高知工科大の修士生と語る 2022年3月8日  高知市内居酒屋      作成:佐藤敏宏
目次 (学部生編 01 02) (修士生編 01 02

修士生編 02
■ オンライン授業あれこれ@新型コロナ

佐藤:聞くのを忘れていたけど、この2年間は新コロナ騒ぎで修士生・生活は大変ではなかったですか?高知で若い学生の皆さんはさほど新コロナの影響はなかったですか?

渡辺:この学生たちは新型コロナと共に学んだの院生でした。
佐藤:修士の2年間ずーっと新型コロナに遇っていたので、どうしていたのか?話せる範囲で、キャンパスに通う事は禁止だったんですか?
渡辺:オンラインにいきなり切り替わったのは事実です。

佐藤:炬燵にはいったり布団の中でオンラインを受講してたのかな。
市川:授業はオンラインでしたが。
渡辺:僕は院生がいないと始まらないので、人数は絞っていたんですけど「研究室に来ていいよ」みたいな事で授業はやったので。学生はある程度は大学に来れていました。

佐藤:オンラインでも受講してたんですか?
大和:オンラインでも受けてました。
佐藤:先生は2種類で授業だから、それらの準備していたんだ。ライブ配信したりなどいつもより大変だったでしょうね。

渡辺:ゼミはオンラインになって、今もオンラインは変わってない。面白いのはオンラインだと学生の顔が分るんですよ。オンライン画像だとマスクを外すので顔が分ります。対面授業だと顔がマスクで分からないんですよ、顔が半分なんでね。(笑)顔半分は結構変ですよ。オンラインの方が顔が分る。ここでは食事したしているからマスク外しているけど。対面授業の方がマスクで誰の?顔が分からなくなりますね。

佐藤:人間の顔、そのの表情は豊だけど半分隠れて目と髪の毛だけでは、個別性や心の動きは分かり難そうだね。

渡辺:ただ井上とか、市川さんもそうだけど、彼らの学年はマスク無しの顔の記憶がちゃんとあるから、マスクしていてもマスクしてないイメージがちゃんと浮かぶんだけど。その他はマスクして大学で接している時の方が多くって、顔のイメージがし難いですね。マスク外すと顔がだいぶ変わるんですよ。

佐藤:マスクを取り外して会うと「お前だれだっけ?」となりかねないと。
渡辺:そうなんですよ。マスクしている時はキリとしているけど、マスク外すと、ぽあーんとする、はははは。分かりますよね。両方の切り替えは変ですよね。マスクの人たちとして認識しているので、マスク無だと何か変です。

修士生
 市川明日香さん
 丸山和暉さん
 井上喜人さん
 大和敦子さん





 絵:WEBより
幸家さんの話

佐藤:新コロナ時代であっても外部から講師を招いて授業したり討論したした事はあるんですか。講師が来たがらないかな、そういう機会はあるんですか。
渡辺:僕が呼ぶか呼ばないかになるかな〜。呼びたい先生が居ないので。もともと先生が居たんですけど1人倒れられて。意匠系が僕だけになっちゃったんです。その方は呼ばなかったですね。今はオンラインとかで外の方も呼べますね。けど佐藤さん今年ですけど、去年は幸家太郎さんだったんです。

佐藤:幸家さんはアート表現者と建築の合成人間だからね。さらにセルフビルダーだし高知の学生には合うかもね。
渡辺:大和は大好きでしたね幸家さんを。
佐藤:幸家さんも大和さんもアート表現に偏り価値の建築だから、そうなりますよね。

渡辺:彼女はこの修士生の中では一番幸家さんの事が好きなんじゃないかなー。
佐藤:幸家さんの所に弟子入りすればよかったんだな。
渡辺:本当はそれがあるといいんだけど。それでも良いという気持ちだったけど。たぶん喰っていけない過ぎるので・・・・・ふふふふふ。

2013年9月16日
大阪での聞き取り時の2ショット
その時の記録を読む 

佐藤:幸家さんは自分も喰うのが大変そうにみえるからね。所員に給料は払えないだろうな〜。大阪には授業料払って弟子入りしてた社会人も居たけど今はいるのか?そのような修行してきた幸家さんだから、弟子は採らないんじゃないかな。
渡辺:大和はたしかに幸家さんにシンパシーを抱いた。

佐藤:幸家さんは才能あるんだけど、目が吹いて大木にはななかなか成らないね、建築士受講失敗したとか・・・風聞だけ聞いたかな、そのことも分からない。大阪に行き実作に何度か泊めてもらったけど完成作品も考え方も面白いし、実作・物づくりも器用だからいい先生なのではないかな。日本では受けないので喰えない系の建築家タイプかもしれないが
渡辺:幸家さんが自分で造った建築をプロモートしなさそうなので、今は大阪でよく分からない家を造りつつ。奈良の天川にも居るみたいです。

佐藤:幸家さんの聞き取りも長年続けているんだけど、大阪に訪ねていくたびに棲み処が変わっている。粗末な建築を見つけて来ては自分で改修しながら住み込んでいるね。設計施工を実践し続けているから、それでようやく自分が喰える益を得ることになっているようです、多少は苦労して生きている感じはする。
俺は不器用なので「造ることは一切やらない」と決めて生きて来たけど、幸家さんは身の回りの物のから建築まで。何でも作ってしまうね人だ。弟子入りすると幸家さんのような暮らし方になってしまうのも良さそうだけど。
 
家さん改修住宅の内部と中庭からみた外観 2013年
大和さんの建築について

渡辺:女流幸家さん はははは。自分で造り続けて祈りの空間を自分で造ってしまう。単板パイプで・・・はははは。

佐藤:祈りの空間を一生かけで自分で造り続けるのはいいかもね。得るもの多いだろうし世界的な奇人として有名にもなれるかもね。世界中から観光客がやって来て幸せにはなると思うね。祈りの空間はアニミズムと近代建築が融合して魅力的な場になるかもしれないな。大和さんは海外の他宗教の祈りの場も合成する気持ちはあるんですか?よく建築にまとまりましたね。

渡辺コルビュジェが好きと言っていたので、コルビュジェがあると逆にまとまらなかったので。
佐藤:コルビュジェがのどんなところが好きなんですか、どこが魅力的なんですか。後期、前期?
大和コルビュジェの後期が好きです
佐藤:自在な造形空間ですね。でも大和さんの修士設計は箱だったね。卒業設計はもっと自在で造形建築だったのかな。祈りの空間でしたか?

