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福島第一原子力発電所の事故によって起きている様々な問題を勉強し始めました 勉強過程の記録をつくってみます 暇な方はご活用ください |
2011年7月27日 厚生労働関係の基本施策に関する件(放射線の健康への影響)議事録 | |
参考人 01明石真言 02唐木英明 03長瀧重信 04沢田昭二 05児玉龍彦 06今中哲二 質疑応答 07山口和之(民主) 08吉野正芳(自民) 09坂口力(公明) 10高橋千鶴子(共産)11阿部知子(社会民主党・市民連合)12柿澤未途(みんなの党) |
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08 ○牧委員長 次に、吉野正芳君。 ○吉野委員 自民党の吉野正芳と申します。 参考人の皆様方、本当にお忙しい中ありがとうございます。 私の選挙区は福島第一、第二、そしていわき市です。双葉郡といわき市が私の選挙区でありまして、本当に皆様方に大変御心配をいただいていること、この場をかりて感謝申し上げたいと思います。 私も、原子力を推進してきた一人でございます。私の立場は、正しく理解して正しく放射線を怖がろう、こうしないといつか今日のような事故が起きてしまうのかな、こんな思いで原子力を推進してきた者の一人でありまして、今度の大事故を引き起こしてしまったということは、推進してきた者として本当に大いに反省をし、皆様方に謝罪を申し上げたいと思います。 さて、いろいろ選挙区を歩いてみますと、不安でいっぱいなんです、特にお子さんを持っているお母さん方。きょうの先生方の話を我々、ここで聞きました。私も六十を過ぎていますから、先生方のお話を若いお母さん方が聞けば安心するのかなと思うんですけれども、きょうのお話を聞いても不安はとれないと思うんです。 放射線のお母さんに対する影響、子供に対する影響よりも、不安で不安で仕方がない。うちの方の言葉で気をもむというんですけれども、気をもんで精神的に参ってしまうお母さん方、それを見ている子供の方が健康には悪いのかなと思うくらいなんですけれども、幾ら説明してもお母さん方は理解をしてくれないんですね。 この辺のところをどうすれば、お母さん方、特に若いお母さん方の不安を取り除くためにはどうすればいいのか、明石先生、お願いしたいと思います。 ○明石参考人 私自身も福島県のいろいろな場所で住民の方とお話をさせていただいて、お母さん、子供さんが非常に不安になっているという点、どう解決したらいいのかというのは、実は、私たちの中でも最大の問題になっております。 一つの私どもの考え方としては、やはり科学的なことを与えるということだけで納得はできない。それをどう理解していただくか、どう受けとめていただくかということが一番重要である。そのためには、やはり御自身にも基礎的な放射線に対する理解をしていただくチャンスを与えると同時に、やはり信頼できる方の口からお話をしていただくというのも一つの考え方ではないか。 つまり、信頼できるというのは、地域でも学校の先生であるとか、先生方もやはり怖がっているということになると、特に子供さんたちは非常に不安がってしまいます。ですから、地域で、やはりオピニオンリーダーであるとか理解のできる人にきちんとした理解をしていただいて、説明をしていただくというのは、一つの方法ではないかというふうに私は思っております。 ○吉野委員 現地でも、各小学校単位ごとにそれぞれの専門家の先生方をお招きして、放射線の勉強会、本当に参加の数は何百人、小学校単位ですから何百人という方が来るんですけれども、何回やっても同じなんですね。ですから、これは本当にどうすれば不安を取り除くことができるのかなと。 例えば、科学的なことを幾ら説明しても、自分の頭で理解しても体がついていかないという、こういう状況下に置かれていますので、もうその方は、避難できる方は避難してください、そして、それに対する支援をしていく、避難できない方は、きちんと家庭での防護策といいますか、それを我々政治の方はやるべきだなというふうに私自身は思っているんですけれども、その辺はいかがでしょうか、熱い児玉先生。 ○児玉参考人 要するに、信頼感というのは、言葉で説明を聞いて生まれるのではないと思います。 私も毎週南相馬へ行っていますが、例えば、南相馬の方たちが本当に汚染している学校やなんかを案内してくれるのは、やはり一回目じゃないんですよね。だから、支援に来ている人がただ一回だけ来て帰っていってしまうみたいなのは、かえってすごく問題をひどくするだけで、やはり本当に持続的にやっていこうとすると、一緒にはかって、一緒に考えて除染していく、避難されたい方は避難を応援する、そういうのがすごく大事ではないかと思っています。 それで、南相馬へ行って私どもが最初に言われたのは、やはりさっき言った、線量の低いところから高いところへスクールバスで子供が千人移動させられているということで、それで、実際に地域を見ても、一つの学校を見ても、さっきから私、何ミリシーベルトだったら安全ですかという議論は現実味がないと思うのは、例えば2マイクロシーベルトの学校をはかっていても、一カ所に行くと33マイクロシーベルトなんです。 