種田元晴博士に聞く  2022年8月27日@あび清 作成:佐藤敏宏  HOME 
  語り合う02  ( 種田 +佐藤 編)      種田元晴入門編   語り合う01   
 

佐藤:森さんは建築を造り完成ささせることを目的としてないので、従来の建築家として観てしまうと分りにくいと思います。新築だろうが改修だろうが利用者の活動を起動させる、そのために全体をプロデュースをする人です。で、宗教色をぬいた中世の聖・僧や行基の活動を思い起こします。
八戸市美術館とのジャイアントルームは松戸のアーテスト・イン・レジデンスが体験の基盤にあって、洗練させ設計、新築されたもので誰の目にも分かり易い。松戸のPARADISE AIRは既存ラブホを改修しているから既存の内装・外装のレーアーが目同時に入ってくるので、建築観察の初心者は混乱して、森さんの意図が分かり難いかもしれません。無用な雑音を取り除いて聞き取る技が要る。森さんは寡黙なのでべらべら説明しないし、文章を拝見してないので本来の意図は分ってないんですが推測で語っています。


■ 竹内先生に会ったことないですか

種田
:ないです。
佐藤:身体大きいですよ。大阪は堺で生まれ育って京大卒です。会ったともない竹内先生の事務所に種田先生は俺に誘われても、来るから珍しい人ですね。
種田:来るときは来ます(笑)
佐藤:初めに言っておきますけど、俺と知り合い語り合いを重ねても何の役にも立たないよ。(笑)
種田:面白そうだったら来ます。逆に怖いのは話したことを全部文字起こしされちゃうことです(笑)その方が怖いですけどね。(笑)

佐藤:誹謗中傷と後々問題になりそうな発言はカットしてます。それに告知しないし、myweb記録を読む人はほとんど居ないし文責は私だし「言ってない!」と言い張ってもらえばいい。佐藤の聞き間違えですよと対応してもらえば問題ないよと思います。

種田:最初の方は暴言吐きすぎた。
佐藤:名誉棄損とか悪口など拙そうな発言は文字にしないし、してもカットしますので安心して、肉声で暴言吐いてください。

種田
:お任せします。

佐藤:建築系の博士のなるまでの悩みや、建築家になってからの悩みが一杯あると思うだけど、美しく整えちゃうと博士の生で人間の肉声が闇の彼方に消えてしまいますよ。10年後に再現されることがない。一人一人の悩みが均し記録されないのは、現在を粉飾することになるので、たいへん拙いと思います。実建築の場合は、建っている建築を観に行けばいい。建築入門したばかりの旅費が無い若い人のための情報の一つだにはなるかもしれないです。


佐藤HP 旧サイトの一部

面白い学生もいます

佐藤:種田さんの両親も変わっているような気がするけど。お母さんはどんなジャズ歌う歌手なの。ちょっと歌ってとお願いできるじゃないですか。
種田:僕は音楽の知識が無いから分らない。僕が高校生の時から歌って、月に一回ぐらいジャズを歌っていてるようです。撲は親父とは無関係に行動してます。

佐藤
:数十年間は歌っている筋金入っているんだね。種田さんは何歳、いつから家出してたんですか?

種田:僕が家出したのは大学院卒業し東洋大の助手になった時です。給料もらえるようになったときに、東洋大の近くに住んでいました
佐藤:想定外の教員生活になってしまった?
種田:途中からは教員を目指していました。何とかなるだろうとは思ってました。

佐藤:今世紀に入ってから大学改革とかいって文科省の締め付けはずっと続いているから、高度成長期の大学教員イメージが蒸発しちゃって、おおらかな教員生活じゃなくなってて、書類書くための仕事が多くなっちゃっているとmy長男はぼやいてますよ。大学の事務対応じゃなく、教員の授業と研究環境を主にできる大学環境になってほしい。(注:安倍狙撃事件以降、日に日に、今世紀に入り統一教会系の文科大臣による改革であったとこが明かされつつあるが裁判がまだ始まっていない)

種田大学という場所が何なのか?よく分からなくなっています

佐藤:利益がでる、銭儲けするための研究しろ!my長男は20年間、言われている(笑)そんなことは大学教員がする仕事じゃないだろうと私は思うけど。官僚も、政治かも博士号取得してないで意見を言う、企業者も博士号取得者は少ないでしょうから、知識がある人間の存在が嫌い、単に従う人が好きなんだろうね。(日本は世界に類を見ない寺子屋・教育前史、文化をもっている民俗なので、その潜在自力がどこかで湧きだし現れるかもしれない)

種田学生の親も毎日大学に行かせることが目的になっているのでしょうか。そうだとすると大学終っているかもしれない。
佐藤:大学を終わらせようとしてるのは政治家たち。文科省支配問題が大きく影響している(安倍狙撃事件以降、下村博文、萩生田光一などの自民党と統一教会の関係が行政に与えている影響が明かされつつある)