渡辺
:祈りに近いものでしたね。

佐藤:祈りの空間だけど他者に開こうとしているから健全かも。自閉的ではないのでいいかな。提案は他者と共有する祈りの場だつったね。祈りは共有できるのか、追求したことないんだけど、共有できそうだね。祈り自体はプライベートなもので留まるのか、他者と共有できて、広がっていくものなのか?爺さんには分からないね。

渡辺:あれこそ祈り空間な気がする。
 

大和さんの修士設計作品のまで2ショットする。

日本における都市型「祈りの空間」 修士 2 年 大和敦子

日本における都市型「祈りの空間」とは、自然として普遍的・根源的存在である空と大地に祈りを捧げるための単?建築である。空と大地を拝するための構えとして、古代から近世にかけて形成されてきた自然信仰を根に据えた日本の「祈りの空間」の構成技法を踏襲する。単一建築として具現化するために、近世において成?した凝集された「祈りの空間」の技法を活?し、空間の集約化を図る。
「祈りの空間」は元来、自然信仰に由来する空間であり、ストーンヘンジやイワクラといった巨石建造物は宗教体系化以前の古代の「祈りの空間」である。日本の「祈りの空間」も自然信仰を根に据えており、神社や寺院の空間も原信仰核である?然に寄り添って古代から近世まで発展してきた。一方、近世に成?した、凝集された「祈りの空間」は、日本における「祈りの空間」の構成を単体建築に凝集して形成された巡拝形式の「祈りの空間」であり、栄螺堂や羅漢堂がその代表例である。これらは自己完結型の巡拝空間であり、自然を排除し標準設計が施されているため場所を問わず設置可能である。
現在、日本の都市では、葬祭場や納骨堂に代表される「祈りの空間」が建設されている。しかしながら、現代都市には信仰対象となる自然がないことが多く、これらの施設からも自然が排除されており、自然に寄り添うようにして発展してきた空間構成を継承していない。また近世に成立した凝集された「祈りの空間」の構成技法も活用されず、その意味では、日本で歴史的に発展を続けてきた「祈りの空間」とは無縁の存在である。現代都市において「祈りの空間」が必要とされているのは、根がなく漂うような都市生活の不安から解消され、「祈り」とともに自身の存在が確かな根を持てるよう願われているからだと考える。現代都市では確かに信仰しうる?然は乏しいが、空と?地はどこにでも確かに存在している。このことに改めて?を向けながら、?本古来の?然信仰を根に据えた「祈りの空間」を現代都市で実現することは極めて意義深いと考える。また、単?建築で「祈りの空間」を実現できる凝集された「祈の空間」の構成は、設置場所に制限の多い都市において、集約的な「祈りの空間」を設計するためには極めて有効である。
本設計では、まず、日本において自然信仰を根に据える「祈りの空間」と、凝集された「祈りの空間」の構成分析を行う。次に、分析をもとに、空と大地を信仰核とする「祈りの空間」を設計する。最後に都市に設置可能なように凝集された「祈りの空間」をもちいて空間の集約化を?う。これにより都市型「祈りの空間」を形成する。
日本の現代都市において、自然信仰に根を持つ「祈りの空間」を設計すること、凝集された「祈りの空間」の構成技法を活用すること、これにより形成される「祈りの空間」は、?本古来の「祈りの空間」を継承する存在であるとともに、今後の?本において都市型「祈りの空間」を設計する際の有効な雛形になると考える。


 
■ 大和さんの卒制
佐藤
:大和さん、卒制は何を構築したんですか覚えてないですか。

大和:覚えているんですが、集落で過疎化が進んでいる場所で、本当に人が8人ぐらいしか居ない所でしたが、そこで塔を建てた。

佐藤:金峯神社の塔版ですか?違いますか
渡辺:近いですよね。
佐藤:祈りの塔を提案したんですか?

大和:塔を造ったんです。塔が焼却炉で、地域の人が昔から山の中で年に二回ぐらい、除草作業をするんです。その時に除草作業で採った草だったり木を燃やすということを昔はしてて、それが面白かったという話とかを聞いて。で、それをもう一度その作業を復活させたいと。その風景を復活させたいので、焼却炉の塔を建てて、そこでもう一度除草作業をしたあとに燃やせる場所を造ろとして、その塔は30mぐらいある。

渡辺:30が好きだよね。はははは、ごめんなさい。

大和:他の集落から見たときに、その塔が見えるような所に配置していますので、その集落が在るといことを認識させる事につながる、そのような計画をしていました。その集落に何か建築をもう一度、集落の存在というのをいろんな人に伝えたい。そういう物です。

大和さんの推し唄

藤井風 「特にない}

佐藤:
ここに居る修士生四人の中では大和さんは時間、順序をおっている時間と言ってもいいけど、歴史性があって長い時間を見据えているよね。他の三人は近代に係わる建築だから、現代的な課題になりやすい。大和さんの提案は捉えようとしてる時間が長いので、いつでも通用する分、いつでも通用しない。その両面があります。他の三人は、現代の課題を考えていたので分かりやすい。大和さんが時間をとらえ昔に繁栄した精神や場を飛び越えていく構え方が面白いですね。そうして自分の時間に繋いでいく。人間の体験をつないでいこうとする態度、祈りの空間は人の長い時間が今に重なって表出している地層のような建築になるから面白いと思う。
市川さん、井上さん、丸山さんは近代の建築の課題に挑んでいるので、捉えている時間の質が違う点が浮かんで来て4人のポリフォニーのような響き合いは興味深いですよ。大和さんは時を超える建築を手に入れて大物建築人になるかもしれないね。そう簡単には上手くいかないかもしれないかな。 同じことをこと言っているな、俺。

