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なんでインドが問題か?インドはご存知の通り1974年にNPTが出来て、すぐ入らない。で平和利用の核爆発と称して核実験を行って、アメリカは固まったんですね。
これは困った。アメリカが考えたのが「原子力を輸出するグループがカルテルを結んで、供給国グループを作ろう」と言ったのが、NSGというさっきの。これは国際規制でもなんでもなくって「自主的はルールを守ろう」と。
で、「NPTメンバー以外への輸出は禁止」と決めたわけです。
ところがですね、2006年にアメリカはこれを自分で覆した。いやいやインドは例外にしまようと。
これを聞いた時に、我々核不拡散を研究している人たちは、「それはおかしいでしょう」と言って、当然怒って、日本も結構最後まで抵抗しました。抵抗しましたが、残念ながら2008年に例外化におりた。これができちゃったら、原子力供給国グループ、瞬く間に色んな国が、原子力協定を結んだ。
日本は粘ったんですね、ずーっとこのあとも。カナダと三国間結んで。2010年から協定交渉を開始した。この時も長崎、広島の市長は反対されてますが。昨年(2015年)ついにサミットで原則合意、ということがアナウンスされましたが、中身がまだ公開されていないので、何とも言えないんですが。
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私の参加しているパグウォッシュ会議では、また長いんですけど、一言で言うと、合意しちゃったという段階だとですね、あとは条件闘争ですね。「条件で厳しく、ちゃんと交渉してください」っていう提案をした。
ポイントは厳しい条件でやって、それで万が一インドが「ノー」と言えば、それでいいじゃないですか。当然「原則守ってください」と。色々書いているですけど、さっき言いましたけれども、濃縮の原則禁止というのは我々(パグウォッシュ会議)は強く要求していました。
それでも残念ながら、インドはやっています。なかなか「うん」と言ってくれない。もちろん核実験をやたらだめ、当然なんです。我々が今注目しているのは、核実験、これと濃縮再処理なんですね。こういうところがどうなるのか、まだ中身が見えてきてないとうことですね。もし新聞記事に、今度インドとの原子力協定の話が出た時は、その記事の中身で、濃縮再処理がどうなっているか、ということに注目していただきたい。
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イラン濃縮問題はどうなのか。イランとアメリカ、ヨーロッパの国々が色々話をして、ようやく、去年7月に合意したんです。これ大変な長い合意で、全部読むと時間が掛かるんです。幸いサマリーがwebサイトに出て、サマリーだけど、それでも長い。
イラン濃縮問題はどうなのか。イランとアメリカ、ヨーロッパの国々が色々話をして、ようやく、去年7月に合意したんです。これ大変な長い合意で、全部読むと時間が掛かるんです。幸いサマリーがwebサイトに出て、サマリーだけど、それでも長い。色々あるんです。
今日言いたいことは、濃縮と再処理について、権利は認めるけど、核拡散リスクが高くならない範囲でイランに時限付きで合意してもらう。一言で言えばね。
それまでは、アメリカの立場は濃縮も再処理も一切認めないっていうんですね。 でもイランは、NPTの会合に入ってますから、平和利用の権利、書いてある。 それ、権利を否定するの違うと。NPTの会議でもね、強調していました。その権利を認めろと、いうのと、いやいや絶対に認めないと、ずーっと対立が続いて来たんですが。
オバマ政権になって「分かった タイアップしましょう」と、話になって。で「権利は認めるけども、核拡散リスクが高くならない範囲にしましょう」と。一言で言うと濃縮ウランは駄目。それから、高濃縮ウランだと20%以上の高濃縮、これは駄目。それから、必ず使う保証が必要、もし在庫が出来たら、国外へ持ち出す。そして国内には濃縮ウランの材料は無いようにしましょうと。イランはそれにOKしたんですね。
これは大変な事です。技術開発は一応ストップ。今有るものは動かしていいと。凄いアメリカが妥協した。最初アメリカは「動かしていけない」と言っていたけども、保障措置が掛っていればそう簡単には・・は出来なくって。濃縮はそういうことだと。問題は再処理ですよ。これの権利はずーっと強調したんですね。これに対して、一つは技術的に解決を示唆したここは実はパグウォッシュ会議の一つの役割なんですが。プルトニウムを生産しやすい重水炉から、そうでない原子炉、炉心を変更してプルトニウムの生産効率をや約1/10に落とした。 でも残念ながら出来ちゃうんですが、10分の1にすると、さっき言いましたけども止められはしないけど、時間が掛かります、スピードを遅める。
