HOME 文責・作成・佐藤敏宏 | 佐藤敏宏の京都ことば悦覧録 2017年1月27日から2月2日 |
ことば悦覧録 |
内田康博さんに聞く 2017年1月30・31日 京都市内にて その1 その2 その3 その4 その5 その6 その7 その8 |
その01 1月30日夜 内田康博建築研究所を訪ねる 研究所を離れて 京都市内のお好み焼き屋さんにて聞き取る ジュージュー焼いている店内賑やかである 佐藤:音採って文字にしますからね 内田:緊張して しゃべれなく なるかも知れない はははははは 佐藤:大丈夫。 これは美味しいね 内田:豚キムチです 佐藤:普段は何を呑んでいるの 内田:だいたいビールか日本酒ですね。なんでもいいんですけどふふふ、ビールは夕ご飯の時にちょっと呑んで、子供が寝たあとに ちょっと仕事して、12時になると お酒が飲みたくなる。ふふふ 佐藤:12時になると日本酒! 内田:そうですね、1時間ぐらいだと思うですけど。呑みながら仕事したり、インターネット見たりとか。本を読んだりとか。9時に子供と一緒に寝ちゃうこともあります 佐藤:渡辺豊和さんの事務所を卒業して直ぐ独立、でしたか 内田:渡辺さんの所も仕事が少なくなったし、ちょっとお前あっちに行っておいで、みたいな・・黒滝村のプロデュースをした人なんですけど。小山さんっていう事務所に1年弱ぐらい。忙しくなったら戻るみたいな感じ出てました。変わったことばかりやっている人で西成の街づくりとか。 佐藤:まちづくりにも関わってたと。西成の街づくりって濃そうだね 内田:誰も引き受けないことをやっている人だった。で1年ちょっと。給料は安い。だから生活できてるようなできてないような感じでしたけど。 佐藤:で独立したと。今は仕事は順調ですか 内田:今は町家再生みたいな、改修みたいなことで、仕事があるという感じです。前は全然なかった。 佐藤:内田さんは京大を卒業されて「渡辺豊和さんの事務所に行くってよっぽどの変わり者だよね」。周りから「行くな」って言われたでしょう 内田:そうですね、研究室の先生は「お前本当にいいのか?」って言ってましたけど・・・何ていうか、しょうがないっていうかふふふ 佐藤:ふふふ 何でしょうがないの ふふふ 内田:だってどうしたらいいか よく判らないし ふふふふ 確かに作家みたいなものには憧れがあったのかも知れないですけども。 ちゃんと歴史を考えて計画しようと、しているように見えたわけです。想像するわけですけどね渡辺さんの場合は ふふふ 佐藤:史実に基づいているのか?判断できない内容が多いかも。超空想に近いかもしれないような、確かめにくい ような語りが建築を生み出すベースになり 内田:今 あえて言いませんでしたけど はははは 歴史をベースにして作っていく そんなところがあるから。ほかの人はそんな事はしない。 佐藤:過去を解釈しなおして創造していくのかな。建築家だから許されるところもあるし、発注する者は建築ができればいいし 内田:形は本当のことを言うと分からないわけだから。想像の余地はある ふふっふって それはそれでいい。 佐藤:内田さんとは四半世紀ほどの長い付き合いだけど、どうして渡辺事務所に入ったのか聞いてなかったなーと気づい聞き取りにきました ふふふ 内田:あとで思えばですけど。なんで建築の設計やろうかと思ったかと言うと 秩父の実家にも来てもらいましたけど。周りに神社やお寺、お寺の多い所なんです。札所、文化的ものは、それ以外は何もない所で。 子供のころから建物を観て、神社を観て、お寺を観て。「よーできているなー」と思っていた訳ですよね。そこに絵画も彫刻もあるんです。組み立てていくっていうのは興味があって。 大工さんになりたいなーと思ったですね。素朴に。 大工さんになりたいという憧れはありました。