HOME 鈴木達治郎2010年代の年譜 案 (作成日時:2024年2月〜 1950年代 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 2020年代
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2010年代 

2010−2014 原子力委員会:福島事故と原子力政策見

2010年 原子力委員会委員長代理就任

・2010年5月25日 
成長に向けての原子力戦略」 (PDFを開いて読む
・ 政府の 「グリーン・イノベーション」
       「ライフ・イノベーション」
       「フロンティアの開拓」に貢献しうる原子力 戦略の立案

1. 国民の原子力、エネルギー、科学・技術に関するリテラシーの向上を図ること

2.政策策定に係るデータを最新の情報技術を用いて誰でも共有できようにするデータ公開に関する 新たな取組みを立ちあげること

3.
CO2の経済的な価値の「見える化」を推進し、原子力発電事業を通じての地球温暖化対策の推 進に国民がより効果を感じ、またこれに貢献する取組みに自ら参加できるようにすること

4. 原子力の研究、開発及び利用における世界で初めての取組みが必要な安全を確保して遅滞なく実 施できるよう、独立性、公開性、効率性、合理性、信頼性の確保を重視し、国民の視点に立った 効果的、現実的、タイムリーな規制活動を行うことのできる原子力安全規制行政体制を整備する こと

5. 社会環境の変化を踏まえて、電源三法交付金制度等の在り方について不断の見直しを行うこと、 国と地方自治体、電気事業者は、原子力施設立地地域の人々が地域の有する人材、資金、資産 (産業技術、部品・サービス需要、文化、自然等)、周辺の学術機関等を効果的に活用して、雇 用の拡大・高度化に主体的に取り組む活動を推進すること

6. アジア地域を中心とする原子力分野における新しい共同事業を起業する機会を豊かにする観点か ら、この地域の政府と民間の交流ネットワークを強化すること。

★就任時の思い


2010−2014 原子力委員会:福島事故と原子力政策見直し

原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法
(平成12年12月8日、改正23年(2011)3月31日

(目的)
・ 第一条 この法律は、原子力による発電が我が国の電気の安定 供給に欠くことのできないものであることにかんがみ、原子力 による発電の推進等に資するため、原子力発電施設等の周辺の 地域について、生活環境、産業基盤等の総合的かつ広域的な整 備に必要な特別措置を講ずること等により、これらの地域の振 興を図り、もって国民経済の健全な発展と国民生活の安定に寄 与することを目的とする。

↓ ↓ 
依存度低減のためには「拡大政策・制度」の撤廃、修正が必要

2011年 福島第一原子力発電所事故

2011/5月10日  原子力委見解PDFを開いて読む

・ 原子力政策大綱の見直しを中断

・ エネルギー源としての原子力発電の特性(リスク、コスト等含む)とそれを 踏まえた今日及び今後20年から30年を考えた原子力発電の役割について 再検討等を行います→「勉強会」の設置

・ 2011/9月13日 「核セキュリティの確保に対する基本的考え方につい て」(決定─PDFを開いて読む

・2011/9月27日 原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の設 置について」(決定─PDFを開いて読む

原子力政策をゼロから見直す→原子力委員会に核燃料サイクル選択肢の再評価を依頼 

★事故のことを聞いたときに最初に思ったこと
2011年12月8日
原子力発電施設等立地地域の振興に関す る特別措置法(平成12年12月8日、改正23年(2011)3月31日)  

(目的)
・ 第一条 この法律は、原子力による発電が我が国の電気の安定 供給に欠くことのできないものであることにかんがみ、原子力 による発電の推進等に資するため、原子力発電施設等の周辺の 地域について、生活環境、産業基盤等の総合的かつ広域的な整 備に必要な特別措置を講ずること等により、これらの地域の振興を図り、もって国民経済の健全な発展と国民生活の安定に寄 与することを目的とする
  ↓
依存度低減のためには「拡大政策・制度」の撤廃、修正が必要

日本の科学技術史(吉岡斉)(2011)