種田:社会がそうさせている感じはありますよね。
佐藤:官僚は国家神道よりの政治家の声を忖度し、公文書も改竄したり捨てたりするので、誰の意思なのか不明。米国にならってばかの日本政府だけど、25年経っても公文書公開しない(笑)捨てたり燃やしたりするなよ(笑)で、後々真相も分かり難いし歴史も歪んで記録されてしまいますよ。

種田:学校に行かないと親に怒られるなんて意味が解らないですよね。中には変わった特徴のある学生もいるので、昔ながらの大学生をちゃんとやっている学生も居ます。そいつらは面白いですね。

佐藤:学生気質マイノリティーがいるなら、それならいい。


2022年9月21日web検索頁より
■ 厳しくゼミで教育

種田:なるべくそういう学生がゼミにきてくれるようにしています。変な奴の面倒は見てやるから俺のゼミに来いと。真面目な奴は来るなと暗に匂わせています。優しくって面倒を見てくれる先生は一杯いますので殺到して大人気です。そういう先生も昔は厳しかったんですけど、段々優しくなってます。

佐藤:大人もいろいろ居るなと分る方がいいので、パワハラセクハラはしちゃイケないけど、妙に優しくしなくっていいのに。先生に優しくされて卒業したら建築会社に入ったりするととんでもなく苦労するよ。

種田:僕もそう思うから、今のうちから厳しい、むしろ社会に出てから楽できるように、社会に出てからよりも厳しいことを教えています、なるべくストレスを与えておく。

佐藤:変な人間に遭っても対応できる耐性を身に付けておかないと本人が困るよね。無防備だと、心病んで社会から消えてしまうのでは、なんとももったいない。

種田:我がゼミには「今はキツイ」と思っている学生がいると思いますけれど、ゼミに比べれば仕事は楽だと思えるように考えてます。

小川格さん 

種田:日大の非常勤のとき、布野先生は特任教授にいらっしてました。同じ学校に1年間いたんです。日大生産工学部の任期もどうなるのか分らなかったので、その時推薦文をお願いしました。僕の恩師に頼めばいいんですけど、先に石井翔太君が同じ大学の公募に提出し、先に恩師に頼んでいた。二人推薦文書くのは無理なんで布野さんにお願いしました。

 ・・・長い雑談・・・

種田:生きている人だと会えば「書籍に載っている人物と違う!」と分るじゃないですか、だから僕は死んだ人しか書かないです。死んだ人は反論できないから、絶対焦点を当てた人に「お前の文章は俺の本来の姿とは違うんだ」と反論できない。だから好き勝手言える(笑)生きている人を書くと迷惑かけますから。

佐藤:ということは種田さん以外のライターは今生きている人を書くことは死人として扱い書いているとも言える、死んでいるように扱い分類しして、あれこれ書いているんだと(笑)

種田生きている人は今後も何してかすか分らないじゃないですか。今の時点の評価なんか書けないし、書いても面白くないと思う。さっき話した小川格さん、その後、去年ですけれど新書を出したんです。常に黒子だったのに、ついに著者になったんですよ。『日本の近代建築ベスト50』それでいろいろな建築案内の依頼が殺到していて。凄い忙しい、82才ですけれど。
小川さんを編集者だとして、小川格さんの評伝をこの本の前に書いていたら、作家としての小川格を知らぬまま、書いちゃうわけです。それは小川さんの正当な評価にならないから。最後は作家だったとは成らない。もしかしたらこれから建築を造るかもしれないし。まだ分らないです。

佐藤:見切って、そこでの価値を押し付けて記者自身が書いてしまうだろうと。種田先生にはそれは、古いし今の有効な書き手の姿勢ではないんだと。

種田:書いているライターの一部には自分の眼力、人を見る感覚に自信があるから書いている人もいます。
佐藤:それは書き手の自由意思だからいいと。存命中の評伝や人物評価はその本の読み手の問題になる。取り上げられた本人にとっては迷惑至極なんじゃないのかな。もし本が売れるとすれば、結論を急いで単純化して他者を理解したがる人が多いことを表しているんでしょうね。総見切り単純化したいんだと。


種田:佐藤さんなどとZOOMで話し私自身の好みが分かった、それは建築のメディア作りに興味ない・・・そのことは分りました。僕はどちらかと言うと作家的に生きる方に興味があるから、物書きにはなりたいけど、メディアを作りにはあまり興味がないんだと分った。