ですから、そのときに一体何ミリシーベルトをその土地とするかという問題が出てきてしまいますから、やはり、高いところがあったら必ず刈り取っていきますよ、測って一緒にやっていきますよ、不安があったら相談に乗りますよ、農産物があったら最新鋭の科学機器を集めて、最高の検査メーカーが来てやりますよというような態勢がない限り安心できないというのが当たり前ではないか。 ですから、今求められているのは、最高の施策が福島県民に与えられるように、国会でぜひ考えていただきたいということであります。 ○吉野委員 全くそのとおりだと思います。 今度の二次補正でも、福島県の子ども健康基金という形で962億、成立しました。この基金を使って、例えばベラルーシの場合、学校単位に、きょう飲むミルクをはかったり、きょう食べる食べ物をはかる、そういう検査機器があるというふうに私はテレビで見たのですけれども、こんな機械も福島県の小学校単位に全部そろえて、本当に自分で測って自分で安心して納得して食べていく、こんなシステムをこの基金を使ってやっていきたいと思いますけれども、チェルノブイリに詳しい先生方はどなたでしたか。では長瀧先生、お願いします。 ○長瀧参考人 お答えいたします。 チェルノブイリに私どもが最初に参りましたとき、やはり、汚染地の産院に参りました。そうすると、新生児がいっぱいいるわけですけれども、そのお母様方の心配というのは、もう本当に今の福島と同じ状況であります。やはり社会全体として混乱しておりまして、非常に危険だ、すぐにあなたの子供は亡くなってしまうとかあるいは白血病になるとかというのを横で言っている人もいますし、我々が行っている間に、報道の方ですけれども、線量計を持ってきてその病院の草の放射能をはかって、ここも汚染されているから早く逃げた方がいいというふうな方もいる。産院で、もうそこに新生児がいるような状況の人に向かってそういうことを言う人もいる。 そのときに我々が感じましたのは、やはりチェルノブイリの支援も、その時代は、不安に対してどう対応するかということを一番考えました。そのときにありましたのは、少なくとも、子供が心配なんだから、我々ができることは、お子さんをできるだけたくさん診察して、あなたのお子さんは今病気はありませんということをもう直接お伝えする。周りで何を言おうが、お母様と一対一で、あなたのお子さんは大丈夫だということを言っていくことがこのパニックを防ぐことかと思いました。 時間がありませんので、一番最後に、チェルノブイリの最後に我々は集まりまして、国際機関としての勧告がございました。それは、住民、国民に信頼されるということが一番大事なんですけれども、国民に信頼されるリーダーがすべての情報を公開する。そして、その公開した情報を専門家が十分な説明をして住民に説明する。それで、それに対してどうするかということは、住民を交えて、住民との対話の上で、行政になりますか、それが決めて対策を練る。その場合に、情報をすべて開示する。そして、その解釈を専門家として一本の形にして住民に説明する。そして、住民の希望を、対話を続けながら対策を決めていくというのがチェルノブイリに関しての我々国際グループとしての勧告でございまして、それは、今の日本にでも非常に大切なことではないかなと思っております。 ○吉野委員 全く先生のおっしゃるとおりなんです。信頼できるリーダーがきちんと情報を発信する、全国民がそのリーダーの意見は全部信頼できるということが理想なんですけれども、現実は、もう総理大臣から始まってだれも信用できないというのが今の日本の、特に政府の発表、これはもう逆なんです。政府がこう言うのでは危ないなという、そこまで国民は今思っていますので、この状況を本当に信頼できるような形にするのは、我々政治家、また皆様方、地道に、やはり自分で納得できるような形で、先ほどベラルーシの例も言いましたけれども、そういう整備を我々政治がしていくことが大事なのかなと思います。 さて、福島県は202万県民です。私も県民ですから、今聞き取り調査、アンケート調査をします。3月11日から3月25日まで、一時間ごとに、どこにいたか。もう四カ月前です。私も、手帳を見ながらこれから書くんですけれども、もう完全に記憶を忘れているんですね。新聞にも、4カ月前の記憶で本当に被曝線量を皆様方が判断できるのかと書いてあるんですけれども、四カ月前、これは、きちんとした汚染マップというか積算線量がホットスポットも含めてきちんとわかっていないと、そこにいたと書いたって、ホットスポットがわからなければ、モニタリングポスト、いわき市はでっかいんですけれども、たった一個なんですね。その線量で計算されちゃうんです。 本当に、アバウトスクリーニングなんでしょうけれども、ある程度の線引きなんでしょうけれども、アンケート調査ですから。本当にある程度の被曝量がわかるんですか。 これはだれ先生に聞いたらいいのかな。では明石先生、お願いします。 ○明石参考人 私ども、私自身は福島県の線量評価をするための健康管理検討委員会のメンバーでございます。 御指摘のとおり、四カ月前の記憶というのをたどっていくのはかなり難しいし、かなりブランク、つまり、どこにいたかわからないというところがかなり出てくるだろうということは想像しております。当然、このような時期に、こんなに遅くなってしまったということについては、私ども専門的機関も反省しなければいけないと思っておりますが、今行える方法としては、例えばそのアンケートの用紙の中に、どこにどんなほかのイベントがあったのかというカレンダーみたいなものを入れて、できるだけ記憶を鮮明にしていただけるということと、それから線量マップでございますが、できるだけ細かく、現在は2キロごとのメッシュを考えております。 