山極寿一氏著書  講義録 01 02 03 04著作物  2019年3月15日 作成 佐藤敏宏
04)  1978年よりアフリカ各地でゴリラの野外研究に従事。類人猿の行動や生態をもとに初期人類の生活を復元し、人類特有な社会特徴の由来を探っている

「サル化」する人間社会』 2014年7月30日(株)集英社インターナショナル
  1100円+税 (福島県立図書館 489・97 ヤシ147)全173頁

第一章なぜゴリラを研究するのか
人類学は何を解明するものか、進化論と西欧社会、日本で生まれた霊長類学、今西錦司の思想、「ジャパニーズメソッドの確立、「近衛ロンドン」で受けた影響、屋久島のサルを人づけする、ゴリラの調査にのり出す、例外の科学
第二章ゴリラの魅力
ゴリラの研究のメッカ・カリソケ研究センター、ダイアンフォッシーという人、はじめてヴィルンガのゴリラと出会う、ゴリラは人間を受け入れてくれる、誰にも負けず、誰にも勝たないゴリラ社会、ゴリラはあいての気持ちを汲み取っている、ゴリラには遊ぶ能力がある、人間もかっては共存能力があったはず、タイタスとの再会
第三章ゴリラと同性愛
オスだらけの不思議な集団、ピーナツ集団に緊張が走る、パティーの股間に驚きの発見、オスの同性愛行動、同性愛が起きる理由、オスだけの集団のその後
第四章家族の起源を探る
母系社会、父兄社会、オスの睾丸の大きさとメスの発情兆候、インセントスタブー人類の「家族」は初めにゴリラ型だった?
第五章ゴリラはなぜ歌うのか
ニシローランドゴリラの研究が始まる、成長が遅い理由とは、ゴリラは歌う、食べ物を分け合うという行為
第六章言語以前のコミュニケーションと社会性の進化
言語が生まれた背景には家族の成立がある、人類の進化と食革命、肉食を開始したあと脳が発達した子守歌が言葉のもとになった、言語の創生と社会能の発達、瞳によるコミュニケーション、脳の発達は集団規模と比例する、言葉とは何か
第七章 「サル化」する人間社会 人間社会はサル社会になり始めている、サルは所属する集団に愛着を持たない、霊長類の共感力と人間特有の同情心、人間の社会性とは何か、個人の利益と効率を優先するサル的序列社会、通信革命と序列社会、IT革命によるコミュニケーション的の変容



家族進化論2012年6月15日財団法人東京大学出版会 3200円+税 (福島県立図書館489.9ヤシ126) 全358頁 参考文献全22頁

第一章 家族をめぐる謎 1家族のパラドックス 2進化論と人類学の出会い 3社会進化論の展開 4狩猟仮説の魅力と誤り 5日本の霊長類額の発想 6インセントの回避と社会構造 7家族の原型を求めて
第二章 進化の背景 1夜から昼の世界へ 2類人猿の進化 3食物がつくった霊長類の魅力 4集団生活の進化 5社会進化の生態要因 6捕食の影響 7食物をめぐる競合と社会関係 8生態モデルへの反論 9類人猿の食生活 10類人猿社会の特徴 11ゴリラとチンパンジーの対照的な社会 12ボノボとチンパンジー 13類人猿の共存と食生活 14捕食の食物と採食戦略の進化 15人類の食の特徴と進化 16脳の増大と食の改革 17食物の分配と共食 18平等な社会
第三章性と社会進出 1性ホルモンと交尾 2性的二型と性皮 3メスとオスの繁殖戦略のちがい 4ヒトの繁殖戦略 5婚外とインセントスの回避 
第四章 生活史の進化 1さまざまな生活史 2オナガザル類と類人猿の違い 3類人猿の生活史戦略 4オスの繁殖戦略による影響 5子殺しのもつ意味 6カフジで起きた事件 7子殺しの起きる種と起きない種 8ゴリラとチンパンジーの子殺しを引き起こす要因 9人類の生活史と進化 10脳の大きさと生活史の変化 11老年期の進化
第五章 1ダーウィンの難問 2動物の同調と共感能力 3仲間を思いやる心 4心の理論と利他的行動 5父性の発達 6マカクやヒヒのオスの子育て 7ペア社会の父性 8ゴリラの父性行動 9社会的父性の登場 10コミュニケーション革命ー歌う能力 11ヒトと音楽能力の進化 12音楽から言語へ
第六章 家族の行方 1ホモ・サピエンスの登場 2言葉はアフリカで生まれた 3食糧生産の始まり 4家畜化が引き起こした文明の差 5狩猟採取民の暮らし 6分かち合う社会 7農耕と牧畜がもたらしたもの 8暴力と共同体の拡大 9戦争の登場と自己犠牲の精神 10コミュニケーションの変容 11家族は生き残れるのか 




