衆議院 原子力問題調査 特別委員会
原子力問題に関する件(原子力規制行政の在り方)

(質疑応答編)
1)自民・津島淳  2)国民民主党・浅野哲 3)公明党・中野洋昌
4)日本共産党・藤野保史 5)日本維新会・足立康史 6)立憲民主党・山崎誠 

○渡辺委員長 次に、足立康史君。

○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今日は、先生方、ありがとうございます。

 それぞれ貴重な御意見を賜りましたので、私の方からも、先生方お一人お一人に御質問申し上げたいと思うんですが、ちょっと順番を、橘川先生、鈴木先生、黒川先生、石橋先生の順でお願いをしたいと思います。基本的には、お一人、参考人の先生方にそれぞれ御質問するんですが、ほかの方も、ちょっとそれ待て、俺も言いたいというのがありましたら、遠慮なく挙手いただければ、お願いしたいと思います。

 まず、橘川先生から、リプレースの話が先ほどもございました。これは、もし推進するのであれば、しっかりと、うやむやにするんじゃなくて、リプレースの議論を正面からした方がいいと私も思っています。

 それはそうなんですが、加えて、次世代炉の議論があります。例えば小型の次世代炉、高速炉とか、あるいは核融合炉とか、そういう議論が、少なくとも米国やいろいろなところで議論があり、実際に実用化のところまでもう来ているという報道もあります。私は、今ある、現在の炉のリプレースの議論、新しい最新の炉ということもあるわけですが、いわゆる小型の次世代炉、安全性の高いと言われている小型の次世代炉にもっと焦点を当てて、小型の高速炉、あるいは核融合炉、まあ核融合炉というのはもうちょっと先だと思いますが、そういう議論をもう少し国会でもすべきだと思っていますが、橘川先生、どうお考えでしょうか。

○橘川参考人 どうもありがとうございます。

 私がリプレースと言ったのは、必ずしも軽水炉から軽水炉のリプレースだけではありません。軽水炉から新型炉のリプレースも含めております。例えば美浜で小型炉を造るとか、大飯で高温炉を造るとかというのも含めて、そこの場所が同じであればリプレースという言葉を使っておりますので。

 先ほども言いましたけれども、技術開発はするんだけれども造らないという、これだと、投資決定が絶対できないと思うんですよね、普通に考えまして。あるいは、お金を出す金融機関だってお金を出せないと思いますので。割と小学生でも分かる理屈だと思うんですけれども、とても分かりにくいというか、袋小路にはまっているような気がいたします。

 以上です。

○足立委員 今、橘川先生の方から、自民党と公明党は小学生以下だというコメントをいただきまして、私も同感でありますので、一応付言をしておきたいと思います。

 そういう、いろいろな意味で先延ばしをしているんだと。特に、橘川先生は、規制委員会ができて、原子力規制政策については一定変化があったが、原子力政策そのものはやはり先延ばしではないかという議論がございまして、私も全く同感でございます。

 そのときに、私が一番、まあ、後ほど処理水の話もさせていただきたいと思いますが、鈴木先生が廃止措置の話を何度か、度々していただいています。最終の状態、更地の問題、ありますが、私は、今回の処理水の問題を見ていると、処理水でさえ十年かかっているわけですね。何で十年かかったのか私は分かりません、野党ですので。

 それから、更に言うと、私がよく強調しているんですが、除染廃棄物、除染土、これを、当時、三十年後県外と決めた細野豪志議員が、ツイッターで、いやいや、もうそれは現実的じゃないと、大量に県外に持ち出すのは現実的ではない、だから再生利用なんだっておっしゃっていますが、再生利用一つ取っても今止まっています。今実証をやっていますが、福島県外に再生利用で除染土を持ち出すということは実現していません。処理水でさえ十年。もっと難しい除染廃棄物は全くめどが立たない。三十年後というけれども、二〇四五年が期限だそうでありますが、もう五年たっています。

