ことば悦覧 in 東京 2010(4/3〜4 版 記録集        home  

    ベラ・ジュンさん    伊庭野大輔さん   平塚桂さん    藤井亮介さん


佐藤敏宏伊庭野大輔31)さんに聞く2010/04/04 pm10〜12:30 曇り

生い立ち建築 01 02  03 04 05 )・(LRAJの活動 06 07 )
アート活動    08 09 )   

    その08  

  伊庭野さんの アート活動 

佐藤:伊庭野さんは組織事務所での仕事もやっているけど、藤井さんとアート活動をしている。アートのまねごとのようなことに見えるんだけど どうなんですか
伊庭野:まねごとねやってますよ

佐藤:擬態・アーテストも兼ねていると、あの活動は何なんですか
伊庭野:これ佐藤さんにさしあげますよ (葉書を出す)
佐藤:有り難うございます、サインしてくれるのかな 伊庭野ゲートの葉書のときのように
伊庭野:サインもしますよ 三枚ぐらいあげましょうか

佐藤:そうだね
伊庭野:淡路島に今度移設されたんですよ神戸ビエンナーレの作品

佐藤:作家活動は何時から始まったのあの活動は建築の活動だと思っているのかアートとし別ジャンルの活動だと思っているんですか
伊庭野:これは建築じゃないですか建築アートもそんなに境目ないですよ
佐藤:そうか 同じ様な活動だと思っていると
伊庭野:思ってますよ

佐藤:最初に教えてもらったのは矢印アートなんだけど
伊庭野:ブローインザウィンドーという作品なんですけども。
佐藤:一応作品なのね習作じゃないのね

 

伊庭野:
作品ですよ何言っているんですか習作じゃありません違います。
佐藤:これはなんだ? もっと大きな矢印があったじゃない
伊庭野:おっきな矢印もありますけど、最初がこれだったんです。大学院の2年生のときに藤井とふたりでコンペ出して。とったやつで。

佐藤:一応 事前審査があって OKが出てセットすると
伊庭野:事前審査があって何か、沢山の中から10個選ばれ、実際作ることになって。で作ったあとに審査があって。最優秀賞になったんです
佐藤:葉書を見た 印象で言うと この場所に吹く風を表示する。 あっちに吹いたりこっちに吹いたりするの動きを可視化した作品

伊庭野:そうです矢印が一一個が風見鶏みたいに風の方向を向くようになっているんですよ。それが沢山あると風の流れがびゅーっと視覚化されるじゃないですか
佐藤:可視化される風ね。風車だと風の強さが分かるだけだけど方向が分かると
伊庭野:そうそう。壁面の 風の動きが可視化できる、というのを出して

佐藤:見えない自然の動き活動を アートとして可視化し生活の豊かさのために採り入れると
伊庭野:というものを 作ったんです

佐藤:大きな矢印も同時に設置されたんですか
伊庭野:小さな矢印の作品で最優秀賞とったので 2005年です。5年前になりますね〜これはハウ・スローザ・ウインドー
佐藤:タイトルは何
伊庭野:タイトルに大した意味はなくって。これはボブディユランの曲風っぽいタイトルさがしてたら見付けて武満徹のハウ・スロー・ザ・ウィンドー

 

佐藤:
自分で作らず 有る言葉に乗ったと
伊庭野:タイトルは。武満徹知ってますか
佐藤:知っている 
伊庭野この曲知っているんです
佐藤:知らない武満徹の音楽は知っている 本も何冊か読んだけど。現代音楽だから実験的が曲が多い 

伊庭野:そうそうこの曲もCD買ったんですけど、全然聞いててもね〜なにかな〜何にも響かないっていうかなんだ??この曲みたいな感じでしたけど。それが重要何じゃなくって。

最初の作品が最優秀賞になったので。副賞として個展開催権うのがもらえるんです。で、代官山インスタレーションって、アーテストの為にコンペだった最初。アーテストって自分の個展はなかなか開けないじゃないですか。そういうのもあって、作ったんだけども。

代官山インスタレーションに出展してくる人がみんな建築ばっかりになっちゃって。建築家って個展とかって開けないじゃないですか。

佐藤:建築 作品作ってないからね
伊庭野:そうそう。だから、逆に代官山のインスタレーション側に事務局にお願いして、もう一個作品を次回インスタレーションのときに作らしてくれってお願いして。で、そっちの方が良いよねって話になって。でじゃ作りましょうって話になて、今度はこの大きな矢印を作ったんです

。この作品に関しては可視化っていうもの、代官山ってヒルサイドテラス側と 新しく出来た代官山アドレス側で、何となく環境が違うっていうか。

佐藤:
絶縁されているように見えると
伊庭野:絶縁されている、槇さんがやった計画だから凄く良い感じがあって。逆にこっちの場所ってアドレスのビル風がブワーっと浴びたりして変な感じだったんですけど。それはそれでこっちで、またそういう風を使うことによって。

佐藤:矢印を大きくして大きな風を楽しむと、これは風の力で動かすの?

