2017年10月03日 
石川卓摩・木村俊介さんさんに聞く 神宮前の事務所にて
 01 02 03 04 05 06
04

石川:最終的に本当に安くなったのかは若干疑わしいですけど。皆さん満足してくれたんで。
佐藤:工務店は鉄骨屋さんに支払いしないぶん利点があるよね。大工さんが組み立てていけばいいので。

石川:鉄骨屋さんに投げちゃうとどうしても、そこで金額コントロールされちゃって。鉄骨屋さん最近高いイメージなんです。
佐藤:オリンピックあるしね、そうかー。手に入れやすいツーバイ材を活用して大工さんが建て込むと。方杖みたいな梁はどうして邪魔になるんですか
石川車をね、リフトで揚げるんですけど、それで天井の高さが4m必要なんですよ。なんでこの柱組を除けた所で4mを確保しなくちゃいけないので。建物としてはちょっと大きくなちゃっているんです。
木村:本当は4mあればいいんだけど、斜めな材に当たっちゃうんで・・
石川:これは5mの設計なんで

木村:鉄骨でフラットな梁がある方が建物が低くって済んだかもしれないっていうことはあるね
石川うん

佐藤:木造骨組みにしようとどちらが言い出したんですか
石川:それは単に僕が
木村:でもコストを下げたいなーみたいな話はあったんですね
石川:柱脚とかは面白いんですよね こういう隙間がここにもあるんですよふふふ
佐藤:柱が見た目はしっかりしてない印象を与え、みんなで支え合ってる、そのあっさり感がいいんじゃないですか。一般には柱に隙間はないからね 
木村:そうそう

石川:このりかたさえ分かればホームセンターにある材料で造れるじゃないですか。実際は作らないんですけど。作れそうな雰囲気がいいなーと思って。
佐藤:誰でも作れる感、それが出てて大成功だと。

石川:骨組みが木造だとね防火壁にしなくちゃいけなくって、結局膏ボードを貼んなくちゃいけなくってははははは、それで考えると鉄骨造で構造材不燃材にすれば、そこは要らないから。これはこれでいいんですけど、鉄骨でもっと軽やかに、簡単に作れるやりかたを・・。

佐藤:鉄骨の細もの使ってつくると鉄骨屋さん嫌がるよね
石川:トン数を抑えて、なるべく一般的な材料を組み合わせて鉄骨造で次回は作りたいと思ってるんですけど。まだその案件が来ない

佐藤:柱組は修理工場を経て、歯医者さんのインテリアと融合し住宅の内観に引き継いでるように見える。住宅の中にツーバイ材加工した柱・梁がビルトイン。挿入してキメイラ状構造になっている。話を聞いてみないと分からないもんだね。
ぱっと見は平凡にみえたけど、話を重ねて聞くと、そこに至った経緯と試行錯誤が分かってきて面白いね。住宅の図面に触れたときは変わった内観だなーと思ったんですが理解できました。

木村天井はラーチ材です、台所回りなどはラワンにしようと思っているんです。まだ建て方が終わってないので、この3Dのパースも建て方が終わった直後ぐらいで。建具は一応入っているね。
石川実際にCG上で建てているっていうのは、そもそもよくやるなーと思うよふふふふ普通に検討するためのCGは別に作っているんだけど、構造がちゃんと成立しているか、全部一個一個作っている
木村:これはビスの頭まで描いてますから、どうビスの頭が出て来るかっていうので。

佐藤:建物の現場よりは、細かな検討もできちゃう3D作る方が好きなのかな
木村かもしれない ふふふはははは
佐藤:映画の制作会社に行った方が腕がふるえるかもねー

はははは



木村:これもちゃんと、どうビスが出て来るかなーって。ビスの指示もらってデータを入れてみて。何かこれは変だぞーという所はビスの位置を変えてもらったりしてます。他の設計事務所と一緒に設計している物件があって。その人たちは全然CG作らない。僕は気持ちが悪くってしょうがないんですよね。なんでそのままで進めちゃっていいんだろうってふふふふ。そんな感じがしてますね。

