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     2000年 大島哲蔵さんと佐藤敏宏の私信交換   home 

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2000年11月1日 23:24 11月号よみました


大島哲蔵様

今日から11月でコチラは大分寒いです。紅葉は日増しに散り方が激しくなりました。

11月号読みました。今回も私の知らない作家が取り上げられていた。楽しく拝読いたしました。グラハムの作った迷宮やタレルのローデンクレーターそれにデレクジャーマンの庭ですが。デレクジャーマンの庭の強さと弱さと言いますか、その有り様を納得しつつ、無力さも受け取らざるを得ず人魂の輝きを放つ庭とお思いました。

塚・塚の上に植物を植えるようにです。石碑よりはこの方が強いですね。しかし原発の前にはそ植物の無力さが際だつのもたしかで、納得いたしました。

28日に我が家でワタナベさんに話してもらいまいました。仙台の人達の要望でしたが結局参加者が少なく、・・予想通りでしたが・・初期住宅から最近のトルコ計画まで8時間ほどの講話でした。

私の目的は初期住宅のコンセプトに返れでしたから、目的は達成されました。こんな事は田舎で静かにするのが剣突家(ミヤジマさんの造語)には相応しいようで。珍しく反省しきりでした。処女作を越える作品が無かったと思います。これから3つ(課題にありましたね)作り生を終えるそうです。

簡単な感想でした。ではまた。


● 2000年11月2日 17:7 もう一本ありました
大島哲蔵様

今日も寒い一日です。建築文化の文章もう一本有りましたね。

いやはや色んな分野の事を沢山ご存じで感心します。講師で行かれてる大学生も幸せなこととおもいました。「写真が発見する風景」たのしいく読ませていただきました。

計画中の住宅で公園や敷地境界のこと農地と宅地の境界や所有の事をとりとめなく思っていたので、ランドスケープの特集は面白いです。

さて大学の方の仕事の合間を縫って文章をまとめたりと、充実した感じが伝わります。

各文章で思うことですが、それぞれの文章をもう少し長く書いて欲しいと思いました。ともうしますのは周辺の知識が無いと意図が伝わり難いのではと思うのですが。少し自分で調べなさいと言われればそれまでのこととは解っていますが、飛ばしすぎで、もったいないと思いました。

勝手なことを申しましたが、大学に文筆に活躍を期待いたしております。ではまたメールいたします。



2000年11月3日 12:13 Re:もういっぽんありましたね
佐藤敏宏様

いろいろ感想を寄せていただき感謝します。建築文化としても、私のようなライターとしても貴君は最高の読者だと思います。佐藤さんは読みながら楽しみ、自分も考えておられるので、私も書きながら楽しく学ぶということにしているので、建築プロパーの恥識のひけらかしとか学者のごたく(ご託宣)とは違うと思っています。

文量については編集部の意向に従っていますが、最近は嬉しいことに「少々長くてもかまいませんよ」と言ってくれることもあります。でも今のところ「存分に書いたら」今の自分の力量全体ともろに対面しなくてはならないので、とくに自分の判断として、腹七分目にしているわけです。(ただし質としては七分目にはしていません)

教師としてはある程度自信もあるのですが、やはり自分で設計していないと解らないことも多いですから、もし常勤の話があっても行きません。これも恋人なら何とでもなるが結婚は困難というのと似ています。

こないだある女子大生に、○×(先生)のような(堅くて真面目で生活力のある)人と結婚して僕のような人を恋人にして、△のような(同席していた三枚目の学友)お友達を二三人もって生きていくことを推薦するよなんて放言して「また自分だけ良い位置に回っちゃって」と言われてしまいましたが、マジで男でも女でもそんなあり方がこれからの行き方だと思ってます。

自分の文章の愛読者のコメントは嬉しいもので調子に乗ってバカなことを書いてしまいましたが普通の人でも裏がわかる文じゃないと本当には楽しめないのでこれから少し注意します。学生に教えていてもいつもそこで躓くのです。ただそのことは作品でも同じで貴君の作はどこか解りやすいとこがあり、まして文を読んでくれれば一作でもかなりアピールできますが、それでも以前の作品とつなげてみているひとは少数派です。カリスマ化すれば何とかなるのですが、今度は内容が抜け落ちることになります。雑誌に載る平凡な人はそのままの水準で現れますが、実力の高い人(特に飛躍期にあり独自のこれまでにない側面をもつ人)が十分に自らを差別化(良い意味で)することは容易ではありません。いやはや難しいものですね。

それではまた。大島哲蔵


2000年11月6日16:6 長く書かれたらいい

大島哲蔵様

突然の来客(サラリーマン時代の上司)で大混乱でした。面倒に成りそうだったので酔っぱらっている間に東京まで車で送り帰して一段落です。今日は爽やかな日です。

文化の文章の感想など、あまり来ませんか。ぽむ企画というサイトに紛れ込んだら雑誌の感想を連続し公表してましたがああいう雑談的な話しも飛び交わないようでは建築関係も先が暗いなと思ったりしますね。