伊庭野:
これも風で動きますよ。ユーチュブで小さい矢印2分02秒でアップされてますよ。両方とも(、大きい矢印 ユーチュー) 発砲スチロールで出来てて軽い
佐藤:ちょっと風吹くとひょっと動いちゃうのベアリング付いていて

伊庭野:これは子供の遊具ぐらいの大きさにして。軸が一本入っていて。子供が押してもくるんって動くし風でもびゅー動く。矢印がすごいおっきいと、この広場から東京タワーとかヒルズとか見えるんですけど。あるときふっとこの矢印が、そういものを指し示したときに、意味があるように見えるんですよ。だから最初の作品は風の軌跡の可視化だけだったんですけど。廻りの風景も参加させるみたいな作品になればな〜と

佐藤:子供が触れても動くし、ビル風でもクルクル動くし。各種の要因で指し示された矢印の先に 意味があるか?のような風景を見てしまうと。 矢印によって刷り込まれた共有体験があるから、意味があるかのように思えてしまうと
伊庭野:そうなんです。実は町のなかには矢印溢れています。

佐藤:最初の作品は風の軌跡を可視化しただけだったんだけど、次の大きい矢印の作品は
伊庭野:空間化し
佐藤:そのことによって作品の意味も多義化したと。その次の作品は?

伊庭野:これはまた全然違って
佐藤:一貫性がないな。3番目の作品はジャンプしたかな

伊庭野:一貫性が無いんですよぼくらは
佐藤:ふふふ 今風、一貫性がないという一貫性。

 

伊庭野:一貫性のないことをテーマにしているわけじゃないんですけど、今度は
佐藤:全部ユーチューブに動画が上がっているんですか

伊庭野:この作品はあがってないので今度上げようと思ってますれは神戸ビエンナーレ、アートinコンテナっていう。コンテナの中にアート作品を作るというコンセプト。コンテナに穴開けたりとかそういうことは一切出来ないって言われたんで。コンテナの中が内部化されて。結局何作ってもインテリア的になってしまうじゃないですか。それを逆説的に徹底的にインテリア化すると、結局ミラーボールって内部空間の象徴的な感じかなと思って。

佐藤:ミラーボールの中ってことミラーボールがある
伊庭野:あるわけじゃない、ミラーボールって絶対光の入らない地下とか、そういう空間に使うじゃないですか。そういものの逆っていうんですか。ミラーボールは真ん中に鏡が有って外から光を当てますけど。これは廻りが全部鏡になっていて。真ん中に照明があることで

佐藤:照明の仕掛けがある
伊庭野真ん中の球が 照明なんです、これが光ることで、廻りに映り込んで、これが光の玉なんです 実は

佐藤:この中に人間が入っていくわけじゃないのね
伊庭野:人間入れます
佐藤:床はどうなっているの
伊庭野:床も鏡ですよ、パンツ丸見えですよ

佐藤:ああ 凄いね
伊庭野:佐藤さん大喜びですよ
佐藤: 自分の 彼女のパンツ見てもうれしくない 直見がいい ふふふ。床は全面鏡
伊庭野:しかもコンテナの大きさに合わせて楕円になっているんですよ楕円って焦点が2つあるじゃないですか、だから片方の焦点の所にこのLEDの照明があって、ここから出た光は全部反射してもう一方の焦点に集まるんです。だから球体の鏡の空間に真ん中に一個この照明があると人の体験としては光に包まれた状態って見れない、楕円であるからこそ、一方に照明があって、もう一方に人が立っことでその光の空間に ぶーわってなっているのを体験できるっていうような。しかもそれが中に歩いて行けるっていうので、今回はウォーク・イントザ・ライトというタイトルにした

佐藤:これを見たときに金剛界曼荼羅だなと思った。曼荼羅図って知らない
伊庭野:曼荼羅知ってます
佐藤:空海さんが洞窟で座禅を組んでいて朝日が昇る、その日射しと海面のキラキラが洞窟一杯満たし〜、そのの中で感じた! 宇宙と世界の成り立ちを悟った 太陽が体に飛び込んで来たんだという語りがあるんだけど、

