HOME 佐藤敏宏が作成しました | 佐藤敏宏(元・エア建築家)@セシウム都市フクシマ による聞き取り記録集 |
「O邸」 設計者 中山英之さんに聴く (2013年 5月 19日千駄ヶ谷にて) (生い立ち 01 02 03 ) ( O邸を語る 04 05 06 ) (伊東事務所のこと 07) |
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竣工したばかりの「O邸」 O邸施行・請負師の永岡さん(記録へ) |
06 O邸を語る 佐藤:多義的だよね 中山:はい 大事なのかな−って気がします 佐藤:補助的に設備とか風呂とか台所があるけれど あれが無くってもね 良いわけですよね 中山:そうですね 佐藤:あれは住宅として依頼されたから 言い訳で付けているふふふふ 中山:まあ、まあ、そこまで突き放してもいなくって。一生懸命それぞれの使い勝手とかを考えて設計はしているんですけど。ふふふ ふ 佐藤:あの場から奥さんと友達たち が社会関係をつくりだして、快適に暮らしているという意味では凄い建築ですね。僕のようなよそ者の爺さんもすーっと入っていって ごろ寝できるし。暮らしている子ども達も他者との境界が今は無いようにみえるので、 一色単にに家族になってしまう場だし そう させられてしまうかのように成っちゃうわけね で友達も集まって来ますからね 中山:集まってくださる方は誰も僕には オーダーはしてくださらない 佐藤:あ ははははははは 中山:ふふふふふうふ でもまあ、僕にとっては。今そんな話を解ってくださる施主が何人居るのだろう?みたいな話になりましたけれども。 大学に行こうと思ったのも偶然他からね 家の近所みたいな他律的な理由だし。大学代わったのも何か気に入ってくれた先生に何か言われて嬉しかったとか。 岡田さんみたいな人が僕を声かけてくれたり。佐藤さんみたいな人が こういう喋る場を与えてくれたり。 けっう幸福。わりと幸福かも知れないですね。へへへ 佐藤:そうだよ 中山さんが無理しなくっても そうなっているだ きっと。自分で無理して誘導しなくってもそうなって行く人なんだって、好いじゃないですか〜。見えない処ではそうとう苦労はしているとは思いますけどもね 中山:へへへへへ。そうでもないです。 佐藤:それだったらいいねー。楽しいでしょう 中山:ふふふ はい 佐藤:がらんどうの家型が曲がっているから いいねまっすぐだったら硬すぎるよね 中山:意外とね、こちょこちょね、デザインの効果とかね 佐藤:ふふふ 中山:一生懸命考えてるんですよ。奥に行くに従って扉の幅をちょっとずつ小さくしていって。遠近法を使ったりとか。あるいは建物の1階に1歩も足を踏み入れなくっても生活が成り立つように、建物周りから階段を始めて。途中で建築の中に入って階段にして。階段の登り口と降り口を家の中と外に分けちゃうとか。 佐藤:階段は付けたくなかったんじゃないの?そうでもないの? 中山:階段の登り口と降り口が同時に同じ場所から見えるっていうのが僕は凄く嫌いで 佐藤:平面でS字になっているからね 中山:そうです そうです 佐藤;だから外から中に入って登り切ると 中山:そうです。まったく別の所同士を繋ぐっていうふうにしてて。 何か建築の中の異なるスラブとスラブを繋ぐとかになっちゃうと。単なる移動手段になっちゃうので、もっと階段が持っている何かと何かを繋ぐっていう事に対する意味をもっと拡張したいし。 佐藤:あそこだけが「無理筋かな−」と思ったんだけど 階段の位置に苦労したのか?なんだろうなーて。今の話を聞いていると外部と内部を繋いで交流を誘うということが 分かったけど 強烈にあるよのでが違和感を持つたよ 。 中山:あそうか 僕にとっては あの階段は21世紀の傑作階段のうちの 一つだっていうつもりです。 佐藤:なるほどねー 言っていることは解るよ はははは 中山:ふふふふすごーくディテールもねーパーフェクトなんですよ おほほ 佐藤:そうかそうか。「傑作だ」と自認している階段についても うすこしお願いします 中山:階段一般に対する僕の意識としては、階段ってどんなに空間を抽象化しても人間の体が持っている大きさみたいなものが直裁にでて来ちゃうので。出来れば階段は作りたくないんですよ。いつも。 佐藤:そうでしょう 階段作りたくないんだなって想った判った 中山:階段作りたくない 佐藤:無理矢理で もつくる剛腕だっても想ったわけですよ 中山:そうです 佐藤:梯子でいいじゃない とってしまうっていう。 中山:だだ、そのかりそめの機能として 何か梯子にそれを担わせて取り外し可能ですよっていうような体裁で、何かこの階段嫌いを解決するっていうのもちょっと、意気地が無いなっていう気もしてて。 それでもう階段としか言いようがない階段を作るけど。例えば降り口と登り口が一つの視野の内に入って来ないとか。あるいはただレベル差を繋ぐっていうことじゃなくって。建物の中と外っていうか。それを繋ぐとかとううふうにするとか。 あるいはもう螺旋と直線と、それも階段の形の全部を!階段の原型の全部を組み合わせるとか。そういうのを総動員して「階段」としか言いようのない階段をちゃんと設計して。 でぐらぐらしちゃ駄目だから、ちゃんと強度が有って。それで木と鉄を組み合わせて。気持ちがよく使えて。っていう何か表現の為の階段というよりは「階段としか言いようのない階段っていうのをちゃんと造ろう」と想ってやったんです。 佐藤:わかりました。子ども達がね 上がったり下ったりして、両方の領域を行き来横断する訳です。あれは子どもにとっては凄く良い体験になっていて いいですよね。お母さんが働いている所も観て、お客さんが居るかのような別の場所を通過し続け往復してる。どっちに居るのか判らなくなる状態があそこの空間の扇の要になているわけです。確かにいいですね 中山:水中カメラを水面に半水没ささたときに上と下が両方見えるっていう状態があって。あのカメラの映像みたいのが割といつも作りたい物として 佐藤:大成功じゃないですか〜 中山:大成功ですかね〜へへへ 佐藤:俺は他人だけど、2階へ ちょっちゅう上がってね インタビューする場に使わせてもらってるんだけど 3階は寝床だから上がっていかないけど。あの階段から両領域を見下げて動画も撮るのも建築を造って来た者だけど好きだし あの階段は楽しく行ったり来たして楽しい。 中山:だったら グット です 佐藤:家型の何も無いから それそれの機能を与えられた街に出ていったり戻ったりするかのようで楽しいよ。時々刻々にそれを体験出来るし。そして がらんどうの家型 街のような機能の場を 他者もも俺が行くと色々な人が入れ替わったりして 使っている。 子どもも大勢来ていたし 毎度メンバーが代わるから 賑わっているし。全体がどこにも無い 「街っぽくなっている」し〜 中山:「街っぽく」って いいですね 佐藤:色々な人が出入りして街っぽくて凄くいいですよ すごいなーと思っていて 中山:建築の雑誌とか見てても、階段を消したくなるんですよね。他の人の凄いかっこいい建築とか写真見てても。この階段が無ければ凄い いいのになーっていつも思いながら 佐藤:階段嫌いなのね はははは 中山:大好きが反転した大嫌いだから 好きなんですけど でもいつも愛憎半ば の気持ちで、ほとんどの建築グラビアは階段が無ければ何倍も好くなるのにって思いながらいつも見ている。 佐藤:ははははは では続きに いきます 中山:まだ 続きますか〜! はははは その07へ |