・ 第1部 1-2 「核不拡散・核軍縮政策と原子力 技術ー構造変化と新たな対応の必要性」
・ 核兵器と原子力技術ー不可分の関係
・ 核不拡散・軍縮と原子力技術の歴史的分析

・ 核廃絶の模索ー核兵器のない世界は実現できるか
 1. 核抑止力への依存を下げる安全保障上の取り組み
 2. 軍事用転用可能核物質の管理強化と在庫量削減
 3. 核燃料サイクルの多国間アプローチと2国間協定 における取り扱い
 4. 核拡散リスクの低減につながる技術開発

2012年 原子力委員会 秘密会合問題

・ 2012/5月23日  検討小委最後の会合、取りま とめを承認

5月24日 毎日新聞が翌日「秘密会議」報道
  ・ 他の新聞、テレビもフォロー 
  ・ 政策大綱会議も中断
  ・ 原子力委員会の信頼性失墜
 
2012/6
原子力委員会の運営改革の発表
  ・ Twitterで「秘密会議」についての説明 を連続掲載
   ー10万以上のリツイート、 一部新聞等にも掲載された
  ・ 原子力委員長・委員長代理に懲戒処分史上初) (関連記事

(2012/06/19)原子力委における改革案

■情報管理(専門部会などの会議資料を作成・準備する際の情報管理について
 ・ 専門部会等の議資料作成・準備は常勤職員が行う
 ・ 作成途中の会議資料案は、作成途中の会議資料案は外部には原則開示しな い
 ・ 必要なデータなどを依頼、提供する場合は記録にとどめる
 ・ 会議委員などにその旨通知すること 事務局体制

事務局体制
 ・ 電力からの出向者は6月末で解消
 ・ 出向者は出向元のために活動してはならない
 ・ 不足する場合には公募を検討する
作成・準備する際の情報管理について(暫定版)(案)PDFを開いて読む
原子力委員会の事務体制についての当面の方針(案)PDFを開いて読む

2012/6月

核燃料サイクルをめぐる攻防
(「プロメテウスの罠」朝日新聞)

「核燃料サイクルの選択肢について」原案作成
・ 原発ゼロの場合、「全量直接処分」、15%の場合「再処理・直接処分 併存」、20-25%の場合「再処理・直接処分併存」
・ したがって「全量再処理を原則とする核燃料サイクル政策は変更され るべきものとする」と明記
 ↓
・「原発20〜25%の場合に『全量再処理』を追記すべき」(経産省)
・ 「ことさら政策を変更したと宣言する必要はない」(事務局)
・ その結果、20−25%の場合「全量再処理は有力としたが、併存も明記
・ 「核燃料サイクル政策は変更されるべきものとする」は削除→「現時 点でどの選択肢を選ぶにせよ、将来の政策変更に対応できるような備 えを進めることが重要である」

2012年6月21日 原子力委員決定

核燃料サイクル政策の選択肢についてPDFを開いて読む

 ・技術小委の提言にもあるように、現時点でどの選択肢を選ぶにせよ、将来の 政策変更に対応できるような備えを進めることが重要

 ・ 使用済み燃料の貯蔵容量(乾式貯蔵)拡大

 ・ 直接処分を可能とすること
 ↓↓↓
全量再処理路線からの脱却が必要」(鈴木個人的見解
 (PDFを開いて読む


 PDFを開いて 核燃料サイクル政策の選択肢についてを読む

2012年8月 検討小委での検討に関する検証報告PDFを開いて読む
 ↑平成24年8月と記載されているので2012年と佐藤は訂正した
 
1) 原子力委員会における中立性・公正性・透明性
 ・ 「その運営は、独立性を確保し、透明性を持って行われなければならない」
2.) 「勉強会」の実態:電力関係者は単なる作業にとどまらず、自らの 立ち場を発言するなどしていた
 ・ 座長(鈴木)は公正な運営を心掛けていたが、事務局は電事連や関係者と内々 に打ち合わせをしていた。特に入院中不在の間、事務局が勉強会を開催して、 重要な決定をしていたことが判明。
 ・ その他、調整会議と称して、電事連など関係者と原子力委員長などが打ち合わ せを行っていたことは不適切と判断される