 更に言うと、廃炉廃棄物が出てきますね。更地というけれども、だって、福島第一原発、廃炉するわけですね。すると廃炉廃棄物が出てきます。除染廃棄物じゃなくて廃炉廃棄物が出てきます。

 更に言うと、高レベル放射性廃棄物、使用済燃料の最終処分場は決まっていません。北海道がいろいろ議論をしていますが。

 そういう中で、もう更地は無理、更地は不可能だと私は個人的には思っていますが、その辺、どんな御意見でしょうか。


○鈴木参考人 最終の状態について、更地は無理というふうに思われることももっともだと思いますが、これもなかなか決められないというか、当時もそうだったんですが、基本的に地元の方々の希望は更地にしてほしいということだったので、これを目標にするということで動いてきていると。ただ、御指摘のとおり、調べれば調べるほど難しいということが分かってきていますので、私としては、十年たったんだから、一体どういう選択肢があるのかということについて議論を始めたらどうだという、この原子力学会の提言というのを是非検討していただきたいなと。

 廃棄物、この報告書にも、実際にどれぐらいの量が出るかというのは出ています。もう大変な量が出てまいりますので、ちょっと、通常の原発の十倍以上というふうに一応書かれていますが、これをどうやって減らしていくかということですね。その選択肢もいろいろ書かれていますので、これは技術的な選択肢についてきちっと議論をしていただきたい。これを、私はやはり東電だけではなくて、国会とか、私が提案している廃止措置機関を作れば、そこで透明性を持って議論していただくのがいいかなと。

 小型炉について、ちょっとよろしいでしょうか。小型炉の議論は、もう80年代からあります。なぜ実現していないのかというと、これは買う電力会社がいないんですね、現実に。これを解決しないとなかなか難しい。

 それから、橘川先生から、技術開発するけれども、リプレース、建てないというのはおかしいという御意見がありましたが、私はちょっと違いまして、技術者の立場からいいますと、技術開発というのは、うまくいくかどうかを試すためにあるんですね。最初からもう分かっていれば、電力会社が発注します。でも、研究開発するということは、本当にこれがうまくいくかどうかを試すためにやるので、研究開発するけれども駄目になる可能性も当然ある。そのときには諦めるという判断も必要です。

 小型炉については、何回もこれまでも議論されていますが、電力会社が発注しない。今回は分かりません。でも、最終的にリプレースの決定を国がするのか電力がするのかを決めないと、これはやはり誰かが最終的に購入するという、投資をするという決定をしなきゃいけないですね。研究開発は国がやって成果を出す。そのときに、うまくいくんであればやればいいし、これは民間がやればいいし、うまくいかないんであれば、国が決定するなら決定する、こういう仕組みが必要ではないかと思います。


○足立委員 ありがとうございました。

 小型炉を、私も、ちょっと勉強不足というか、メーカーと議論したこともあります。例えば東芝の技術陣とその実現可能性について、直接お越しをいただいて議論したこともあります。例えば、更に言えば、小型高速炉であれば、発電のための小型炉だけでなくて、使用済燃料の毒性を低減させるために使える炉という面もありますので、私はやはり次世代炉には期待をしているという立場であります。ありがとうございます。

 次、黒川先生、今日はありがとうございます。

 冒頭、黒川先生の方からトリチウムのことで、いろいろ政府がちょっと何か隠しているんじゃないか、要は情報開示が十分じゃないという趣旨だったと思いますが、コメントをいただきましたが、私の理解では、少なくとも経産省は、今あそこで出ている水については、どういう核種がどれぐらいの割合でまだ残っているかということは、私、グラフで見たこともあるし、それはしっかり開示されていると思います。

 今、ちょっと席を外して、経産省の私の友人に、あの黒川先生が何かちょっと隠しているんじゃないかと言っているぞ、これは大変な問題だから、影響力が大きいので、大丈夫だと言っていいなと言ったら、言ってください、全て出していますと。少なくとも私の経産省の友人はそう今言っています。

