2022/10/7〜8日 辻琢磨さんと1泊2日過ごし語る  @静岡県浜松市 作成:20230828佐藤敏宏

佐藤は1984年の秋から佐藤の自邸に建築家などを招き「建築あそび」(建築的公共圏活動)を開催していたが、家人の病が重くなったことを切掛けとし、2008年から他者の家を借り、語り合う、押しかけるなどして「出前的な建築あそび=ことば悦覧」を行い、そこで語られた主な内容を文字にしWEB記録を作成し公開しつづけている。
人生も終盤に入ったので2022年からは各地の聞き取り活動の〆を始めた。それらの〆活動中、辻さんの家(浜松市の浜北区)に1泊2日滞在させていただいた。長い記録になった「辻琢磨さんと1泊2日過ごし語る」は、辻さんへの聞き取りは佐藤の50年ほどの旅の報告のような語りで終始していが、肉声をままWEB頁記録に仕立てた。辻さんの多様な質問と一緒に辻さんの地域社会との関わりと、暮らしぶりの一端をお伝えできたら幸いである。

(辻さんとの出会い)
関西圏や東京圏からはずれ地方都市に暮らし、独自の建築家活動している私より若い建築家たちを、佐藤はほとんど知らない。唯一、辻琢磨さんとは出会い聞き取りもしたので少しだけ知っている。偶然、辻さんと知り合ったのは2008年1月だったと思う(不鮮明な記憶)。その場所は銀座のINAXギャラリーである。そこで行われた、東工大卒生である藤村龍至、伊庭野大輔、松島潤平、藤井亮介さんらが「建築あそび」をロールモデルとしたと語る「チーム・ラウンド・アバウト・ジャーナル」の活動を観察しに行ったときに出会った。辻琢磨さんも参加されていたことで知り合うことになった。銀座での活動の直後、藤村さんら4人は第一回活動の反省会を福島市で行った。場所は3・11で被災し解体されてしまった古い旅館であった。夜を徹して語り合った内容は裏方の詳細である、設計図でもあるかのような多種多様な語り合い記録となった。(当時の長い記録へ 上の写真は寝てしまった藤村をよそに、左から藤井、伊庭野、松島、佐藤が一晩中・・・語り合っている様子)

建築学会の若手活動も主導するなど、大都市圏の建築的活動にもアンテナを張り受信しフットワーク軽く行動する辻さん。やたらに長く変わったweb記録を見て彼の日常・暮らしぶりを理解いただければ幸いである。


01 「403作品巡り 」
02  奥様のシャアオフィス 
03 辻さんの家で(1) (2) (3) 
   (4 運動会の朝 辻家改修について) 
04 洪水の跡地めぐり〜保育園の運動会
2022年9月24日から10月7日まで奈良と大阪で聞き取り活動などを行った。1970年西宮市のゼネコンに就職したのでその場所を訪ね、大阪万博会場に行くなどし・・・(旅行記作成中)福島市への帰り道、10月7日11時13日浜松駅に降りた。雨降る日であった


01 403作品巡り
10月7日午後、辻さんの浜松市内のシェアオフィスに着く  (雨模様)

辻:行きませんか?
佐藤:今日の行動を粗く説明してくれますか?
辻:目標は3時に妻のアトリエです。午後は(403の活動で造った店舗などを)見て歩く。
佐藤:そんなにたくさん見て歩ける?
辻:徒歩圏なので5分ぐらいで周れるんです。一個ずつ5〜10分位かな。妻と合流して、1時間ぐらいかな・・・三河屋という場所に居て、妻のアトリエとか見て・・・。

佐藤:奥さんのシェア・アトリエ面白そうだね。
辻:で、アトリエを午後4時に出れば保育園に(迎え)合うので。
佐藤:あ、子供を迎えに行くわけね。
辻:そうそう。なんで、もう店舗を見に行ってもいいか。

佐藤:失くすと困るのでこのバックは背負って歩くよ。
辻:一回またここに戻ってきますから。
佐藤:PCとお金だけは持って歩くよ。

辻:鍵は一応閉めます。



・・・・見学する準備をしている佐藤・・・
佐藤:、音を採っているので歩きながらしゃべっていいから。待合いした駅傍の公営の場での語り合いから音を採ればよかったんだけど忘れてた・・・間抜けでぼんやりしていた。

