつなぎ地域再生案です。人口減少と地域おこしに対応している。塩づくりと宿泊施設で、製造と観光でもって地域再生ということのようです。 布野:製塩ね。 佐藤:この案は特別賞でした 布野:へーえ、製塩、今ももやているの 佐藤:製塩施設の現地調査をしたと語ってました。塩作る柵下に、その中に観光客を泊めると語っているんですが。施設に塩水掛けたら、住めないんじゃなかなー 布野:それもそうだけど、製塩って日光が当たらなきゃいけないでしょう。そうじゃないと、水分蒸発しないよ。 佐藤:この構築物で島々を曳回すそうです。ちょっとした風で転倒してしまいそうですね。さすがにこの作品は受けが好かったですよ。 布野:綺麗に絵が描いてあるけど、別の建物にすればいいのに 佐藤:地域興しのアニメ映画の題材なら合ってますね。絵も綺麗ですが製造施設と宿泊施設を融合させるのは無理筋なんじゃないかな〜。 最初の投票では一位になる可能性ありました。地域おこしと建築づくり結びつける。地域商店街潰れて繁栄する道の駅じゃないですけど、盲目的に現在、大流行り系ですからね、受けるんでしょう。 布野:流行っているけど、これメンテで大変でしょう。 佐藤:「メンテ大変だね」って誰も指摘しませんでした 布野:言わないのか〜 佐藤:非現実的なんだけど、バランスがいいので「この案が一位になるんだろうなー」と思って観戦してました。 その04へ続く |
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