渡辺:ああいう建築を考え建築として造るという話はキツイときには単管でつくってしまえばいいんですよ。ボリュームだけでも・・・ふふふふ。

佐藤:まず屋根は要るが。屋根面積は少ないから直ぐできそうだ。壁は床は、丸山さんを筆頭に夏休みに大和さんを手伝ってコツコツつくり続ければ済むね。丸山さんはじめみなさんは労働者・使役だ。修士同窓生で祈りの空間を具現化している姿が見えてきたよ。大和さん、あの建築は何て名付けているんですか?祈りの建築ではぱっと分からないよ。いい名前考えてよ。

渡辺:オモロイというか、そういう名前、キャッチコピーを決めたことないよね。
佐藤:あれねーと言い合ってても分からないよ。

渡辺日本における都市型祈りの空間というしかないでしょう、今のところは。むりゃ面倒くさいははははは。
佐藤:それでは散漫で伝わらないしな。言葉に出来てないところが魅力的なのかな。
渡辺:あえて付けないんですよ。卒制もそうだけどあれは何って言っていた。

大和集落における 塔
佐藤:出来たら高知城より面白い空間体験だよね。高知城の天辺は見晴らしいいけど、内部が暗い、近世期の平城だから当然なんだけど。大和さんは給料もらったら少しずつ造り始めると。とりあえずダブルスキン・二重壁を造ってと。

渡辺:面白かったのはみんなのそれぞれ、掛けてきた時間というのは、私にとっても長いのですよ。思い入れはみんなにあるんですけど。さっき構造がどうのこうのと言ったけど。気になったので高橋という男がいるんです、京大から付き合っている彼にわざわざ言って、あれの構造をみてあげてとアドバイスした。で、構造は大丈夫になったんですね。

佐藤:初期の計画は構造的には破綻した入れ子構造だったんですか?宙に浮いていた?
渡辺:要は外殻自体がふわふわだったので。
佐藤:波打っていたとか、膨らんでいたとかですか。提出作品のように真っすぐな壁ではなかったですね。

渡辺:二重の壁はあったけど片持ち梁ばっかりで、二重の壁があることで一個の空間をつくるので、高い壁になるように剛性を高めたり、割とまともな話を高橋さんがしてた、もともと2重壁だけど、キャンチ部分がデカすぎて。

佐藤:内壁は斜めに連続した壁に穴を切ってるね。そしてさらに上に大きな壁が載るから揺すられたら座屈しそうだ。

渡辺 :いろんな人を本気にさせたのは事実ですよ。責任をとれとは言わないけれど。そういう思いでやるのはいいかなーと思います。

佐藤:実社会にああいう場があってもいいんじゃない。
渡辺:ああいうのが在ると井上の三代後の子供は祈りの空間を見て建築を始めるかもしれない。太陽の塔じゃなくってね。
佐藤:おじいちゃん藝術は爆発ではなくって建築は祈りの空間が第一なんだよ教えられてたりしてね。ちゃらいアートはいかんのだと孫が説教しだすと。じいちゃん爆発だーと吠えている場合じゃないんだと教えられているんだと。

渡辺:はははは

修士設計作品は捨てちゃうの?

佐藤:みなさんは大和さんのような特徴のある同期生がいるのはいいよね。もう1人似た人がいると詰まらないけど。

渡辺:市川さんはもともと学年違うんだけど。大和さんのような同期を見てどういう感覚なんですか。わからへん!みたいなことかな。急に関西弁に、はははは。
市川:自分で考えるのは凄い、自分にはできないことをやっているのは凄いなと。

渡辺:でも生きていかれへんで、はははは。

市川:どうなるのかは。


市川さんの修士設計作品の前で と2ショッ

土間と縁のある地域型パッシブハウスの提案 ―土佐山田町神母ノ木を対象にして― 修士 2 年 市川明日香

本設計は、土佐山田町神母ノ木において土間と縁のある地域型パッシブハウスを設計することが目的です。近年、空き地が増加している神母ノ木地区を対象に、土間と縁という要素に着目し、地域型住宅として地域の空間特質を下地に、自然を利用するパッシブシステムにより快適な室内環境を備えた住宅を 3 案提案します。
対象敷地である神母ノ木には地域に即応した住宅である地域型住宅が数種類存在し、これは近隣地域には見られない神母ノ木固有の特質です。しかし、近年は過疎化の影響で空き地が増加しており、このままでは神母ノ木の空間特質は失われてしまうと考えます。
そこで、神母ノ木の空間特質を基に、現代の住宅として快適な室内環境を備えることで新しい神母ノ木の住宅として設計を行います。このとき、土間と縁を地域型住宅とパッシブシステムそれぞれの観点から取り入れることで、両者の特徴を活かしながら暮らしやすい住宅を設計します。
設計方法は、土間と縁・地域型住宅・パッシブシステムの3要素において文献調査、神母ノ木において空間調査を行い、それらを基に、「土間と縁のある地域型住宅」と「土間と縁のあるパッシブハウス」を設計し、それらを統合することで「土間と縁のある地域型パッシブハウス」を設計します。
敷地は空間調査にて抽出した4種の地域型住宅それぞれに対応する空き地とし、一部を合筆し、川型案・複合案・町家型案の3案を設計しました。統合設計の過程で、地域型住宅の空間要素の中で重要な構成は受け継ぎながら、パッシブシステムの1つであるダイレクトゲイン方式を、リビングを中心に取り入れました。土間と縁は、地域型住宅とパッシブシステムにおける土間と縁だけではなく、地域型住宅において物部川との関係から考えられる新しい土間と縁や、各空間を用途に適した空間とする効果を持つ土間と縁として設計に取り入れました。
以上のように、土佐山田町神母ノ木において土間と縁のある地域型パッシブハウスを設計することで、土間と縁という要素を軸に、神母ノ木の空間特質を受け継ぎながらも、パッシブシステムを導入することで、快適な室内環境を備えた住宅として、新しい神?母ノ木の住宅を設計しました。


渡辺:
そういうことを言い出すとよくないね。

佐藤:大和さんは大丈夫なのかなーと周りの人に心配されるのはいいね。

渡辺:大丈夫かという感じをだしてないのも好きですけどね。そういう人も居るじゃないですか。大丈夫じゃないかもの感じに見せている人もいる、そうやってパトロンを付けていく。そういう者もいるので。大学では基本的には大丈夫です。