辻:それは任せます。旅で疲れている?
佐藤:以前は順序を立てて聞いてたんだけど、最近は話があちこちにいく記録の方が面白いなと思って・・・歩きながら音録しょう。

辻:笑)任せます。
佐藤:w俺のeb記録は読む人は何か?分からないんだろうけど、俺は分る記録。読んでる人のために金を稼ぐための売り記録を作っているわけじゃないから。じゃー行こうか!
傘いらなさそうだね。導かれているね・・・今回の旅は・・俺めちゃめちゃ導かれていてさ・・・効率よすぎてタマランよ。なんでこんなに会うべき人に会うのだろうと。

辻:素晴らしい。

佐藤:そうね、川勝の奥さん芳木さんの展覧会は観に行けず。昨日の夜まで盛り上がり過ぎて時間がなくなってしまった。

絵:川勝真一さんと奥さまと
2022年17月19日ゲリラに襲われびしょ濡れとなる



辻:高島屋だったかな。
佐藤:大阪の高島屋かな。原田裕馬さんの事務所に行って、適塾見学して。
辻:適塾?
佐藤:緒方洪庵の私塾で使っていた古建築が淀屋橋傍にあり公開されている。明治維新直前、全国から有志が集まって医学など学んでいた。今の大阪アーキフォーラムと適塾はなにが違うのか?見て体験して考えてみた。

辻:アーキフォーラム。
佐藤:川勝真一さんと仲間たち4人で再開したアーキフォーラム。渡辺豊和さんの豊和塾には1990年代に時々参加していたので、大阪の建築的・私塾には興味がずっとある。俺が勘違いしているかもしれないんだけど・・・・豊和塾からアーキフォーラムへどういう意思伝達がされ、私塾的な場が運営されているのか?大阪市内における20年ほどの建築的公共圏の衰滅を知ろうとしているの。(長年世話をしていた今井敬子さんの語り

ここの店内は写真撮っていい?



淀屋橋駅傍の適塾。緒方洪庵の自邸と書生たちの生活を緩くつなぐよき中庭
403仲間と造った店舗をまわる

 (01共同物販店)

辻:いいです。お邪魔します、ちょっとゲストを連れてきました。
佐藤:初めまして。佐藤ですけど。

 ・・・店内のBGMが激しい・・・

オーナー:空気を入れ替えている。
辻:Uさんです。
佐藤:初めまして佐藤です。名刺もってないんです。全国の独立した若い建築家の話を聞いて肉声を記録しているんです。ただそれだけの人です。

 大笑いしている

オーナー:ただそれだけ!(笑)出版するとか?
佐藤:ただそれだけです。
辻:自分のWEBsサイトに上げ続けている。
佐藤:20年ぐらいの記録があります。
:聞き取りしまくっている。
オーナー:へーえ〜。
佐藤:なんの役にも立たないんですけど、本をだす目的を持ってないんです。

オーナー:社会学者のような?
辻:元々建築をやっていたんですよね。
佐藤:20年ぐらい前までは(建築設計を)やっていたんです。今世紀に入ってから建築は終わりと。

オーナー:今世紀に入って終わり!

 会場笑い

佐藤:21世紀はコミュニケーションとか対話とか建築あそびを他人の家で開いちゃうとか(笑)

オーナー:21世紀の建築家にお前らなにやってんだと(笑)

佐藤:・・・21世紀的建築家に、ちらほら会っています。
辻:・・・・げらげら笑っている・・・
佐藤:20世紀的建築家は一杯いるんですけどね。その人たちは死ぬしかねーなと・・・あ、俺が早く死ぬね・・・。
  会場笑う・・・
佐藤:この下には何か入っているの?
:ストック材で。
佐藤:これは、シェア店舗なので家成さん事務所や「千鳥文化」と借りり方の構造は似ているね。
辻:ちょっと似てるかも。
佐藤:こんなに分厚い
辻:これを立てて。
佐藤:これは辻さんのコンセプトなんでしょう?
辻:僕だけじゃなくって、403を3人でやっていて、一番最初に造った。

佐藤:どうして木材がっちり組んでるの、材料はどこからかもらってきたとか。
辻:普通に買ってきて。
佐藤:お客さんいるから喋っていると迷惑だね。写真撮っていいですか?
オーナー:はい、どうぞ。

佐藤:なるべく、顔は写らないように撮ります。

25店舗ほど入店中
店舗賃貸料は木口一つ100円の家賃+基本料金

辻:この什器一本が100円で貸し出すという。これは10本なので千円の家賃なんです。
佐藤:柱材の木口がお店になっているのね。
辻:高さが変わると違う家賃。これはうちが出している。400円で全員携帯電話と一緒で基本使用料があって、それが3000円で。うちは400円の家賃で3400円。

佐藤:千鳥文化は人が住んだり事務所になっていたりしたけど、ここは木口状のお店だけね。
辻:そうですね店舗です。これは地元のカーテンメーカー。

佐藤:全部で何人で店をシェアしているんですか?
オーナー:今は25店舗ぐらいです。
辻:ここのフライヤーは町中の。

佐藤:それを置くのは無料なの?
辻:これはフライヤーなので無料です。
佐藤:気になる人はここにチラシやフライヤーを置いていくんだと。なるほど。いいですね。このスペースでワークショップもする?

