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SDL2018一位 渡辺顕人さんに聞き語る | |||
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03 最初から出来ていた テニス・コーチです |
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佐藤:明快な姿勢で卒業設計に取り組んだと。迷いなく、まっすぐで、作り始めたら、全然違う形が出来たとかじゃない。何時イメージが出来たんですか。手を動かしながら確信していったんですか 渡辺:もう 最初からです 佐藤:最初からあのイメージ通り作り出したの!そうですか 渡辺:ノート持ってきました もう出来ていたんですよ 佐藤:創作ノート持参ですか。どれどれ 渡辺:半年前ぐらいに出来ていたんです 佐藤:スケッチに日付入ってないね 渡辺:書いてないですけど、概観パースのスケッチです。わざわざこの場所を探したんです、よ実は。写真撮りに行った。 佐藤:やっぱね。最初からね。意図通りじゃない。スケッチに描いたような場所が在ったんですか 渡辺:在ったんですね。ああいう場所が、たまたまでしたけど。 佐藤:背景の左右に山が在って、小川と道が抜けて。小川が流れていてと 渡辺:こういうイメージ 佐藤:敷地決めてたんじゃないかい〜。審査員、騙されたんじゃ。写真あってコラージュした。「敷地は在る」と思ってたけど、やはり。イメージ通りの場所を見つけ写真を撮りに行ったんだ〜。 渡辺:はははは 佐藤:このノート一冊、全部卒制用の創作ノートなの 渡辺:これ一冊そうです 佐藤:凄いね。これは宝物だね。断面も初期に出来てた。 渡辺:断面のスタディーもちょっとだけあるんです 佐藤:創作のーと凄くいいね、卒業設計のマニュアル本になりそうだ。自分で気に入った処をノート開いて持っててくれる。俺は写真撮るから 渡辺:断面スタディーしてたとき、一番気に入っているところはさっきのです、これを撮るために場所を探した 佐藤:外壁もすでにグリットが描かれて断面も描き込んでいるじゃん。動かす絵も描いてあるじゃん。 渡辺:最初から考えてました、ギミック考えるのが一番大変でした 佐藤:ギミックって審査会場でも言ってたけど何ですか 渡辺:仕掛けです。装置を考える 佐藤:ぱっとスケッチ描いて、その後は迷いも無く一本道を、ただ・ただ、突き進んだんだと。頭の中には、これで日本一だと、そのイメージがぱっと浮かんでいた 渡辺:模型のイメージもできてました。こういう土台があって 佐藤:このまま、プレゼンの写真には載せてない 渡辺;これは本当に、だいぶ前に決まってた 佐藤:日付けが書いてないね。書いている処あるんじゃない 渡辺:あるかもしれない 佐藤:聞き取りに来て、創作ノートが保管して有ると知っただけでも好かったです 渡辺:プレゼン・シートのレイアウトとかも凄い前に決まってました。大学は4枚だったので何となく決まって。 佐藤:創作ノート無し、観客も含めて騙されましたかね 渡辺:騙しましたね。はははは。確信犯的なところが。ははは 佐藤:外壁、二重壁の所のスケッチ見せて。外壁の仕掛け 渡辺:この辺ですかね 創作ノートを見ている二人 佐藤:仕掛けの、歯車のような部品は売っているんですか 渡辺:売ってなくって、全部品をレーザーカッターで切り出して作りました。 佐藤:レーザーカッターを備えているレンタル工房が大学の傍に在るんですか 渡辺:大学にレーザーカッター有って。 佐藤:歯車とレールをレーザーカッターで切りだして、動く壁に仕掛けた 渡辺:歯車のモデルだけ、スケッチアップ。3Dデータがネットに落ちていて、そこから図面、線に起こして。 佐藤:卒制のスケッチは瞬時に出来、一直線にコツコツ作ったんだね 渡辺:スタディーも 佐藤:断面の内部に膨らんだ壁と天井の意味が分かりませんでしたが。二重壁になっていて、動く壁と、動かない壁と二重ですね。平面を観ても二重壁が描かれている。中身が無くって動く外壁だけが自立して建っているのでも、ありだったね 渡辺:ありです 佐藤:内部は全く無い要らないと。建築じゃなくなるかーと思いとどまったんですか。いろいろ経過が分かる、創作ノート宝物だね 渡辺:はははは 佐藤:プレゼン時に、創作ノートに関して何も語ってなかったんで、聞き取りに来ないと、分からなかった。 食い物、二つずつ頼んでしまってたようで、二つ来ちゃったよ、これは食いきれないかもだ。残してもいいから。色々笑ってしまうね。痛快なので、何を聞いたらいいのか分からなくなってき。今、来た厚揚げ豆腐が、動く建築に見えてきたよ 渡辺:ふふふふ
