HOME 佐藤敏宏のことば悦覧録 | 第二回 岩堀未来 さん編 茅場町 シェアオフィスにて 2014年6月7日 01 02 03 04 05 |
2008年 第一回 岩堀未来録へ |
01 岩堀:緊張しますね 佐藤:え!俺が聴き記録しても 何の役にも立たないけれど5年毎に他薦された建築系の人々を聞き取り記録しようということですよ〜。前回は2008年でした。岩堀さんは仕事を家でやっていて、仕事場は寝る所と一緒だから他者を招き入れられないということで、三茶の喫茶店で話していただきました 岩堀:あのときは喫茶店というか、良い感じの店が 三茶周りにはあるので 佐藤:現在は茅場町に共同で事務所を借りて。シェアオフィスの中で仕事をしていると。 岩堀:話し合っている所は共有の場で打ち合わせスペース。奥は通路を挟んで5っつの事務所が入ってます。 佐藤:6年前は岩堀建築は実現してましたかね 岩堀:一軒建てていました。お見せする感じではなかったですね。 佐藤:建築もできているのかぼんやりした状況で 俺も何を聞いたらいいのか分からない状態でした 岩堀:あのときは一軒だけ出来ていて。今度見るとかいう話しになって。終わっちゃったんです 佐藤:満田さんが構造を担当した住宅でしたかね 岩堀:そうです、満田さんの構造設計です 佐藤:満田さんの事務所に 聞き取りにいったら写真があったので これかなと思いました。2階建ての箱形だったですねたしか 岩堀:これですよね。 佐藤:写真集があるから それを見せていただきながらこの6年間の話しを進めましょうか 岩堀:ふふふふ。 佐藤:難波先生の箱の家と似ているような似てないような 岩堀:筒の家って言うんですよ こういう風に筒状に抜けているっていうことなんですよね。これが1番初めに作った住宅ですね。三鷹市に在ります。 これは車いすの30代の男性とご両親の3人家族で。 この大きい2層吹き抜けの1番道路際の所が車いすの彼のスペースで。 車いすなんで自由に、普通の人と違って外を出回るってことも無いので。なるべく開放的で大きい空間が欲しいということで。こういう格好になった訳ですね。 佐藤:家の出入り口狭そうですけど 車いすは すいすい通れますか 岩堀:小さい頃からずーっと車いす生活で、特注で彼専用の車いすなんです。これで車も乗れ 運転も出来る。スロープで入っていくんですね。回ったら大きな空間に出て来ると。 ここに出入り口用の引き戸があります。彼のメーインのスペースがあって。ガラガラと開けるとアルコブになっていて。ここにベットが隠れている。 佐藤:この筒の家が最初の岩堀建築の作品であると 岩堀:そうですね。 佐藤:内装は全てベニア板でシンプルな仕上げになっていると 岩堀:シンプルな仕上げで。これは構造用合板なんだけども。節が無いという合板ですね。それを床・壁・天井・家具 全部同じ材料で仕上げました。 佐藤:構造は在来工法なんですか 岩堀:在来木造です。ただ接合部なんかはクエテック金物みたいな物で処理し、従来の仕口でやるのではなくって。ガセットプレートみたいな金物を使って組み立てていくので。どちらかと言うと木造なんだけども作りは鉄骨造みたいな感じで。システマチックに組み立てられるような作りになってます。 佐藤:床暖の絵が書いてありますが 岩堀:そうですね。これは蓄熱層なんですよ。床暖房の。これはちょっと面白いものです。このメーカーがアイディアマンというか。これは模型ですけれども。床の根太の間にこいう袋に水が入っている。こちらが実際の大きさです。これに水を入れて根太の間に敷き込んで。その下に電気ヒーターが入っていて。深夜電力で。 佐藤:電気ヒータは面状発熱体なんですね 深夜電力で発熱させ水を温めて蓄熱すると。 岩堀:そうですね、深夜電力で暖めて水に蓄熱すると。水は熱容量が非常に大きいので昼間切って 放熱していると。ここは基礎もずーっと断熱材でくるんでしまうので。 佐藤:外断熱ですね 岩堀:完全に外断熱ですね。なので冷蔵庫みたいな感じです。断熱材でくるんでしまうので。でべた基礎なのでこのコンクリートと水に熱を貯めていって。室内の環境をコントロールしていくというような感じですね。 佐藤:生活 暮らしやすそうですね。 岩堀:そうですね。暖かさっていうか、床暖房というよりかは、蓄熱層なので、家全体をある一定の空気を保ち満たしているというような考え方ですよね。一部分だけを温かい風で暖めるのではなくって。空調機は当然 冬は使ってないですね。床暖房だけです。 