オーナー:そうですね。
佐藤:お茶を飲んだりはしないの?なるほど。
辻:これを洋服のオーダーとかの受注会とかやったり。
佐藤:これらは手づくりの洋服。
辻:そうですね、メーカーの人が出店。

佐藤:財布買おうかな・・。
辻:革細工の作家ですね。
佐藤:地元の人だけの出店ではないの?
辻:色々、東京の方もいるし、これは愛知。豊川。金属加工している工場でつくてるアイスのスプーンです。これは地元のプロダクトデザイナーと工場がコラボレーションしています。

佐藤:店の数、けっこうあるね。

辻:これは出店者が気を利かせてデザインしてくれた。

佐藤:これはセルフビルドだから家賃は発生しないの?
辻:領空だけこういうに使えるんです。高さ制限は無いんです。















佐藤:天上から吊っている人いるんじゃない?
辻:これは吊ってますよ。

 店は客でにぎわっている。

佐藤:なるほど面白い。地方都市ならではの発想だね。
:町中で物販店はなかなか成立しないので。

佐藤:これは愛知県の人だ。
辻:これは作家さんですね。買い付けの人がいろんなアーティスト、や作家の作品を集めて来て売っているという店です。

佐藤:なるほど、商売の邪魔になるから行きましょう。

辻:はい。

佐藤:どうもありがとうございました!

オーナー:はーい。

・・・・辻・佐藤、道路に出る・・・

佐藤:どうもありがとうございました。
オーナー:福島からいらっしゃったんですか?
佐藤:今日は大阪から来ました。福島に住んでいて、大阪の帰り道に辻さんの浜松に寄りました。

 がやがやワイワイ

佐藤:ここは何年になるんですか?
オーナー:7・・?年かな。

佐藤・辻 ありがとうございました。

・・・救急車が走り抜ける(サイレンの音で聞き取れない)・・・・

:これは違って、浜松出身のAさんという写真家がいるんですけど、東京で活動しているAさんがオーナーの本屋さんです。



お店 2 へ


佐藤:繁昌していて可愛いしいいね。なかなか面白い。女性に人気だね。
:そうです。ここは外観でいいかな。中もはいれますけど。

佐藤:これは?
:ここは古着屋さんで。
佐藤:写真撮るから断らないと・・。

辻:こんにちは。ご無沙汰しています。
佐藤:辻さんの仕事を見にきました。

男性オーナー:凄い久しぶりですね。

辻笑う
佐藤:初めまして佐藤です。
オーナー:はい。
佐藤:辻さんの仕事を福島から見にきたので写真撮らせていただけますか?

オーナー:分かりました、どうぞ、どうぞ。
辻:ありがとうございます。

佐藤:撮っちゃいけない処を教えてください。
オーナー:全然大丈夫です。
佐藤:ありがとうございます。

 店のBGMがなっている。

佐藤:仕事場と会計場・レジが一緒になっている。

オーナー:そうですね。
佐藤:どこから出るんですか?
オーナー:
佐藤:ここに出入り口があるのね。レジ周りが部屋になっているんだ。
辻:もうちょっとリメークしたい、レジスペースと・・

佐藤:古着と聞いたけど、新しいね。

辻:古着と新品もあって。
佐藤:鏡だとわからなかった、もう一つ同じ部屋があると錯覚した(笑)工事現場の靴下いいね。これから寒くなるからちょうどいい。靴下でいつも思うんですけど入り口のゴムがきつくって、ゴムが入ってない靴下だったら欲しいと。
オーナー:そういうのだと、けっこうゆるゆるに・・・なっちゃうので、これはほどよくなっています。日本製の靴下なので。

佐藤:爺になったから足首締め付けられるとイライラするんですよ

オーナーと辻 笑う

佐藤;身体全体の血の巡りが悪くなっているんだと思います。ちょうどいい足首の緩さを探し当てるのは難しいんですよ。日本製はゆるゆる靴下でも大丈夫だと。内装を身に来たんだった。使い易いですか?