西岡さんとかですね。法隆寺を守る大工さんの話とか、小川さんとかですね記事になっているわけですよ。 凄い過酷なというか、毎晩夜になったら刃物を研ぐ。刃物を研ぐのは好きなんですけど、毎晩それだけずーっとやてられるか・・というと、「それは無理かも知れない」 宮大工の修行は無理だと思って、そちらは諦めて 内田康博さんの故郷の秩父夜祭紹介動画 佐藤:いつ諦めました 内田:高校に行く段階で。 佐藤:高校はどこに行ったんですか 内田:埼玉の熊谷高校.。進学校みたな高校ですけど。宮大工になるには高卒では遅いと。 佐藤:伝統的な建築を作る大工になったろか〜と 内田:なったろか〜、じゃなくって憧れがあった。やったろか〜までは無いんです。根性ないんです ははははは。興味があってもそれはできない。しょうがないから大学行ったら建築学科へ 佐藤:高校に入るとき大学の建築学科を知ってましたか 内田:ちょっと分からないですけど 佐藤:高校でスポーツやってなかったです 内田:テニスふふふふ、硬式テニス愛好会っていうのがあって。軟式テニス部はめちゃくちゃ強かったんですけど。硬式テニス愛好会はめちゃくちゃ弱くって。 軟式テニス部は部なので綺麗なコートあるんですけど。硬式テニス愛好会は体育で使うバレーコートと一緒みたいな、ガタガタのコート。先生居ないから、先生居てしごかれるみたいなの嫌だと思って。ははははは。 佐藤:中学の時もテニス部だった 内田:中学は軟式テニスやってました。それも楽なテニス部。顧問の先生来ないみたいな はははははは 佐藤:しごかれず、自由にのんびり運動するのが好きなんだと 内田: ロボット 好きで、そういうの作りたいなーと。建築しなかったら、ロボット作るのがいいかなーとか。 佐藤:そのごろのロボットって鉄人28号じゃないよね 内田:鉄人28号もあるし、マジンガーZ でしたね。機械みたいな物が好きだったから。芸術みたいなものにもちょっと憧れて。 佐藤:内田さんが建築へ至る端緒がわかりだしました。京都大学に入って。その頃は布野先生はいませんでしたよね 内田:いませんでした。京大入って院には行ってないので、4年生になると研究室に所属みたいなことで。 難しい建築論を言う先生への憧れもあったんですけども、ジトーとしてて何にも生産性が無いんですよね。 あんまり近づきたくないしふふふ。 もう一方で川崎先生が居て。あまりものを考えないでバーンと作るのが好きみたいに見えた先生で。入った瞬間に軽蔑したんですけど ははははは。ガイダンスの時から軽蔑していたんですよ。設計しようと思ったんですけど。そっちも行きたいないし。 佐藤:行くとこないじゃないか 内田:川崎研は結構人気あったけど、無理して行くつもりないと思って。しょうがないから歴史研に入って。歴史研に入ったのは よかったんですよ。大学に入って歴史研に入ったのが一番よかったなーと。そこでお寺の実測とか。その時はそんなものかーと思いながら実測に関わったんですけど。一番身に着いたです 佐藤:今やっている町家改修にも合ってるんじゃん 内田:そうです 佐藤:お寺の実測はしたけど修繕はしてないよね 内田:調査、学生だから実測の練習ぐらいの段階ですけど 佐藤:伝統的建築をどこでも学ばず いきなり設計しる人が多いなかで 伝統的建築の歴史を学び実測を大学で学ぶ者って、当時も少数派で変わってたでしょう。先生はどなた 内田:川上先生、僕は2年ぐらい留年しましたけれど。卒業するときに退官された先生です 佐藤:先生が退官され、卒業した後はどうしたんですか?悩んでた 内田:1年ぐらいは悩んでいてはははは 1年目は渡辺さんの所に行ってたんですけど。 佐藤:渡辺豊和さんの所へはどういう切っ掛けで行くようになったんですか 内田:知り合ったというか、どうしたらいいかなーと色々考えていて。