佐藤:具体的に柱・壁ができたときの齟齬を調べるのが好きなのかな
木村ははははそれだけが好きじゃないけど。
佐藤:大風呂敷を広げて建築を語らないので。珍しいと思うんだけど
石川そういう処もちゃんと把握しないと気になるということだよね。
木村:たぶん自分がやった物件じゃないと、そんなところまで気にならないと思いますけど。
佐藤:一般的にはプレカット丸投げなんだけど、金物を含めて全て把握してチェックしていこうということですよね
木村:たぶん、全部プレカット屋が入るんだったら、あんまりチェックしなくっても、済むかもしれないんですけど、大工さんが加工するから、程度指示を出さなきゃいけなくって。そのせいで細かいところまで気になている、というか見えて。特に、ここのところは構造材が丸見えになってくるんで。気になっている。

佐藤:CGが綺麗にできたけど、現場はそうなるためのつなぎはどうなっているんですか
木村:一応、ここの拡大の図とかは出してますけど。北側がちょっと高いから南側が見下げられるような感じで。南側にがばーっと開口をとるようなイメージじゃない家だなーと思って。でもうちょっと下がった所に中庭を作るとか、いう案もあったんですけど。真ん中へんに居住空間がある。ここにトップライトを作って。ピアノホールみたいな感じで作ってます。

佐藤:中心は作業場っぽいし、倉庫ふうだし、機能の混乱を意図したかな
木村:かも知れないですね
佐藤:話を聞いてて理解出来てきました、先に造った工場の仕事の影響を受けて、歯医者さんの内装などと融合されて、これが出来ているんだと。それが理解できました。二人の体験を引き継いで更新し続けて建築を作るって態度ですか。一つ一つ実験的な事をやってみながら、そこで改良しながら作り続けていく態度は長続きするから、いいんじゃないですか。

前回とはだいぶ変わりましたね。美容院を作っていた初期はもうちょっと武骨な感じじゃなかったですかね。そうでもなかったんですか
石川:そういう、細かい作り方からのアプローチはあんまりしてなかったかなー
佐藤:やっぱり311の大震災をきっかけにしてですか、演劇の影響かな

木村:ふふふふふ
石川なんでしょう、普通に
佐藤:仕組みを支える構造が前回の聞き取り時とは異なっているなーと。普通の柱の建て方を離れだしてた
木村:9年前は普通に在来で梁は見せていたけれども。
佐藤:施工中の住宅に至ると 全体の囲いを支える壁組なのか、棚なのか通風用の隙間なのか、在来の骨組みが分解してきてて、多機能に解釈できるようになっている。見た目も脱柱化してきている。その経過過程が見えてていいんじゃないですかね。この手法が全面に拡大して、囲いの壁の柱周りにも発展していく可能性もありますよね

石川:むしろこれだけが建っているみたいなね
佐藤:既存の在来型の作り方はおまけの部分へと退化していくかもしれない
石川:そこは外でもいいみたいな感じに
佐藤:自分たちの建築のテーマがこの住宅の中心を支える多機能柱的壁になっていく可能性があるんじゃないかな。それが繰り返されていくか、要求された部位が付け加えられたり取り外されたりしていく、色々な展開がありそうです。もうちょっと時間経たないと分からないね。展開が楽しみですね。現状の閉じた感じは北下がりの傾斜にたってて見下ろされるから機能上そうなっているだけだから。

木村自分たちでもここがどういう感じになるのかというのは楽しみです。トップライトも最初5個あったけど、減額で3個になって大丈夫かとか。
佐藤:ちょっと薄暗い中に骨組みが表れて、光が一定方向からきている方がいい感じだと思いますけどね。夏トップライト暑くいし 少なくていいんじゃないかなー。
石川:長さ1395かな
木村:で900の幅に入るものが三つ屋根につけてます

佐藤:こういう骨組みを表すインテリアを作っている。構造はいきなりツーバイ材張り合わせて組み立てる方法になったんですか

石川最初ツーバイて思ってなくって。在来の木造の材を組み合わせて、作れないですかって言ったら。構造の人がそれツーバイにしましょうっていうことになって。それの方がいいねーってみたいな感じです。
佐藤:構造設計者もいろいなタイプがいて、細かい市販材を器用に組みあわせて大架構を作ろうとする人もいて、家具の延長みたいな考え方もあるし。

石川:この構造の人も木造で大架構みたいなのをやっている人なんですけど。たまたま、そんなに大きくなくって。丁度ツーバイ材でいいサイズだったんですよね。割と楽しくやってもらいました はははは
佐藤:構造家にかなり影響を受けているということかな

石川そうですね 

その5へ