それから今後15年間は再処理しないというふうに決めた。15年短いんですが、15年ぐらい止まってしまうと。実は日本でも再処理20年ぐらい止まっているんですが。実はなかなか復活するのは難しいです。だから15年というのは決して長くはないんですが、短くもない。微妙な時間です、アメリカはもっと長くしたかった。
これによって、これだけのブレーク・スルー期間という言葉がありますが、いざ、もしイランが今日「NPTを脱会して、核兵器を作りたい」と言ったら、どれぐらいの時間で出来るかというのを考えると、それが1年以内じゃ困る、これ一生懸命原始的な・・・ミーティング。アセスメントだいたい一年以上かかるぐらいまでなら我慢できる。イラン側もいやいや1年は困ると言ったらば、おかしいわけですが。言っているんです。もうちょっと短くしたい。でも結局15年間、使用済み燃料は全て外に出す。これも重要な決定です。
新聞では濃縮の方が大きく報道されましたが、私はこの再処理も注目して、これは非常に重要なことです。イランは権利は認められるけど、自分で再処理は15年間はしない。これは大変大きな進展だと思います。研究開発もしない、これがイラン合意で重要なポイントです。
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イラン核合意テキスト |.PDF (scribd.com) |
漫画に描いてあるんですが、イランに一生懸命交渉するのは私は素晴らしと思うんですが、実は隣にイスラエルという国が在って、はっきり言って何百発持っている。この漫画はですね、まだ交渉して最中での漫画なねすけど。2008年ですから。
この人、マグーヌさんですね。イスラエルの科学者でイスラエル核兵器プログラムを内部告発した人ですね。アメリカヨーロッパ国連大使。
「いやいやイスラエルの核兵器を なんとかしてくださいよ」と。イランはまだ作ってないんですね、核兵器。「イラン、こっち一生懸命締め上げて調べているけど、もう核兵器作っているイスラエル側は」。イスラエルには何にも、交渉もしてなんにもしてないんですね。
実はNPT・・検討会議の問題になりました。「中東で非核地帯を作る」と話したときに、一番大事なのが、このイスラエルの核兵器をどうするか。
これが今の核軍縮問題、核不拡散の問題。持っている国に対してなかなか交渉出来ないのに、これから持とうとする国に対しては非常に厳しくやると、という問題が残るんですね
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最近、新しい、重要な課題として、核セキュリティという言葉も覚えていただきたいと思うんです。これは国による、核兵器の使用ではなくって、非国家機関、いわゆるテロリストですね。核物質を盗んだり、核兵器そのものを盗んだり、ここにも書いてないですが、サボダージュというのですが。原子力施設に入り込んで、事故や核物質の拡散を行う。これ核セキュリティ、これを防ぐのを核セキュリティ。
特にアメリカは9・11の同時多発テロにですね、テロリストが核兵器を持って、核物質の盗難や兵器を開発することが現実のことになった。
特にアメリカは9・11の同時多発テロにですね、テロリストが核兵器を持って、核物質の盗難や兵器を開発することが現実のことになった。
特に核セキュリティということを世界に広めて、オバマが大統領になってから、サミットというのをアメリカが主催して、今年この3月の終わりから4月の始めにワシントン4回目のサミットが行われました。日本は4回のサミットで・・・あとでお話しますが、それなりに、進展はあるんですけど。サミットですから首相レベル、大統領レベルが参加するということで、非常に重要な意味を持つんですが。まだまだ問題はある。
大国間、国家間の核不拡散の問題に加えて、核物質の場合は核セキュリティということも重視していただき。
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それでは 最後一番 私の研究テーマである、核燃料サイクルの話にいきたいと思います
その04へ
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