2012/08/30) 原子力委運営改革 原子力委決定

 〇 原子力委員会における「会議」に向けての準備等会合の取扱い (暫定版)
   ・ 「3人ルール」(3人以上の原子力委員が集まる会合は、事務局員が同 席してその概要を記録を残す
   ・ 1〜2人であっても、外部の専門家・機関と会合を持つときは、その概 要を記録に残す。
 〇 原子力委員会における決定文書(案)を作成する標準的な手順 (暫定版)
  ・ 文書作成の手続きを明確化し、責任者は決定に至るまでの過程が追跡 できるよう、全ての修正過程・メール等を保存する。
 〇 原子力委員会の法施行事務における審議への関与(暫定版)
  ・ 利益相反にあたる可能性がある課題についての審議には委員は決定に関与しない




高レベル廃棄物地層処分問題

2012/09/11  日本学術会議提言

・原子力委員会からの依頼(2010)に対する回答
・ これまでの政策方針や制度的枠組みを自明の前提にするので はなく、原点に立ち返って考え直すべき。

 @高レベル放射性廃棄物の処分に関する政策の抜本的見直し
 A科学・技術的能力の限界の認識と科学的自律性の確保
 B暫定保管および総量管理を柱とした政策枠組みの再構築
 C負担の公平性に対する説得力ある政策決定手続きの必要性
 D討論の場の設置による多段階合意形成の手続きの必要性
 E問題解決には長期的な粘り強い取組みが必要であることへの認識


2012年11月27日

福島第一原発廃止措置体制に対する提言 (旧原子力委員会見解)

中長期措置に対する政府の責務

・ 政府は、この中長期措置が安全かつ確実に推進されることにつ いて責任を有することから・・国内外の知見を効果的に活用し て様々な作業が確実に遂行されるよう・・施設、人材、費用、 技術及び資材等の確保に万全を期すべき。

・ 国内外において正しく理解されるよう、透明性の確保に留意すべきである。

・ このため、この取組をそうした観点から評価・監査し、適宜に 改善すべき点などを政府に対して勧告する、海外の専門家を含 む第三者機関 を設置すべきである。
・ そして、その勧告を踏まえ、将来において専任の廃止措置機関 を設置することも含め、絶えず最適な運営体制の確立を目指すべき である。

出典:「東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた 中長期にわたる取組の推進について(見解) PDFを読む

2012年12月18日 

今後の取組について: 日本学術会議回答を踏まえて
今後の高レベル放射性廃棄物の地層処分に係る取組について(見解)PDFを開いて読む

提言

1. 処分すべき高レベル放射性廃棄物の量と特性を原子力・核 燃料サイクル政策と一体で明らかにすること
2. 地球科学分野の最新の知見を反映して地層処分の実施可能 性について調査研究し、その成果を国民と共有すること
3. 暫定保管の必要性と意義の議論を踏まえて取組の改良・改 善を図ること
4. 処分に係る技術と処分場の選択の過程を社会と共有する仕 組みを整備すること
5. 国が前面に出て再構築に取り組むこと
・ その確実な前進を目指して、高レベル放射性廃棄物処分に関する 政府の「基本方針」を見直し、法・制度の見直しを含めた取組の再構築作業を開始すべきである。

2013年



2014年〜現在


長崎大学RECNA
  核軍縮・核不 拡散とポスト福島の原子力政策(1)


エネルギー・原子力政策の在り方 要 旨
・ 新たなエネルギー
原子力政策は福島事故の教訓と反省をふまえる べき。
想定外に備える、新たなリスク評価、国民との信頼醸成

・ 新しい原子力政策:依存度低減と「負の遺産」清算を柱にせよ。
 @ 原発依存度低減にむけて
 A 福島第1原発の廃炉と復興問題
 B 再稼働と新設:安全性と競争力
 C 核のゴミ問題(使用済み燃料、核燃料サイクル、プルトニウム 問題)