佐藤:ご自身がメディア作りを嗜好してないと認めたのは好いとして、建築系メディアをどう評価しているか分らないけど、好ましい建築メディアは要るんでしょうか?
種田:それは今、建築討論市川紘司さんと一緒にやっているので、年は下で、石榑さんと一緒ぐらいかな。市川さんは凄い優秀ですよ。第一印象は好くないけど付き合うと好い奴ですよ。最初ぶっきらぼうだから。学生のときから『ねもは』を刊行してた。途中から「ちゃんと学者的に勉強しないとダメだ」行き詰るということに市川さんは気付いて、そこで誰もやっていない中国の近代建築というのをちゃんとやって。
佐藤:市川さんは東北大の修士の時にあった。で博士号はどこに提出したんですか。
種田:東北大です。
佐藤:五十嵐太郎先生のところに出した。
種田:学会の賞もとったし、博士論文を本にしたやつも学会の賞をとっているので。大変優秀。東北大の先生になるべき人間です。彼は引く手あまたなので。

佐藤:『世界』に連載したから、一般読者にも受ける建築界では珍しい書き手だなんだろうね。『世界』には花田先生、早稲田退官記念の最終講義にも世界の編集者が来てたし講義内容も全て掲載され、同じ号に市川さんは連載していた。

種田:彼はメディア作りから学者の方にシフトしたし、もともと博学な人です。喋ると一杯出てきます。
佐藤:南泰裕先生知ってますか?
種田:『エディフィカーレ』の人でしょう。
佐藤:エディフィカーレ受賞者は世界で俺一人(笑)
種田:前聞いた、気がする。(笑)



 建築討論 上記絵の記事を読む









花田達朗先生最終講義看板

竹内泰先生と佐藤の出会い

種田:竹内先生とは何で知り合ったんですか?

佐藤:2011年の東日本大震災が切掛けです。唐桑半島のある被災港でそれぞれ被災地支援活動をしていたのですが、私が一緒に活動しましょう」と声かけまして、協力していただきました。活動の経緯や主な内容は建築学会、2012年09号「鮪立港まちづくり百年会の今」に竹内先生に要請されこの俺が、寄稿しました(笑)
津波被災地支援活動することになった切掛けを話します。2008年から関西圏、東京圏、金沢圏などで独立系建築家聞き取りしていました。3・11直後に彼らから活動資金が送られてきまして「お前の活動は俺の活動」だからお金送るから何か活動しろと(笑)。通年・暇な私は身の周りにも放射能沈着してたので時々被曝避難をしたかったので宮城県内で「この機会に民間支援活動のモデルをつくろう」とmy長男と話あってそのために活動しました。my長男は東北大で近世史の歴史研究したので、彼の関係していた被災地を一緒に周ったことで、石巻市の被災蔵の保存活動と 唐桑半島の港町づくり支援など多数することになりました。2か所だけ動画や写真や文などでweb記録に残しました。ですから、my長男を支援し派生したことです。

竹内先生にお会いしたのは唐桑半島で最も美しい被災した港町、鮪立(しびだち)です。私はその港町づくりと高台移転の土地を見つけ出すなど・・その二つを支援しつつ、地域の公民館に寝泊りしていました。ある日、漁協経由で竹内先生が番屋を造りだしましたので、声かけ「一緒に活動しましょう」と。でも俺に「漁協の犬」と言われたけれど太っ腹の竹内先生は俺と仲良くしてくれました。鮪立はリアス式海岸だから高低差が激しくって平らな土地がほとんど無い地形なんで観ているぶんには美しい。その人たちの祖先は遠い昔に和歌山の志摩あたりから漁をしながら唐桑半島に到達した。美しい港の地形は2重に大きな金鶏抱卵の地形がフラクタルに続いたような形状をしてて、津波に遭っても隣地の陸前高田のように一気に波にさらわれて消えてない地形を祖先たちは選んで住みき、鰹の一本釣りを伝えた港です。

被災は金儲けのチャンスとばかりに色々な事が起きるので、被災者弱者に焦点をあてて、私は彼らの意見を聞き取り調整役と同時に、必要で最新の情報を地域の人々の与える活動をしていましたので、地域の民家に連泊し続け生の声を採掘していました。それが俺の仕事だと思っていたわけです。で、方法は新聞を発行して地域の人と必要な情報を発信することで共有されるようにしましたので、もちろん罵声も浴びせられるわけです(笑)。新聞はブランケットとタブロイド判をつくりまして、フォトショップのデータ・新聞づくりは竹内研究室の学生さんに手伝ってもらいました。500戸の配布し、市役所と支所にも配布しました。でも、その新聞発行が原因となり俺は町壊し屋と言われ、市会議員や漁業によって新聞を回収されたりし、追い出されたような格好にてお仕舞にしました。