佐藤:お爺さんになったので、大丈夫かなーと余計なことを吹いてしまうけど、自分で選ぶ道を歩くのだから大丈夫なんだけど。若さは周囲の雑音には負けないよね。ああいう建築ができたら楽しいかもね。高橋さんに構造をチェックしてもらって、いよいよ本格的建築造りなんだと。あとは造るだけだと。4人ともそうだけど、計画に愛着があるからずーっと自分の計画を眺めて生きていくわけですよね。それとも学生は終ったから処分しちゃうんですか。

渡辺:捨てられたら俺はしんどいな!ははははは。

佐藤:卒業設計作品と修士のそれはどうするんですか。捨てちゃうの?家に置いておく、天井から吊って毎晩寝ながら眺める。
渡辺:フィジカルな話ですね。
佐藤:とりあえず天井から吊っておくとさほど邪魔にはならないと思うけど。
渡辺:作品ですね、実際の考え方じゃなくって、フィジカルに制作したをどうするのか?

井上:残しておきます。
佐藤:引っ越すたびに持ち歩かないといけないよ。プリントアウトしたプレゼン・ペーパーもある、どうするの。データで残っているから物は捨てるのかな。
渡辺:ペーパーの場合はそういうことがあるかも知れませんね。データがあるからね。
市川:研究室に置いておく。
渡辺:置いていってください。

意地悪な提案が無いね!

佐藤:各種データーは今日の話合った内容を文字にしてWEB記録に作りの公開するので俺にも頂戴ね。俺が馬鹿なんかもしれないけど、説明は分かり難かった。

渡辺:みんなしょぼっといしてる。丸山の話になりますけれど、上手い説明やれるような資質もあると思うんです。そういうことにならないようにしていたり変に足枷をはめてたりしますので。うちの研究室じゃなく別な研究室でやってきたこともあって、器用な話をあえて封印するみたいな事を思っているのかなーと想ったりします。そんなことはないんですか?いろいろ器用にやれる処もあるじゃないですか。

丸山:ぱっと自分でそれが思い当たる節があるとは思わないんですけど、設計するときには。
渡辺:設計したりプレゼンテーションしたりするとき。
丸山:あんまり、そういう意識はないかもしれないです。そういう器用さは感じたことはないです。
佐藤:総じてみなさん心根が優しいですよね。
渡辺:優しいですよね。

佐藤:建築を通じて他者を幸せにしてあげようという、そういう思う修士生ばかりだな。誰に頼まれたのかしらんけど。建築造ったら幸せになるという思い込みが強いのだと思う。建築造ったら不幸にされちゃう、しちゃう事などは考えてないない、素朴さが目立ちました。意地悪に考えている奴はいてもよさそうなんだけど。自分の住んでいる敷地のとなりに誰かに建築造られたら不快になるのが一般的だと思う。何も無い方が良いと思っているのが普通の人間なんじゃないかな。自分も権利を行使して法秩序にしたがって建ててるんだけど、隣の人に迷惑を掛けていることに思いを至ってない点も気になりした。
迷惑かけてやるということも思考訓練しておくべきだと思うんだけど、建築を造ることのいい面だけ見ていることには驚いたかも。親切の押し付けとでもいいのかな。建築って他者を虐める面もあるからね。徹底的に悪の建築案もあってもいいと思うんだ。
予想外にいい人の立場の案だけだった。いい人だけいるのが高知工科大の特徴なんだと思いました、そこは感心しました。

渡辺僕が大学の時は意地悪なことしか提案しなかった。ははははは。ひどい話ですが。はははは。

佐藤:若い人が優しさが前面に出しているのが少し気に成りました。それでいいのかな?半分ぐらい悪い事してるかも?と疑っていない。そこが高知の学生らしさなのだと思います。若い時いい人で、年を重ねるごとに意地悪なことを考える人になってしまったら、迷惑だよ。いい人が裏返ると、時代が変わってひどいことになるんだけどね。建築を提案して造ることで他者を幸せにしてあげようと思い込んでいるんだなーと受けとめました。
今時分の学生さんが、若い時にそういう考えを持っているのが皆さんにとって好い事なのか悪いことなのか、俺には分からないです。もうちょっと自己中の案でもいいんではないか。よい建築を身に付けて社会に貢献するような使命をおびちゃっているのは、若さにとって本当にいいのか?と疑問が残りました。いい人だけ演じてたら疲れ果てないのかな?と心配になります。自分、自我を吐き出したりはしないんですか。疲れないんですか。

渡辺:取り繕っているかどうかでしょうね。
佐藤:地なのね。自然にそうなるんだと。

井上:いい人ぶろうとして建築は考えてない。自分のやりたいようにしているのです。
佐藤:自分のやりたいように思考して建築を提案したら、他者のためになっていた。格好いいね。

井上:それも違うような気がする。

佐藤:市川さんはその当たりはどうですか?
市川:そういうわけではないけども、住宅だと自分が住めるかどうかみたいな、自分が住めない建築を提案しても、というのはあるんです。自分が住みたいなーと思って考えた時に最低限の、住みずらい・・・のは嫌だなーと思ってます。
だからと言って万人受けするような住宅を作っているわけでもないんですよ。

佐藤:井上さんと市川さんは住宅をテーマに修士制作しているんだけど、視点は違いすぎますよね。お互いに語り合ったりして相対化しようとはしませんでしたか。
違う案を見て住宅の対する構え方じゃないよと思いますか。

市川:住宅の提案じゃないよとは思わない。
佐藤:市川さんは敷地条件を3種類つくって、それぞれに提案しているけど、井上さんは全体の配置計画で鳥の目線が入り過ぎていている、そういう疑問はもちませんでしたか。
市川:あれだけの規模の住宅を統一して考えるといろいろ・・・。