オーナー:あまりこなれない造りなので、
佐藤:居酒屋はこういう感じ・・・ですよね。

オーナー笑う
























辻:居酒屋のおやじ 初めて聞きました
佐藤:大きなしゃもじにいろいろ載せてお客さんに出すそういうカウンターありますよね。カウンター付けると夜は居酒屋に変身してしまう。
オーナー:新しい店ですね。

辻:
佐藤:居酒屋で洋服も売ってしまう。
オーナー:撲はいない方がいいですか?
佐藤:おってもらったほうがいいです。お店初めてもう何年になりますか?

オーナー:7年です。
辻:もう7年か・・。
佐藤:ばっちりですね!
オーナー:次はもうちょっとデカイ所で店やりたいですね。
辻:手狭になってきた感じですか?
オーナー:そうですね。

佐藤:町なかから少し離れているけどお客さんは来ますか?
オーナー:町から離れていると感じたことが無いくらい人が来ますね。

佐藤:初めて来たので街はずれかなと感じたもんですから・・。
辻:少し向こうが繁華街。
佐藤:個性的な店なので買いに来ちゃう・・・と。

オーナー:そうですね。

佐藤:ふらっと入る人は少ないですか?・・・・ありがとうございました。
:また来ます。
佐藤:扉も凄いね
:これも特注で造りました。
佐藤:これ硝子ですか
:硝子ですよ。お邪魔しました。

佐藤:どうもありがとう、ございました。



■ 3軒目の店舗へ



:もともとはここがシャッターラインだったんですよ。
佐藤:シャッター入ってるの?
辻:取ったんです。
佐藤:でも問題ないと。 上にもあるの?

・・・・上っている辻・・・・

佐藤:店舗の名前が並んでいるけどこれもデザインしたの?
:これもやりました。
佐藤:紙をはたのかな、シルクスクリーンで刷ったのかな。

:カッティングシートを貼ってます。
佐藤:剥がれちゃう?

・・・・階段を上る音・・・

:ここは関係してないです。

佐藤:←とかデザイン統一されているね。
辻:これは別のプロが。

佐藤:
共同店舗かな?

辻:共同建築です。
佐藤:複合ビル。 こんにちは辻さんの仕事を見にきました。写真撮っていいですか。
男性:どうぞ、どうぞ。

佐藤:作品写ってだいじょうぶですか?
男性:作品大丈夫ですよ。
:ここは陶器屋さんです。今は一人の作家の個展会場になっています。


佐藤:丸いのは大砲の玉?
:同じ人の。
オーナー:大砲の玉みたいなのが陶器でできています。

佐藤:本で知ったけど昔、海賊たちが陶器の玉を使ったと、火薬入れて。

:メインで窓際の什器を。今日は雨ですけれど、自然光で。この裏から入ってきます。

佐藤:一度開けて。そうか・・・こういう感じになっているのね。光が入っくるから作品と棚が浮いているように見えちゃうね。
:ここと、天井もライトシェールで。

佐藤:外観は一つの窓なんですね。
辻:そうです。
佐藤:シンプル、ローコストで光を演出している。
:そんな感じかな。

佐藤:床は?剥がした跡。
辻:剥がしてシーラー塗り。
佐藤:陶器を扱うからそのほうがいいと。剥がしただけ仕上げ。
辻:これはよくあります。

佐藤:ありがとうございました。

・・オーナーと話あっている辻・・・・
オーナー:これは兵庫県の作家なんです。
佐藤:古備前とかの系統ですか
オーナー:備前で焼き締めを御焼きといって縄文土器とかですよね。畑に置いて。
佐藤:柔らかいんですね。
オーナー:柔らかいですね。
佐藤:東北に置くと水で凍みると割れたりするんだ。
オーナー:そこまでならないかもしれないです。ただ水入れると滲みますね。鑑賞用みたな感じですかね。




佐藤
:いい色合いだね。何回も焼いているわけではないですよね。
オーナー:一回ですね。だいたい8,9時間ぐらい焼き続けて。これは珍しくって・・漆器というってこのシリーズは土に漆を塗って焼いているシリーズです。安土桃山時代に一瞬流行ったんですけど、江戸時代までやっていなくって。2010年代になってから現代作家さんがやり始めて。その後美術館の陶芸、資料だけ集めている。やる人はあまりいなくって。

佐藤;古く見えるけど現代作家の作品なんですね。

オーナー:そうなんですよ。なので、これとかは逆に漆を塗って、滲みないようにしている。これは花器でもいいんですけど、徳利でもいい。

佐藤:これで日本酒地酒を呑むと、辻さんこれでビールどうですか?

