HOME 佐藤敏宏のことば悦覧録 | 倉本剛さん編 吉祥寺にて 2014年6月6日 01 02 03 04 |
04 倉本:この場所は見通しが好く ずーっといって品川の超高層が建っているのが見えるで。それに対して3層分のエントランスを開けて、奥にエレベーターホールがあるんです。 佐藤:外壁は打ち放しの模様が入ってますが 倉本:杉板の打放し。 佐藤:今時 珍しいね 今そういう仕様でコンクリート打ってくれるんですか 人手不足と言われてる時期ですけれど 倉本:高額ですねー。嫌がられてます。大変なんです。着工して杭を打っているところです。坪単価は100幾らですね。 佐藤:バルコニーは無いんだね。町の中だから無いのかな 倉本:こちらにあります。それぞれあります。これは私の事務所での仕事です。スタッフ 1人います 佐藤:増えましたね! 倉本:1人だけ増えました。 佐藤:お目出度うございます 倉本:なかなか大変ですけど 給料ギリギリで 払ってます。なんとか。これは工務店から話しが来たんです。 佐藤:設計料は安そうだけど 実作作った方がいいですからね。 倉本:作りたい気持ちで受けたんです 佐藤:歯を食いしばって頑張ると 倉本:とにかく完成させないといけないですね。よい形で。 佐藤:工務店さん 杉板打ち放し よくOKだしたねー 倉本:相当嫌がってますね 今でも。杉板使い回せないんですよねー。コンクリート付いちゃうんで。形が全部違いますし。うづくりにしている杉板なんで。杉板をしごくと凹凸が出るんですね。板目が綺麗に出るんです。うづくりの杉板っていうのはフローリング材みたいなものであります。本實で型枠を加工する。昔の施工方法ですよね。 佐藤:今時 そういう古風なことで 建築を作りたいんですか 倉本:単なる打放しでもよかったんですけども。あまり ごてごて化粧して、そこに凄いお金を掛けるのはもったいない気持ちはあります。最初は石貼りというふうな要望があったんです。外壁。 佐藤:型枠だけで杉板を使い捨てるのは ややもったいない感じですよね、活用したい気持ちは出て来ますよね。 倉本:確かに 杉板型枠は家にもっていって使いたいぐらいですね。 佐藤:高校時代に転用するために 杉・型枠からコンクリートを剥がす、そのバイトやってました ふふふふ 懐かしいなーと思いました。 倉本:外壁は施主さんと色々話しをしてるなかで、石を全体に貼るのも凄い金額なんで。打放しはいやだと。という中での杉板が着地点になったんですね この外壁は。たまたま。 佐藤:倉本さんの現在のビックプロジェクトだと。他に計画もされていますか 倉本:その他はインフィルですね。 佐藤:住宅系が多いですね 倉本:拘ってはいなんですけど 佐藤:近頃はコンペには参加してないんですか 倉本:ちょっと忙しかったんで出来なくって。またこれからは挑戦します。もう42才になりましたし。 佐藤:お子さんも誕生して 好いですね 倉本:2人めも生まれたんです 佐藤:お父さんですね おめでとうございます 倉本:上が男で下が女です ようやく子供ができました、3才0才です。なんとか不自由させないで育てないといけないので。喰わせるのが大変ですけどね。 佐藤:前回 泊めていただいた ご自宅は転居されたんですか 倉本:変わらないです。 佐藤:ご両親も一緒で賑やかそうですね。ゲストハウスがありましたが その後 解体してしまいましたか。 倉本:今は空き家になってます 佐藤:空き家とは もったいないですねー 倉本:もったいないんですよね。ふふふふっふ 佐藤:自宅の周りはとても静じゃない 事務所に最適じゃないですか〜 倉本:そうなんです。まあ まあ まあ あそこもいいですけどね 佐藤:家が近すぎて嫌なのかな 倉本:事務所も あそこがいいと思います。 けども あそこで仕事をするとなると相当手を入れたくなる。あのまま使うというよりは手を入れたくなるのかなーと 佐藤:設計施工で改装するのもいいね。 新しいプロジェクトでいいじゃないですか。6年前は自分の建築を手探りしてて、今は現実の目の前の仕事に追われて、自己追求がすこしぼんやりしてきているのですか。状況対応に明け暮れる感じがする 倉本:そうなんですよね〜 佐藤:そういう時期もあるし 色々あっていいと思いますけれど。肩肘はらなくっていいように思います。前回に比べて少し挑戦する態度が消えてますね。仕事が無かったので挑戦できたのかな 倉本:ストイックにやっていたんですよね。 佐藤:どちらが いいのかはわかりません 倉本:いや それは僕の課題ですね 佐藤:建築家が実作だけを作っていくのは正しい建築の道かどうかは分かりませんが、何かを 倉本式建築をつくり出そうという姿勢は消えてないですよね 倉本:そう 頑張りたいですね。 佐藤:建築家のありかたの多様性について 自分で何処まで許容して状況に対応し消化して 成長していくのか その当たりを手探りしていることが分かりました。理想への道を進むためには色々難しいとは思いますが 6年前とは違う状況下でも倉本式建築を追求している様子がわかりました ありがとうございました。 最初に説明いただいた マンション内装の実践のウエートが今でも倉本さんの中では多きい感じですね 倉本:そうですね。出発点になって来そうです 佐藤:まずは社会性をもって実現したプロジェクトであると、すんなり受け入れられない点も今後に向けてよかったのではないですか 倉本:そうですね 課題が色々見えて来たというのもあるし。 佐藤:311の地震の前と後で変化したことはありますか 倉本:それが いいのか 分からないですけれども、東北の人達の助け合いみたいなものはクローズアップされたと思うんですけれども。それに対して東京でのコミュニケーションというかコミュにティーというのか分かりませんが。そういうもののありかたがそれでいいのか?っていう流れはあるんじゃないかと思うんですよね。 あるいは近代的な思想を見直した方がいいんじゃないかとか。そういうぼんやりとした、そういうものをより強く示せれたというか。気づかされた。そっちに段々軌道修正していこうという気運になってるじゃないかなーと思うんですけどね。 それは僕も前まえから、日本人の東北と東京では違う下も知れませんけれども 大枠で言えばそういう気質があって。それは 今はだいぶ忘れているんですけども。少しずつ軌道修正する切っ掛けになると思って居るし、それに期待いてはいます。 佐藤 今日は色々聞かせていただきありがとうございました 倉本剛さん 2014年 ことば悦覧録 を読んでいただきありがとうございました 次回第三回目は2019年に予定しております おまちください 文責 佐藤敏宏 |
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