もちろん、それだけで十分なのかという御指摘もございますが、できる限りその二キロの中で住民の方々に御理解をいただく、それから、もし不十分な部分については、こちらの方からお尋ねをして埋めていただけるような努力、それしか今のところすることはできないのではないかと思っております。ただ、できるだけ線量については、とにかく細かく、二キロの四角でくくれるだけの線量率は出したいというふうに考えております。 ○吉野委員 アンケート調査で、ある程度の被曝量が出ます。そして、それから詳細調査という形で今度は診察をしていくんですけれども、どの辺のレベルでその線引きをするんですか。詳細調査に行く方々というのは、どの程度の被曝量なんですか。 ○明石参考人 現在では、線量によって、これ以上の健康調査、健康診断をしないとかいう線引きをすることは考えていないと思います。ですから、県民の方々には基本的には同じ健康診断、調査をするというのが基本的姿勢だと考えております。 ○吉野委員 そうすると、詳細調査と全県民相手のアンケート調査は全く関係ない、こう理解していいんですか。 ○明石参考人 済みません。誤解を招くような発言をしていました。 先行調査は、本調査が本当にうまくいくのか、つまり、どのくらい問題点が出てくるのかというのを調査することで、いきなり詳細調査をやるといろいろ不備な点が出てくる、そこを一番最初にカバーしてしまおうというのが先行調査の主な目的だというふうに私は理解しております。 ○吉野委員 はい、理解をしました。 では、唐木先生にお尋ねしますけれども、唐木先生は、ちょっと前に唐木先生の書いた文章を読んだんですけれども、基準と閾値、いわゆる基準と安心、安全の境は違うんだ、基準はそれよりも物すごく低いレベルなんだということをおっしゃいました。そして、ヨーロッパの例も出して、基準を超えた食べ物であっても、きちんと放射線の評価をして大丈夫であればまた市場に出すんだ、そういう文章を読んだんです。 日本人、日本で、基準イコール安全の壁と100%私も理解しているんですけれども、例えば袋に入ったパン、たった一日有効期限が切れても、もう廃棄ですね。特に若いお母さん方は、全部廃棄です。私が子供のころは、もったいない、御飯だってにおいをかいで、においで判断したんです、自分で。ああ、食べられる、食べられない。このくらい私は子供のころおなかがすいていたものですから。でも、今は違います。有効期限をたった一日過ぎても、もうこれは廃棄処分なんです。 こういう日本人に対して、先生のおっしゃるような形でどうすれば理解ができるのか、何かうまい方法はありますか。 ○唐木参考人 今先生おっしゃったのは、化学物質について私が書いたものではないかと思いますが、今、日本はカロリーベースで4割の食料を輸入しているにもかかわらず、そのほとんどぐらいを捨てているという現状があります。その捨てている現状の中のかなりの大きな部分が、基準をちょっと超えただけで大量回収、大量廃棄になっている。この問題は大変大きな問題だと思っております。 なぜそうなっているかというと、これは食品衛生法に、基準を超えたものは流通させてはいけない、回収しなさい、そういう規定があるからでして、それを何とか変えないといけないだろうと思っております。 先ほどお話ししましたように、化学物質については全く毒性がない量がありまして、その百分の一以下を一日摂取許容量としまして、その量に達しないように、各食品はもっともっと厳しい規制値をつくっております。ヨーロッパなんかでは規制値を超えたら行政が動き出すけれども、その食品は回収しなくてもいい、なぜならば、一日摂取許容量を超えなければ何の影響もないから、こういう取り扱いをしております。 私は、できれば日本もそういう法律の取り扱いをすることによって、多くの人が規制値が安全と危険の境目だという誤解が解消できるのではないかというふうに考えております。 ○吉野委員 長瀧先生にちょっとお尋ねしますけれども、ICRPのALARAの理念、日本から発信してICRPを変えるという発言がございました。具体的にちょっと、日本がICRPの基準を変える、こう理解してよろしいんでしょうか。 ○長瀧参考人 これは、ICRPの規約にしてもすべて今までの経験で書いてございますので、今の福島の事件というのは、少なくともまだ収束していないという世界で初めての状況である。これは教科書にないわけであります、参考書はあるかもしれないけれども。ですから、我々がどう対処するかということを決めていくんだというだけの非常な責任とそれから意欲を持って対処していかなければいけない。 そのためには、私は自分の立場からいいますと、一番大事なのは、現在汚染地に住んでいらっしゃる方をどう措置するかですね。その方々の希望と十分に対話を尽くしていく中で、今の基準値のようなものも決めていく。むしろ、基準値があって住民をどうするというのではなくて、住民の方々との対話から基準値を変えていくんだ、いわく基準値を変えるといいますのは、科学的にわかっている事実はこうである、じゃ、それに従って住民の希望をどこまで取り入れるかということを考えるということが私はICRPを変えるという意味で申し上げました。 ○吉野委員 貴重な御意見、ありがとうございました。これから双葉郡の方々が本当に戻れるように、皆様方と私たち政治が一生懸命努力したいと思います。 本当にきょうはありがとうございました。 その09へ |