辻:ふふふふ。
オーナー:これは実際にコーヒー屋さんがケミックスみたいなので買ってくれます。
辻:コーヒーね。

佐藤:内部の掃除ができないか?
オーナー:掃除できないです。
佐藤:これで冷やした日本酒呑んだらいい感じ。
オーナー:そうですね
佐藤:古代の夢を見ていい発想が浮かんでしまうね。

オーナー:人の家に行っていきなり、それが出てきたらびっくりしますね。
佐藤:そうだね。

オーナー:これらは30万円代で、人が全く来なくなった。
辻:

オーナー:漆器の時と違って1/10とかになる。

佐藤:これにお金入れて置くと・・・いいよ。
オーナー:ドンドン増えてきますよ
 会場笑う

辻:登山系のやつが。
オーナ:これ椅子です
辻:座れますか?
オーナー:座れますよ。お子さんからジーチャン、おばあちゃんまで座ってくれます。

佐藤:陶器の椅子は初めてみた。
オーナー:中は空洞なんです。
辻:割れないですか?
オーナー:割れないです
辻:へー 厚い。
オーナー;厚く作ってて、これよりもう一回り大きくしようとすると。
重たい!
佐藤:これは制作が大変だ。中空洞なんですよね、焼くときによく潰れないですよね。これは刺身と盛る?
オーナー:ですね、そのまま立てかけて陶板じゃないですけれど、重たいので掛けれなくって、どっちかというと埋めたい。外でもいいですよね。

辻:確かにかっこいい。
オーナー:そうですね。こういうものそうです。住職さんが買ったんですけど、外で風合い変わって価値が変わるわけじゃない。

佐藤:買うの?
辻:買えるようになりたい。
オーナー:お待ちしております

 会場笑い

佐藤:どうもありがとうございました。
オーナー:とんでもないです。
佐藤:この店のチラシはないんですか。
オーナー:ちょうど無いんです

佐藤:分かりました。どうもありがとう、ございまいした。
辻:お邪魔しました。  こっちからくだりましょう。






















■ 4軒目のお店 美容院

佐藤:複合ビルだから2か所階段あるんだね。
:あとは・・・終わり。

佐藤:最初に頼まれたのは?
:美容師さんが一番最初です。
佐藤:今見たものは403の人たちと一緒に仕事した?

辻:そうです。町中の方はぜんぶ403。

・・・雨の中車が行き交う・・・

佐藤:駆け出しの仕事で美容院に関わる人多いよね。数が多いからだと思うけど。
:今から行く所の美容師さんは美容師と友達みたいな、恩人、兄貴みたいなものです。一番最初にいろいろ面倒見てくれたんで。

佐藤:それはいい人に会ったね。町の顔役ですか?
辻:ネットワークはすごいたくさんあって。
佐藤:町内会の会長さん?
辻:そういうタイプの人ではないです。独自に活動している。

・・・・人とすれ違う・・・

佐藤:こんにちは。福島から辻さんの仕事を見に来ました。写真撮っていいですか?
辻:いま、お客さんです。
佐藤:お客さんですか、失礼しまいした。 ビルの中に店一つ造った。元々壁はあった。

辻:こんにちは 

 犬がいきなり吠える。ワンワン・・

佐藤:尻尾ふっているから大丈夫。福島から辻さんの仕事を見にきたんですけど。
オーナー:ご苦労さんです。
佐藤:写真撮っていいでしょうか?
オーナー:どうぞ。
佐藤:ありがとうございます。
















辻:ここは11年ぐらい前に、この小屋を。
佐藤:これはなに?
辻:用途的には・・
佐藤:厨房もあるね。ここでお茶などをつくって振舞う。

辻:そうですね。
佐藤:これも作った?
辻:それはセルフビルドです。屋上にあった小屋みたいなのを廃材して転用したんです。

佐藤:犬は尻尾振って喜んでいるんだ。人好きな犬だね。これがそうなの?

辻:これはエンという。

佐藤:あとでお店の名前を教えてもらう方がいいかな。お客さんの顔が写らないようにと。外から撮ろう。煉瓦積もそうですか。

辻:これはオーナー(林)さんが。
佐藤:よし、OK。行こう。どうもありがとうございました。仕事中だから喋ると迷惑になるから行きましょう。

・・・・ 辻さんはオーナーとお喋りしている・・・

辻:ありがとうございました。



■5店舗目 洋服屋さん

佐藤:ここは管理してないんでしょう?
辻:ここは林さんの場所みたいなものです。ここは僕は絡んでないですけど帽子屋です。ここが洋服屋さんです。おじゃまします?

女性:こんにちは。
佐藤:福島から辻さんの仕事を見にきました。
女性:そうなんですね。
佐藤:写真撮らせてもらっていいですか?
女性:是非。
佐藤:ありがとうございます。もう何年になるんですか?