佐藤:あまり難しく考えなくていいですよ、ここは大学の教室じゃないので探求の場ではく、対話つないで続けるだけでいいので、

市川:すみません
佐藤:井上さんのこの点はいいじゃないと直感でもあれば、井上さん市川さんの住宅の提案はどう思いましたか。

井上:同じ住宅ということでは思っていなくって、僕自身が住宅一戸も住みやすい空間で、いい空間であってほしいですけど。それだけじゃなくって町全体としての話を考えているのに対して、土俵が違うというか。実際に住宅と言ってしまったら住宅なんですけど。設計の仕方だったり考え方というのは、全然違うものなのかなーと思っています。

佐藤:ぱっと見は市川さんの提案の方がこれからの住宅っぽい提案だと思ったんだけど。井上さんの一括して捉える住宅の考え方は終っている考え方かなと受けとめたんだけど。それは俺の誤解ですかね、渡辺先生に聞いてみましょう。

渡辺:僕は誤解だと思っています。なぜかと言うと、まず土俵が、なかすか町じゃなくって、全部取り払われるんですよ。それは事実でその後に戸建て住宅でカチカチなものなっていく、それに対するカウンタープロジェクト。

佐藤:あの土地には今風の戸建て住宅で埋め尽くされるんですね。
渡辺:それは事実として出来るときに、もう一個あるのが、なぜ新しいかというか、要は丸山の案にも関係することなんですけど、例えば町の景観の時に、くねくね曲がった道になっているの良いという話はないと思っていて。それって自然発生的に出来てきたことが継ぎはぎされて、ぐにゃぐにゃすてるだけであって計画者がぐにゃぐにゃすべきじゃないと思っているんですね。
なので、学校の改修案もそうでして、ちょっと前の時代の話で言うと、オープン・スクールみたいな学校の教室が無いみたいな学校案があるんだけど、あんなものが自由な人を育むのなんていうのは無茶苦茶!妖しいので。むしろカチカチな北側片廊下みたいな教室をベースにして、あるものじゃないかなーという気はします。
だから彼の場合は一番だめなのが中須賀町のことを思わなかくって、似た事を設計者が改めてあの形を真似たようなものを作るのは一番失礼な事だと思っていて。ならば計画としては、基本計画するということはどうやっても合理性なので、不合理な計画なんてのはあり得ない。原理的にはあり得ないので。そこで元の街区は残しているので、その時に出来る後のことは住む人が何か見つけ出して造っていくんじゃないかなーと思います。ごちゃごちゃした町みたいなことを設計者が再解釈してごちゃごちゃ設計することは駄目だと思うんですよ。

藤:そういうふうに井上さん説明してね。

渡辺:そうそう。
佐藤:俺が少し合理的な計画の是非について聞いたけど、反応は明快じゃなかったので、説得力なかったよ。
渡辺:ぐにゃぐにゃ言ってたけど説得力なかった。
佐藤:菊眞先生のように語ってくれると批判したり、改善たり、否定したりすることができるんだけど、説明が少しだけ下手過ぎるので、何を言ってるのか分からなかった。そうなると他者の思考と井上さんの思考が繋がっていかない。そこは問題で、もったいないかな。

渡辺:下手くそすぎる、はははは。
佐藤:提案の大前提を語って、それを乗り越えるために説明が展開していって、こうなっているんだと説得する。何を言っているのか分からないなーとにらめっこしてるだけでは寂しいもんだよ。案はいいんだけど説明が下手だ、ということだから伸びしろありだな。
井上:そうです、すみません。

佐藤:謝らなくていいよ、ここは欠点を指摘し合い罵る場ではないからね、他者とは違うんだと自覚するための語り合いの場だから、誤解しないでね。菊眞先生のように合理的は計画をベースに住み手が後に景観を加算することで全体がよくなってくだと説明してくれれば合理主義にもとづいた計画だということが分かるんだけど。これがいいんだと一点張りで思い込んで計画したのかと誤解してしまいますので、そこだけです。先生の説明は分かり易かったですか。

井上:はい、後付けで言おうとしてたので、話の順番だったり整理して喋る説明しないといけないなーと、発表し終わってから反省してはいました。

佐藤:聞き手を迷わせるという作戦はそれはそれでいいんだけど、付き合わされる方は大変だけどね。
渡辺:そうそう、ふふふ。


■掴みを的確に伝えるといい

佐藤:謝らなくっていいのよ。井上さんの個性だからそれでいいんだけど、井上さんを謝らせるために高知に来たんじゃないから。謝られてもお互いに意味はないよね。 ここは上下関係もないので。個々人が考えていることを語り合う呑み会だ。それぞれの人が考えていることを分かり易く伝えてもらえればいい。作品を批判されたりする場はすくないので、説明を聞かせられても意味が解らないんでは何か言えないので。語り合いが発展していかないのはもったいない。
その欠点は4人に共通していたかもしれない。もたもた喋っていたけど

渡辺:もたもた言っていた、ふふふふふ。

佐藤:さきほども言ったけど最初に掴みが要る。相手に掴ませる導入部が肝心。俺はこれの卒制でこういうことを提案しているんだよと。その提案の魅力をこを相手に理解させてから、ハートを掴んでから、細部を語りださないと。例えば大和さんの場合はなぜ大和さんにとって祈りの空間でなければならないのか、そこをぱっと掴ませてくれるといいんだけどね。掴み部分が弱いので、祈りの空間に至る経過を説明され続けても、苦痛なんだよね。

渡辺:そうなんだよ。

佐藤:最初掴ませてくれないから、最後まで腑に落ちないんだよね。小井土さんの説明の方がうまいよね、各地を転々として暮らし来て落ち着かないから住居を考え続けるんだと、ぱっと掴ませてくれた。ああいう感じかな。

渡辺:そうそう、上手い。

佐藤:今日聞かされた導入部では一番上手い、ぱっと掴ませてくれる。小井土さんの建築へ至動機はぱっと分かる、簡潔で誰にでも分かり易い。しかし4人の修士の方はその部分が薄くっていろいろ語りだしてしまうのでもったいなかった。