自分のコレクションを歴史上意義有るモノとして告知する歴史学者にもあきれ
ますが
だまされる、関係者にもあきれます。

建築は根も葉もないものでも、生きている人が想像したり、こしらえてしまえば歴史の事実に成るので、何でもありの気楽な稼業ですが、乗り越えなきゃならない現世の困難も数限りないので、そうも行かないので面白い。

文化の前後の対談のようなダレ気味の話よりは、紙面を多く提供してもらい、今回の内容を3倍ぐらい前後左右を解説してもらえるといいと、単純に思うのです。

他者の批判や値踏みや依頼がないとダレもこの世に存在出来ないが現代のキーポイントだとおもいます。だから挑戦する価値があるのだと思います。

かつての上司のようにリタイアしてから説教を抜かしても、現役でわめき散らせと言いたいからです。自分だけいい位置どりは安全ですが淋しいと思います、恋人に傷つけられるぐらいのほうがこの世は楽しいし、歳 おえて無駄口をたたく必要もなくなるのではないかと思うのです。よけいな事かもしれませんね。

長い文書を書いて一冊モノにしてください。私は新しい住宅をお見せ出来るよこれから少し計画します。ではまた。


2000年11月14日18:28
佐藤敏宏様

来年の文化の新年号は、またコルブ特集で、辞典的に編集するそうです。数年前のコルブ特集が順調に売れたのと、その時、私がポンピドウー・センターからコルブ百科事典のような本がでていて、すぐ売り切れになったと書いたものだから、そうした企画が持ち上がったようです。ここまで素直なのも恐いものですね。

小生の所にもいくつかの項目を書いてくれと言ってきましたが、2本にしておきました。例によって、コマ切れの解説文でしたので。それでも他の人と違って、1頁分はとっていますが。しかも他のライターが敬遠した残り物の主題を思い切り派手に膨らませて書いておきました。自己満足に過ぎませんが、こういうやり方が楽しいものです。(<コルブの現代的後継者>と<パトロン>)

もちろん長編のチャンスがあれば、どこかにこもってでも、シビアなのを書き上げるつもりです。21世紀の初頭を飾る建築論という転回点が必要だと思っています。建築も変化への欲求が顕在化する好機でしょうね。そのヒントを今度の住宅で提出して下さい。

住み手や近所の人達の考え方が変わるようなのが良いですね。塀とか庭とかの概念や位置付けを一変させるような
やつを考えて下さい。期待しています、よろしく。 大島哲蔵




2000年11月15日 17:27 勝手なことをいいまして

大島哲蔵様

文化はCD−ROMなどを付けて来年から大きく変化するようですね。先ほど手紙がありました。特集のル・コルビュジェ百科は大島さんのアイデアとは楽しいです。

今世紀はコルビュジェを乗り越えるのは困難なようですね。とにかく色んな建築を作ってるから、すごい。

こんどの住宅は模型を作り出しましたが、大島さんの意見のように近所の人や住み手がかわるような建築とか土地や庭に対する概念や位置づけを変化させたいのですが、巧くいかないので、同じことを繰り返しながら、計画してるところです。何とかしたいと言う気持ちが先走り巧く行きませんね。もう少し時間がかかりそうです。

コルブの現代的後継者とパトロン楽しみにいたしております。学校など順調ですか。こんどの春秋塾は福田さん講演で、ロビンソン・クルーソーの建築論は楽しそうです。感想など教えて頂ければ幸いです。


2000年11月30日 0:53 山に雪が降りました

大島哲蔵様

昨日山に雪が降り、スキー場が白いかさぶたのように山肌に浮かび上がりました。寒くなりました。いかがお過ごしですか。12月は飲んだり人と会う機会が多くなるのではないですか。コチラはあまりそういう機会がないので心配することはないですが、体調に注意して楽しい生活を続けてください。大学の方は年末はいそがしのですか。

コチラは明日正式な土地契約の売買日でこれが済めば、今度の住宅の実現に向けて動きだします。不動産やがガメツイのでしょっちゅう発注者から相談を受け、解体仕事を見てやることになりました。

不動産やというのは濡れ手に泡を狙いホントあさましいです。しこしこ建築の計画をしてる自分が餓鬼に思える程で、現世の人の凄まじい欲望を見ていて感心とあきれました。

今度の住宅は大島さんのアドバイスを受けてそうそう簡単に住み手や近所の人の考えが変わるような案は出来ないのですが、塀や庭の概念や位置づけを一変させたいのですがどうでしょうか。丁度BOX4と道を挟んで向かいあう格好になり良いと思うのです。BOX4は見ていただいてないので今度の家が出来たら見てもらいます。

今度の計画は筒状の柱を2本立てて床を簡単に繋ぐだけでの構成です。千万家の筒ですが敷地に溢れそうなので小さくします。柱と床だけなのでドミノ崩しとも言えなくも無いです。足許には公開教室と車庫があります。物理の先生です。庭の開放と同時に家の一部を解放する予定です。2階は寝室と居間、食堂などです、ここが本来の家の機能を受け持つ予定です。三階は野鳥ための部屋と展望台があります。

丁度サボテンの足許と頂上が鳥につっかれた格好なので、サボテン邸です。棘もつけたいのですが。・・等と思いを巡らせてますが、予算が有るのでヤリ過ぎないよう注意します。もう少ししたら模型の写真を撮り送ります。

では又


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