佐藤:卒制スタートしたのはいつ頃ですか。スケッチした時期です 渡辺:8月ですね。 佐藤:材料などは、この辺りで手に入る物ばかりだったんですか。プログラムを組む時間はいつからですか。8月以降ですか 渡辺:そうですね。電子の配線とか、基盤とかも全然知らなかったから。そこから勉強しました。勉強というかいじっていた。 佐藤:プログラミングも初めて取り組んだったんですか 渡辺:多少はやってましたけど。ほぼ・ほぼゼロからです。 佐藤:愛している「ズントー建築を動かすぞ〜」そう思い込んでからの投入エネルギー凄そう。大学に来ないで部屋に籠って作ってましたか 渡辺:ずーっとやってましたね。半年間。 佐藤:簡単に作れないでしょうね 渡辺:はい。 佐藤:模型を作ると言っても配線もあるし、部品加工と組み立て、取り付けもあるし、全部、一人で作ったんですか 渡辺:はい 佐藤:建築模型を動かす、その仕掛けは精度が高いんでしょうから、他人に頼むわけにもいかず 渡辺:そうですね、8月からは他は何もしなかったです。バイトはしないといけない。滅茶製作費掛かったから。 佐藤:故郷の岡山でのんびり暮らしていた渡辺さんは、なんで東京に来ちゃったんですか。バイトしないと作れないのも解るけど 渡辺:なんでですかねー建築やりたいなーと思って、 佐藤:ビールください。建築やりたいと思って、でも東京に来る前に途中、大阪で降りなかったのは。 渡辺:お姉ちゃんが横浜の大学の方に行っていたんで。関東の方がいいなーと思って。お姉ちゃんは音楽系の大学に行った後、就職しましたが。一緒に暮らしてないです。 佐藤:建築に進もうとしたのは 渡辺:昔から作るのは好きだったんで。 佐藤:建築じゃなくって、ロケット作ったり電車作ったり家電もあるけど 渡辺:レゴブロックみたいなの、ずーっと好きだったんで、建築かなーと。あと生き物もずーっと好きですよ。 佐藤:生き物って何ですか 渡辺:生き物飼ってましたね、熱帯魚とか亀とか。はははは、だから動かしたんじゃないかなーと思うんです 佐藤:動いている生き物が好きだし、世話するもの好きだと。子供のころから動物の世話して暮らしてたんだ。 プレゼン応答時に審査委員長は「人間のために建築が在るでしょう。でもこの場合は逆になり得るわけ。この独自の生命を持つ建築のために、人間(渡辺さん)がいる。」と語ってました。子供の頃から動物の世話をする生活が日常だったんだね。動く建築に使役されるという話ではないんだね。動物の世話する暮らしが日常、卒制も日常の暮らしの中にあって、一本道の上での卒業設計の展開なんだね。 渡辺:そうです。どこで自分が勝負すればいいか、分かっている。 佐藤:勝負!でしたか。建築における勝負ってどういう意味ですか 渡辺:どういう意味なんだろうなー。 佐藤:賭け事やスポーツじゃないんだから、建築は勝負じなくてもいいでしょう 渡辺:そうなですけど。はははは 佐藤:最近の成果主義に毒されているんでしょうね。ここで結果出さないと自分の人生終わり〜、みたいな考え方ですか。大人が仕立てた強迫観念あるということですか 渡辺:ずーっとテニスをしてて、スポーツしてたから。今もテニスコーチやっているんです ふふふふ 佐藤:あ!そう〜。プロのコーチなんだ。スポーツマンじゃ勝負できちゃうね。 渡辺:テニスコーチを週4日やりながら、卒制やってましたね 佐藤:バイトの域は超えてるじゃないプロじゃないの。 渡辺:バイトでも出来るんです 佐藤:話があちこち飛ぶけど、「動く」模型ね。部品を自分で作ったりして、製作費要るよね。20万ぐらいですか 渡辺:25万ぐらい。 佐藤:人件費別でね、自分一人でコツコツ作っても! 渡辺:部品だけでも25万ぐらいですかね 佐藤:プロのテニスコーチで稼いで25万円を模型製作費に投入。凄いね その04へ続く |
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