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SDL2018一位 渡辺顕人さんに聞き語る | |||
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02 ズントー建築大好き 一位になる気がしてた |
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佐藤:用途も決まってる、ないかのような、渡辺さんの作品でした 渡辺:内部の活動みたいなのは何も想定してないから、ファサードをデザインしただけなんです。 佐藤:その割り切り方は面白い、興味が湧きます。ピーター・ズントー建築のパロディーのようで、二次創作にも見える。卒業設計だから機能ぐらい付けておくかーと見えます。ファサードで財しただけ、外壁を動かすのが目的だと、明から様な作品でしたね。平面図はダブル外壁になってるし。洗面所だって無いに等しい。敷地は無いと言いながらも、背景がありました 渡辺:ははははは 佐藤:背景はコラージュしたので、元の敷地の写真があると思いました。そこに建築を設えたいという意思が見えていました。敷地は考えてないって嘘でしょう、農村ふう、のどかな背景、どこか分からないんだけど 渡辺:農村ですね〜。 佐藤:思い描いてた農村にブレゲンツ君を立たせた。のどかな田園の景観と渡辺的人工物を対比させた絵に仕立ててありました。説明は「この建築に特定の敷地は設定していなくって、用途と形態もユニバーサルに成立するような、ギャラリーと直方体を選びました」と。 工学院大学の在る、京王プラザが渡辺作品の背景じゃない。農村を背にブレゲンツ君と呼ばれてしまった渡辺さんの作品を提案し音に反応し動く外壁建築でした。どこでもよかったんんじゃないでしょう。コラージュの背景に田園風に選択してたので、意図が働いていますが。 渡辺:はははは。 佐藤:敷地どこでもよくないよね 渡辺:めちゃ 胡麻化しましたね〜 佐藤:意図は読み込めちゃうからね。説明は胡麻化してもいいんで。建たない建築だし。その事によって審査員の評価は割れましたね。審査員同士が深読みして、ドンドン語り合う姿も印象的でした。 渡辺:ははあははは。議論してくれた。はははは。門脇さんが凄いしゃべってくれたから、もー。 佐藤:門脇さんに深く解釈いだだいて、多くの発言を頂戴した。渡辺さんがそう思っていたかは、別ですよね。 渡辺:けっこう、近いところを言ってくれた感じです。 佐藤:発言を引き出そうと、意図的に作品を提出していた 渡辺:意図的なんだけど 佐藤:敷地も用途も、なんでもよさそう〜。卒業設計作品なのに先生に鼻つままれるような作品に仕立てていた。「ここは外壁を動かすだけ」と決めちゃっているもの、強く意図的ですよ。模型は丸い、筒状でもよかったんだが。四角にして、皆が知っているズントー建築の形態に似せている。どう観ても、これはブレゲンツ君だと思い込ませる作戦で出品してる。ズントーを知らなくって、あの形にした訳じゃないよね。 渡辺:大好きですはははは。一番好き ぐらい。 佐藤:大好きだからこそ、外壁を動かしたんだ。俺はズントー建築なのだと。大好きだと言わなかった訳だ。それらを隠して、計画的に卒制を作っているね。 好きを通り越して日常の身体に成ってしまっていた。二次創作というか、パロディというか。渡辺身体と同化して面白い建築に仕立てていったと。そういう意欲をほぼ出さず、見せず、プレゼンしてましたよ 渡辺:ふふふ 佐藤:私考えてないし、一位いらないしと語った。 渡辺:はははは。何となく 佐藤:ズントウ崇拝者だったら、恐れ多くてパロディふうに、作り替えられないよ。深く愛してるから同化しちゃえる、怖れてはいないってことも見えている。敬意を表し続けているから無意識に乗り越え同化出来ちゃっているってことはありだね。微妙だな〜って思っただけど。ズントウ、やはり大好きだった。 渡辺:大好きです、一番好きです。 佐藤:どういう理由や意味で好きなんですか (杉山幸一郎さんエッセーへ 事務所 ズントーアトリエ兼住居 ) 渡辺:何なんですかねー 佐藤:葉っぱ型プランの(聖ベネディクト)教会もあるだろうに直方体を選んだ 渡辺:あれ見て 店員:二つで 佐藤:一つでもいいぐりあ量がおおいねふふふ、飯の代わりにサラダを食うしかないね。もしかしたら俺たち注文のしかた変ですな 店員:ちょっと 佐藤:他の物も二つずつ頼んだんで多すぎますかね 店員:ちょっと確認しますね。 佐藤:食いきれなかったらもったいないので 店員:そうですね 佐藤:量が多くなるからまず、一つで、足らなかったら追加で。