辻:15年か?
女性:いや、もっと。14年とかではないです、10年だから2年ぐらいはあっちでやっていたので。
辻:13年?
女性:10周年。

辻:まる10周年!
女性:まる10周年。

佐藤:おめでとうございます。まる10周年。

 辻さんオーナーと話している・・

女性:今年で10年目です。
辻:嘘だよ?
女性:本当、本当、だから10周年でやってるんです。間違えてないよ!

辻:2011年の冬、2012年?
女性:5月から始まったの!(笑)

辻:なるほど。
女性:そうそう。
辻:それはおめでとうございます!
女性:歓喜の声をあげ笑う・・・・。坊主。坊主にした方がいいと言われた?

辻:いや、その日に。

女性:息子にそっくりになって。(笑)可愛いよね。

佐藤:行こうか?どうもありがとうございました。

辻:一応これが僕らのやったことで、他のところはお任せして。もともと荷物の場所を作って欲しいと、水平連続もあって、あんまり壁を入れたくないと。上に持ち上げてこういう什器で。

佐藤:天井の色がいろいろ変わるんでしょう。
辻:うん。
佐藤:棚が動かないだけでね。

女性:これがテーマ。ハンガー。これが付けられるのにしてほしい。

辻:30角なので
佐藤:このハンガーは特殊なんですか?
女性:特殊ではございません。木のやつはちょっと高いやつです。























佐藤:お洒落な洋服一杯あるね。
女性:よく買いに来てくれます。

 わいわいがやがや

佐藤:俺は貧乏だから娘の御下がりを着ているんだよ。
女性:そうね。
辻:
佐藤:今着ているのは女性ものだよ。俺は肩幅が小さいから女性のものでも着れるちゃう。
女性:辻君もそうですね(笑

佐藤:女モノの方が種類が豊富で安いんです
辻:そうですね。

佐藤:夏のシャツとか女物は品数が多いよ。
女性:肩幅合うとね。
佐藤:種類が豊富でカラフルなんですよね。

辻:これは8年前に

佐藤:こういう鏡も珍しいね。
女性:メキシコのやつです。
佐藤:清水久和さん制作の鏡。日本史の顔型鏡シリーズ知ってますか?
:知らない。オリーブのリーゼントの人ですか?

佐藤:そうです。その前に日本史で有名な人の顔型の鏡がある。

辻:じゃ行きますか。
佐藤:ありがとうございました。

女性:こちらこそ!ありがとうございます。


■ 設計料あれこれ 

辻:もう一件
佐藤:近い場所で次々と仕事していたんだね。これはセルフビルドではなくって、設計料込で請負った仕事ですか。

:これは大工さんです。設計料幾らぐらいだったかな?
佐藤:2割りじゃないの、聞くとそう言う人多いよ。

:そういう概念じゃないんです。総工費のパーセンテージでもらったことは無い。今は坪単価です。

佐藤:設計料は坪幾らでと・・。
辻:はい。そういう処に落ち着いたというか。

 雨の中車が行き交っている音・・・・

佐藤:店主はいろんな人がいるね。皆さん移って来た人たちですか。
辻:地元の人もいます、ずっと町中に住んだり家があったり。浜松は人が多いから。郊外に家があって。

佐藤:年齢はみな似た層だね。
辻:そうですね。3,40代。
佐藤:同世代というか、ちょっと上ぐらいかな。
辻:お兄ちゃんぐらい。

  街路を歩いている

佐藤:駅はどっち側ですか? 雨なのでどこを歩いているか分からない。
辻:今は西に向かっています。これ1号線です

佐藤:東海道ですか、ここを歩いていくと日本橋まで行くんだね。お洒落な洋服とか髪の毛の美容とか女性は一所懸命投資するから何処でも商売になるよな・・・(大橋力さん奥さまは篠山に美容院開店)顔に塗ったりするモノは高価だけどケチる女性は少ない。自分の顔に投資し続けるね。

辻:化粧品はコロナで下がったんじゃないですか。下がったと思います。
佐藤:出歩かない人に会わないので、素っぴん!で暮らしているのかな?
辻:どっちにしてもマスクだし。

佐藤;化粧しないでマスクすると。我が家は娘も妻も化粧しない、俺は自刈。で美容関係のことは無知だ。化粧しない家族。夫婦して自刈(笑)友達の髪の毛も刈ったり(笑)