面白いエピソードは新聞つくりしていたら地域の人とがお守りだと言ってサメの歯をもらいました。「佐藤さん魔除けだからもっていろ!」と言う。で三個もサメの歯をくれた。竹内先生にもお守り1個差し上げまして、11年後の今も持ってましたね。「地域の人がまとまらないときにサメの歯を見せると効く」と言って竹内先生は喜んでもいたね。
竹内先生とはこんな出会いとその後の関係です。





建築学会、2012年09号誌面

2022年3月10日竹内先生と呑む



京都工芸繊維大学岡田栄造研究室の学生さんたちのよる支援活動の成果『鮪立へ』
 PDF開いて読む
種田博士の研究スタイル

種田博士論文は僕の性格と合わないのです。僕の安藤直美先生は東工大出てるんです。安藤先生につくことで、私と真逆な人間なのでからいろいろ教えてもらうために先生についたんです。

佐藤:3章以降の感想はリアル種田さんに会ってから書こうかなと思っていました。(笑)
種田3章以降の半分妄想を、状況証拠を集めて、妄想を語るのが撲の研究スタイルなんですよ。それをもっともらしく、出鱈目を言っているわけではなく、「こういう証拠とこの証拠を合わせるとこのような妄想が成立するよね」と。だから僕は歴史(研究家)ではないので。妄想で成立させるのが大事だと僕は思っているんです。直感が大事だからそれはどんな作家も言っている話です

佐藤:同意します。
種田:学会の黄表紙に同じ手法で状況証拠だけ集めて妄想で書いて、通ってます。妄想でも状況証拠をしっかり集めて誰も反論できないぐらいに語り尽くせば通る。
佐藤:論文も個人の感情の延長上になりたっている文章だから、種田スタイルで続ければ楽しいでしょう。
種田いかに客観を装うのか、それが大事で僕は直感の方が正しいと思っているので。
佐藤:動物本来の詩型でいいね。感情を吐露して文体を整えた論文のほうが読みやすいので、進んでください(笑)

種田:査読、読んで行くにつれて引き込まれる、ミステリー小説を読んでいるようだと書いてくれるんですよ。(笑)査読者が(笑)褒めているのか馬鹿にしているのか分らないんですけど。
佐藤:種田さんの感情の本当をまま書けば読み手もついつい読んでしまう。引き込まれる、そうするのが作家の技だし、その内容を馬鹿にするのは査読者の自由だから問題ないんじゃない、俺学会員じゃないので、無責任な発言だけど(笑)






面従腹背

種田:もう一人は「あまりにも飛躍しすぎているから論文調に直せ」と言ってきて、もう一人の採用した方は・・・。
佐藤:どうしたの・・・論文章に直した(笑)
種田通したいから論文調に直しました
佐藤:そういう査読者の姿勢が若い研究者の芽を摘む、若者を育てないで捨てる、原因だろうね。
種田:僕は、今回は我慢しました
佐藤:査読する人は学会内の権力者だ、その人間が権力を行使するのに甘んじると。

種田:そうです。僕は媚びて、その先生に従いました
佐藤:読者が一般ピプルじゃない。で、辛いが面従腹背スタイルだね(笑)
種田:そうですね(笑)まったくその通りです。

佐藤:若ものに無駄な作業を誰がやらせているんだ、学会と言う協働幻想かな。
種田:それが大事なことで、表向き従った振りができる能力って大事じゃないですか。
佐藤:生身の世を生きるんだから、それはそうするんだろうね。建築業界は権力の行使し合いの世界なんで、満ちているね。自分の感情と正直に対応してたら、建築も論文も完成しない。
種田:面従腹背能力を鍛えるために対応している(笑)

佐藤:面従腹背とは言わないけれど、著名な人でも発注者の前で「あなたの考え方は時代遅れ、考え方が間違っているから設計始めるの、やめろ!」って言わないで、建築造るよ(笑)新宗教の巨大建築だろうが、政党の本部の建物だろうがそうするでしょう。工事を請負う業者も同じだ。発注する者の自由な思いを尊重して造る、やがて会社と建物が潰される可能性があっても、まるで生物の生成滅滅のようで、止められない。
種田:お役所に媚びるし








博士論文はゲームとしては面白い

佐藤:地球温暖化が気象現象に現れ明らかなように、人間の活動を止めてしまえば、いい。建築なんか造っているから、原発再稼働しろ・・・だの、ウッドショック!・・だのとかしましky建築費高騰したと大騒ぎになる(笑)。戦争も起きてグローバル経済二つに割れ、多極化かな、そうなっている(多極型の新冷戦)、ここらでちょっと斎藤幸平先生の話に耳と傾けてもよさそうだ(笑)。