エネルギー基本計画の課題
 
脱炭素社会実現に向けて、「計画」 から「戦略」へ


2014年5月23日の報道 毎日新聞

再処理は処分にとって有用ではない

埋めるより方法はない─ 栃山修・経済産業省地層処分技術ワーキンググループ委員長

・再処理は使用済み核燃料に含まれるウラン・プルトニウムを取 り出す価値がある場合に行うもの。

放射性廃棄物処分のために再処理を行う理由はない。再処理に よって、より危険な状態になり、捨てにくい超ウラン元素 (TRU)廃棄物が発生するなど、廃棄物処分にとって、再処理 は有用ではない

取り出す価値がないならば、そのまま埋設する「直接処分」の ほうが望ましい

2015年

2015パグウォッシュ会議
長崎にて世界大会開催(組織委員会委員長)


2015年
 RECNA「北東アジア非核兵 器地帯設立への包括的アプローチ」
  (PDFを開いて読む

1) 朝鮮戦争の戦争状態の終結を宣言し、「枠組み協定」 締約国の相互不可侵・友好・主権平等などを規定する。

2) 核を含むすべての形態のエネルギーにアクセスする平 等の権利を謳う。「北東アジアにおけるエネルギー協 力委員会」を設置。宇宙技術開発の権利も保証

3) 北東アジア非核兵器地帯条約締結に合意
・ 「スリー・プラス・スリー(韓国、北朝鮮、日 本の「地帯内国家」と米国、 中国、ロシアの 「周辺核兵器国」)の 6 か国条約。周辺各核保有 国が地帯内国家に核兵器による脅威、攻撃を与え ない。これにより「拡大核抑止力(核の傘)」が 不要となる

4) 常設の北東アジア安全保障協議会を設置する


提言の表紙絵
PDFを開いて読む) 
2015 長崎にて世界大会開催(組織委員会委員長)

2016年

 長崎大学RECNA:核軍縮・核不拡 散とポスト福島の原子力政策(2)

・ 2016『核のない世界への提言
“Unmaking the Bomb”の翻訳、冨塚明 訳、鈴木達治郎監訳

・ 国際核物質専門家パネル(International Panel on Fissile Materials:IPFM)の報告 成果をまとめたもの

・ 核物質の説明、生産、貯蔵、在庫量管理、 処分に至るまでの解説書
? 民生用核物質も含め、世界の在庫量を削 減していくことを提言


パグウォッシュ会議
2016 日本パグウオッシュ会議体制変更、代表に就任

日本パグウオッシュ会議体制変更、代表に就任

2016/05月  第190回国会閣法第17号)

再処理等拠出金法への附帯決議

1. 柔軟性を確保すること:将来的に状況が変化し、政策の見直しが必要となる場合には政府は責任をもって見直しを検 討し、必要な措置を講じること。

2. 核燃料サイクル政策の将来における幅広い選択肢を確保する観点、さらに、すでに発生している研究炉の使用済燃料 や福島第一原子力発電所の使用済燃料対策の観点から、使用済燃料の直接処分や暫定保管を可能とするための技術開 発や必要な措置など、多様なオプションの検討を進めること

3. プルトニウムの需給バランスに関して、「利用目的のないプルトニウムは持たない」との原則を堅持するとともに、 政府は原子力事業者に対して、この原則を認識したうえで再処理事業を実施するよう指導し、仮にこの方針に反する 再処理等事業の実施中期計画を認可法人が策定した場合には、経済産業大臣はこれを認可しないものとすること。

4. プルトニウムバランスについては原子力委員会の意見を聴くこと

5. 再処理事業が及ぼす影響は、地域振興から国際安全保障に至るまで幅広いため、事業の推進に際しては、事業を総合 的・大局的な観点から評価する仕組みを構築すること

6. 使用済燃料の貯蔵能力の強化や高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定を巡る課題の解決に向け、国がその責任と 役割をより一層明確にしながら的確に対応すること

