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福島第一原子力発電所の事故によって起きている様々な問題を勉強し始めました 勉強過程の記録をつくってみます 暇な方はご活用ください |
2011年7月27日 厚生労働関係の基本施策に関する件(放射線の健康への影響)議事録 | |
元議事録へ 元動画 | 参考人 01明石真言 02唐木英明 03長瀧重信 04沢田昭二 05児玉龍彦 06今中哲二 質疑応答 07山口和之(民主) 08吉野正芳(自民) 09坂口力(公明) 10高橋千鶴子(共産)11阿部知子(社会民主党・市民連合)12柿澤未途(みんなの党) |
01 第23号 平成23年7月27日(水曜日) ○牧委員長 これより会議を開きます。 厚生労働関係の基本施策に関する件、特に放射線の健康への影響について調査を進めます。 本日は、本件調査のため、参考人として、独立行政法人放射線医学総合研究所理事、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会委員明石真言君、日本学術会議副会長・東京大学名誉教授唐木英明君、長崎大学名誉教授長瀧重信君、名古屋大学名誉教授沢田昭二君、東京大学先端科学技術研究センター教授・東京大学アイソトープ総合センター長児玉龍彦君、京都大学原子炉実験所助教今中哲二君、以上六名の方々に御出席をいただいております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。 次に、議事の順序について申し上げます。 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ15分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。 なお、発言する際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。 それでは、まず明石参考人にお願いいたします。 ○明石参考人 おはようございます。放射線医学総合研究所の明石と申します。 まず一番初めに、今回の東日本大震災により被災された多くの方々に心よりお見舞いを申し上げると同時に、今回は、地震、津波、それから原子力という非常に大きな災害が加わった複合災害という未曾有の出来事でございました。 住民の方々には身体的また精神的、特に地域におかれましては社会的、経済的な大きな負担を強いられており、このような困難な状況からできるだけ早く脱却できる努力を我々もするべきでありますし、住民の方々も心からそのようなことを望んでいるというふうに私どもは思っております。 まず、私どもの研究所について簡単に御紹介させていただきます。 私どもの研究所、放射線医学総合研究所、我々は放医研という呼び方をしておりますが、放射線・原子力事故時の医療である緊急被曝医療という医療の中心的機関ということが定められております。1999年に茨城県の東海村で起きたジェー・シー・オー臨界事故の際には、3名の高線量被曝の患者の方々を受け入れて、線量評価、それから治療方針の決定と治療、また、そればかりではなく、住民の線量評価、それから、現在でも行われております住民の健康診断にも従事をさせていただいております。 このほかにも、私どもの研究所は、国内で起きた事故について多くの対応した経験を持っておりますと同時に、国際原子力機関、IAEAに依頼されて外国の事故にも専門家を送るなど、多くの事故に対応した経験がございます。 (ふくしまの事故) 今回の福島における原子力発電所の事故は、幸いにしてこれまでに治療が必要な方、放射線被曝による治療、それから放射性物質による汚染による治療というものが必要な場合という方はまだ出ておりませんが、今回の事故はジェー・シー・オーの臨界事故に比べまして規模はかなり大きく、それから放射性物質による汚染の地域もかなり拡大をしたものというふうに私どもは考えております。 今回の事故と違いまして東海村の事故の際は、汚染がなく、住民の健康影響についても、確定的影響、つまり閾値がある、これ以上の線量を超えると症状が出るというような閾値が考えられる確定的影響が出るレベルではございませんでしたし、確率的影響、がん等に閾値がないと考えております確率的影響も小さくて検出できない事故という程度でした。しかしながら、その当時も住民の不安というものは非常に大きく、健康影響に関する説明会等を何度も行ってまいりました。 問題は、当時、放射線の影響に関する教育というものが義務教育でほとんど行われていなかった、それから大学医学部等でも、医師等に放射線の影響、放射線の障害ということに関する教育等も十分に行われていませんで、当時、放射線の教育というのは非常に重要だということが認識をされておりました。 今回の福島の原子力発電所の事故におきましても、先ほど述べましたように住民の健康影響というのは非常に大きく、特にマスコミ、それから多くの専門家の先生から出される情報のために、住民は一体何を信じていいのかわからなくなっているというのが現状でございます。 もっと言いますと、放射線について何が危なくて何が危なくないのかということをやはり住民に正しく理解をしていただく、そういう機会をふやすことというのは非常に重要でもありますし、我々専門機関としての役割というふうに考えております。 最近、特に牛肉の汚染が問題になっておりますが、マスコミは、汚染が出たとか、一キログラム当たり何ベクレルぐらいのセシウムが入っているというような報道をされます。当然のことながら、汚染がある食べ物を売るとか食べるとかいうことは決していいことではありませんし、そんなことはするべきことではありません。しかしながら、もしマスコミがもう少しこの問題を一歩踏み込んで、この牛肉を二百五十グラム食べると何マイクロシーベルトぐらいになるんだとかいうようなことを同時に報道していただくと、危険の度合いというものが住民の方々にとってよりわかりやすくなるというふうに私どもは考えております。 