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2003年12月28日 建築あそび記録
菅野裕子 さんによる 建築と音楽 p−1 p−2 p−3 p−4 p−5 p−6
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つまり
メートルというのは
実はクリプトン原子という
見えない量を基準にしていて、その・・さっきの地球のときと絶対的な長さは同じになっているのですが、定義上は地球と関係ない原子の光波の波長を基準にしているとうことになるんですが、当然私達は普段は光波の波長のことはイメージしてなくて、メートルというのは
非常に抽象的な大きさでしかない存在になっていると思います。
で・・・そういうものが単位なんですけれども、ルネサンス時代にはそういう単位というのは無くて、
ルネサンス時代の建築理論書ではモドゥルスとか
モードゥロという単位を用いて建築の部分を測定していました。音楽はほとんど同時代に音楽理論書がたくさんかかれました。ちょうど時代も同じだし著者によってすこしづつ差異がみられるので、そのことを比較するという話がこれからの、これから・・今からしたいと思います。
●スライド
そのころの古典主義建築というのを簡単に説明すると、
サマーソンという現代の建築史家は良い喩えをしているんですが、「
古典主義建築は建築におけるラテン語だ」といっていて、このスライドはセ
ルリオの建築書のあるページなんんですけども、ラテン語の喩えはいくつかの点で上手い表現だと思うのですが・・
まず一つは
ギリシャ・ローマから受け継いでいるものだということです・・古典建築のデザインというのが。
それから「
一般的な建築言語だ」と
サマーソンが言っていて、これは建築における文法だというふうにもいっていて、ラテン語には4の動詞の活用法があって、
ーareとか
ーireとか・・その活用の種類に分かれていて、それによって色んな変化が規定されているんですが
同じように建築も5つの建築の種類があって
ドリスとか
トスカナとか
イオニアだとかそれぞれのパターンによってデザインの寸法の体系が変わるという、ものがありました。
●スライド
これはまた
セルリオの建築書なんですが、その
5つのオーダーによって、その各部のデザインが どういうふうになるか、ということがその頃よく書かれました。
●スライド
建築書というのは、
ローマ時代のウィトルウィウスが書いて、その時にも既にこのようなオーダーのデザインというのが有ったんですが
ルネサンス時代にも色んな建築家がそれについて書いています。どういうことが書いてあるかというと、そのオーダーによって柱の高さと太さの比例をどうするかとか、柱の太さを基準にしたら、桁の高さをどうするかという
比率について、どうするべきだということが書いてあります。
その時に
モドゥルスというのが使われるのですが、ここでは代表的な建築書として、
アルベルティと
ヴィニョーラの建築書の記述を比較してみたいんですが。
これがアルベルティの建築書の中の図なんですが、
1485年に建築論の初版が出版されたんですが、その中で
モドゥルスという単位をいくつかの項目で用いていて、これがそのうちの一つで、ドリス式の軒桁・・モドゥルスを使っているんですが。この
高さを12等分して、その一つをモドゥルスとする。
このモドゥルスというのは一つの単位になっていて、他のところの色んな寸法を測る単位として使っています
●スライド
同じくアルベルティの本でこれは
イオニア式の柱頭の高さを、ここを19等分して、それで、Aの部分を3モドゥルスにすると、ここのBのところを4モドゥルスとか・・そいうふうに計測の単位として使っています。
その他にもイオニア式の柱礎の厚さを16分割したもののもモドゥルスと言ったり、コリント柱頭を7分割したものをモドゥルスといったり、
いくつかのモドゥルスがアルベルティの本にありました。
アルベルティにとってのモドゥルスがどういうものだったかその特徴を言うと、全てのモドゥルスというのが柱頭だとか軒桁だとか、
あるまとまった大きさを分割することによって作っていた。ということと、
2番目にそのモドゥルスという大きさは
軒桁を分割しても作られたり、イオニアの柱頭を分割しても作られたり、それぞれの箇所で個別に定義されていて、いくつものモドゥルスがあって統一されていなかった。
三番目にその
モドゥルスが用いられるところは、それぞれのモドゥルスを作った周辺部分に限られていて、例えばイオニアの柱頭を高さを分割して、作られたモドゥルスは別のイオニアの軒桁では使われないし、軒桁では別のモドゥルスというが、基準単位が使われています。・・というのが三つめの特徴と
四つ目の特徴は全
