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岩堀未来 さん編    茅場町にて  2014年6月7日   

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岩堀:小屋裏のつくりが表し 一発勝負っていうのがけっこう大変でしょうね。作る方は それにまいってましたよ
佐藤:裏地が全部現れ出て来ちゃうからね。

岩堀:実はさっき設備の話しが出ましたけれど。全部露出なんですよね。梁が300の高さがあるので 正面から観ると見えちゃうんですけど。視線を振れば完全に見えないっていうそういうのも考慮して。お年寄りが来る所なので。配線がもろに見えてるとか。そういうのは凄く嫌がられるそうなんですけど。ここではこういう屋根の構造で、斜めから見れば見えませんよというようなことで露出を

佐藤:電気の配線も露出ですか。写真では見えないので
岩堀:露出です。全部見えます。配線の亜鉛メッキ管や スプリンクラーの水道管が露出されているんですよ。なかなか分からないですよね。 

佐藤:梁奥底は暗いでしょうからね 薄ぼんやりしちゃうしね
岩堀そう。だからちょっと斜めになると もう全然見えない
佐藤:梁から下は白く塗ってある中庭周りは窓で明るいし。天井裏奥までは気が付かないと

岩堀:実はこの合板は塗装もしてないんですよ。梁も。塗装費も抜いて。まま。
佐藤:建材屋から仕入れたままの姿で仕上げ つかったと
岩堀:だから判子とか押されているんですよ うふふっふうふ それも分からないくらいなんで これだけだーっと梁があると ふふふふ そのぐらいざっくりした作りなんです。実は。

佐藤:それはいいね
岩堀こういうのでも お年寄りが住む空間として いけるだろうと。


佐藤:この6年で2軒だけ完成というのもなかなか少な!凄いですね。俺並みですね

岩堀ふふふふふ今後はもうちょっと と思っているんですよ。今福島で・・ 佐藤さんは住んでらっしゃる福島で。酒蔵の復興のお仕事をしている。・・・江戸時代から続いている酒蔵です。震災で倒壊したんですね。 一部は解体して新築で作ったのもあるし。骨組みだけ残して建て起こして外壁と屋根は落として。それを新しく作り変えるというふうにリノベーションした蔵はあるし。そういう いくつかの蔵を修復しながら。去年は生産部門のところを、今年やっているのは お店 とか 離れとか接客部分。改修と一部新築もしています。

佐藤:複雑な仕事ですね
岩堀非常に複雑で
佐藤:古建築に対する知識もって無いんでしょう 
岩堀無いです。やまべ先生という構造家の先生に御指導をしていただきながら。それも設計チームでやってます。

佐藤:ボランティアで関わっているんですか
岩堀:いやいや 仕事として。 ボランティアで できるような規模ではないので。
佐藤復興 関連予算ですね 
岩堀:チーム4人でやってます。いまその仕事の真っ最中です。

佐藤:酒蔵新築しちゃうと酒の味が変わりますから 大変微妙な仕事ですよね。
岩堀:ここは新築で新しく作ってもいいだろうと。去年の初めから関わっています。設計から入ってます。その前には、震災直後から2人女性の建築家が入って居た。彼女たちは 初め調査から入って。進めていただんだけども。とても2人じゃ出来ないっていうことで、声掛けていただいて。本格的な設計に入るときに。一緒に加わって。やりはじめた。

佐藤:岩堀的建築づくりは 新しいやりかたにはいったと。

岩堀:ここで考えたことというのは、まず蔵という非常に閉じられたビルディングタイプに、中のアクティビティーを目指していくというものではないので。

 ただし町と蔵をいかに接点をつくりだすかっていうのが一つのテーマとしてあって。その時に考えたのが。復興予算なので非常にコストが厳しいので。あまり特殊なことは出来ないと。

 そこで考えたのがベースを白にして杉板をつかって何か風景を作り出せないかということです。醸造蔵に関しては町の人が通る道があってその道に面していて、大きな8×10mの壁があるのでこれを杉板で作ったら凄く迫力が当然出て来るわけで。何かしらの接点が生まれるんんじゃないかと。

 将来的には前に植栽を植えたりとか、近くに保育園が在るので 子ども達に植えてもらうとか。そんなことも考えてます

 実はナマコ壁だったんです。その記憶は残したいという要望があって。これからナマコ壁を作るっていうのはコストもあるし。現代的な材料でつくればナマコが担っていた機能は担えちゃうので。どちらかというと。記憶を継承するっていう意味で この杉板をこの位置に貼っていったと。


佐藤
:現在の一般的な材料に置き換えたわけですね
岩堀:はい。これに関しては店側から来る、接客空間の裏なので こちらから人を導きいれて 蔵の見学みたいなものも出来るように将来的にはしようというような考えがあって。そうするとこれが正面に見えてくる蔵なので。何となく装飾的な感じ ちょっと華やかな雰囲気というか。そういうのを作り出そうという意図があって。装飾的に杉板を貼ったと。

 実は棟がずれていて。写真では写ってないんですけど。その屋根の形がちょっと変わっているので、それに沿って。その屋根を強調する形で杉板を貼ったと。壁の白に杉板をそれぞれのコンテクストに合わせて貼ることで、閉じられたビルディングタイプの蔵っていうので人との接点をつくりだそうと。そういう意図もあります。

佐藤:敷地も蔵も でかいからね。ランドマークだからね酒屋の蔵ってのは。なかなか新しい形態にがらりと変えるのは難しいですよね。従来のナマコ壁風に仕上げてくれという注文がなかったのは好かったのかもしれないですね

岩堀:色々そこは議論を沢山したところです。若い新しい考えをもった人もいますし。色々な意見が出た中で。しかもコストを掛けないで。坪60万円代でつくりました。外壁は普通のサイディングですからね。鉄骨造の架構も特殊ではないので。

 僕らは町の壁って呼んでいるんですけど。町の壁にしようというふうに。出た瞬間に色々腑に落ちたという感じです「それはいいね」って。

佐藤:植栽がはいると雰囲気は変わりますね。間に筒のスペースを入れてお店に来た人たちも蔵を体験してもらうと。建物周りを整理しだんだと。どのように設えていくかはこれからの課題だと。震災で取り払ったのでと

岩堀:例えばこういう路地的な空間 これがずーっと抜けていって。見渡せるので。そういう所を何か巧く使っていきたいなーという希望をもってるわけです。


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 絵 プロジェクト 筒の家 3