特に、放射性物質による体内被曝というのは考え方が多少複雑でありまして、住民の方々にも非常にわかりにくいというのが現状であります。体内被曝の線量を考える場合、私どもは、実効線量係数といいまして、つまり、一グラム、一キログラムに含まれている放射性物質の量から計算して、一ベクレルの放射性物質を食べると何マイクロシーベルト、何ミリシーベルトぐらいになるのかということを計算する数値というのを持っており、これを使って体内の線量評価をしているわけでございます。 例えばセシウム137の場合は、十万ベクレルぐらいを食べますと約一・四ミリシーベルトぐらいになるとか、例えばこの半分であるとか、こういうような数字をやはりわかりやすく住民の方々に理解していただくということが、何が危なくて何が安全なのかというのを判断する材料になるのではないかというふうに思っております。我々専門機関も、こういうきめ細かな情報を出すことが求められていることは言うまでもございません。 それから、もう一つ重要なことは、法令による規制値というものと健康影響が出るレベルというのはかなり違うということでございます。規制値を超えるということは決して許されることではございません。しかしながら、規制値は健康影響が出るレベルよりもかなり低いところに設定をしてございますので、こういうことをやはり住民の方々にもわかりやすく理解していただくということも非常に重要なことであるというふうに私どもは考えております。 私どもの研究所は、非常に早い時期から職員を現地に派遣する、地震が起きてから十七時間後には医療チームを現地に派遣しております。それで、住民の線量評価の必要性、つまり、においも味もない、被曝したかどうかわからないという放射線被曝について、早く科学的な評価を行い、線量評価をする、それが住民にとって一番の安心になるということを提唱してまいりました。 特に最近では、汚染レベルが高い地域での体内汚染、住民の方にどれぐらい体内汚染があるのかということを、体の外から放射性物質、放射線を検出するホール・ボディー・カウンターというのを用いまして、それと同時に、体内の、尿中に出てくる放射性物質のレベルを測定いたしました。 御存じのように、このホール・ボディー・カウンターというのは、体の中に存在する放射性物質をはかるものでございますが、測定した当日に体の中にどれぐらい放射性物質があるのかということしか実は測定できません。そこからどれぐらいの線量になるのかということについては、例えば、吸入したのか、食べたのか、それから、それが三月の十二日なのか、それとも三月の末なのか、いわゆる吸入経路それから摂取時期について推定をいたしまして、それに基づいて計算をするという、多少複雑な過程を経ております。 ホール・ボディー・カウンターでわかることは、先ほどもお話ししましたように、はかった当日体の中に残っている放射性物質ということであって、やはり限界もございます。ただ、言えることもございます。やはりそこを住民の方々に理解していただくような我々の努力も非常に重要だというふうに考えております。 幸いにして、今回、私どもの研究所で行わせていただきました住民の体内被曝に関して今まで出た結果では、住民に健康影響が出るような線量にはなっていなかった。これは私ども、非常にいいことだ、うれしいことだいうふうに考えております。 ただ、一方では、体の中に入っている放射性物質というのはどんどん減っていきますので、より早い時期、もう少し事故から早い時期にこういう線量評価を行って、住民の方々にどれぐらいの被曝線量であるかということを正確にお伝えすることができたら、より住民の不安は小さくなったのではないかということを、私ども多少悔やんでおります。 また、我々の体の中には、自然界からの放射性物質、例えばカリウム40というものが、日本人でいいますと、六十キロから七十キログラムの方ですと大体四千ベクレルぐらいのカリウム40という放射性物質がございます。また、これは我々が生きていく上でもう仕方がない自然界の放射性物質でありますが、こういうものも体の中にあって、これからも放射線を受けているという、ある程度比較の目安になるようなこともやはり住民に理解をしていただくというのも必要ではないかというふうに思っております。 特に、先ほどもお話し申し上げましたように、目に見えない、それからにおいもない、味もない放射性物質についてというのは、やはり住民の方々が御自身で判断できる材料を早い時期に与えるということが私どもにとって重要であると思っておりますし、何が危なくて何が危なくないのかということを御自分で判断していただくというのが一番重要なことというふうに考えております。 放射線につきましては、現代の社会で欠くことができません。もちろん、病院、工場、それから煙感知器等、いろいろなところで使われております。義務教育の段階から、正しい知識を持って、放射線を正しく怖がるとよく言われることですが、正しい知識で正しく怖がる、何が安全であるか何が安全でないかということをやはり身につける必要があるというふうに考えております。 最後になりますが、改めて、今回の災害でお亡くなりになられた方々、被災された多くの方々に対してお悔やみ、お見舞いを申し上げます。私どもの研究所では、今後とも、被曝医療機関の中心として、被曝医療に努力をしてまいりますとともに、放射線の人々への影響、そしてさらに、今度は、人々が、住民が今までのおうちに帰ることができるような環境を回復させるような環境影響研究というものを重点的に行っていきたいというふうに考えております。これを私どもは最大限努力するということを述べさせていただいて、私の意見陳述とさせていただきたいと思います。 本日は、このような機会をちょうだいいたしまして、まことにありがとうございました。(拍手 02唐木英明 へ |