HOME 佐藤敏宏のことば悦覧録 | 岩堀未来 さん編 茅場町にて 2014年6月7日 01 02 03 04 05 |
03 岩堀:ほぼ同じ 筒 構造のコンセプトで設計していて、それを住宅ではなくって公共的な建築にした場合いにどういうふうに展開されるかっていうのを試みたのがこの建築です。 佐藤:平面が絞ってるのが面白い ですね 岩堀:逆から見るとこういう感じですね ふふふふ 佐藤:気持ち良さそうな建築ですね 岩堀:単なる廊下じゃなくって。回廊というか、縁側というか。 佐藤:運動不足対策と対話不足を解消するために 回廊を設置し入居者に回遊させてと防御する建築の仕組みだと 岩堀:で中庭は開いて。そうすると半屋外になる。 佐藤:天気の好い日は開け放って自由に中庭に出ていただく と 岩堀:開け放つと外部みたいな感じになちゃうんですよね 佐藤:柱と建具はあるけれども回廊と中庭は一体に使えると。梁の上は素材のママで仕立て 梁から下を仕上げしてと 筒の家2と共通していますね。ルールを自分で作り守っているんですか 岩堀:まず構造体を表しにするっというのは一つルールとして決めていて。 で、屋根を、特にこれは構造体を強調しているのは 平屋って屋根が空間を支配するっていうか。その影響力っていうのは非常に大きいと。屋根の部分に主要なコンセプトをもって来てるっていうのは、平屋建てであるから っていうのもあります。 佐藤:勾配はついているようなついてないような緩いようですが急勾配にすることも可能なわけですが。四角な箱に見せたいのは岩堀好みですか 岩堀:好みもありますけど、小屋組つくるとそれだけの木材が要りますよね。なので、最低限の勾配屋根にすれば、それだけ材料を少なく屋根を作ることが出来る。そういう合理的な考え方に基づいているっていうのが大きいです。 佐藤:間に空調の吹き出し口が見えて 回廊 周りも空調しているんですね 岩堀:大きいところは吹き出して エアコンを部分的に埋め込んでます 佐藤:山梨県だと真冬は床暖なしだと寒そうだし、竣工したばかりだから冬を越してないんですね 岩堀:越してないです。四季を通して どういうふうになるか。これは木造ですけれど坪70万円代ですから。相当なローコストですね。 佐藤:本当だね。筒の家は坪100万ぐらいですようか 岩堀:100万まではいってないですけど90万円代ですね どちらも。介護施設は70万円代です 佐藤:大きいっていうこともあるかもしれないがローコスト。 岩堀:設備なんかは住宅に比べれば付いているし、機械浴室が入っているし、それで坪70で出来たからいいんじゃないかと 佐藤:最近の老人介護施設は住戸は防火区画は施してるんでしょう 岩堀:してます。法律で決まってます。 佐藤:介護施設の火災でスプリンクラーが無く火災が起き多数老人が亡くなって防火設備の設置などが社会問題になってましたからね。 岩堀:スプリンクラーなど設置義務は認知症の人を受け入れるか受け入れないかみたいなことで数とか配置とが変わったりして、それは消防の指導を受けて設置してますね。 佐藤:夜間職員が少なくなって惨事が起こることが多かったので、建築の防火設備は厳しくなって来てますね 岩堀:ここは夜は職員1人になります。 佐藤:働く人の休場所は少ないですが休んでいる暇はないのかな。 岩堀:事務空間はここで。あとは昼間はお年寄りをマンツーマンみたいな形で16室あるから。今はまだ埋まってないですけれど。けっこう大変でしょうね。 佐藤:これから日本では このような施設を沢山つくらないと悲劇がおきるね 来たる10年で高齢者 加速度的に増えるからね 大都会内は特に増えるからね〜 10年後の社会にどう対応するか問題になってますからね 岩堀:これは実は高速のインターから近い道沿いにあって。意外に都内の人が入るんですね。 佐藤:すでに、都内の施設からあふれ出しているんですね。山梨にまで老人がやってくると 大都会周辺県は介護施設のラッシュになると 岩堀:で、言われたのは。この施設に老人を預けていく家族っていうのはちょっと後ろめたさがあるらしいんですよ。なので来たら通常あまり長い時間滞在しないで帰ってしまうらしんですけど。それは避けたい! ということで、どちらかというと来て家族で別荘に行って過ごしているような雰囲気を出したいという要望があって。こういう開放的な空間をつくった訳ですね。 佐藤:介護は家族が担うものだという意識がまだ残って居るということですね。プロに預けるのがもっとも良さそうだと思いますがねー 岩堀:ふふふ まあそうですね。後ろめたいと 感じる人もけっこう多いみたいですよ。 佐藤:若い時分を含む普段からの家族関係が投影されちゃうでしょうからね。 預け放し〜で介護の施設に来ない人も居るだろうし。 要介護者はそれまでの社会的地位や年収の高い低いとは 無関係に 日頃の家族間の関係が介護の場にも表れてしまうんでしょうね。健常時の日常の家族との関係が投影され 好い介護か可能かどうかの要点だということですよね。 岩堀:ふふふふふ 佐藤:なかなか日頃から好い関係をつくるのは 難しいですね。他人には言えるけど自ら実践するのは困難な人もいるだろうし ははははは 家庭内離婚や別居という言葉も生まれましたし、その人達が高齢化するわけですので 人と人の関係は難しいもんです 。身近な他者である家族とどういう関係で生きて行くのかってのは介護問題は大問題として顕在化しますからね。 