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福島第一原子力発電所の事故によって起きている様々な問題を勉強し始めました 勉強過程の記録をつくってみますご活用ください
福島県における水産物放射能汚染現状対応 
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04 45:15

調査はですね、非常に手間が掛かる調査です。ですからこういう調査をやっているのは私どもしかやっていません。他の調査機関ではちょっとこういう泥臭い調査あまり手出しをしないんです。

で調査船で、底引き網みたいなので引いてきて。最後に泥みたいなのを一緒に入るんですね。

ゴミと泥が一緒になったようなかたちで陸上に揚げます。ここから人海戦術でピンセットで餌となる生き物を取り出します。それをよく洗って、それのセシウムを測ってます。

U8容器って100グラムぐらいなんですけども、餌生物の数というとこれで何千って言うんですね。それを全部手作業ですから。どれだけの時間掛かるかお分かりだと思います。

そういうことをずっとやって来ています。担当しているのは今日一緒に来てる早乙女君という研究員が主に担当しております。

餌生物は色々います。魚っていうのは一つの餌をもっぱら食べることはなくって色んな餌を食べます。一つの魚種でも。

これはババガレイ、ナメタカレイっていうカレイですけども。一番食べるのはこのゴカイの仲間です。その他にゴカイの仲間以外にイソギンチャクであるとかあるいは小さな甲殻類、海老蟹の仲間なんかも食べてます。ただ一番食べるのはゴカイの仲間。

ということでゴカイの仲間について、それのセシウムの濃度がどう変化したか?っていうのをプロットしたものです。 

調査が出来たのが、これは(2011年?)去年の12月ぐらいからだと思います。その時点でこれはセシウム137の値ですけれども、セシウム137で80〜90ベクレルぐらいありました。この時点では。同じゴカイのデータを追いかけてます。明らかに低下傾向があります


餌生物がこれだけ低下して、海水がほぼNDで、ということになると少なくっとも、この餌生物を食べてる魚に汚染が増化するというか、汚染が今よりも酷くなるという要素は無いというふうに判断しています。


そういう判断をする材料として餌生物の調査を行ってます。これがゴカイの例です。

これがプランクトンとか海老の仲間の極小さいものにアミという種類があるんです。プランクトンとかアミのデータです

これは去年一昨年の7月ぐらいから調査ができまして。その当時の濃度がこれです。それがこういうふうに下がって来まして。現在137ですから10ベクレルとか15ベクレル。高くてもそれぐらいの濃度まで下がってきております。


こういうプランクトンとかアミを食べるのは、アミなんかはヒラメの稚魚だとかメバルだとかが餌としています。オキアミもはいってますね、オキアミはメヒカリとか、あとは鱈の小さい、鱈なんかは小さいオキアミを食べます。

これは海老類です。海老類も同様に去年一昨年の7月ぐらいから順調に下がっていまこういうような状態です。海老を食べるのはこういう魚、カナガシラとかホウボウとかコモンカスベなんかも海老類をよく食べます。

このように、餌料、餌として魚が食べている生物としては、総じて減少してきていると。ということは言えると思うんです。

そうすると今の時点で、今時点の魚の汚染を更に増やすような要素は海水と餌と両方とも、ないわけなんで。そういう要素はないだろうと。いうふうに推測しています。

 ただなかなか、一度汚染した高濃度汚染水で汚染した魚のセシウムが抜けないのは、これは、今まで言われている生物学的半減期が50日というのが、あの前提がちょっと違うのではないか?で環境が低レベルであっても、餌が少しでも汚染していたときに半減期というのが どのように変わるのか?これはまったく文献も実験例もありません。

今うちの小規模な実験施設ですけれども、そこでそのような試験も組んでやっております。 

餌生物の汚染程度のまとめですけれども、餌生物の汚染程度は総じて時間経過とともに低下しています。

 これからは今の汚染レベルで こらからどういうふうに魚のセシウムの濃度が変わっていくのか? これを取り込みとか排出のモデルによるシュミレーションで予測していく。で今後どうなって行くんだよというのをなるべく早く漁業関係者に伝えると。いうのが私たちの課題だというふうに考えております。




次に場所別の濃度です。モニタリングの測定部位は筋肉です。筋肉以外に内蔵の方がより珍重される魚ってけっこうあるんですね。

福島県ですと後でもうしあげますけれども、例えばドンコ、福島の方はあまり分からないかもしれませんが。ドンコという魚は浜の人はこの肝臓ですね、ドンコの肝ってものすごく珍重します。一般的なものではアンコウ。7つ道具というのがあります。色んな内蔵とか皮とかいうのは珍重されます。そういう魚があるんで、特に筋肉以外の場所を珍重される魚について、同じ個体で筋肉の数字とその内臓の数字がどう違うのか?っていうのを調査いたしました。

これがです。まだらです。これが筋肉のセシウムの濃度です。

これに対しては同じ個体の鱈の肝臓珍重される。肝臓と、鱈というと鱈きくです。これが同じ個体のものを調べたときにどうかというと、やはり筋肉が一番高くって内臓は筋肉以上の数字を示さない。というのが分かりました。