伊庭野:そうなんですか
佐藤:直聞きじゃないよ〜ふふ だそうなんだよ。一方の焦点が洞窟の中で片方の焦点が昇る朝日太陽自身だった と 思った 

伊庭野:空海は海のキラキラを見て曼荼羅を思い付いたんです
佐藤:そう言われているね そうだよ 俺の勘違いかもしれないが 
伊庭野:へえ〜
(両曼荼羅ネットより)

佐藤:伊庭野さんたちは空海の悟り

体験をコンテナで再現しているな〜
と思ったんだよ

伊庭野:なるほど、面白い (伊庭野さんhpへ

佐藤:空海から直に聞いたわけじゃないんだけどうふふふ、胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅の2つがあるじゃない

伊庭野
知らない

佐藤:詳しくないけど
四角なグリット状に配されている神々と同心円状に配されている神々の図と二つある、胎蔵界は母親の体の中のたとえで金剛界は外界の光の中のたとえであるらしい

伊庭野作品は金剛界曼荼羅の再現をLEDをつかって人工的に可視化したんだな〜と思ったんだよ。

空海さんは室戸岬かなに在るそうな 突端の洞窟で朝日 光で作られる曼荼羅を発見・発明したんだけど

伊庭野さんは現代的なコンテナの中に曼荼羅を再現したというのは 物流時代の今に相応しい行為だなと思ったよ

 空海さんは光で世界で満たされているんだという物語を作って、悟って、天照大神の再解釈ともいえるけど。

伊庭野作品は人工天照大神ボックスだなと思うよ。

光に満たされている世界を可視化した作品だと、LEDの場所が太陽そのものだったら 空海さんの曼荼羅そのものだったよね、。これは人工曼荼羅図3Dだね

伊庭野:しかもこれの重要なのはまさに僕らも神戸のメリケン波止場という海の直ぐ近くに立つっていうのがあったので。なるべ海の煌めきみたいなものにしたかった。だからこれはちょうどうまいことこれに関しては、動画が有るんですけど

  アイホンで動画を見せる伊庭野

佐藤:やはくユーチューブにアップしてくれよ (アップされたユーチュブ動画
伊庭野:アップします。このLEDの照明が動くんですよ
佐藤:太陽のように刻々と変化し動くと、どう動くんですか
伊庭野:見ればわかります。真ん中のLEDの照明自体回転しているんです廻りの鏡を楕円状に貼ってあるんで。普通のミラーボールってミラーボールだけで回していけるじゃないですか。照明があると配線が出るから、同じ方向に回し続けるの無理なんで。10秒ごとに回って戻るっていうふうに

佐藤:伊庭野式回転だね、また元に戻ると ふふふ
伊庭野モーターを組み替えたんです
佐藤:なるほど線がグリグリに絡まるからね

伊庭野:始まりのスピードがゼロの状態から、早くなっって又ゼロになるっていう状態が、何となく波の満ち 引きみたいにするっていうので
佐藤:金剛界曼荼羅を分かって作っていると思ったんだよ
伊庭野:弘法大師、金剛界曼荼羅??

佐藤:弘法大師は空海さんだよ
伊庭野:空海と同じ思考になったんで
佐藤:言い過ぎです。洞窟で修業してたら 朝日が昇ってきて体が光のツブツブで覆われてしまい光の一粒一粒が仏様に見えたという密教の教えだ 幻視したということなんだろうけど

 伊庭野さんはそのようなものを人工的に作ったことで誰でもが弘法大師の体験を追体験できるような作品であると。ちょっとこれを機会に弘法大師の曼荼羅を勉強してみるとアートが変わったりするかもだね (4焦点有りの宇宙卵のことも)
伊庭野:わかりました、それを今度は、淡路島に移設されたんです。今度は回らないですけど、敢えて回してないんですけど

佐藤:色彩の変化をもちいたと
伊庭野:そうです、色がなんとなく、気付いたらなんとなく色んな色に変わっていくみたいな感じで。これは花博なんですよ、だから色使おうかなと。凄い安直なんですけど。

  

佐藤:
安直だけど体験してみると説得力があるんじゃないの、思想はないけど偶然何か作ってしまったと。これこそ才能、能書きは後で付ければいいよふふふ
伊庭野:最初からそう思ったというの好きじゃないんですよね

佐藤:聞いている方が分かりにくいからそうなるよ
伊庭野:そうか理解させやすくするという意味ではそうか
佐藤:他者が理解してくれないと伊庭野さんが活躍出来る領土は広がらないので、他者が介するときは どうしても逆回しの説明はしょうがないことですね、これもアップしておけばいいんじゃない

伊庭野:そうね早くアップしたいんです
佐藤:展示しているからまだ無理なのかな
伊庭野:アップしたっていいと思いますよ。実際に見るのと画像でみるのとで全然違いますからね。 15:38

    その09へ