 私はマスコミの問題が大きいと思いますね。マスコミがいろいろ科学的な情報をちゃんと整理して言わない。もちろん黒川先生がおっしゃるように、私も同感のところがあるんです。例えば、福島の皆様にいろいろ説明していますと言いますね。福島の方はよく分かっているんです。でも、風評ですから、分かってもらわないといけないのは消費者です、国民です。だから、国民にちゃんと説明していないじゃないかという議論もあるし。

 それから、例の、最近はポピュラーになってきたあの世界地図ですね。世界のどの地域でどれだけのトリチウムを出しているかという地図は、ようやくポピュラーになってきましたが、あれを国会で最初に取り上げたのは私でありまして、もう一つ、実は日本地図があるんです。

 日本地図は、経産省に幾ら言っても作ってくれませんでした。でも、それをいろいろなところにある公開データで、日本地図を我が党で、日本維新の会で私が作りました。それはいまだに政府の作成じゃないんです。日本維新の会の作成の日本地図があります。

 それを見ると、当然ですが、これはまた変な風評につながってはいけませんが、デブリに触れた水と同じような、ほぼ同じような核種が混ざっている水は、通常の原発からは出ませんが、再処理施設からは出ています。だから、青森では三キロ先の沖までパイプで出して、そういういろいろな核種、トリチウム以外の核種が入っているものが出ることがもうオーソライズされています。

 それから、先ほどの黒川さんがおっしゃったトリチウム水というのは、少なくとも一時批判があって、大分前から経産省は、トリチウム水というのは誤解を招く、何かほかがないみたいに見えるから、そうじゃなくて、ALPS処理水と言うと。今タンクにある中でも、ALPS処理水と言えるものは一部です。これから何回も何回も除去して、基準以下にして出すんだということですから、私はいわゆるALPS処理水については科学的には問題ないということで理解しているんですが、やはり黒川先生は、いや、それは疑義があるんだということでしょうか。

○黒川参考人 私は専門ではないので分かりませんが、私が聞いたところでは、あそこのレジンでやりますよね。ところが、あれは福島が起きたときに、あれを元々、買ってきた元は、カリフォルニアのベンチャーの会社だったんですね。だから、こんなことが起こるのは予想してやっていたのかななんて思って、非常に感心した覚えがあるんですよ。

 だから、そういう意味では、あれはレジンだと、だから、トリチウムと言っているときに、どこでも、見れば、ほかのがどのぐらいあるかということをきちんと見えるようにしておくのが大事なんじゃないですか。それも含んでトリチウム水と言っているんですということは、はっきり言えばいいわけなので。

 さっきおっしゃったように、どこまで薄めればほかのやつも大丈夫だという先生がおっしゃったような話がある、そういうふうに分かりやすく言っておくことが大事じゃないかなと思います。

○足立委員 ありがとうございます。

 この処理水に絡んで、もう政府は一応、一応というか、一旦、福島第一原発沿岸というか、その敷地から流す、こういうことを決められましたが、先ほどもどなたかおっしゃったように、これからまだ長い期間やりますから、イノベーションも起こるかもしれない。いろいろ変えていったらいいと思うんですが、私たちは、とにかく、そういうALPS処理水なのであるから、法律改正をして、全国で分かち合えないかと。東京湾、大阪湾という議論がありますが、そういう議論をまだ諦めずにやり続けています。

 これも御専門ではない部分もあるかもしれませんが、全国で分かち合う。要は、福島の外に、私は、除染廃棄物を県外はもう無理だと言っているんです。でも、処理水であれば、法律改正して、若干金をかければ、大量じゃなくてもいいので、一部の処理水を福島県外の沿岸に持ち出すことは可能であり、それをすることが風評の、むしろそれによって国民全体が、処理水ってどういう水だということに関心が深まって、それで初めて風評は解消されていく、こう思いますが、黒川先生はこの私たちの、全国で分かち合うんだ、処理水はと。これは、四人の先生方、賛否だけを教えていただければ。お願いします。