オトコの進化論ー男らしさの起源を求めてちくま新書424 203年8月10日 720円+税 全234頁 参考文献全4頁 福島県立図書館489.9 ヤシ038

第一章 オスに求められること ペア生活の条件、なぜ集団生活が進化したのか、外敵からの防衛は雄の仕事、ソリタリー(単独生活をするオス)がいる社会、オスの集団遍歴、オスの冒険と野心、母系社会のオス、父兄社会のオス
第二章 メスと共存するために 仲間内での対格格差、メスたちの選択、共存するオスたち、協力関係が生み出す「力のバランス」 視線のコミュニケーション 劣位者の「のぞきこみ」 、優劣に縛られない行動、仲直りの技法、敗者びいきの類人猿、メスが介入する理由、性を用いる和解

第三章 セクシーなオスたち 性交渉の舞台裏 なぜメスに発情兆候が発達したのか 発情と性交の関係、ディスプレーのうまいオス、ドラミングの進化史、「力の誇示」から「遊び」まで メスに選ばれる条件、オスの優劣順は何のため、ホモセクシュアルは人間だけの特権ではない、セクシャルではない性器接触行動、類人猿のホモセクシャル交渉、メスの発情とホモセクシャル、性のアウトサイダー、ホモセクシャルの現在、異性愛という対幻想
第四章 父親の由来 父親のように見えるオスたち、子だくさんとヘルパー、テナガザルの子育て、子どもの自立を助ける、子どもは新参者のパスポート、孤児に尽くすオスたち、父親の自覚はどうして出来るのか、核オスによる「仲裁のルール」、遊びという交渉、誰と交尾を回避をするののか?、フロイト対ウェスターマーク、インセントス・タブー、家族の起源、個体の移動が外婚につながる、インセントス回避の条件、父性という仮構 
第五章 オスたちの暴力 性暴力の原因、ストーカーになるオスたち、メスを従わせようとするか、ただメスの後をついてまわるか、幼児のメスをさらって集団をつくるオス、子殺しをするオスたち、オスどうしの競合が子殺しを生むか?、オスの子殺し、メスの移籍はどういうときにおきるのか、メスの移籍戦略、子殺しが起る条件、メスの対抗手段、メスを発情させるための暴力、人間が選んだ方法、オスが殺し合うとき、徹底的は攻撃行為、闘争本能は存在するか?
第六章 オトコの時代、オトコの未来 オトコの祖型を探る、初期人類が獲得した特性とは何か、安全で快適な睡眠をとるために、オトコとオンナの分岐点、狩猟仮説の意味するもの、男らしさの秘密、性の進化、性を夢想する能力、性の抑制、性暴力と性交渉、性愛の起源、インセントスの禁止が意味すること、オトコどうしのきずな、性暴力の否定、遊びの発生、遊ぶオトコたち、遊びと性の快楽、身体の世紀へむけて、道徳から美意識へ 多様性を認め合う社会へ 




家族の起源 −父性の登場』 東京大学出版会 1994年7月初版 全185頁 参考文献全8頁 2200円;税66円 (福島県立図書館361.1 Y12)

第一章 進化の背景 1最初の家族 2霊長類の遺産
第二章 家族とは何か 1家族の系譜 2霊長類の視座
第三章 霊長類の社会構造 1食と集団編成 2母系集団の論理 3非母系社会の多様性 4類人猿の進化 
第四章 性と社会 1性ホルモンと交尾の周期 2性の発達 3外婚とインセントス 
第五章 父性の世代の確立 1霊長類にみられる父性行動 2父性と世代の萌芽
第六章 初期人類の社会と家族の成立 1分配から共食へ 2社会学的父親と親族組織 3進化のストーリー