辻:奥さんも。
佐藤:そう。昔は俺がカットしたこともあるし、若い時分は全部妻のカット。床屋に行くのはすくなかった。
辻:へえー。
佐藤:最近は毛も少なくなったので、バリカンで自刈と自剃り、適当に髪の毛処置している。
辻:商売で関係が繋がっていることもあって髪切ってもらって仕事の話。

佐藤:営業にはいいね。人の繋がりで仕事が来るならね。俺は自狩りとか家族の御下がりを着ちゃったりすると、他者との交流が減って自閉的になるよね。

辻:そうそう。仕事の切掛けにはいい、洋服も買いに行けるし。

佐藤:若い時に経験した床屋談議が大嫌いで、結婚後はずっと妻が美容師でした。
辻:床屋談議の中身は人によるんじゃないですか。林さんは僕は友達なので・・
佐藤:そういう関係で髪切りはいいよね。美容師の友達いない、というか福島で友たちいない。呑み友達は若くして死んじゃう奴ばかりだったよ。浜松の方が福島市よりいろんなことが起きそうだね。福島市は公務員の町だ。県庁、市役所、各行政の出先機関と学校。浜松は県庁所在地じゃないから役人根性をもたず自由が多いような気がする。東京もそうだよね、首都なので天辺目指す奴が目立つ町だ。建築家も天辺目指すトークするスタイルが多い。

辻:笑
佐藤
:なんか気張る傾向にある町。
辻:天辺なんだろうか?

佐藤:何か?それぞれだろうけど、金と権力の幻想を持って大都会に田舎から集い生きている。天辺幻想。大阪はぶっちゃけた町だと感じる。天辺あからさまに語る人は少ないよ会わないだけかな。大阪へ関東から移住した野郎には天辺傾向強いようだけど、大阪は自由と実力が評価される町なので、好き勝手に生きている人が多いと感じている。
大阪は京都奈良が玄関掃除番というか経済と歴史は分厚い、東京のような開拓地じゃない。京都という大きな政治の町が在り続けたから大阪はいいすよ。商人の町だから儲かることは何でもする。新しいことも直ぐやるし。人間らしい町だ。

浜松市には湊はないんですか?

辻:浜名湖はあるけど大きな港はない。
佐藤:浜松市史を調べてないけど、物流の拠点にはならなかったのかな?大阪は瀬戸内海の海賊達の目指す場所だ。

辻:陸と天竜川ですね
佐藤:
天竜川を材木筏で運んだのかな?


養護施設のような場所に来る

辻:これはハンドルを付けてグルグル回すと。
佐藤:何かを持ち上げる?それだけの仕掛け?

:そうですね。ここの奥が変わったシステムで、労働と福祉を足して二で割ったような。この玄関に何か作って欲しいと言われて。

佐藤:飾っている品々はアールブリット?
辻:それに近いような。
佐藤:固定してあるんだね。手づくり?
辻:これ職人さん入ってます。

佐藤:機能はなに?可動棚?
辻:何だろう?架台。

佐藤:下に堕ちてきたらあぶねぇじゃん。
:一応、安全装置があります。不思議なものです。

佐藤
:知的障害者の方が働いているんでしょう?
辻:知的も身体も両方いらつしゃいます。この辺まで下がるのでベンチになったりとか。今はテーブルの高さです。穴が開けてあるので、看板付けたり、すだれをはめて西日を防いだりできます。なにが起こるか分からないので何でも使えるように、こういうものを作りました。

佐藤:
普通の人も入り易いといいけどね。
辻:そこをガシャとやれば誰でも入れます。
佐藤:そういわれても、入りにくい構造をもっているよ。よしOK。

辻:
はい。

佐藤:これは仕掛けね。「ビート神社」ね、上がったっきりで降りてこなかったそうです。
:大笑いしている。
佐藤:家成さんが言っていた。
辻:めちゃめちゃ呆けている。
佐藤:俺をからかったのかもしれないけど真相は分からない。家成さんはアーティストの黒子役なので辻さんとは違う立ち位置にいる。

・・・・雨が強くなっている・・・・

辻:今日お見せできる403での制作はこのぐらいかな。いちおうプロジェクト的にはもう5箇所ぐらい見せれるんですけど。

佐藤:よい時間配分でいいですよ。
辻:徒歩圏に403のものは15か所ぐらいです。
佐藤:15!けっこうあるんだね。この辺りの人は知っているかな、人が多すぎるから知らないか?
辻:知らないですね。

佐藤:店舗の設計だれがしたか、買いに来る客は気にしてないからな。
辻:そうです。
佐藤:町中の建物だった誰が設計したか知らないし、設計者に興味ないし。

辻:これはちょっと面白い断面図が見いえる。
佐藤:こっちへ倒れてこないの?危ないね。
辻:できた建物を解体したんですけど、ここだけ町の土地らしくって解体できなかった。