○黒川参考人 ですから、やはり、いわゆるトリチウム水とか処理水というふうに言わないと、何のことを言っているのか分からないと思いますね。私が見てみて、ちょっと専門家に聞いてみたら、いや、このぐらいありますと、前回、佐藤さんを呼んだときに、こんなのがこのぐらいありますよと見せていたので、それをすぐに分かるようにしておくのが一番大事かなと思います。

 やはり、新聞で書いてあるのは処理水とかトリチウム水だけなので、これはちょっと、非常に分かりにくいなとは思いますけれども。それはやはり、是非国会の方で、行政の方にしっかり言うように言っておけばいいんじゃないのかなと思います。

○石橋参考人 それを決めるのは先生方だと思います。

 以上です。

○橘川参考人 今の情報の限りでは、賛成とも反対とも言えません。

鈴木参考人 まず、情報公開の件なんですが、経産省のウェブサイトとTEPCOの、東京電力のウェブサイトに全部は出ていませんね。出ているのは、報告書の中に、一回処理したときにどれぐらいほかの放射性物質が残っているかというグラフは出ていますし、東京電力のサイトには、データとして、ちょっと探すのは難しいですけれども、処理水のデータが出ています。ただし、それが出されたのは、2018年に新聞報道で出てからです。それまで出ていなかったので、そういう不信感が残っているということです。

 私は、全国でやるということは、それはほかの方々が納得してくださればやってもいいかもしれませんが、リスクという考え方からすれば、拡大します。だから、やはり私は、リスクを最小化するというのが一番大事なので、そこを考えてやっていただきたいというふうに思います。



○足立委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間がなくなってきましたが、石橋先生、成り行きの未来、なりたい未来ということで、オーラルヒストリー集積の重層的推進ということをおっしゃっていただいています。これはとても大事だと思うんですが、例えば、ちょっとこれは同じかどうか分かりませんが、政府事故調の柳田邦男先生も、単にシステムの欠陥の問題の指摘だけではなくて、総合調査をしていくべきなんだみたいなこともおっしゃっていて、何か通じるものを感じます。

 ちょっとこれは大事だと思うんですが、改めて、石橋先生のここのお訴えを、もう一度、ちょっと抽象的なので、具体的にどうしていくことが、イメージとしてお持ちか、あれば教えてください。

○石橋参考人 ありがとうございます。

 済みません、ここの表現が分かりにくいというのは、まずおっしゃるとおりだと思います。

 今、事故を忘れないとか、いろいろな言葉があふれていましたが、もう一か月たちましたので、既に薄れつつあるような気がしてきましたけれども。

 まさに事故は今でも起き続けています。この事故は、先生方、若しくは電力会社、経産省の方の中で起こっているだけではないと思います。被災された方、例えば、全然、一見違うところに住んでいる、私、今、首都圏に住んでいますけれども、私も事故後の世界に生きています。それぞれがどのように事故を受け止めたのか、あの二〇一一年の三月十一日のときに、あの光景を見て、自分はどういうふうな未来を思い描いたのか、十年後ですね。

 じゃ、それを実現できているのか。できていれば、できていた要因をきちっと残す。できていないのであれば、何でできていなかったのか、そのできていなかったことをリカバーするためには何をするべきなのかというその知見がこの十年、日本中、世界中、いろいろな人たちの頭の中や経験の中に埋もれているはずです。それを一つ一つ拾って、集積して、未来に政策として生かしていく。コロナ後の十年、未来をつくっていく。そういうための道しるべになるはずだというふうに思いますので、そのような取組を、是非、国会主導でやっていただけるとありがたいなというふうに思います。

○足立委員 ありがとうございました。

 先生方からは、とにかく国会ちゃんとせいというメッセージを度々いただきますが、今の国会は万年与党と万年野党の国会ですから余り期待できません。その新しい五五年体制を壊すために私たちは頑張っていますので、また見守っていただければと思います。

 ありがとうございました。

立憲民主党・山崎誠へ