ての部分をモドゥルスという単位・用語を使って指定したのでは無くて、・・・・モドゥルスという単位を使わないでこの比例関係を示していた所もありました。これは後で説明します。
●スライド
1562年の
ヴィニーラの建築書の一つなんですが、コレを見て分かるのは、
あらゆる部分の大きさに数字が入っているんですが、全部
モドゥルスとか、そのモドゥルス
を分割した、パルティという単位によって大きさが示されています。
アルベルティと比べると図面の中に数字が入っていなかったんですが、ヴィニーラはその単位の基準とした、数字がここに全て記入されています。
●スライド
その単位はどういうものかというと、たとえばここに
モドゥルス2と書いてあるんですが、いつも
柱の径を基準にしていて、これは半径が1なんですけど、直径が1の時もあるんですが、
柱の径を基準にした大きさであらゆるところを計測してそれを数字として表すという表記の仕方になっています。
ここまでが建築で。音楽はどうだったかというと、
タクトゥスというのがあったといったんですが タクトゥスというのは15世紀から16世紀にかけて用いられた
一拍、拍を意味する用語なんですが、実際にその頃の理論書にどのように定義されていたり、記述されていたかというと、
タクトゥスは動きの尺度であるとか・上昇と下降がありそれぞれが等しいと書かれていました。
●スライド
これは音符なんですが、
1533年のランフランコの本の中の一部なんですが、この頃どういう音符があったかと言うと・・ロンガ・・ブレヴィス セミブレヴィス・・ミニマ・・ ・・その他には
マクシマとうものがあったり、その下に
フーサとか
セミフーサとか
クロマとか、いろんな種類のもっと小さい音符が有ったりして、
大体 著者によって違うんですが、6種類から9種類の音符が用いられていました。
●スライド
現代の私達が使っている音符というのは、2分音符・4分音符・8分音符・16分音符などがあって、それらは
2倍の系列で構成されているんですが、その頃の音符というのは
例えば一番大きな
マクシマとロンガというのは2倍の系列の場合もあるし、3倍の系列の場合もある。
2素成と3素成の両方があり得て、それがその時によって違いました。そして2倍のものは不完全。3倍が完全というふうにかん考えられていました。
これは
三位一体と多分関係あると指摘されています。マクシマとロンガの関係は
モドゥス・マイオールという関係だと言われていて、これを説明するとモドゥス・マイオールは
ペルフェクトゥムつまり完全とうふうに書かれていた、それは
マクシマ一つがロンガ3つの長さに相当するという関係で、
逆にモドゥス・マイオール・インペルフェクトゥムといったら、マクシマ1つにロンガ2つに相当するという関係です
これが一番長くて、ロンガ・プレヴィス・・またそれぞれにモドゥス・ミノールとかプロラティオとかこういうふうにあって、
●スライド
こういう感じ・・いろんな種類の分割があります。これを今の楽譜に直すとこういうことになるんですが・・
●スライド
見づらいかもしれないんですけど、マクシマからロンガ・ブレヴィスと分割するときに 3分割する場合はこうなって、マクシマ一つは一番小さい、81個分の長さに相当することになるんですが、例えば3分割して、次2分割、3分割、2分割とすると36になるとか。
これは全部で言うとモドゥス・・・・とこういう規則だともし言ったら、こういう音符の体系になるし、色んな場合があり得ることになっています。
●スライド
・・・
ニコラ・ヴィチェンティーノという音楽理論家の1555年の本なんですが、こういう風に別々のモード・マッジョーレ・ペルフェットをまず説明する章があって、これはテンプというロンガとブレヴィス・・の関係を説明するところがあったりとか・・
個別に説明されていて、統一的な説明がなかなかしにくかったということと。
あと
タクトゥスはじゃー一体なんなのかというと、セミブレヴィスと一致していると書いていました。だけどセミブレヴィスと1タクトゥスだとしても
ロンガとかミニマが幾つになるのかというと、
それぞれの分割の仕方がその場合によって違うからハッキリそこでは言えないということになります。
●スライド
これも
ランフランコの1533年の本で、インペルフェットつまり2素性のマクシマやロンガなどの音価の関係がどういうものかが 説明されています。
●スライド
それに対して1614年に出た
バンキエーリの音楽では、セミブレヴイスが・・1で、プレヴィスが2、ロンガが4。つまりここでは
全部の音符が一つの単位で統括的に数字が表しています。
これはすべて2倍の系列になっているですけども、さっきの3倍はどうなっちゃったかというと、
ダンダン3倍性というのは廃れてきたんですね。
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