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2017年10月03日 山川陸さんに聞く 新宿御苑にて |
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10 山川:お施主さんは大学は美大だったらしく、今は町の広報紙をつくったり、建築とか都市的な観点で特集をどんどん作ってる。吉祥寺には三角形のへた地が多いから三角形のへた地を採集しようとの呼びかけを町の広報紙に書いている。 そういう方なので場所を使って実験することに興味があったんです。 佐藤:越境する他者の選別のしかたが不明確なので、とりあえず実験的に私有地を開いてみたと。通行する市民にモラルを期待しているので、期待すぎかもしれない。この場に相応しい人づくり、越境しても問題を起こさない都合のよき市民づくりをしなければいけないと思います。木戸銭をとるのも昔からある一つ方法です。今後の展開に注目してる観察者としてなら面白い態度だと思います 山川:外構だから成立しているのもあって、建物、形、空気として内外をちゃんと仕切らなければいけないような物をつくらなければいけない、その時に色々な物を関係づけて流れるように物と出会うというのは空間の作り方として成立するのかっていうのは未知のゾーンなんです。 連作みたいにして各々の仕事とは別に、このスキームで続けていきたい。で、コンペを提出したりしているんです。 佐藤:他者に対し無条件に信頼を持つて仕事をする態度には疑問があります。そのことが仕事の切れの悪さにつながっているんだろうと思います 山川:どっちにも振り切れないことは、更新続けることでフォローしようかと思っているんですよ。 佐藤:ロマンチックな計画を実現したんで事件が起きる可能性も抱えているますよ、事件が起きた方が態度を明確にしやすいとも思います。他者は危険であることを確認することも設計者としては大切な態度だと思います。二枚舌で対応するっていう態度はあると思うんだけど、ロマンチックな対応は解になるかどうかな 山川:猫の彫刻が壊されて球体に置き換えたっていうのは、そのフェーズだった気がします。これはある意味デザイナーの甘えですけれども、お客さんが猫がいい、言ったのを鵜呑みにして乗っかってみたという。 佐藤:壊す者がこの場で壊してすっきりしたのか、破壊者を深層を受け止める場ではないんだとの表明ですね。私有地なので不法侵入で逮捕してもいい場所なんだけど、他者に開きたいと。開く限りにおいては何もかも引き受け解決する義務があるように思うんだけど 山川:デザインの概念としては境界は無くす方向なんだけど実際には私有地の境界はあるという話ですよね。 佐藤:良かれと思った私有地解放が他者の害的侵入行為一度で、発注者の思いの全ての可能性の芽を摘んでしまうことにもなる。熟慮と長期の観察と。寛容さを持続できるかどうかで、今回のデザインの未来が開かれるんだと思います。事件が起こることで逆噴射的態度に固まり継続する可能性も高い、自分の提案を妄信しないことが肝要かな 山川:緩やかな構えを一月とかの施工期間にかなり託していた部分はあるですね。建物本体が出来てから施工しているので、仮囲いが無い状態、常時見えている状態で作りづけていたんです。そこで、何かが立ち上がっていく予感を見せる。多少パフォーマンスの意味合いがあったんですよ。そこに託しし過ぎるのは、投げすぎかもしれないですね。 何かを立ち上げるということは、固定することなんですけど、そこを固定ではないとする、ような作り方があってもいい話してて思いました 佐藤:昔からある神社の境内の共有のしかたが参考になるかもしれない、境内で悪さをしても神様に見通されているという暗示を掛けてしまう手法は有効だ。私有地を解放して気持ちよくなるためには、その手法とか何かを模索する必要があるんだろうね。 山川:その話は年の近い建築家とよく出る議論で、植物はそういう時にいいよね、って話になりがちなのは植物が綺麗にあるとことはそれを誰かが手入れしてるっていう。手入れする主体がいることを暗に示せるから、それぐらいの距離感のコミュニケーションをとれるのはいいよねー、そういう話にはなるんです。とは言えそれを踏んずける人は踏むし。 佐藤:一端、逆に考え直してみてはどうかな、なぜ道路に越境する快適なデザイン思想をもった行為が派生しないのか。両方向から問う姿勢が要ると思う 山川:これは、お施主さんのロジックが切実さの最大化だったんです。逆に言うと乗り上げるって、乗り上げざるを得ない状況もある話だから。道路側にも別の切実さが存在していたということに、このプロジェクトは目を向けてはいないですね。 佐藤:他者は、いい人になるんだ教だね。宗教的信じ込みに近い構え方だと思う。人間の本質を観て知る態度から離れていってしまうんじゃないかなー。所有者の願望をリアルな場の状況とどう縫合させ効果的なデザインに仕立てるのか、それがプロなんじゃないかな。この世はみんな好い人の世界って気分は理解できるんだけど。失敗例として語られるようないように修正し続ける、練り込む態度が要ると思う。敷居をまたぐって言葉もあるので、敷居の概念も参考になりそうだし 山川:縁石を無いものと見なすのは無理があった、確かに縁石は敷居なんですよね、他者の空間に入るっていう明確な境界ですよね。 佐藤:この縁石が国境であるなら、不法入国者として国外追放になるのが近代の国民・国家の仕組みなんで。 山川:さっき話にあった襟を正す、礼節を一度確認して入って行くというワンステップはいいですよね。プライベート・ガーデンみたいなのは鋳物の門とかありますね。入るんですよと意識させて、だけど入るとは拒否していない。 佐藤:昼飯をくっって喋ってた新宿御苑にはゲードがあって200円払える人しか入れない、そんな快適なゲート内パークなんで。200円払えば木陰に隠れてみだらな行為をしてもとがめられないよ。単独でいい気持ちを作るよりは地域の人を巻き込んでワイワイしてから計画し作る方が地域の活きた場に変わっていた可能性もある。パブリックにプライベートを加えて快適な街に仕立てるためにはルールをみんなでつくり共有することも必要な気がする 山川:これをもう少し方法化する必要がありますね。たしかに制度とか仕組みとか今回は落ちてますね確かに。私有地であることにかまけた感がありますね。その時にブリッチできるのは町内会とか近所づきあいとかだったりするんですよね。これで始めた実験は人とか生ものではない仕掛けを介して成り立つのかを実験した例です 佐藤:このような実験をしてみたくなる時代背景があって、作ってしまう深層を推測はできるんだけど。応答は次回の聞き取りに課題として今日は終わりましょう 山川:はい 最後まで読んでいただきありがとうございます。独立系建築家になっていれば次回聞き取りは2022年を予定しています。5年間お待ちくださいませ。(文責:佐藤敏宏) |
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