HOME     文責・作成・佐藤敏宏         佐藤敏宏の京都ことば悦覧録 2017年1月27日から2月2日
ことば悦覧録

    
 
 内田康博さんに聞く 2017年1月30・31日 京都市内にて
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 その08 


佐藤:保守的でポピューラーなことかもな・・・そういう言い方は合ってないかもしれないけど いいなら皆真似するだろうと
内田みな真似したくなるようなものが。みんな倣がえるようなものが本当はいいものなんじゃないかなと。

佐藤:京町家がうまれた時代と比べると、技術も素材も格段に多様になってきているし。だから作るという主体が大切になってたんだよね。一杯方法や材料はあるけど、どれを選ぶのかと。

気分では次の人たちには伝わないから。そこではどういう考え方意志を働かせましたと言うしかないでしょう。 言ったり図面に書いたりしておかないと分からないよね

保守的で伝統的は工法などは、後世の人も解るようになっているわけですよね 今の建築はどうなんだろうと 法律も技術も毎年のように変わり続けている そんな状況下で作り続けているので

内田:どうなんでしょうね、昔ああいうのはあったねーで、消えていくわけです。それでいいんですかね、その瞬間の満足を求めて刹那で。どうなんですかね。

佐藤:内田さんはそれでは虚しと思うから代案としての新しいもの、伝統の先につくらられるべき新しいもっていうことですよね
内田新しくなくってもいいと



佐藤:現代建築をこれだと思い切り言い続けていも、続かない建築家は空疎じゃないんでしょうかと内田さんは彼らに問いかけていると。

内田そうそう。色んな建築の賞があって。事務所協会にも 建築賞があってそこで選ばれるわけですね。とてもきれいに設計されているわけですけど。

でも、特殊なものが選ばれて、例えば形が特殊なもの、それからとてもきれいにできている、すてきだなと思ったりはするんですけど。でもみんなが真似していいものではない。

 壁がこうなった銀行とか。三角に切れているとか。町中にぽんと在る、突然それが在ったらびっくりするわけですよね。いいと言ってみんながそれを真似したらいいわけでもないし。

建築賞というんだったら、みんなが真似していいものを選ぶべきじゃないかなーと思っているんですよ
佐藤:模範だな

内田:そうそう模範。っていうふうになったらいいんじゃないかと思うんですね。独自だからですね。みなさん独自を求める、オリジナリティー。

佐藤:ほかの者とどれだけ違うか・・って 学校教育の弊害かな
内田:そうそう学校教育でもそうなっているわけですね 建築の頭に新て付けて書いてある。建築じゃなくなる。 建築を勉強したらいい

佐藤:近代になって、主体の充実、や探求。それが人間だーみたいなことが続いている
内田それがおかしい
佐藤:個人ではなく全体が生き残って、みんなが真似したくなって、それを行うというほうが豊かで楽しくって疲れないだろうという発想だよね。

内田そうですね

佐藤:経済も資本主義の終焉だと言ってる人もいるし。内田さんは新・建築から新をとって建築に戻したらいい、じゃないかという提案ですよね

京町家改修などをはじめとした古い木造建築で、全体をつくりだすと地域の産業も人も再生されて 経済も地域で回りだすだろうと、建築の危機がおとずれて初めて今までの建築と新建築を比較して目覚めることが可能かもしれないね 

新建築と建築が対立している状況ではなくって、どちらにも新が入っていて、どちらにも建築が入っているんだという認識が一歩で・・・そこから始めるのがいいわけですよね。対立してしまうと 同じ構造が生まれることに加担することになるので

内田そうそう

佐藤:どちらも含みつつ進んでいったら、内田さんの言われる建築が生まれてくるし、お互いの中にも新が含まれてて、更新され続ける可能性があるんだという考え方ですよね。達人の域に達してきてますよね

内田ふふふふふ

佐藤:そういう意味で面白い立ち位置だと思います。古建築を新建築に改修するような人も見受けられますけど。その事を内田さんにはっきり気付かせてもらってよかったです

内田:ふふふふ

佐藤:新建築と建築が分断されている状況はまずやめにしてはじめようということで、そこから始めるのがいいんじゃないかなーと思いましたね

内田:そうですね

佐藤:特殊な解で変態的な建築を作ることも必要だと思うんですけども
内田そうですね 面白いですからね 変態ばっかりやっていたら ははははは俺も変態になんなきゃーみたいなははははは 無理にならなくっても はははは

佐藤:こんなことでいいかな〜
内田:はい 


 改修前の写真


 改修後の写真

 最後まで読んでいただきありがとございます これで内田康博さんに聞く 2017年はお仕舞です 続きは2022年ですおまちくださいませ