浜松市の町をぶらぶら

佐藤:地震きたら倒れないのかな、あ、これについているのね。
辻さんたちは昭和臭がないね。

辻:昭和生まれですけど。
佐藤:店舗内装、昭和っぽくない。多くの店は昭和感たっぷりの田舎もあるよ。この駐車場は昭和感満載だ。



辻:これ!笑 今は令和ですからね。(笑

佐藤:令和だけど平成のこと忘れているよ。
辻:平成がなんだったかよくわからないですね。
佐藤:平成は沈んで行く社会だった。


辻:失われた30年とはよく言われている。
佐藤:高度成長成功話と既得権益にすがり続けて・・沈没し続けた日本社会だった。おれは狂気の対応の30年だったけど(笑)日本の政治はこの10年狂っているので我が家は先行していたね。高度成長期の後どう政策を展開したいいのか分からない二代目政治家だらけになってしまった、創業者の方が筋あるのでよかったんだけど。

辻:そうですね。今も。
佐藤:今も旧・統一教会に乗取っられてようだし、世襲政治家たちの状況は酷い。高度成長し成熟期どうしたらいいのか分からないで何でも続けている。バルブ経済の時に感じたけど、日本人は「お金の使い方知らない」とね。で金持ちには成れないしお金の使い方が下手くそだ。だから豊かな生活を手に入れることはできない、互いに首を絞め合うのが好きなんだろうね。で、会社にだけお金を貯めてしまった。あくせく働くのだけが得意、貧乏根性まるだし。

辻:そうですね。

佐藤:もっと貧乏になるとみんな元気出て来るかもね。
辻:たしかに行く所まで行ったほうがいいのかもしれない。豊かさっていうのは下手くそですね。豊かに暮らすっていうのはなかなかみんなできないですよね。

佐藤:多くの人はできないね、豊ってなんだかわかってないんだもの。資本主義は人間じゃないから、お金集めても人は豊かにならないよ。
辻:時間がたくさんあるっていうことですかね。
佐藤:全部自分の時間で自由に行動し思考できるということでしょうね。会社に勤めると自分の時間と交換して賃金が払われるが自由な時間はその分、消えてしまう。

佐藤:自由で自分の時間が一杯あって、好きな事してないで亡くなってしまう人が多い。遊んでいないと色々なものと次が生れてこないよ。大阪のように経済は東京になったけど、自由に活動する精神はまだあり守っている。そういう暮らしを選択し、建築事務所を選ぶ若者はまだいるね。大阪の地域とそこに暮らす家族が豊だという証だけど。

この和服屋さんは昭和だよ。帽子屋さんも。帽子買おうかな・・。

辻:ここの帽子はけっこういいです。
佐藤:帽子を買うのも・・・難しいよ。通気性がよくないと頭のてっぺんが蒸れるし。あ、このビルはいったよね。

辻:そうです、あそこが洋服屋さんで、あそこ3階が器屋さん。

■店舗づくり辛くなかったですか?


佐藤
:外観の写真を撮っておこう。外から見ると内部の活動が分からないね。車にひかれちゃうよ。これらの仕事をするのは辛かったんじゃないの、そうでもなかった?楽しかったですか?なんだよ、俺の人生、店づくりかよ・・などと思わなかったの?

:ぜんぜん思わなかった。

佐藤:楽しかった?
辻:楽しいですね。さっきの美容室のところも、これも共同建築というビルディングタイプで土地の所有者が別々なんだけど、まとめて戦争で焼けた後に防火帯建築を造るという。だから権利者がいくつか居て、一成同意取れずに解体できないから残っちゃっているところに若い人が入って不動産価値的には無いんだけど、壊せないから残っていて、そこにいい感じの商業者が入ったときに内装をお願いされるというパターンが、結果的に多かったですね。

佐藤:外観は昭和そのものだね。福島市にも同じような防火帯建築残っているよ。辻さんは今、なん才だっけ。

辻:36。藤村さんとかがちょうど10才上。
佐藤:藤村さんは47才か!あいつらも年取ったな・・。

 ・・事務所に戻る・・・

佐藤:この事務所には普段どのぐらい居るの?あまり居ない。
辻:今は週一ぐらいかな。
佐藤:ここで図面は描いてないんでしょう。
辻:ここでは描いてない、家で。最近はあまり図面描けてないです。


 男友達が通りかかる、「よー」・・・話し合っている辻さん・・・・・大声で何度も笑う

 奥様のシェアオフィス へ続く