渡辺:大和は作品の独特性で救われたけど、別に説明が上手かったわけじゃないから。

佐藤:大和さんのような空間構成や形式を思ったこともないし、祈りのような精神性のある建築を考えたこともなかったので、興味が魅かれたので注目は出来た。大和さんにも最初の説明の時に掴みが無かったかな、おれが聞き逃したのか。
例えば、皆さんの前に突然、誰かが現れて、俺って何かを誰にでもわかる事から説明しださず飼い猫だとか我が家の隣の人の様子だとか語りだしたとしたら、なんやろ?と思うけど掴みが無いのでほぼ謎のままでその人のことを理解できないはずだ。小井戸さんはそこを外してないので理解しやすい。

渡辺:小井土はプレゼン大賞、はははは。作品を出展もしてないのに、ふふふふふ。

佐藤:魅力的な説明を展開するために掴みの部分を磨いてもらいればいいかな。他者に説明する場なんだからそこを磨いてね。
渡辺:対他的だとぐじゃぐじゃ説明は駄目よ。

佐藤:文字起こししようと思って音は採ってあるんだけど、何を言っているのか分からいのを文字にするのは苦行だから、記録は呑みながら語り合う記録にしよう。

渡辺:あれあキツイですよ、文字起こしするのは。何のことだか分からないですよ、はははは。君たちの説明を文字起こししたら、何を言っているのか分からないという事だけは滅茶苦茶、伝わると思うんです。

佐藤:文字にするのが恥ずかしくなるかもしれない。何を語っているのかわからに肉声を文字化するのは苦行だね。
渡辺:もうしわけないですね、本当に苦行ですよね。

佐藤:他者は自分じゃない人だけど、時を経ると自分自身も他者になよ。そうなったときに伝わる記録は伝える技術もあるし、伝えようとする意思が薄弱じゃと工夫が起きない。簡潔な技が身に付いていかないよね。自己完結してればそれでもいいんだけど、建築を介すると他者は必ず介在するので、設計する者なら誰かに造らされたり、資金をだしてもらわないと生業として立ち行かない。だから他者に説明する力は不可欠なことは明らかだね。不明なことをぐたぐた言っていると次の設計者の話を聞いて依頼することになってしまう。30秒〜1分で発注者の気持ち掴んでしまうという技は要るよ。
どの領域の若い人たちでもプレゼンの練習しないんだろうからね?他者に伝える行為はいろいろ困難を伴うから、伝える研究はジャーナリストを専門にせずとも要る。

渡辺:外国で仕事をするとめちゃ言葉が不自由なこともあり、祈りの空間と言わなくちゃいけない時のことを思ったり、何か言うしかない時に、前提とか言っている場合でもなく、何かそれはあるんですよ。

佐藤:これがいい建築だといきなりどすんと言い張るなど はははは。
渡辺:いきなりどすんと言うのが肝心。
佐藤:その次に能書きを語りだすと。見た事もない建築の模型があると、興味は引かれるかもしれない。
渡辺:大和の場合はあの模型で掴んでいるから、引っ張れているだけなんだけど。
佐藤:見た事もない建築模型出て来ちゃったから、聞いてみるかという気分を醸成してしまっていたので、今日は大和さんの勝ちと。

渡辺
:そうそう、説明としては大和が上手くいったのではなくって、見たことない状態があるから、聞かなきゃいけないなーと。聞かざるを得ない。ふふふふふ。
佐藤:模型の力があったので、とりあえず大和さん模型の価値が発揮されたと。

渡辺:ずーっとそれで行く、見たいことない模型を出しておいて。でも大和は見た事ない模型を出したわけでもなかったんでしょう。
佐藤:私の建築を知ってもらいたいのが先にあるなら模型の力に頼るのではなく、プレゼンの仕方の技を磨くしかないかな。

渡辺:プレゼンが上手いのが作品出していない小井土だったとは、ははははは。
佐藤:プレゼン完成しているから小井土さんが見た事もない模型を出すと、これは面白いことになる予感してきたね。

渡辺:そうですね。彼はしゃべる、プレゼンは上手いけど設計はヘタですからね。ははははは。プレゼンテーションというよりは建築家能力がまだ追いついてない。


■休学しました。

佐藤:みなさん!俺がぐだぐたこんな感じでしゃべり続けてていいのかな?修士の皆さんから何か語りだしてください、まあ、たまにはこういうのでもいいけど。

渡辺:市川さんは酒の席に同席したのが初めてです。

市川:はい、そういう場がない。

渡辺:そういう場があまりないし、彼女は1年上のお姉さんなんですよ。休学していたから。
佐藤:休学して世界放浪したとか?ですか。
市川:いや、家の中で。
渡辺:メンタルをやられてしまい。
佐藤:勉強しすぎたり環境に合わず一回休んだと、それはいいんじゃない。人生は長いので、ときどき積極的に流れから外れて休んだほうが身のためだし、いい選択だと思いますよ。休学なんて問題ない。生身の人間だから人造システムの中を順調になぞればいいわけではない。そのことを悩んでいるわけではないんでしょう?

市川:今は休んでよかったなーと思います。
佐藤:休学する前は学校は大学は休んではいけない場なんだと思いこんでいたのかな。
渡辺:あまり、しっかり休もうとしていなかったよね。
市川:とりあえず授業をしたほうがいいかなーと思っていたので。
渡辺:まずそこね。

佐藤:市川さんが休学してどこに行っていましたか?
市川:実家に帰ってました。
佐藤:実家でのんびりしてたと。両親は優しいんだね、おまえ休んでのんびりしていなさいと。
市川:ほったらかしにされていた。あんまり干渉してこない。

佐藤:おまえ早く学校に行けとは言わないんだ。

市川自分で決めろと。
佐藤:それは逆にきついね、ギャーギャー言われた方がいいね。もう1年休もうかとは思わなかったんだ。
i市川:これ以上休んでも、戻るか、地元で就活するかという選択だったんです。でもこのまま就職した処でどうなのか、粘れるのか?と。

渡辺:ミッションみたいなものをクリアーしてないことが多すぎたような雰囲気でしたものね。
佐藤:若い時分には悩みが多い方がいいよね。年老いてから多くのことを悩んでもしょうがない。若い時分は幾ら悩んでも何度も再スタートもできるので。一回休んでみたら、両親も自分で勝手に決めなさいと。そういう戻れる場所があるのはいいよね。