種田:たしかにそうです。
佐藤:世界経済のために・・・なんて、明治維新以降、150年前と比べると人の暮らし方を振り返るといろいろやり過ぎて化石・エネルギー消費しすぎているんだけど、歌舞伎や歌芸能も日々楽しまず、マスコミ情報に脅されて、新型コロナが起きれば家に引きこもってオンラインで仕事している。これって本来の人間の仕業で、姿ではない。だから、人間性を保全し続けるためにも現状の権力者に対しては面従腹背で対応するしかないね。

種田:僕もそう思ってます。論文にするということで、自分勝手に主張しているじゃないというお墨付きをもらうわけであって、(笑)偉い人にも伺いをたてて置こうと


博士論文の読者 数名しかいないんじゃない

佐藤:建築系博士論文の読者は査読者など数名しか居ないんじゃない?市井の人々は手に取って読まないし存在すら知らない。建築業界で飯食ってる人でも同様で博士論文も読まない。そうして建築的権力が引き継がれているって妄想がつくりだす権力そのものの一つじゃないか(笑)

種田:それでちゃんと偉い人達と「お前は一応手続きは踏んでいる」と、認めてもらって。
佐藤:旧弊の足枷手枷があるから田中浩也さんも、種田元晴さんも世界に羽ばたいて活躍することができない。そんなことに若者たちがエネルギーを使い果たすようでは、世も末だね。

 ともに笑う

種田:その方がゲームとしては面白いです。従うゲームとして面白い(笑)
佐藤:種田博士らしい受け止め方(笑)小さなローカルコミュニティーでの権力ゲームを長年やっていて、ゲームが続いている。査読者はゲームの演者の一人だって思ってないんじゃない。

種田:どの辺に突っ込みどころを残しておくか、ここに突っ込んでくださいという処を残しておけば、変な処に突っ込まれずに済む。
佐藤:この記録を公開すると、種田先生は学会の鼻摘まみ者、確定だね、これでいいのだ!赤塚不二夫のように叫んだりする。




 斎藤幸平著『大洪水の目にーマルクスと惑星の物質代謝』

外国に行かない 傍流で頑張る

種田:『立原道造の夢みた建築』、本の一行だけ書いた内容を10頁に膨らまして書いているのが論文があるんです。ここ数年ずっと考えていた内容なんです。これは僕としては大著だと思っているんです、労作だと思っているんです

佐藤:やったね。拍手パチパチ。1行を数百倍に膨らませてしまうのは作家としては好い才能。
種田:あれはお気に入りで、いろんな手法を駆使して、文献考証もきちんとして、文体もまあまあちゃんとしていると思っているんです。
佐藤:小川編集長に見てもらわねば・・・。
種田:小川格さんにも見てもらいました

佐藤:種田さんのような傍流目指して邁進しているのはいいね。
種田僕は傍流で頑張るんです。そして僕は海外を意識しない。日本の国内で頑張ることも意識しない。
佐藤:妙なところにエネルギー使うの、阿保らしい!と思っている。父ちゃん流を引き継いでますね(笑)。

種田:とにかく外国には行かない(笑)それは臭いが嫌いで。
佐藤:外国も日本も都市はおおかた汚いし臭い、それが面白いじゃないですか。
種田:ダメなんですよ。アレルギー持ちなんですよ。アトピーだし、果物食えないし。魚卵とか喰えないし。
佐藤:俺は福島の果物が肴だよ、塩っ辛い魚卵は肴にしないね。
種田:それらを口にするとすぐに具合が悪くなっちゃうんですよ。親が二人とも煙草を吸っているからだと思います。
佐藤:気の毒に、両親が撒き散らす煙害を浴び育っちゃったんだ。
種田:海外は行きましたよ、竹内泰先生が行かれたネパールの村も行きました。シンガポールにも行きましたよ。直ぐに日本に帰りたくなっちゃうんですよ


佐藤:竹内先生は好い先生だと思うだけど、宮城大学でも東北工大内では好いと言われてなかったようです。俺の目には孤軍奮闘してるように見えてた。
種田:なぜですか。
佐藤:京大生らしい自由と反権力を主にする気質が東大とか東北大の面々は反抗する人は好きじゃないだろうかね。分らんけど。でそういう教員が多いのかもしれない友達いない感じだったな。詳しい分布は調査してないから分らないんだけど。東大から都落ちして仙台で教員が多いからかな、学生に聞いても暗いと言っていたな。
仙台は港も近いし、近世から歴史もあるし、漁港も近くにあるけど。俺は建築業界でも下外の者が見ると、竹内先生は人情豊かで被災者に寄り添い支援していた。でその活動をひけらかさない、稀な先生だと思った。