佐藤:中間期は窓を開け放つと 岩堀:そうですね。これは丁度南北軸に建てているんですけど。中間期は窓を開ければすーすー風が通るので涼しいと。 佐藤:これが最初の作品であると 何かの賞をもらいましたか 岩堀:これはグットデザイン賞 佐藤:お洒落でぐーっと ということで 受賞お目出度うございました。自薦ですか他薦ですか。 岩堀:自薦です。筒の家なんですけど。次が筒の家2です。 佐藤:何が違うのかな 規模が大きいかな。 岩堀:実はそうでもないんですよ。これが模型なんですよね。 佐藤:どちらも模型も同じスケールですか 岩堀:あ!違います。こっちが1/30。こちらは1/50です。 佐藤:何が筒なんですか。 岩堀:筒と言っているのは。とにかく南北方向に抜ける空間を作ることですね。 佐藤:南北方向に抜けている筒が集まった建築ということですね 岩堀:そういうことです。こういう筒状空間を外皮でつつみこんでいて。それが生活空間としてあると。この筒の中身っていうのはあまりいじくらない。要するにどーんと作ってしまって。あとは生活に応じて使ってくださいと。 佐藤:次の岩堀建築の話しに移ります。 梁がでかいですね。1mぐらいあるのかなー もっとでかいかな 岩堀:これは900です。ここが8.4mのスパンがあるんですね。なので900ミリの真物の合板をこういう形で 佐藤:合成梁ですね 岩堀:合成梁です。飛ばしていると。なので このスペースにつては全くの無柱空間になっている。なので建具とか家具などは荷重がかかってないので、後で取り払うことも出来る。トイレの当たりは囲ってますけど。取り払って自由に使ってくださいと。 佐藤:平屋ですものね 岩堀:平屋で別荘というかたちです。 佐藤:場所はどこですか 岩堀:南房総市なんです 佐藤:積雪は無さそうですね 岩堀:無いです この建築も同じで断熱材で全部すっぽりくるんでしまって、外側に空気が流れるように通気層を作って、ダブルスキンになっていると。 佐藤:基礎下の断熱材はぺちゃんこに潰れてしまわないものですか 岩堀:それはないですね。基礎の下に敷くっていうのは難波事務所時代からずーっとやってますけど。 佐藤:湿気も上がってこなくって良さそうですね 岩堀、そうですね。これも蓄熱式の床暖房が入っているんですけど。 佐藤:スタイロフォームと書いてありますが 岩堀:防蟻用のスタイロフォームですね。 佐藤:南房総市と聞くと断熱なんかしなくっても 温かそうな気がしますが 岩堀:と思うでしょう。実はね館山とか南房総は最低気温なんかは東京より低くなるんですよ。 佐藤:海流による風の強さのせいですかね 岩堀:ですかねー。なんでお施主さんもそういうイメージで温かいから要らないとか言っていたんですけど。ちゃんと調べると こういうことですよとと言って。同じ蓄熱式のものをやったりすると非常に快適だという説明をして。採用してもらったと。 構造は梁の上に構造用合板を貼って、これで面剛性をとっていますね。そのまま表しになっていて。この合板の上に断熱材があるんです。その上に小屋組を組んで空洞を作って。 佐藤:換気扇を回していると 置屋根の様に二重になっているんですね、それは涼しそうですね 岩堀:で外壁も同じ構造をしているん外断熱している 佐藤:最初の筒の家と違って和室があるんですね 岩堀:これはご要望でしたね 佐藤: 一段上げて 物入れも丁寧につくった。写真撮影はどなたが担当ですか。同じ写真家にお願いですか 岩堀:うえだひろしさんですね。住宅特集は新建築の方です。こちらは坂口さんという難波事務所からの付き合いなんで撮っていただきました。 佐藤:何年前に完成したんですか。 岩堀:2011年の3月です。 佐藤:地震が来る寸前に完成ですか 岩堀:これは本当にその時期で。オープンハウスも3月12日だったんですよ。ふふふふ 佐藤:そりゃ大変な時期だ 南房総まで辿り着けませんねー電車走ってましたか 岩堀:いやいや。僕は地震が起きて、海際なんで津波が来るんじゃないかと思って、何時間も掛けて行きましたよ。200m位先が海岸なんで。 佐藤:海抜はどのぐらいですか 岩堀:ここは10mは無いでしょうけど、いがいに高いんです。海からぐーっと上がった所だったので。津波の影響はまったくなかったですね。 佐藤:構造はどなだが担当されたんですか 岩堀:鈴木啓(すずきあきら)さんって言って。佐々木事務所出身で。満田さんよりも先輩の人。仙台メディアテークなんかを担当された方で。彼は実は三茶に住んでいてばったり三茶で会って。 その02へ |