他の修士生は一回休んで放浪したりしなかったんですか?建築才能ないからやめようかなーとは思わずに自信満々ですいすいと6年間過ぎたんですか?悩んだことはなかったんですか。


高知市旭地区中須賀町における既存街路とパッシブシステムが重層する市街地整備
-地区空間の読解から導く市街地空間の生成-     修士 2 年 井上喜人

本修士設計は、高知市旭地区中須賀町における既存街路の特性を生かした居住空間の形成、パッシブシステム導入による居住環境の改善、この二つを重ね合わせた市街地整備を行うことを目的とする。
計画対象地区である中須賀町は、路地や湾曲する街路を多く含む複雑な街路体系を有している。そこに街路の空間特性と密接に関わる住居が建てられることで、中須賀町ならではの空間が形成されている。コミュニティを育む路地、車交通の速度抑制をはたす湾曲する街路などは近年住宅地計画において評価されている街路特性であり、その意味においても価値を持つ空間といえる。
しかし、現在、中須賀町では「災害時に著しく危険な密集市街地」とされ土地区画整備事業による市街地整備が行われている。それにより既存の中須賀町は街路含むすべての空間がクリアランスされ近年どこにでも見る住宅街へと返還される。これは、空間的価値の喪失であり、問題である。そこで本設計では、災害時における安全性を確保しながらも、既存街路に従った街路網整備とその特性を生かした住居を計画する。
また、中須賀町は、密集市街地とされているものの、南庭を有する家屋が多く、冬期集熱を行う傾向がみられる。ただ、全ての住居において良好な居住環境が得られているとは言い難い状況にある。今後の持続可能なまちづくりのためにも全ての住居において冬期集熱を可能とする南北建物間距離の確保を行い、パッシブシステムを導入することで居住環境の改善を図る。
この二つの計画を重ね合わせることで、既存街路による特色ある空間と良好な室内環境を併せ持つ市街地の形成を行う。



井上:悩む暇がなかった。はははは。
佐藤:そんなに忙しい学生生活だったの!何してたの?学生さんは暇だらけなんじゃないのかね。そうじゃないんだ。
井上:いい建築、つくりたーなーとずーっと悩んでいた。

佐藤:井上さんのいい建築っていうのか、良いがまだ理解できてないんだけど、井上さんさすが酒どころ神戸生まれだ。しょっちゅう灘のお酒を呑んでいたのかな。
渡辺:水道水から白鶴がでてくるんですよ。
 会場大笑い

渡辺:それは強くなるよ。ははははは。水道ひねると・・・はくつ〜るが出て来る。

佐藤:井上さんは酒蔵の息子だったりして。
井上:違います。

佐藤:丸山さんは6年間すいすいと順調だったんですか?
丸山:順調ではないです、躓くとかではなく。悩みながら。
佐藤:その悩みをここで言っても、吐き出してもいいんじゃない。
渡辺:前提がこの二人と、こちらの二人は違っていて、この子たちは3回生からずっと研究室にいるんですけど。市川さんと丸山君は彼は院から一緒なんです

佐藤:違う研究室から移籍したってことですか?
渡辺:そうなんです。出自が違ていて、彼は院からは二人と一緒でした。違った環境の中でやっていかなきゃなー、ということで悩んでいと思います。そこを頑張てきてたんじゃないかと。
佐藤:そこが悩みだったということですか?



渡辺:その中でとういうことがあったのかは僕は分らないです。市川さんは修士1年まで違う先生の所に行っていた。

佐藤:研究室の雰囲気が合わなかったとか?
市川:ちょうどいろいろ、大きいのがあって、合わなかった、シワ寄せがすごい。

渡辺:それで修士2年になって先生が倒れられたこともあったので、どうしましょうかという話があって。
佐藤:今日の修士設計の三つの住宅案を見ると、悩み倒れて一回休んだ気配はまったくないね。健康的な案だよ。

渡辺:もともと市川は健康的だったと思う。3年生までは設計を見ていたので。
佐藤:申し訳ないけど、それは倒れていただいて市川さんには好かったんじゃないかな。はははは、総合的に相性がよくなかったんだ。万人に合う先生も居ないので、しょうがないと思う。

渡辺:そういう事を言わないでほしい、はははは。
佐藤:JIAの主催だし、この展とおれは大学に関係ないから言ってもいいんだと思うんだけど。いろいろあって、相対化して市川さんおめでとう環境が立ち上がったと。市川さんにおめでとう!の環境に変わったと、市川さんおめでとう!と言ってしまうよ。

市川もうしわけないですけれど、私にはいい環境に変わりました
佐藤:学問も人間も合う合わないの相性はあるでしょう。合わない人間関係のなかで苦行してても時間の無駄だしね。自由に入れ替わるほうがよさそうだね。大学に入って自ら虐待空間を体験してても希望が萎むのでよくないんじゃない。合わない環境からは直ぐに逃げなきゃだめだ、そう俺は思う。プレゼン技も、逃げ技も、磨いていく必要があるんだね。はははは。


(市川さん修士設計)

渡辺
:市川はそこで頑張ちゃうんだね。周囲の人にも合わないとなれば。
佐藤:日々地獄の環境を選んで授業料を払って居続けるのは、心身によくないよ。

市川:同期にも合わず。

渡辺:でも頑張っちゃう。

佐藤:でも最後の1年間は逃げ技を繰り出して、住宅三案の修士設計を手に入れたんだと、おめでとうございました!

