金沢  ことば悦覧 2008年春   home 

  林野紀子さん ことば悦覧  2時間23分    

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 その05      林野紀子さんインタビュー 1時間00分25秒から

林野:それはやっぱり美術館の制度であるとか、何かそうじゃない処からお金が動かなくっても、何か動くっていうか
佐藤:それは 林野さんの個性に全てかかってしまうね
林野ふふふふふふ

佐藤
:さっきの建築家じゃない、周縁の建築家どうようにであるという
林野:えーそうですか
佐藤:そう思うな、だってみんな既存の価値のド真ん中に居る建築家では無理だもの。林野さん的行為は。真ん中に居ると従来の普通の建築家に成るなとしか思えない。そうなる方がラクチンだし。元々の既存の建築家の価値観ってのが在るじゃないですか?、そこに足を踏み入れつつですよ、新しい建築家に成ろうなんて思っていても無理ですよ。そこに在る価値観の中に取り込まれて行くしかない。真ん中には行かないぞと決めて、違う世界を目指せば可能かもしれない。判っているけど違う地位に行かないで自分は違う世界を、建築の概念を越えたね。カーク、このような場所や絵みたいなものを作れるっていう人はねなかなか居なさそうだ。既存媒体の中でぶいぶい言わせてさ、どこか有名事務所卒業して来てさ〜
林野ははははは

佐藤:山師の玄関みたいに、入り口一杯飾っるかのように おいしい経歴一杯並べて、真ん中に位置したいだけだ。ダサイじゃん

林野:
何かこないだ、ナカムラ・マサトさんて方がいて。ちょっと カークで講演して頂いて、話だ出たので。いったんトコトン絶望しないと駄目だなんって話が
佐藤:そうだね
林野:とにかく、にっちもさっちも成らなくって、どうしようもないぐらい絶望しないと、次にパット行けない。
佐藤:学園などのハピーなローカルサイトに住んでいる人は何も変えない
林野:それを中村さんはゼット系と名付けていたんですよ。一回ゼット系越えてなにか・・。
佐藤:自分でゼット系を演出は出来ないから、現状に絶望して ふふふふふ ジャンヌダルクのように旗を振ってみんなを鼓舞し引きずり込む。動きだすという感じしかないでしょうね〜。近代の価値でシステムがキチンと作られて社会が動いているのでそこを脱出するためには。 あらゆる処から回収されない位置に居るしかないじゃないですか。
林野:ふん

佐藤
:そうすると何か曖昧な人達や若い人のド真ん中に その希望は無いのじゃないかな〜というふうに思うんですよね。それでどこに希望が在るんだろうか?と思っているので 出掛けて来て聞いて歩いているんですけれど。居たじゃないですかここに。

林野どうなんでしょう、自分ではよく判らないですけれども。ただまあ〜
佐藤:判らないけど、妹さんが勉強してた建築を「これは建築じゃない!」と思った感覚が重要であって。そこから考える。直感的に判っているけどもまだ具体的じゃない。これは建築じゃない!
林野:勘違いかもしんないですけども

佐藤:いいですよ。勘違いで
林野うふふふ
佐藤:人生も世界をも作るのは勘違いかもしんない。朝来て寝てたら布教をして走り抜けた人がいたけども、彼らも勘違いかもしれない。
林野ふふふふふ

佐藤
:キリスト教とイスラム教の兄弟宗教が勘違いで年中争ったり、イラク戦争が起きているわけですから。勘違いというのが世界を作り出す可能性を孕ませるんですよね。

一端戻りますね。さっき話がドンドン進んでいって何で独立するんですか?って話を聞き漏らしてしまったので。今までの話のなかだと、曖昧なままにそこに至ってしまったということしか成らないので。自分たちで独立して事務所を張ってやっていこうという。強い意志が有るのか無いのか、その辺のところをお聞かせ下さい

林野:う〜ん 難しいな〜ふふ。何か・・あの〜・・試してみたかったっていうのが正直な処なんですよ。
佐藤:試すというのは?
林野:つまり、誰かの事務所でスタッフとして働いていると、自分で決める事ってほとんど無いんじゃないですか?
佐藤:そうですね

林野:先輩なり、上司なり、ボスなりが最終的な判断をしてくれる。自分が決めたようであるけれども、後ろに誰か居てくれる。そういう感じでしか自分が建物とかを作るっていうことをやったことが無かったから。本当に自分で出来るのかどうか、よく解らなくって。出来るかどうかやってみたかった!
佐藤:。まあ 無謀なところがまたいいね〜といっっておきましょう

 ともに はははあっははは
林野:施主さんには聞かせられないかもしれないけれど
佐藤:勉強もしているし、社会に施工技術的なストックがあるし、仲間もいるので大丈夫ですよ。それでいい。 理解ある太っ腹の施主さんは必ず居るんですよ。そうじゃないと若い人は育たないですよ。 

それでも 林野さんが痛みを伴う、絶望をも貴方に与えてくれる機会になるかもしれない。だから公開して、実践。やった方がいいですよ。信頼関係が深まっる人間の交流が成り立つ芽がでますから。、それでないとうわべだけの商売関係で成り立ち、よき人間関係まで至らず、仕事が終われば縁が切れてしまう。真っ裸で社会と対峙する事が何かが解ってくるから
林野:うん

佐藤:皆さん色んなものを身につけて粉飾するが設計商売は成功するでしょうけども。建築家 本人にとって役に立ってない。何も無しで社会と対峙することが出来ない。絶望したくないからね身につけた経歴が邪魔して絶望も出来なくなってしまう。

