HOME 文責・作成・佐藤敏宏 | 佐藤敏宏の京都ことば悦覧録 2017年1月27日から2月2日 |
ことば悦覧録 |
内田康博さんに聞く 2017年1月30・31日 京都市内にて その1 その2 その3 その4 その5 その6 その7 その8 |
その06 佐藤:調査は一人でしているんですか 内田:大工さんと一緒にしたりですね 7つ竈があった。それをが竣工図です。 佐藤:断面測定はどうしているんですか 内田:勾配はだいたい4寸とかで、ここは測りましたねレーザーか何かで。屋根はだいたい4寸なんですよ。軒の高さを測ると出る このウダツの有る家は非常に珍しいですけど。これはもの凄く古いんですね、1700年ぐらいに建ったとか、京都の中でも古い建物で。 改修を重ねて、初めは板葺き。瓦ぶきになったらうだつが無くなったんです。板葺きの時にはうだつが有ると。 佐藤:古建築改修の専門家になっちゃっていたんですね 内田:はははは 佐藤:祇園祭にお誘いされてここに至るは想像できなかったでしょうね 言われたことに素直にしたがう内田さんなので 内田:はははは 佐藤:それもよかったんだろうね 子供のとき憧れていた世界に戻ってきてたと。楽しくなってて 内田:そうですね 佐藤:調査費用や設計費用はどのように算定しているんですか 内田:作事組では工事費の8%を設計にしようと決めてます 佐藤:設備と電気の図面は 内田:この程度の図面を自分で書いてます。書いてもらうときもあります。 佐藤:煙抜きがあるってことは何か煮炊きしてる店だったのか 内田:もともとはおくどさんで薪をたいてたわけですから、京都の郊外なので畑があって、使用人さんがぞろぞろ居て。使っていたみたいです こういう形のおくどさんは特殊ですけど、昔は全員おくどさんで煮炊きですからね。 佐藤:調査をして図面を書いて積算はどうされているんですか 内田:積算と言っても結局工務店さんがいくらでやってくれるかの問題なので、工務店さんの積算をチェックする。 作事組では標準単価を決めて。全部直したら坪60万円ぐらいですかね。70万ぐらい。 佐藤:新築とあまりかわらないと。解体したりする手間が多く掛かるのでね 内田:できたら、新築よりは価値がある。 佐藤:研究会の運営費はどうしてうるんですか 内田:作事組の運営費は協力金ということでお施主さんから工事費の2%と設計施工から3%とか 佐藤:数が多いとかなりの金額が集まりますね 内田:そうですね、だから作事組は常駐の事務局員を一人置けると。家賃も払ってと。 佐藤:2006年から10年ほどですが何軒直されましたか 内田:20軒もやっているかなー。理事会で「この物件は誰を設計者にしようと、工務店にしようと」決めます 佐藤:だいたい近場の人が選ばれるんだろうけど 内田:そんな感じで。 佐藤:依頼者との打ち合わせは 内田:自然の素材で出来ているから、土壁がりがり触ったら落ちますよとか 床板でも無垢の板だからそることもありますよとか。あらかじめ言っておかないとあかんなとかですね。町家には住みたいけど寒いですよとか。生の木はいやだとか。 佐藤:格子の寸法などは決まっているんでしょう 内田:一応あるんですけど。色々ですね。いがいに決まってない。ちょっとずつ違いますね。全体のイメージは何通りかはあります。 佐藤:世の中は少しずつ変わってきているでしょうから最近のテーマはコストの問題とか職人さんの数のもんだいとか何が 解決しなきゃいけない問題になってますか 内田:作事組では元あった形を生かして出来るだけ元の形に戻しすような改修をしようとなっていますけど。 今ものすごく流行っているんですね。10年ぐらい前から町家ブームみたいなこともあって。 10年前は宿はなかったですけど。お店に使えるとかレストランとか、その時にいいかげんに直しているみたいな。 佐藤:暖房は 内田:ここは床暖房入ってます。 佐藤:畳に配管はいっている床暖 内田:薄い畳にしてその下に床暖。ガス温水式です。パネルに配管、厚みが13ミリぐらいのパネルに細い配管が回っている、それをつなげて 佐藤:暖房費用は月いくら要るんですか 内田:最大で2万円ぐらい冬場だけですけど。床暖は希望で居れますけれども「床暖のパネルなんて何年もつんだと、大阪ガスの湯沸かし器とかパイプとか10年で壊れるんじゃないのとか。そしたらそれ はがさないとあかんのじゃないのとか。そんなしたらあかんとか。言う人もいますよ。 でも寒くってやってらんないから ふふふふ しょうがないってやってます 佐藤:床暖なしの時は暖房はどうしているんですか 内田:ガスファンヒーターぐらいですね。原理主義と言って昔ながらの住み方するんだという人は火鉢とかね。空気を暖めようといったって無理だから。輻射式だと言って頑張っている人も居ますけど。なかなかついてきてない。 佐藤:寒いの我慢しろと言ったって 寒い。国では高気密高断熱政策を言ってますよね 内田:だから町家再生なんてできなくなると たいへんだーと。掛け合って市役所も京町家を残そうと言って頑張っているので。こういう古い建物は断熱性能は問わないみたいなことに。 佐藤:2020年からでしたかね、伝統的建築はクリアしなくってもいいんだと 内田:いいという枠ができましたね 佐藤:京都は今 町家改修が大ブームになっている 内田:ここ数年は旅館もでるし、10年ぐらい前から直したら使えるっていうのだだんだん定着して来た。 京町家って言うと偉そうですけど。京都に在る古い家って全部京町家。作り直せば住める。 佐藤:京都は町割りが決まってるので 町割りの無い地方に行くと事情は変わるんだろうけど、改修工事だけですか 改修の話はここらでいいですか 内田:はい 新築工事もありますよ その07へ |
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