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SDL2018一位 渡辺顕人さんに聞き語る | |||
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06 俺一番じゃなくっていいし 一位になると思っていた |
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佐藤:自分を追い込んで無駄な力を使わない、って持って生まれたものなのかな。どこかで気づいた 渡辺:気付きながらって感じですよ 佐藤:義務教育では予め設問があって、それに答える。答えがある問題に対しての処理能力の高さを競うでしょうから。 渡辺:あれが好くないです 佐藤:そこには渡辺さんは興味がなく、120番中120番でいいやと思ってた。高校にも進んで、工学院大学まで進んで来て、仙台に行き、日本一になったわけだ。どこかでは勉強するしかなさそうだが。センター試験はどうしたの 渡辺:工学院大学は一杯受け方あったんです。数学が得意じゃなかったから、物理と英語だけで入れた。 佐藤:そうなんだ。絵がうまいとか、創作ノートはまめにつけている 渡辺:そうですね割と 店員:お先にラストオーダーお願いします、時間です 佐藤:ジャー ビール 店員:食事はいいですか 佐藤:同じもの頼みすぎてあまっちゃっているので、いい。町のど真ん中なんで、ちょぼっとしか出ないと思って頼んだら、てんこ盛りだった 渡辺:はははは 佐藤:慣れない店に入ってしまって、食いきれないよ。 なんだっけ偏差値の話か。聞き取り始めて2時間経ってないけど、ラストオーダーになっちゃったよ。ここから後30分は大丈夫でしょう。 状況対応に強いハートを持ってていいね。びりでも気にして悔やまない。俺の方がテニス強いしと。 なかなかそういう受け止め方は日本の教育の仕組のもとでは出来ないんじゃない。 「俺一番にならなくってもいいし、日本一位になっても建築家になれないし、」と発言ができるんだね。軽く言えちゃうんだ。偶然突発で出て来た言葉じゃなくって、二十数年の日常で思っていた事を言ったまでだったんだね。 渡辺:そうですね。 佐藤:SDLの壇上で閃き語りじゃなかった、常日頃から「俺一番にならなくってもいいし」そう思って暮らしていた。 俺は自分の良さは俺が知っている、お前たちに評価されるもんではないと。翻訳しちゃったけど。 「この発言は初めて聞いた」五十嵐太郎先生は語ってたよ。渡辺さんの登場によって新しいSDLの事態が始まったということでしょう。よく言ってくれました。 渡辺:はははは
佐藤:日本一位受賞後に挨拶で裏方の学生をねぎらっていたね。あのコメントも、言わないだろうなーと思いました。舞い上がらない渡辺。評価してくれた審査員に「ありがとうございまいした」とも言わない。学生にだけありがとうを言う。これは面白い。そこも確信的なんでしょう 渡辺:そうですね。どうでもいいっていうか。評価してくれなくってもいいと思っていたから。でも、わざわざ審査してくれるなーと思いましたけど。 佐藤:出品したのは渡辺さん自身だから。評価されるのも面白いでしょう、勝負有りも。テニスは勝負事だし。皆に観られたりするのも慣れていたと。大学では35選まででも。 渡辺:どっかでは評価されるんじゃないかと思ってました。 佐藤:審査の結果は評価してか、驚いてのか、分からないね。本当の渡辺さんを理解して賞を与えたのか、分らなかった。審査員ではなくって建築の神様が一位にしたんだな〜と会場で思ったよ。 渡辺:そうそう。 佐藤:場の雰囲気建築の神様が誘導し、渡辺さんを一位に選んだ。審査員長の誘導もあっただけども。一位になるべくしてなったんだ。 渡辺:うん、とか言ってしまう。ふふふ。一位になると思っていたんですよ ふふふふ、思ってない奴は一位はとれない。 佐藤:渡辺さんは8月から一位だと思って集中作業し続けた。一人で作業に集中しまくれる、その環境も整えていた。普通の姿勢じゃなかったんじゃない。 ビールが来る 2時間だから後30分ぐらい大丈夫ですか 店員:大丈夫です 佐藤:将来はどういう道を選ぶんでしょうか。「建築家にならなくってもいいし」そんな発言もありましたが。そうは言ったけど建築も作ってみたいでしょう 渡辺:はい。自分が幸せだったら何でもいいから。 佐藤:建築を造るには仲間が要るよ。渡辺さんの夢や希望は「壁を動かした、あの先に在る霧的建築」。お前なにを言っているんだと仲間からは言われそうだ。バーチャル建築でもいいんでしょう 渡辺:はい。 佐藤:バーチャルとリアルの区別はないでしょう 渡辺:ああいう場で話すんだったら模型がないと。 佐藤:物の持っている強さを知っていて、SDLへ参戦したんだ。模型が動いたら注目されんだぜと 渡辺:注目せざるをえないだろうみたいな。はははは 佐藤:「壁が動く建築一杯ありますけど」と語ってたけど、具体的には何を指して言ってたの 渡辺:ジャンヌーベルのアラブとかそうですし、最近だとノイズアーキテクトがやっている、タイとかでパタパタ開くやつ。あれも音か何かに応答して。 佐藤:二つしか挙がらないね 渡辺:どうしても、あれだと機械的だし、生物ぽくない。 佐藤:出雲の二重ジャロジーで反論はあったけど、あのぱたぱたじゃない 渡辺:じゃなくって、動く動かないというよりは、生物的か生命性を持った感じにしようかと。ふふふ 佐藤:提出した模型が生き物に成ってしまい、渡辺さんが使役される、そのような話も出ましたが 渡辺:出ていたけど、そんなこともないかなーと。ソーラー化なんかで、完全に自律してれば、放っておけばいいかなと。 佐藤:前日グルグル見たときは パネルにソーラー仕掛けがあって自律的に動くんだろうなーと想った。記憶形状合金が温度差でうごくのかなーとも思た。同じ動きしかしないだろうから、もっと柔軟性の出る何か。とりあえず外壁を動かしてから内部も変え建築全体も変えてしまおうと、提案しているんだろうと想った。 人間にも皮が無いと身体を保つことができないように、まずは皮から始めよ・・・なのかと。ミカンの皮、リンゴの皮とトマトの皮は質がまるで違う。皮系も難しいので、近代の建築を終焉させて、これからの建築は皮こから始めるのはよさそうだなーと思いました。 「動く建築たくさんある」って語られたんだけど観た事も体験したこともないし何かなーと思った 渡辺:そんなにないですよ。アラブのは時間で動かしているんじゃないかなー 佐藤:昔のカメラの絞りの構造みたいなものでしょうか。渡辺さんの模型、動くはそれとも違う、機械を目指しているんじゃない。アートなら動く芸術品は沢山ありすぎるしなー。将来のことはよく分からないけど、とりあえず大学院に入学したんですね 渡辺:入りましたね。 佐藤:ドクターまで進み論文は書かないの。 渡辺:大した文章を書けないから。作ってどうなるか 佐藤:渡辺さんはプロテニスコーチになっているかもしれない 渡辺:それはないです 佐藤:コンピューターと建築についてはどう思ってますか その07へ続く |
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