HOME     文責・作成・佐藤敏宏         佐藤敏宏の京都ことば悦覧録 2017年1月27日から2月2日
ことば悦覧録

    
 
細尾直久さんに聞く 2017年2月02日京都市内にて
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 その7 

 工事中の内容を説明している細尾

佐藤:屋根はどうするんですか
細尾:既存のままです 今工事が進んでいて。日本に帰ってきたときに、日本の伝統みたいなことは頭に無くて。アドルフロースが好きですし、現代建築が好きで。京都とか奈良に古建築っていうのはある種の教養として好きでしたけど。それ以上では無かったんですね

京都に帰ってきてびっくりしたことが、色んな職人技術の普遍的な「使えるやんっていうアーカイブが一杯あって。それの豊かさにびっくりしたんですよ。



土壁もそうですけど、左官職人さん一杯いらっしゃって。土の社寺があって数寄屋があって町家があって、大工さんもそうですが、元々ある和風

 伝統的な生産システムみたいなものと、密接につながっていて、約束事の中で仕事をしてて、それは素晴らしいものなんです。

僕は外野の人間なんで、そういうふうなものだけじゃなくって伝統的な技術を再編成して現代の建築を作るというのが僕の大前提にあるんですよ

佐藤:伝統的な技術を新しいものとして再評価、再編成し再解釈し加え続け、そこでも新を発見し続けて現代建築をつくっていくと

細尾:スカルパなんかはそれでしたし。ファッションとかでもね、プラダもミラノですけど、前衛的な色々なことをやっているけども、その背景に昔から続くような革職人さんと伝統的につながって、新しくだしてもどこかに過去とか伝統的な術をどう再編集するかっていうのが、ちらっと見えるから、物凄く奥行があったりすると思うんですよね。 

佐藤:建築家でもデザイナーでもそういう構え方が身についているんだと、日本の場合は戦争で焼け野原になり全否定のような感じで戦後が始まってしまってるような気がする。

知的には西欧コンプレックスが続いた、核家族で郊外住宅作る政策があったので伝統的なものはゴミにしてしまった、そんな政策を続けた。大学でも町家のことは教えなかったし。伝統的工法や知恵を学ぶ機会も無い。

しかし京都にはゴロゴロと京町家が廃屋になっても残っている。金沢には職人大学があり京都には作事組にような仕組みがあって、京町家を改修保全しているんだと


細尾:その辺りを勉強しようと思って。僕自身が作事組をすぐやるわけでないんですけど。ああいうものの豊かさとか面白さとか重要さというを最近は実感することは多くって。見学会とかイベントみたいなのに行ったりとかして。

佐藤:京都に戻りいろいろ学んでいくんだと

細尾:作事組とかで、設計で関わられている方も、ザ建築家の方が参加されていて、モダニストの建築も作ってはって。かっこいなーこれと。大学でそういうふうな教育を受けてコルビュジェとかを叩き込んで来はった。

 職人さんとかは昔ながらの仕事やってらっしゃるから、設計要らんの違うみたいな感じで思われていることはもしかしたら、あるんちゃうかなー。そいうのちらっと聞きますよね。

お施主さんも「町家欲しいから設計要る」みたいな方もいらっしゃるだろうし。作事組って、理念を持って昔のものをつなげていこうと。設計担当のポジションみたいなんが端から見てて、認知しずらいスター建築家だったら居場所が確実にあるわけですよ

印象をぽろぽろ話しているだけなんですけど。

佐藤:日本の伝統的建築は職人技の塊で、建築家のような近代の主体が前面に出ない作り方。なので表現っていう考えも前面に出てこない作り方だよね。でも途絶えつつある。まだ過去の京町家があるのでその原因を理解しないと、今後の細尾的建築の対応もできないかも知れないんだよね。

細尾日本の大学で欠けているのは遠く離れた、古建築という世界があってね、今でも使えるツールとか今でも使える技術とか・・色んな可能性の宝庫としてのバトンタッチされる、伝統的な技術みたいなものを大学とかで、教えてない。まったく情報が無かったんですよね

佐藤:一時、目の前に在るけど消し去られちゃったかのようなあり様で、今頃になって、一部で古建築賛歌がおきてきている、

細尾細尾君なにがしたいのって聞かれても一言で言うの難しいですけど。僕はバトンタッチがしたいんですよ。僕がデザインしたものとかはいずれ消えてしまうかも知れないけど、影響から影響でつながっていく、連続性が文化やと思うから。その流れにちゃんと いい参加をしたいと思う

佐藤:引き継き発展させるものと新しく加えるものと、次の世代の人も無理なく参加できて先人の思いも壊れない、戦後のように古建築を無いがとごくにしない事態をどうつくるのかって。ようやくそららを考えなければいけない時期に町場も来ていると。そんなことでだ一回目の聞き取りは終わりましょうか。ありがとうございました

細尾:ありがとうございました 



細尾さんの事務所の傍には京町家が並んでいる通りがあちこちに在りました。



 細尾直久さんに聞く 2017年京都 はこれで終わりです 最後まで読んでいただきありがとうございました 次回聞き取りは2022年予定です おまちください