一般的にこれはかなり低レベルの数字ではありますけども。今までも文献等でセシウムは筋肉にもっとも蓄積すると言われてました。それが、こういう事故が起きてかなり高濃度になっても同じように内臓よりも筋肉に蓄積するというのが、真鱈の場合いですけれども分かりました。

これはアンコウです。アンコウの7道具。肉の他に肝臓、卵、皮、エラ、胃袋、ひれ、これも全部調べました。全て筋肉よりは低いっていう結果になりました

肝臓なんていうといかにも毒っぽいものを貯めそうな感じがするんですよね

 みんな私どもにモニタリングは筋肉やってたら、よく消費者の方から言われました。なんで一番危ない内臓を調べないんだ。あんまり高い数字を出したくないから調べないんだろうと言われました。一般的に筋肉に貯めるんだと言われているんだと言ってもなかなか納得はされないんで。実際に測定した結果を示して。筋肉でモニタリングしているんだからこれで安全になれば内臓も含めて安全なんですよ。というようなメッセージにしたいというふうに考えて行った調査でございます。

  同じようにさきほど申しましたドンコ えぞイソナメそれからヒラメババカレイ、イシガレイ 、マガレイ、マコガレイ。これらについて内臓と筋肉調べましたけれども、全て筋肉が内臓よりも高い数字という結果になりました




最後に今去年の6月から始めた試験操業の、漁業者の試験操業の取り組みについて説明したいと思います。 

 私どもずーとモニタリングをやってまして、たしかにまだ基準値である100ベクレルを越える魚はいます。毎回それは毎週の結果でも報告しています。

また、極沿岸には原発の専用の港の中とか、そういう汚染された場所もあります

ただ一方で、高濃度汚染水との接触が無いとか、色んな理由でぜったいにこれは安全だという魚種も居るんですね。なかなか全面的な漁業再開は40魚種について出荷規制が掛かってる状況ではこれは時間が掛かると思います

ただ今現在絶対に安全だと自信をもって言える魚種があるんだから、それについては試験的に操業して流通させようというのが、試験操業に取り組み始めた主旨です。現在相馬の漁業者、相馬の漁業協同組合で、昨年の6月から始めました。

最初はこのミズダコ、ヤナギダコ、シライトカキバイという3魚種でスタートしました。これはなぜこの3魚種でスタートしたかというと、私ども漁業者に説明するときに、これは安全ですよ、って言った、のはこの3魚種だけではありませんでした。魚種数を覚えてませんが、20魚種ぐらいは、これは大丈夫ですよというふうに説明いたしました。

 その中でなんでこの3魚種か?というとこの3魚種は一般的に市場では生で出荷する訳ですけれども。これは加工してですね、ボイルして出荷するっていうのがどちらかというと一般的だったですね。漁協でボイルするわけではありませんが、産地の仲買人がボイルしてそれから消費地に出すと。いう流通形態が一般的。

ですから福島の魚、これが受け入れられるか?っていうのにものすごく不安をもってました。そのために生で測ってなをかつ、ボイルして加工して、もう一度検査をしてそれから出荷しようということで、ボイルして出荷が出来るこの3魚種でスタートした。結果はまったく生でもボイルした後でもまったく数値は出ませんでした。

消費地にも受け入れられました。当然検査結果を説明して。また量的にはそんなに、まだ市場も被災してますし、量的にさほど、大量ではありませんでしたが、受け入れられまして。タコ類については築地にも流れました


それから、今度はボイルして出荷するんじゃない、生で出荷するこの7つの魚種について魚種を追加しました

去年(2012年)の9月からです。この中でちょっと漁場の関係で同じ場所で捕れるものじゃないもんですから、実際に漁獲をして市場にっていうか、流通に流れたものはこの7魚種のなかでケガニ、スルメイカ、ヤリイカ、この3種だけだと思います。

キチジについてはこれから深い方に船を出して、漁獲するようになっていくというふうに思います。

さらに11月からはさらに3種を追加して、今現在(2013年1月10日)13魚種で試験操業をやってます。初めてカレイ類が試験操業の対象になります。ミギガレイ通称ニクモチっていう。それからメヒカリ。あとズワイガニ。この13魚種について。

これが13魚種の今までモニタリングの結果です。ほとんど、モニタリングで県質検出されていません

ヤナギダコで119回検査をして1回だけ7ベクレルという数字がでたことがあります。この追加した3魚種についてはちょっと趣が違いまして。

例えばミギガレイ、先ほどのミギガレイについては138回検査して、112回はNDです。ただ、26回は検出されています。その最高値は28ベクレルです。ただミギガレイという魚は先ほど餌生物で説明したゴカイの類なんかを食べています

ゴカイの類、それからクモヒトデ。なんかを餌としています。

餌生物が減少傾向にある。だからこの濃度をあげる要素はない。っていうふうに私ども漁業者には説明しました。リスクは無いというふうに思っております。でミギガレイ

、それからアオメイソについては、今まで9ベクレルという数字が出たことありますが、58回検査しをして54回NDです。これもアオメイソの場合はオキアミを餌としています。オキアミの濃度は高くありません。これですからメヒカリの濃度を上げる要素は無い、というふうに判断して試験操業の対象種に追加をいたしました。


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