林野:
そういいつつも私もね、それなりにね阿部さんのところに居たんですとかね
佐藤:阿部さんの所にいても、話を聞いたかぎりでは 周縁の仕事で、建築のためにはあんまり役に立ってないようです
林野:はははははは
佐藤:阿部事務所でもメーインのコアな建築をやっていたんじゃなくって、本を作ったり展覧会を仕切ったり周縁をやっていた、それが良いんじゃないですか〜真ん中の建築を客観視できる 機会が多かったでしょうから

林野
:そうですね〜 上の人が居ましたからね
佐藤:バリバリ建築の仕事をやってしまうと、先生と一体になってしまうから。 先生の建築が次世代の建築を生むか?というとナカナカ厳しいと 僕は見てるけれども。先生がたてた仮説の中で建築が出来ているので、林野さんが立てた建築の仮説ではない。学問的建築は乗り越えられるためにあるから価値があるんですからね あがめるものではない 踏み台ふう建築なんですから。嫌なら大学を去ればいい

林野:そうですね
佐藤;そこで林野さんが試してみたいと
林野何かやってみないと判らないな〜と 
佐藤:こんな事が判りたいと、なんとなくあるからでしょう〜
林野:何なんだろう、う〜ん。

佐藤:難しいところですよね、建築と社会との関係になるから。例えば自分でという処は置いておいて。建築を動かすなり立ち上げるなり、建築という概念はすごく大きいので、関わり方も色々出来るわけですよね。実際作ってみることに関わりたいと。今のところはね。
林野:今のところはそうですね、まだ。それで幾つかやらしてもらったけども、まだ判らない部分がある

佐藤:何件かもう作ったんですか!
林野:一応 まあまあ
佐藤:初建築!
林野初建築というのは一個建っている。でお店の改装みたいなの幾つかあって。今住宅でいうと2番目のやつ。

佐藤:最初の建築は何が問題だったですか?
林野:問題というのは?
佐藤:自分で責任をとってやってみたいと思った時の、その思いと出来上がった時の違和感というかズレというのかな。 ぴったりだ上手く行った〜という話だったのか、それとも この仮説が上手くいかなかったとか。色々あったと思うのですが。だからもう一軒建てたいわけでしょう。

林野:そうですね〜 そうなんですよね。 凄い気になるのはお金の事なんですよ
佐藤:お金というのは、コストと言うことですか
林野:コストです
佐藤:はあはあ、どういうふうにですか?
林野:何かもっと簡単にしたい

佐藤:簡単にしたってどういうことですか?お金の流れということですか
林野:流れもだし、何かわざわざ、売っているものに比べると、凄い手間の掛かる仕事、建築家に対して頼んで作ってもらったりする事って。このノートとかおまんじゅうを選んでぱっと買う事に比べると

佐藤:流通ね 現場で建築になるまでに凄い手間暇掛かる。確かに商品とは違う
林野:なるべくそういうのを色んな意味で、単純なのが良いと思っているんだな〜と判ったんですよ。自分の頭の中で。住んでからも、住んでいる人が簡単に直せたりとか、換えたりとか出来た方がいいな〜というのが判りました。
佐藤:住んでいる人が換えてしまうと、建築家として林野さんが関わった、建築の境界というのが、林野の建築はこれだ!みたいなものが消えてしまってもいいという事?

林野:
うん。私はいいですね。
佐藤:ああなるほどね。
林野:あんまりそこには拘ってないんだな〜と。
佐藤:形式だとか物として林野の建築とかは消えていいと。

林野:うん
佐藤:消えちゃいけないのな何か?と概念としての建築だよねそうなると
林野:セドリックプライスという建築家
佐藤:イギリスのね
林野:うん 彼が言っているのが、建築なんか食べちゃえる建築が一番いいよと言っていて、何か凄いお腹が空いている時に食べたいな〜と思った時にパット出てきて、わわわはって食べて、用事が終わったら消えてしまうのが良いと言っていて。何かそれには凄い共感するんですよ。

だから凄い矛盾はあるんだけど実際やっぱり建てている現場を観ると、本当に重い物。動かし難いもの、大変なものだけども、それをなるべく簡単に。例えばその、それで一番縛りになっているのはたぶんお金だと思うんですよ。私の中で動いている人って凄いお金持ちの人あんまり居ないから。頑張って凄い大きな金額を貯めて、でも住むところって、もっと何て言うのかな、

佐藤:マテリアルで変わるんじゃないの
林野:そんなにお金を掛けた事をしてないです 
佐藤:素材を発明すると、そういうことが全部解決するんじゃないのかな 
林野:凄い安い素材とかシステムですか?

佐藤:
判らない。お金って信頼するって総体の別称だからね。 その食べられる建築説 ポケットに入れられる建築でもいいし、背中に背負える建築でもなんでもいいけど 今ある建築の概念がこういう重たい建築を作らせているわけだから 新しい概念を作り出すと同時に素材も、住宅なら、住宅って言葉じゃなくって良いけど みんなが生きていく為に必要な建築概念を生み出せれば、可能じゃないですか。

元々の 建築が生まれた瞬間を見ているわけじゃないので判らないんですが、草原などを歩いていて、横穴や樹木を見付けて、横穴住居や菩提樹などを発明したから建築へ辿り着いた。 現代にあった菩提樹や横穴見付けてないですよね。 一人の人で生きて行くって考えて建築の概念を換えるんかな。人が沢山で共有して使い込んで換えて行くと考えるか、集合移り換えで建築の概念を換えるのか。それぞれ違うので 両方に渡って可能じゃないと今だから行けないかもしれない。一人だったら解決できるかも知れないけれども多様な人々が沢山暮らしているから 場所や密度によってもだいぶん変わるので信頼関係というお金ってやつは 

林野:それはそう思いますね  1:15分 50秒

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