HOME 文責・作成・佐藤敏宏 | 佐藤敏宏の京都ことば悦覧録 2017年1月27日から2月2日 |
ことば悦覧録 |
伊藤立平さんに聞く 2017年2月01日京都市内にて その1 その2 その3 その4 その5 その6 その7 |
その5 伊藤:町中に作るときに、アイコンとして、住宅というアイコンではない方がいいのではないかと。 佐藤:木材が単に積んであるような全体像 木材の間からちらちら人が行き来しているのが見えると 伊藤:その風景って昔町中に在った製材所って木が立てかけてあって。ひたすら木が外壁に並んでますよね。それに近い状況の方が生業としている物がそのまま町に見えてるていう状態を作りたかったので。それは木がそのまま見えてればいいと。 SDレビューの公開プレゼンの時には曽我部さんとかから、「実際にそこで乾かして、製材所の仕組みの一部として、やった方がいいんじゃないか」というのもあったんです。そこまでは実現できてないんですけど。 実際に乾燥させてそれをバラシて売ると、さすがにそれはそこまで行けないので。 とりあえず工法を開発したというところと。 製材所が元々長門の駅前に在ったんですよ。駅前は繁華街で人がすれ違えないぐらい人出が多かったが今はほとんど歩いてない。実家はまだ駅前の繁華街通りにあるんですけど。 チップ工場は山奥に移動した訳なですよ。町からは完全に切れて、山奥の方が山に近いし、広い場所も在るし、製材もできて。僕が思うには大量の物を捌いて加工して売るっていう、そこで上手くモデルを作ってたと思うんです。 工場のスタイルが変わっているですけど、それをもう一回町中に戻すっていうことを考えなきゃいけない時代じゃないかなーと思ってまして。その一つの事例になればなーというふうに 佐藤:下請け任せの今なので、昔だったら材木を並べておけば買いに来る人いただろうけど、材料買いに来る人いないでしょう 伊藤:居ないです。しかもホームセンターがひしめき合っている所なんですよ。そこで製材所やっている、DIYブームだが製材所の人が住んでいると知りながら、ホームセンターに買いに行くんです。 家を買うとしてもメーカーに頼むしか選択肢無いし。 製品一歩手前の木みたいな。建築家とかモノづくりする人から見れば魅力的な材料が一杯あるんです。それを面白いと思ってくれる人もいるし。専門の人が近くに居ると相談できるじゃないですか。「うちの梁が傷んだんだけどどうにかなんないか」 「いい材料ないか」「地元の安いいい材料ないかな」みたいなことを聞いてくれれば、ホームセンターみたいな価格一律の外材じゃなくって そう思ってくれる方が居れば使ってもらえるんじゃないか。 佐藤:ハウスメーカーに全部お任せでもなく、DIYもちょっとレベルアップして家具などつくってみようかという人向けで そこに来ると木材が全部見え相談もできるんだよと 伊藤:見える化ですね。物理的に近くに在ることが町をつくるんじゃないかなーと。 佐藤:3物件が並行に動いてたんだね 伊藤:そうですねー 佐藤:今回の聞き取りで京都で会った人は外人投資家が手に入れた町家改修で大忙しだったけど。伊藤さんの場合は放射能ふったり さびれた町や、田舎の農家を再生する仕事してますね、手を差し伸べてもどうにもならないかもしれない状況に出向いて格闘しているんだね 伊藤:あともう一個。今日の話は僕はたぶんかなり整理したんです。 もう一個の話は奈良の生駒の裏に 平群町(へぐり)っていう奈良盆地の手前ぐらいの谷間みたいな所。そこに法隆寺の裏っかわぐらい。 地元の方で大阪市内で仕事されていたんですけど地元に戻って商店を。 お母さんが商店をやられてたんですが、駅前の区画整理があって。場所を動かかなきゃいけなくなった。その商店を自分が継いで駅前で、商売しながら住むみたいと。それも職住一体型なんですけども。 景色のいい旧道があるわけですよ。その反対側にバイパスが出来て、ロードサイドになってるわけですよ。駅前をもうちょっと町づくりとして再生しようと言う行政の動きもあって。建築でもなんとか協力できないかと。配置を考えて。駐車場で貸していたんですが、広場側にびっちり占有するように建物を建てて、そこに住宅とかお店を並べて鞄の工房と駄菓子屋という商店で人が居れるような場所も併設しているんです。びっちり通り沿い並べて計画しようという話で設計をやった。 佐藤:事業計画もやっているんですか 伊藤:まったくやってないです 佐藤:ロマンで再生をやっていると 伊藤:でも計算が出来ていないと ふふふふ なんでかと言うと住み手は50代の方なんですよ。適度なペースでやりたいと。ノルマとか ふふふ 売り上げ考えずにやりたいというのもあって。ちょうどいいなーと。 佐藤:なるほど。至る所で再生支援活動をしているね。作り替えてなんとか発注者が生き延びていこうという感じで満ちているね 伊藤:そうですね 佐藤:伊藤さん自身は建築家として誕生したが成長していかなければ 伊藤:ははははは 佐藤:高度成長は遠い昔に終わりバブル崩壊やリーマンショックを経 近代が終わってグローバル金融で国民国家も揺らぎ対策無しでトランプさん出てきて方々揺らいでいるので 色々作り替えたり発想を変えの要請があると。そこに伊藤さんが立っていると。四方八方に出向いて活動しているということかな 伊藤:たまたま 巻き込まれている感じ。お金になんないですね。遠すぎて、でも楽しいですよ。 佐藤:建築家になるつもりだったんじゃないの 伊藤:それはどうでもいいです。家のオヤジもスターにはなれなかったふふふふふ 大学まで出してもらったので、 ははははは 生き延びればいい 佐藤:子供が生まれたら育てなければいけないよ 伊藤:そうですね 佐藤:道楽やってられないかも知れないね 伊藤:要はポスト経済成長の時の、企業に勤めていてお金が貯まって、貯まったお金で自邸を建てるとか言う、そういうお施主さんモデルだけではない人たちがけっこう居るんだなーと。 佐藤:大企業に勤めてお金貯めて家建てるモデルって今は希少じゃない。多くは派遣若者だし スパーフラット35借りる人が出てこないそうだよ 作ったり所有することに対して欲望が沸き上がらない。ゼロ金利、マイナス金利ということは投資先が無くなってしまったということだから 伊藤:都市とか町とかあってもそういう人たちって消費者というか、物を買うことでしか関われないっていう状況じゃなくって。そこで働いているとか、生業みたいなものをしている人たちのための建築必要じゃないですか。生業のための建築というのはイメージするとオフィスビルとか、お店のデザインみたいな。消費者向けだったりビジネスマン向けだったりするんですけど。 そうじゃない生業って一杯あるので。そういうことを建築で考えると楽しいかなーと思いますけど その6へ |
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