あれも詰まんない、これも詰まんない、詰まんないと思ってふふふふふ。 ちょっとぐらい面白い方がいいだろうと。全部消去ですよ。全部詰まんないははははは 佐藤:渡辺さんの事務所に入ってなかったら俺とも会ってないだろうし 内田:そうですね。伝統建築みたいなことに興味があったので、渡辺さんなりに伝統建築の良さを、素晴らしさを認めていると思うですね。 『新建築』の月評を渡辺さんが担当したことがあって、現代建築の評価をしてて、5つ指標をつくって。 何だったかな。テクノロジーからエコロジーからエコロジーからコスモロジー。 要するに近代建築だけでは詰まらんと。そうじゃない自分なりの評価基準をつけて、採点しているんですけど。現代建築は、そもそも基準が違うと。 (絵 WEBより) たとえばハギア・ソフィアとか大好きじゃないですか。現代建築は50点 袴をはかせないと話にならない。まず50点。袴はかせてから点数つけようと。 どこまで本気で言っているのか分かりませんけど。 始めから現代建築はハギア・ソフィアみたいな歴的な建築物には敵わんと。ということを ちらっと言っていたりするところを共感するわけです。 佐藤:中締めしておくと 神社仏閣に囲まれた秩父の実家に生まれ、その巧みな形を観て大工さんになろうとしても、毎夜の刃物研ぎは辛そうなので大学に入ったと、猛勉強したんでしょうか 内田:東京で浪人したんで、その時は勉強しました。現役でまともにどこか受かると思ってなかったので。高校の時は勉強なんかしている暇が無かったというか、勉強してなかったので。ふふふふ その時は名古屋受けたですけど。もしかしたら受かったらいいかなーぐらい。あんまり行きたいくないけど ふふふ。 佐藤:浪人を経て京大の歴史系の研究室に入っちゃったと。そこで古建築を実測。現代建築を教えている先生をいきなり軽蔑してと。 この20年ぐらいでしょうか文化庁指導で古建築大切にしようと、町家など含め見直されてきている。内田さんの時代が到来しそうだと 内田:うん、そうですか ははははは 佐藤:全国各地に埋もれている古い建築 見直されてきているよ 内田:歴史研でけっこう好きにやっていて、研究ろくにしないけども、同級生とか一人でやってますよ、設計事務所。学校の中でまとまりがいいですよ。 優秀な人たちはメジャーな研究室に行き日建設計とか、日本設計とか、大手に行きますから。そういう所に行けない、どこか心が捻じ曲がった はははは 人たちは 佐藤:合理的なシステムの中で生きることに合わない人も居るので 内田:しかたがないことです 佐藤:渡辺さんは宇宙史から古代から中世史の話のようなことを語り建築を作り出し、形態も現代建築とはまったく異なっているので、これはいいかも知れないと思ったんですか 内田:あとオカルトみたいなものも好きなので 佐藤:はははは 内田:それも抵抗が無かったははははは オカルト系の話もね。好みで言うと好きなので ふふふふ 佐藤:宇宙卵だとか縄文夢通信とか 普通に暮らす人が聞いたら訳が分からないだろうし、その言葉を基に建築を実現させちゃう 内田:普通の人は理解できないって言うでしょう。理解できるかどうかの問題ではないはははは 佐藤:内田さんは一貫しているね 内田:考えてみたらね、いがいとそうかも知れない ふふふふ。 だから子供の時から毎日神社を観てたでしょう、あの曲線はいったいどういうのかなーとか、あれを描けって言われても、作れって言われても、困るなーと 子供の時にも思っていた ふふふふ 図画工作の延長でね。模型作ろうとか言うじゃないですか、屋台とか山車のね。あれです その02へ |
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