7. 使用済燃料の再処理等を進めるに当たっては、青森県、六ヶ所村など立地自治体等関係者の理解と協力が不可欠であ ることに鑑み、今後とも再処理事業について、これら立地自治体等関係者との信頼関係の下で、円滑かつ連携して進 められるよう留意すること

2017年

2014−現在 長崎大学RECNA:核軍縮・核不拡 散とポスト福島の原子力政策(3)

2017年

核兵器と原発─日本が抱える 「核」のジレンマ』」(講談社現代新書)

・初の新書版出版
・ 原子力の平和利用と核兵器の両方にまたがる課 題について、解説
・ 福島事故の教訓 ? 核廃絶に向けての課題
・ 北東アジアの核問題
・ 今後にむけて:科学者の責任等

・ 2017 “Learning from Fukushima: Nuclear Power in East Asia” by Peter Van Ness (https://press.anu.edu.au/publications/learning - fukushima) 

(以下:WEB自動翻訳での紹介)
福島に学ぶ」は、2011年3月に東北地方で発生した三重災害(地震、津波、原発のメルトダウン)に、役に立つ形で対応するためのプロジェクトとして始まりました。それは、東アジア、特に現在稼働中の原子力発電所を保有していないASEANの10の加盟国にとって、原子力発電が現実的なエネルギーの選択肢であるかどうかについての共同的かつ包括的な調査へと発展しました。私たちは、建設費、人員配置、規制と責任、廃炉、放射性廃棄物の処分、気候変動への影響など、原子力発電の可能性を検討する際に国が問わなければならないすべての質問に対処します。著者は、物理学者、エンジニア、生物学者、公衆衛生医、国際関係の専門家です。各著者は、自分の研究の結果を発表します。


パグウォッシュ会議へ
2017 執行委員に就任


執行委員に就任
2018年

2018年7月31日
原子力委員会「プルトニウム利用の基本的考え方

一歩前進だが十分ではない

・ 我が国は、上記の考え方に基づき、プルトニウム保有量を減少させる。 プルトニウム 保有量は、以下の措置の実現に基づき、現在の水準を超えることはない。 (← PDF見当たらず)

2018年12月7日
使用済み燃料対策への提言(要旨)

・ 日本は、使用済み燃料を「資源」として考え、全て再処理をしてプルトニ ウム・ウランの再利用を行い、高速増殖炉で燃料サイクルを確立すること を基本としてきた。
・ 「全量再処理」を基本とする政策は変わっていないが、実態は再処理量は 3分の1程度、利用したプルトニウムは回収量(~50トン)の6%程度(〜3 トン)にとどまっており、47トンが余剰として貯蔵されている。もはや高 速増殖炉路線は破たんしており、再処理の必要性は薄れている。
・ 再処理の効用として、「資源効率」以外に「廃棄物の減容」「有毒度の減 少」が言われているが、科学的根拠は薄い
・ 現在は、ほとんどがプール貯蔵であり、安全面においても、経済面におい ても「乾式貯蔵」が最も望ましい政策である
・ プルトニウム在庫問題は国際安全保障上、きわめて重要な課題であり、再 処理政策の見直しが必要である。そのために、社会的影響も含めた客観的 で総合的な評価が必要である

出所:鈴木達治郎、「使用済み燃料対策の総合評価が必要」(?)
衆議院原子力問題調査特別委員会、2018年12月7日。(?)

2019年
2019 “Nuclear Energy Policy after the Fukushima Nuclear Accident: An Analysis of ‘Polarized Debate’ in Japan”