渡辺:市川は人をあまり傷つけないことを優先するタイプなんですよ。

市川:今、考えたらさっさと研究室を換えておけばよかった。
佐藤:大笑いしている佐藤

渡辺:こっちの方が向いているんじゃないかと、ずーっと思っていましたよ。

佐藤:6年間の学生生活、泣き笑い話になってきたよ、今日の呑み会は好かったね。そういう逃げ技指導をしに俺は来た来たんじゃないんだけど、いい感じの展開ですよ。他の人は俺のように病気になっておめでとう、なんてはっきり語らないでしょうからね。ははははは。

渡辺:市川さんは遅めだっただけど、丸山は決断が早かった。
佐藤:市川さんはこれから開花しそうだね。三案の住宅発見したからこれから建築楽しくなるんじゃない。悩み抜いてよかったね、一年休んで自分らしさが開花してたね、おめでとうだね。
渡辺:それで、今後こういたいという話も聞けたのでよかったです。

佐藤:俺が来て苦しいことを吐き出させたりして、市川さんを泣かせてしまったと。

 がやがやがやがや

渡辺:市川さんは入ってきてからすぐに、電池切れした問題もあったし、ショートするというか。
佐藤:飯食わずに暮らしていたんじゃない、肉も食うことだね
市川:ご飯は食べてました。
渡辺:今だから言えますけど、ゼミ生でお腹すいたらお腹が鳴るタイプなんですよ。グーグーと腹が鳴りだす、正直なタイプです。はははは。市川さんの得意技、ははは。

市川:授業の時もにびっくりするんですよ、ふふふふ。
佐藤:今日は出会いから6時間目にしてようやく、息が合ってきてうち解けだしてきました。初めて会ったので初日は時間がかかりますね。

渡辺:市川さんが計画をやっていて、佐藤さんだけじゃなくって、皆さんが市川さんと ・・の木の愛着は皆さん言うわけで。それはいい話だなーと思っています。
佐藤:1年休学話と案を重ね合わせると、ぐーっと説得力が増すよね。で、あそこまで模型も完成させることができたのだから、とてもいい休学だったんじゃない。市川さんがテーマとした地域名、あの漢字は読めないね俺は。
渡辺:読めないですよ。

(市川さん修士設計)

市川:知ってはいた。4年生の時に院生の授業を一緒に受けたので。
渡辺:そうか。そうだ、特老のときにね。

市川:3年生の時の研究室の入る前に準備をしてた。
大和:一応知っていはいたけど、その時からつくるものも面白いものをつくる方だなーと思っていました。

 ワイワイがやがや

市川:3年生のときに通ていたので名前だけ独り歩きしてた。知らない人から言われたりしてすっかりハマりそうになり。設計は研究室に配属されてから、厳しくなって。

佐藤:こんどは集合写真ですよ

渡辺:僕も写りますね。

 集合写真を撮り始める佐藤

渡辺:小井土はプレゼンが上手いだけではなかった、はははは。

がやがや、がやがや

佐藤:呑み会は2時間経ってようやく盛り上がってきましたね。
渡辺:それぐらいいりますよね。市川さん将来は独立したいっていう話になったけど。はははは。
佐藤:住宅の設計で独立できるんじゃないですか。住宅をメインに設計していきたいんでしょう。建築士の資格の問題はあるけど、明日から設計しだすといいよね。たのしみです。

渡辺:実家が奈良だそうだけど両親は奈良の方ですか?
市川:違います。父が大阪の方に勤めていて、土地が安かったんで家を建てた。
渡辺:そういうよくある話ですよね。我が家もそういう話だった。ふふふふ。

市川:花親が愛知の方です、父は大阪の人なんですけど祖母が愛知の人です。
渡辺:かなり愛知の血が濃いですね。

佐藤:2しょっともしよう、何しろ画像係を雇っていないので、自撮りするしかないんでね。記録に画像を付けないと、読む人苦しいからね。じゃんじゃん画像でひきつけるんだよと、写真を撮っている。佐藤。1ヶ月後は修士生全員は社会人になっているんだと。おめでとうございます!

井上:まだ決まっていない。
佐藤:いいじゃん、大学を卒業しちゃうんだから、バイトで生きて行くにしても、社会人じゃないかい。おめでとう。実践あるのみだと。めでたくないの?
井上:おめでたいと思う。

佐藤:大学卒業したんだからおめでたいよね。


 わいわいいいながら写真を撮っている

市川:とりますよ〜チーズ。
佐藤:ありがとう。菊眞先生!ようやく盛り上がって来ましたよ。修士生は本音を出し始めましたよ。

渡辺:市川さんの話も聞いたし。
■社会人になって嫌いな人が発注者で現れたらどうする

佐藤:みなさん都会で育ったにしては都会ずれしてないよね。純朴で優しい人たちだね。
渡辺:なんででしょうかね、そういう人たちが高知にくるのか、こっちに来たからそうなったのか、どうなんですかね、高知に来たのが大きいと思います。

佐藤:僕も切れ者ですっていう空気を出す学生は居ますよ。
渡辺:もしそうしたらクソミソ怒るので、はははは。その芽を摘んでしまうというのはあります。そういう学生は渡辺研究室には来ないと思います。

佐藤:菊眞先生は純朴導師なんだということで、学生は純朴仕上げされちゃんだと。ある研究室は病仕上げだったりして。
渡辺:純朴仕上げ!はははは。鏡面磨きみたな純朴磨き、はははは。張ったり仕上げもあってもいいかな。いろいろあって高知はいいな。人間は優しいけど、相性はあるからな。合うか合わないか、合わせるか、合わせてもらうか、そういう関係だ。

佐藤:ここで確認しておきたいのは社会人になると多種多様な人がいるから、合わないときは無理やり合わせる必要ないので離れるとか避けるとか、いったん付き合ってみるとか結論を先送りでもいいし、他者との距離のとりかたの手法を身に付けておかないと。
設計者が発注する人と合わなくっても所長とべたべたに合っているときは困るよね。大和さんのように二人だと変えてくださいと言えないので困るね。小さな組織だと逃げ道つくりから難しいかもね。俺はそういう経験がないので、考えて来なかった。病仕上げをえらぶか純朴雇われ仕上げに徹するか、人生の仕上げもいろい手法も生み出して、なかなかいい感じになってきているよ。 

市川:一時休んでいるけど、あとは誰か新しい関係つくります。
大和:嫌いな合わない理由にもよりますね〜

会場:・・・・ワイワイがやがや・・・社会人になったらどうする問題は深夜まで話は続くのでありました


 2022年3月8日 高知市内の居酒屋で
 
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修士生編を最後まで読んでいただきありがとうございました。感想などありましたら電送ください 文責:佐藤敏宏