ま食べよう。 渡辺:最初、なんですかね。葉っぱ型のあれはなんだっけ。教会ですよね。ああいう建築をやりたなーと思って。建築を学んで、やっているみたいなところがあって。1年生の4月ぐらいに、概論みたいなので、紹介されて。びびーっと来て。ふふふ。 佐藤:スイスまで観に行ったんですか 渡辺:行ってないですけど 佐藤:自分が気に入った建築を今回の卒業設計に意訳解釈して、作り直しちゃうんだね。 渡辺:なんでだろうな。ははははは 佐藤:ゆっくり考えていいよ。この店は時間制限あるけど、追い出されたら別の店に移るから 渡辺:はははは なんでだろう。ブレゲンツとか凄い、ああいうニュートラルな形が好きなんですかね。 佐藤:土着的な風景に凛として建っているミニマム系建築。とにかく好きだと 渡辺:なんでかなー素材なのかな 材料とかなんですかね。 佐藤:ズントー好きな人は50代でも居たし、、大好きな者は多いんじゃない。図集読み込んでいたら山手線一周していたって笑っていた研究者に会ったこともあるよ。オーバーだとは思うけど、世代を越えて愛されている建築家の一人だ。 何かの雑誌に載ってたの偶然見たんだけど、庭で野菜を作ってランチしている絵があって、暮らし方、いいんじゃねーと思った事があったね。 渡辺:好きな事をやって 佐藤:ごく普通の暮らしをしながら、名建築を作り続ける人だと思ってました。 渡辺:凄いです、生き方っていうか、幸せですよね 佐藤:日本では夜中まで事務所に張り付いてしまい、暮らしが無いような建築家が多いのかも、変わった人が多いですね。ズントーさんは人として、単に、幸せに暮らすために建築を仕事としているふうだ。暮らしが無い中で、好い建築は作られるのか問題は渡辺さん世代で消し去らないね。 渡辺:本当に好きな事しかやってない。
佐藤:スイスの現地に行って話を聞いたことがないんだけど。建築の一枚の写真だけでもズントーの暮らしぶりが伝わってくるね。渡辺さんはズントー大好きだと。卒業設計は社会性や地域や人間などと関係させず、壁だけ動かしてポンと置きました。軽やかに、ズントー好きを、いかんなく発揮した卒業設計でした。ぐたぐたした迷いが無い。一直線に表現に至ってましたので、分かり易い。 渡辺:あんまり難しいことを考えてない。 佐藤:単純明快に取り組んだ卒業設計で、審査員の方々が多くを語ってしまった。語らせたというか。そこまで想定してなかったでしょうか 渡辺:してませんでした。どういう形で一位に成るのか分からなかった。でも一位になる、気がしていたんです。 佐藤:導かれて仙台に出しちゃったんだ。作っている時からそう思ってたんですね 渡辺:思ってました。半年前から思ってました。評価軸あると思ってやっていた。 佐藤:審査会場ではバラバラで統一された評価軸は無かったね 渡辺:無かった。 佐藤:記録を持参したので、読み上げましょう。審査員各自それぞれ違ってました。渡辺さんを推した委員の言葉を読むね。 青木委員長は、「刺激的なものが僕には面白いです。つまり僕が知らない事っ ていうのかな、知らない世界を持っているなーと思うものがいいと思っています」でした。 磯審査員は「僕にとって、なんていうのかな、影響を与えるものっていうか。心ゆさぶるものか。そういったものを選びましたけど。この最終審査の段階においては、それはちゃんと意識してやっていると」 とういうことで磯・審査員には見抜かれてましたね。 渡辺:ふふふふ 佐藤:中田審査員は「空間を体験したらショックで死にそうなところを選びます」ということでした 渡辺:中田先生はちょっとわからなかった。質疑もあんまり分からなかった。 佐藤:門脇審査員は「この人が出て来ると怖いなーという人を評価をします」でした。「渡辺が世に出ると怖いよ」と言われたようなもんだね。辻審査員は「遊びと言うかユーモアーというか、そういうところがちゃんと提案にも結び付いている。敷地とプログラムが設定されていて、リアリティがあるという事ですかね」と言ってたていた。ターザンを推してたんだけど、決戦では渡辺さんを推した。こんなふうに審査員の評価軸はバラバラで主観的で多様でした 渡辺:でも、何か、ある程度、万人受けするのもあると思うな〜。 佐藤:渡辺さんは「卒業設計は、そもそもアンビルドなんだから、誰も挑戦しない魅力的な新しい作品を作って仙台に挑戦してみよう」と思っていた。明確だったね。 渡辺:それは、本当にそうです その03へ続く |
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