種田:お会いしたいですね。
佐藤:10月末に「あび清」で会えます。
 

お前の家は俺の家 東京での課題

佐藤:東京では知り合いの事務所の床に寝ること多かった。家に泊めてくれる人も居たけど、暮らしている面積が狭いから、事務所の床で寝る(笑)ほうが広いし気が楽。東京は土地が高いからゆったり住むのは難しいよね。大阪や京都の住居と比べると面積は狭いよね。7月末、京都に行ったが柳沢究先生は「京都でも土地を買って自邸の新築できない」と語って古建築を買って改修し始めてました。

種田
:私が今住んでいる家は客間が無い。
佐藤:「あび清」の面積より狭いんですか。
種田:同じぐらいかな。もっと狭い。家賃は10万ぐらいです。
佐藤:家賃は同じぐらいだね。古いビルの一室を借りて住む方が広い。ここ神田はめちゃめちゃ便利だよ。
種田:そうですよね。駅近いしい、いですよ。僕は23区は恐れ多くって暮らせない(笑)都下じゃないと無理。
佐藤:都下好き・・・なの?
種田コンプレックス
佐藤:都下より空気が悪い(笑)神田に寝泊りして分ったことは平日は真夜中も含め24時間他の人が活動して賑わっている。BGMの音楽要らないよ。新幹線はきりなく通る。足下で酔っ払いは言い争ったりワイワイして、とても賑やかだ。朝も早くから活動している。時々パトカーが唸りをあげると一層賑やかになる、だから何もせずに他人からパワーもらってしまう。その気分はいい。さらに真夜中でも部屋の照明の明かりが要らない。だから省エネ生活ができる。電気消し話合っているといい感じです。都会の仄かな明かりが足下から立ち上がって来るなかで話し合うのは思ったよりいい。薄暗い都市の光に包まれていると過去の悪事を語りたくなるよ(笑)浅古さんも来たらいろいろ悪事を語りだしかな(笑)

種田:そういう人じゃない、固いですよ。
佐藤浅古さんの人生は去年の10月4日、ZOOMで聞かせてもらいました。バブル経済の時に父ちゃんの財布空っぽになって、大学を休学せざるを得なくなり、CGバイトに突入してしまい今もCGで稼いでる。お金を貯めてから復学して昼飯は寿司三昧だったと語ってました。親の不幸が子の自立には幸いした。浅古さんこれから来るけど、身体大きい人ですか。

種田
:僕より大きい。連絡来ないですね。
佐藤:浅古さん二人の子供の学費稼がないといけない、きっと忙しいですよ。綾瀬に住んでいると言っていた、俺のような瘋癲とは違うから、浅古さんは働く、働く。

■ 不良老人と言われる佐藤

佐藤:今日初めてお会いしましたが、生・佐藤の印象はどうですか。人の家を泊まり歩く不良老人と言われてて、適当な人なんです。
種田:元々の印象と変わらない(笑)
佐藤:それはまずい、印象を裏切る努力をしないといと相手にしてもらえなくなる。
種田:リアルではお目にかかってないですけど、何となくわかりますよね。僕は先に生まれた人は無条件に偉いと思ってます(笑)
佐藤:俺は一度もそんなこと思ったことない。種田先生はお爺ちゃんコンプレックス。
種田:そうです。年下の人も凄いと思います。僕以外の人は無条件に尊敬すべきだとなるべく思うようにはしてます。そう思えないこともあるけど。

佐藤:存在している人はみな面白いと思う。
種田:面白くない人もいますよね。
佐藤:面白くない人に会わないから、機会がない、縁もない。
種田:僕もそういう人には会わないようにしているし、その人の面白いことは見つけようとはしますけど・・・。こういうふうに振舞ったら相手が不快になる、それが分らない人が馬鹿だと言っている。
佐藤:そういう奴は一杯いるよ。

■ 金を稼ぐこと 使うこと

種田:お金を稼ぐことは得意なことですればいいけど、自分の好きなこことは金を使うことをやれ!という話を学生にさんざんしたんですよ。
佐藤:お金を使ったことない学生だろうから、伝わらないじゃないかな。

種田金を使う方法を一生懸命考えるべきであって、金を稼ぐ方法を考えるなんて馬鹿げている。これから金稼ごうと思ってることばかり考えてるんじゃねーぞ!お前ら・・・と。金の使い方を考えている人の方が偉いですよね。
佐藤:そういえば俺稼がず(笑)
種田:でも使ってここに来てますよね。
佐藤:俺が稼いだ金ではない、ここに来るし、松戸にも行く(笑)