要約(自動翻訳により)
2011年の東京電力福島第一原発事故は、日本の原子力エネルギーとエネルギー政策全体の転換点となった。現実には、日本は原子力を主要電源として維持する政府の政策にもかかわらず、原子力エネルギーへの依存度を大幅に下げてきました。原子力発電の生産量が激減したとしても、日本は2050年までに原子力発電なしでも約60?70%の炭素削減を達成できる。しかし、福島原発事故の最大の衝撃は、国民の信頼の失墜です。原子力をめぐる政策論争は、今や原子力発電の「賛成派」と「反対派」に分かれている。本研究の目的は、このような「二極化した議論」がなぜ解決されないのかを分析し、国民の信頼を回復する方法を探ることである。本研究は、福島第一原子力発電所の廃炉、使用済み核燃料・廃棄物管理、プルトニウム備蓄管理という3つの重要な原子力政策課題を分析するものである。これら3つの事例を分析すると、独立した監視機関の欠如が、原子力政策の議論の行き詰まりの一般的な原因であることが示唆される。筆者は、原子力の将来がどうであれ、国民の信頼を得て重要な政策課題を解決するためには、独立した監視機関を設立する必要があると主張する。

Conclusions
・ Based on three important policy case studies, it is found that lack of independent oversight can be a common cause for blocking the constructive debate leading to ways to solve important policy issues.

Establishment of such independent oversight organization has been recommended by both within and outside of the government, but it has not been realized. In order to overcome polarized policy debate, either the government or the Diet needs to establish such independent oversight organization.


2019年6月

笹川平和財団プルトニウム国際管理に関する日本政府 への提言

1. プルトニウム国際貯蔵の追求:「余剰」なプルトニ ウムを国際原子力機関(IAEA)の管理下におく。
2. 現在の国際規範である国際プルトニウム管理指針の 強化:日本の原子力委員会の決定に基づき既存在庫 量の削減を新たな国際規範として提言し、再処理を 抑制する。
3. 既存の在庫量削減に向けての国際協力:処分のため の国際フォーラムを設置する。
4. 使用済み燃料管理として「乾式貯蔵」を最優先にす すめ、核燃料サイクルの選択肢評価を第三者機関が 実施する。
5. プルトニウムの新たな国際規範を世界に普及すべく 主導的役割を果たす

長期エネルギー政策の重要な視点

〇 エネルギー計画からエネルギー戦略へ
 ・ エネルギー市場の自由化に伴い、計画経済的エネルギー政策から脱却。市場メ カニズムを活用し、政府は公共利益の確保に努める。(予測はあたらない)
 ・ 「プランB」、多様・多重な選択肢を用意すべき。

〇 40〜50年後のエネルギーミックスは「今」の意思決定に左右さ れる。
 ・ エネルギーインフラの寿命は40~50年(10~15年のエネルギー政策 では短期すぎる)
 ・ 未来世代への責任は現世代が負う

〇 今後20〜30年はエネルギー革命の時代
 ・ 脱炭素にはカーボンプライシング(炭素価格)が必要
 ・ 過渡期のマネジメントが重要:既存のエネルギーの撤退戦略(原発、 石炭火力・・)と脱炭素時代の新たなインフラ整備(法制度や産業 構造)が重要
 ・ 再生可能


環境税2万円/tCO2でゼロエミッション 可能(JCER,2019) 56 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 2011 2050 13年比8割削減 排出量ゼロ (100万d) CCS 再エネ 生産の減少分 CO2排出量 産業構造 変化のみ 1万円弱/d の環境税 2万円強/d の環境税

出所:「デジタル経済への移行、温暖化ガスは6割減に、2050年8割削減には1万円の 環境税」、日本経済研究センター、2019年5月7日

国民の信頼回復に向けて何をすればよいか

・ 福島事故による最も大きな社会的影響は国民の信頼喪失
・ 安全性のみならず原子力行政全般、ひいては政府や科学技術専門 家への信頼も失墜した
・ 回復に向けては地道な努力を積み重ねるしかないが、これまでの 科学技術に係る社会意思決定プロセスの構造改革が必要。
 ↓ ↓ ↓
1.行政における意思決定の透明性、公正性
2.意思決定過程への国民の参加、双方向コミュニケーション
3.科学技術に関して、国民が信頼できる情報提供機関

 1950年代 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 2020年代
年代  影響を受けた人々(敬称略)  事件  原子力政策
パグウォッシュ会議
 阪神タイガーズ  社会・事件・その他