この建築で岩堀建築の3つめということですね ということはこの6年間で3物件しかつくってないということですね 岩堀:そういうことです ふふふふふ 佐藤:最初の筒の家は前回の聞き取り時には既に出来ていたので2棟ですね 岩堀:6年間で2物件です。僕は 独立して8年ですから、3年に一戸の計算ふふふふ よく生きているなっていう 佐藤:日々の生活を質素にされているんでしょうね 岩堀:スタッフも雇ってないし。1人でやっているから。 営業が巧くないので、来た仕事はじっくり貫くと。 佐藤:工期など示された場合はどうなるのですか 1人だから少し待ってもらうとかですか。 岩堀:いやいや その制約はあります。手伝ってもらいます。 佐藤:箱というか筒というかその手法は継続しているんですね 岩堀:これが今それを表している 佐藤:図面の薄墨の表示がね 岩堀:住宅ではどちらかというと単純な筒の形でいままで出来ていたんだけども。 介護施設のような公共施設になるとそういうわけにはいかないので。筒が重なって来たというか。複数の筒が重なって不整形な筒になったと。 佐藤:筒の機能は住宅の方ではパブリックな場になってましたね。介護施設でも同じなので、筒状の場は共有される場になるとうのは共通してますね 岩堀:はい、で個室は別になっている 佐藤:筒が経路機能を担っているということで 見通しもよいと。筒を長くして広場も運動場も兼ねて筒が不定形に成長し続けていると。 岩堀:そうですね 佐藤:明解な計画なので仕事が一杯来そうですね 岩堀:そうなってくれると嬉しいですけれどねーふふふふふ 期待しているんですけどね。 佐藤:たぶん仕事が増えると思うなー 岩堀:これはまだ発表してないんです、これから発表しようかなと 佐藤:老人施設をつくったり紹介したりする専門の雑誌あるといいね、そういう雑誌に載せると日本各地から注文が来そうですね。世界中から来るかも知れませんね。介護関係のサービスは日本は進んでいるほうでしょうから 来ますよふふふ 岩堀:実はこの住宅は意外と海外で反響があったんですよ。住宅特集は海外でも見ているらしくって、そこに掲載されたら、海外のサイトから随分載せたいというのが来て。 佐藤:注文じゃないんだ 雑誌に載せたいな〜なんだと 岩堀:で注文もね1人来ましたよ。ただそれはぽしゃりましたけれど。韓国の済州島にこれと同じようなものを作りたいという。日本語が凄い達者で、日本に住んでおられる女性が来て。 それは 自分達はホームステーをしていて、海外から来る人をそこに滞在させて、っていう施設を作りたいんだけど。これを見て 凄く同じようなものを作りたいって言って。ただ値段聞いてびっくりして帰っていっちゃいました。ふふふふ。 佐藤:韓国の建築 請負師がつくれば値段は下がるのではないんですかね。コストは日韓ほぼ変わらないんですか 岩堀:RCで坪40万で作ると言ってましたね 佐藤:それならもっと安価にできそうだね 凄い単価安いんだね 岩堀:日本だとRCだと坪100万超しますよね。っていう話しなんかしたりして。どちらかというと設計料なんでしょうね。 工事費ベースで設計料を決まっちゃうじゃないですか。で、僕は韓国事情を知らないでいきなり来たから。知らないで話していたら、設計料の高さにビックリしたみたいで。「ちょっとそれは払えない」みたいな感じで ふふふふ。そこでは言ってなかったですけれど。いかにもそういう感じでした 佐藤:コストの安い外国の地で設計をする場合はどうしてるのか知りませんが 建設地の工事費に対しての金額になるのかな。同じ割合いでもらっても円換算してしまうと 半値以下で設計の仕事をすることになる場合いもあるでしょうね。3年に一回の仕事では付き合いきれないですよね 岩堀:成り立たないからふふふふ 佐藤:日本でしか 岩堀式設計請負方法は日本でしか成り立たないですねふふふふ 岩堀:ちょっと今後 考えなきゃいけないなーっていう。 佐藤:印度で設計請け負う場合いもあるでしょうし。その地に行って暮らして設計するしかなくなるね。韓国では設計者に設計料を払うということがあるのか無いのか不明ですが 岩堀:ありますね。その後ぼくはリサーチして韓国で仕事をやっている人に聴きましたけれど。量率は低いらしいんですけど、韓国は構造体で設計料幾らとか、インテリアで幾らとか。外構設計でいくらとか。そういうのを合わせていってそれで設計料が積まれていって、だいたい値段に、そんなことらしいです。そんな話しを知らないで言っちゃったもんだから ふふふふ 驚かれたんでしょうね。 佐藤:外国からも反響があったということで、それから工事を請け負っていただく場合いにすんなり業者の方が決まるんですか。見つかりますか。 岩堀:工務店ありきの話しでした。 佐藤:発注者サイドで工務店の依頼先があるということですね。それは楽ですね、探す必要がないから 岩堀:ただ、こういう仕事に慣れてないていうのがあって。普通の工務店だったりするんで。監理 そこは苦労しましたけれどね。 佐藤:工事のやりかたを指導しないといけないからね 監理に手間が掛かると 岩堀:詳細図なんかは滅茶苦茶書きましたけれど。 佐藤:山梨県の介護施設の方は311地震の後に施工したんですよね 岩堀:そうです。着工は去年(2013年)の夏ですね。8月です 佐藤:順調に竣工しましたねー 岩堀:そうですね。順調っていう感じでもなかったですけど。職人の手配はそんなに苦戦はしてなかったようですね その04へ |
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