種田:何に金を使うかの方が大事だと思う
佐藤:お金には性格がないので、使い方は難しいと思う。この20年間、お金稼ごうと努力してないけど生きてきてるからまあまあです。
俺はお金持ちの人に名前を与えてる。例えば「人間旅費」と命名して、大阪に行く時は新幹線の乗らず、深夜バスで行くと俺の旅費は浮く。でも大阪に行くと俺の知り合いが泊めてくれたり、奈良に行くと渡辺豊和さんが泊めてくれたりして、宿賃が要らないで観光も出来ちゃう。俺は観光したい人でないから、人と話している間に、人間旅費たちは天王寺公園や道頓堀を勝手に観光してもらう。夜は東北の人はほとんど知らない、飛田新地へ連れて行く。日本最大の娼婦街にも人間旅費たちを連れて「まだ日本にこういう悪所あるね」と喜ばれる。

種田飛田新地はすごいですね、初めて行ったときはびっくりしました

佐藤
:西九条から今宮あたりまでは歴史では被差別された人々が密集して暮らしてた地域だから、建築と都市計画に関わっている人なら知っておくべき場所の一つだよね。
西九条は西山卯三さんの生まれ育った町だから、9月末は西九条も歩こうと思っているんです。西山先生は「DK」の種をつくった先生だから、生まれ育った大地を歩くのは、卯三巡礼だね(笑)すでに「DK」要らないと思うんだけど災害公営住宅で「DK」使ってたくさん造った。
種田せんべいをぼりぼり喰っている

建築家コンプレックス

佐藤:浅古さんとZOOMして分ったのは建築家コンプレックスを持っていることです。
種田僕も建築家コンプレックスありましたけど、最近なくなりました
佐藤:どういう意味傾向で建築家コンプレックスが発生してたの?
種田:建築を造ってないことですね
佐藤:それは建築系メディアの構造が人工的に作り出すコンプレックスだ。
種田親父からずっと継ぐことを期待されていたし、継ぐと思われていたし。

佐藤:俺だったら、自分より優秀な種田パートナーを建築家として父ちゃんに預けて、自分は好きな研究する、その道をつくると思う。
種田今やっています

佐藤:賢い。
種田:パートナーは建築設計ばりばりできる人です。
佐藤:やったね!
種田:親父の仕事を手伝ってもらっている。
佐藤:俺のイメージ通りのパートナーじゃないか!

 共に笑う

種田:僕も少しだけ手伝わせてもらってやったふり。
佐藤:種田さんは親孝行してる 好い息子だね。
種田:親父の事務所を将来は嫁さんが継ぐ。

佐藤:やったね(笑)で自分は遊んでいる生活が思い浮かぶね。
種田:僕は好きな事をやる。

佐藤:父ちゃんと嫁さんに追い出されないように注意し、お金、余ったら酒呑ませてください(笑)
種田:僕は仕事をいつ辞めるかが目標です。竹内先生は自分で設計で自活できるというのが分ってるから、その自信がなかったら辞めないと思う。

佐藤:俺はその質問は竹内先生にはしないね。
種田:僕は大学教員の先輩として、辞めたいと思っている先輩として、辞めたあとに野垂れ死にするかもしれないと思って辞めるはずはないと思うんですよ。(笑)そんなに阿保じゃないと思うんですよ。

佐藤:野垂れ死にする、奴は皆あほなのか?その問題かな。
種田:設計事務所立ち上げているわけですから。さっきおっしゃっていたじゃないですか元働いていた、大きな設計事務所がほおって置かないって。
佐藤:本当のところは聞いてないけど、俺が元事務所の者だったら竹内先生を野垂れ死にさせないように手を打つよ。
種田:僕はまだそこまでイケてないので今はまだ辞められないです。(笑)

佐藤:俺も子供が3人いたので、成人する50歳までは辞められなかった。

種田:僕はまだ辞めるレベルに達してない。野垂れ死にしちゃいばいいんですけど、微妙に死ねかったら、辛い。(笑)死ねずに生き残っちゃったら辛いじゃないですか。
佐藤:誰にでも訪れる死について書くのが文学じゃない。21世紀の日本で野垂れ死に出来ない。そこで野垂れ死にする可能性のあれこれと人間模様を書くと。
種田:そうそう、それが死ぬまで問い生きるだけだから。

博士たちの論文がみんなの財産だと思われない社会

種田いつ死んでもいい、というふうには生きたいんです
佐藤:考えても無駄なことだ・・・とは他者には言いにくい(笑)、死ぬこと考えるの好きだったり。囚われちゃう人もいるから、それは仕方がないかな。
種田:竹内先生は実務経験豊富だから、学者として以外にももう一つ実力ある。学者は大学にいなかったら飯食えないけど。学者やっていても一円も儲からないですよ。僕は自分の研究に対して1円ももらってないですよ

佐藤:研究についてお金を支払う、博士号を与え授業料をとる。評価するから対価を払えと学生に言う、それが日本の現実だ、博論は、知的サービスとも扱われてない。

種田:学者は金稼ぐ術が要るじゃないです。
佐藤:近世期の寺子屋の先生より、今の博士は誇りももてないし、実入りが無い(笑)大学コミュニティーから尊敬されていない。長い間、学者に対して敬意を払う人がいない、教育システムが稼働してるだけ

種田学生へサービスすることでお金をもらっている。私の研究に対して一円ももらってない。ただの世捨人に税金を使うのは馬鹿らしいですよね。

佐藤:世捨人という発想や見方が違うんじゃない。
種田研究したことに対して皆の財産だと思われない社会だから。ちょっと変な発想が次の社会を豊かにするかもしれないと誰も思ってないじゃないですか。

住民が招きたいアーテストを選ぶ

佐藤:俺は思っているしアーティストinレジデンスを支援する人々もいる。他は分らない。
種田:森純平さんも同じかもしれない、もしかしたら妖しい事をやっている可能性はありますよ。でも助成金が出ているから彼は政府からも認められている。

佐藤:アートとか表現は外道なものが多数関わって成り立つってきた領域だからあるでしょう。政府批判とか反道徳的な表現は多くの市民に嫌がられるし、良し悪しで分断対立が起きることは津田監督のもとでの愛知トリエンナーレ見た通り。
種田:文化庁から補助金もらっているのに・・。
佐藤:それについては質問した。記録を読んでもらうと分るけど、支援する人々がQ&Aをつくり共有してて、政府や市民の多くから批判されないような技を身に付合って対応しているそうです。

種田:おっしゃる通りにアーティストなのに、補助金をもらってるアーティストは矛盾しないかという話しですよね。
佐藤:その点は、昔からある論争と視点で、賎民・河原者の領域からの能楽・アートか建築とか造園とかも含め、皇族・高貴な人々ための芸術だった。能の世阿弥は武士と賎民の両方に対応して技を磨いたそうです。もう一つはアーテストの病の問題で、ゴッホのような統合失調症・精神疾患の方の表現作品にたいする対応だよね。森さんたちは審査するというフィルターをたくさん持っていました。年間60人のアーテストが滞在し活動するんだけど、年間、応募数は600ほどで、それを審査して受け入れるんだそうです。
3ヶ月滞在は年間一人らしいんだけど、その審査の仕方は大変興味深い手法でした。一次審査で100人ぐらいに絞る、そのあとアートの専門家の人を入れて6人に絞る。最後の一人を選ぶのは松戸の人たち(自治会とか市役所関係者)。ワイワイしならが決める。森さんたちは関わらないそうです。

種田:住民に委ねる。
佐藤:住民の方たちはアートを知らないけど、誰にするかは彼らの直感に委ねる、そこが森純平の凄い能力と判断力。
種田:だけど一応絞って、誰が選ばれてもいいと思う人を絞るんですね
佐藤:そうだよね、絞るけど、決定時に誘導しない。そしてアーティストに作品を残してもらうことが目的ではない、このアーテストは好ましいから招いて交流しようと・・・。
種田松戸は文化度、高いのかな
佐藤:松戸駅の周りの住民は自治意識が高いそうです、で信号機が無い交差点がありました。で森さんは結末をコントロールはしない、支援に徹する、プロセスだけを試行錯誤しながら運営していた。で、森さんは今年で身を引くそうです。それもいいね。

種田:僕も松戸の団地の将来像を考えるプロジェクトを考えている
佐藤:常盤平団地ですか。
種田:隣の小金原団地です、常盤平団地は一部が博物館になってて、伝統ある団地だとは分ってますけど。
大学を変えたい

種田面白い人間に育っていただくには、教師側が面白くないと育たないじゃないですか。僕はまじめだけと変な気質もあるので、変な奴が面白い学生を育てることはできるかなと・・・そういうことしか興味ないんです。

佐藤:自分が変な人間だと自覚して教えているから問題ないでしょう。種田先生は権威主義者じゃないと。
種田:本当に変な人から比べたら僕はたいしたことないですけど。ちょっと変な先生でいなきゃいけないなと。僕を採用されてれたのも、そこなんですよ「こいつだったら学校に変な風穴を開けるだろう・・・」というのを期待されている。
僕を呼んでくれたのは千葉大の安藤正雄先生のお弟子さんです。小原次郎という人間工学の先生のお弟子さんなんです。高橋たかし、環境心理学と人間工学の先生。バリバリの計画学の研究者なんです。若手の教員にけしかけ学校の改革をやろうとしているんです。僕は人には恵まれているんです。給料はめちゃ安いんです(笑)だから方々でバイトしているんです。

佐藤:お父さんとパートナーに稼いで食べさせていただきましょう(笑)

種田:浅古さん来た!
佐藤:俺が南口改札にむかいにいくよ。俺に会いに来る珍しい人だからね、むかいにいくよ。

その04へ