2021年4月12日17時40〜18時40分  辻琢磨さん ROOM 記録  その1 その2  その3 
その3
■ 奥さまは製本家 その仕事を宣伝しよう

佐藤
:奥さま、パートナーは建築家じゃないんでしょう。

:製本家ですね。

佐藤:編集者ではないのね。じゃないとすると物づくりだから建築家よりずーっと繊細じゃないの。

:繊細だし体力勝負みたいなところもあるし。自家製本でも何万とか自家製本で300刷るだけでも、製本するだけでも同じ作業を300回やんなきゃいけないし。手製本がほとんどで、工場に出してハイブリットのこともあるんですけど。

佐藤:いい仕事しているね。

:うん。

佐藤:奥さんに作品集をつくってもらえるように頑張んなさい!
:ふふふふふ。
佐藤:あんたこの程度の建築じゃ作品集作って製本してあげないわよ!って身内はキブシい評価するからね。
:ですね。


 絵:送っていただいた『街角製本教室』 『街角製本展』より

佐藤:奥さん製本は本の内容は、中身選ばないんでしょう。どんなジャンルの内容でも製本するんでしょう。

:でも作家系の写真家の人とか、あるいは街の中に製本場を作ったんですけど、ふらっと訪れた婆ちゃんのエンディングノートを製本するとか。

佐藤:いい仕事してるねー、それいい。
:昔の家に残っているボロボロになった楽譜とかを、表紙を直してあげるとか、両方やってますね。
佐藤:建築家よりいい仕事だな。

:作家系の仕事とともに。
佐藤:建築の仕事を取るより難しくって広いからいいんじゃねーか、個人の歴史をつくることでもあるし。
:面白い仕事だと思う。

佐藤:建築家だと量をたくさんつくるとか、コミュニに役立つだったとか、上っ面の話ばかり目立つ。でやったふりの販促活動に近いけど。個人に直に効く仕事だよね、一冊一冊が勝負だし、見習った方がいいね。
:見習うことはたくさんあります

佐藤:いい仕事しているよ、いいな。楽しみだなー。川勝さんの奥さんも面白い仕事しているの、知ってますか。
:知ってますよ。
佐藤:人間3Dプリンターでね、最初見せられたときにびっくり仰天したよ。

:確かにちょっと似ているかもしれないですね、ひたすら系。
佐藤:ひたすら系なんだけど、二度と同じ事ができない作業だよね。人間らしさ満点のいい仕事してるんだよねーと思ったけど。びっくりしたけどああいう人間が知られていないところがおしいよね。だいたい52分になりましたので、この当たりでやめますか。

;そうですね。
佐藤:これを文字にしますので、見てください。画像など貼って次回へ、数年後ですけれど、新宿聞きとり以後の辻さん語りを聞き取りしますので。
 で今回は、せっかく聞いたから、奥さんが製本された本の写真データなど、この記録に付けて宣伝もしてしまおう。

:ふふふふ、いいですね。

佐藤:今は町中にお店もあるんでしょう。

 みかわや 内部のようす 絵『街角製本所』より

:製本所というか工場というよりは作業場みたいなのが在るのと、一応WEBショップみたいなものもあって。ノート販売しいたりしています。

佐藤:建築系の若者に辻式本づくりを勧めるということで、今回の聞き取りはまとめましょう、そうすると楽しいじゃない。人生で、時々建築作品集をつくるとか卒制作品集をつくってしまうとか、捨てることができない人生の記念にして保存したり配ったりする、それって楽しいじゃないか。俺もなんだか造りたくなってきたよ。

:佐藤さんの本もつくりましょうよ。
佐藤:聞き取りの仕事多量にあるから 大変なことになっちゃうよ。今の話聞いてたら儲けて手作り製本で本つくるも人生の楽しみだなーって発見してしまったよ。俺も一冊死ぬ前に作ろかなーと。

:そうですね是非つくりましょう。
佐藤:辻さんの聞き取りして、予想外の製本話に着地してしまいました。生い立ちから聞いてたら・・・いつのまに〜俺も本作りたくなるという地点に着地してしまいました。
:はははは いいすね。








絵:『街角製本所』2020年9月1日発行より
村上製本発行所 WEBへ
 
 どんな本でも「1冊」から政策を承ります。思い出のフォトブック・自作の製本・芳名帳・エンデングノート、オリジナル手帳やノートブック・作品集など、あなたの大切な本をつくります

 asamimurakami.com








 浜松尾張町 みかわや 一面
 2021ねん創刊号
























(2021年4月19日FB投稿より)
街角製本所さんよりの贈りもの届く
 辻琢磨さんのパートナーである村上さんとその仲間達は浜松市尾張町の空き店舗を1年半掛かけて改修し、製本所、食堂、野菜市、家づくり相談所などを運営始めていた。多様な職種をもつ若い人々が連携し街を空き家を再生している。同時に新聞『みかわや』2021年(日付けなし)創刊号も刊行してしる。さらにラジオ配信もしている。
 手作り製本家の姿勢を投影したかのうに、丹念にそっと時間をかけ物と人々を編集し、そうして町も人も再生していく施設が容易に伝わってくる。そのような若い人々の熱意に敬意を表してしまう。(20世紀型の集いとは異なる連携の姿だ)
 町の角地に在り、店先にはアーケードといえるようなものではないが、屋根が掛かっている。たまから歩道の空気をも再生しさらに育んでいくようすが伝わってくる。彼・彼女たちは新コロナ下で困難なこも抱えることが多いのだろうが、無理ぜず健やかに生きつづけ、暮らすことの楽しさを伝え続けてもらいたい







■ 雑談 

佐藤:じゃ今日はこんなとこで文字にしますので、こういう記録づくりを俺がやっているのは、例えば辻琢磨論を、おれが自分で聞き取りしたデータをまとめようとして、4回ぐらい聞いたら、そういうのを書こうと思っていて始めてたんだだけど。時間は15年とか掛るんだよね。WEB建築あそび記録公開してすでに21年経っているから20年は掛るんだよな。

:ふふふふふ、滅茶滅茶大変は作業じゃないですか。
佐藤:多量の著作物を引っ張りだして出典を明記してあれこれ書くのは高卒の俺には似合わない。ああいう書き方はやる気が少ないなんだけど、少しは真似てもメーンは聞いたデータをもとに書くつもりなんだよ。
 渡辺菊眞さんを2019年末に高知に訪ねた。そこは彼の個展が開催中でしたので、少し書いたんだよ。ね、まだ一部しか書いてない。続編はまだ先なんだけど。書いている時めちゃ面白かったのね。誰も読むはずないんだけど、菊眞さんだけ暇なときにでも読んでくれればいいわけよ。俺の菊眞像をつくるために書いているだけなんだけど、菊眞さんも喜んだので驚いたんだよ。俺様製の菊眞像を書きたいだけなんだけど。本当の菊眞像なんて書けるわけないからね。

 俺が捏造した、辻琢磨像になっちゃうわけよね。辻さんが分身したかのよに俺が書いて、作りだしたいわけよ。

:それはむちゃくちゃ興味ある。

佐藤:俺は建築あそび記録の記録つくっていたときからの思いなんだよ。そこにト書きも入れておいて、演劇にもしてもらいたいわけよね。一人芝居でもいいんだけど。20年間聞いてまとめておくと。 全然、こいつは、面白くない像〜が予想されるのはまとめず放置するんだけど。人間らしさ人間臭さが好きなわけよ。
 20年とか30年続けて同じ人物を見続けていると、きついんだよね。どんどん社会的地位が上がっていくし、貴重な時間を俺に付き合って失っても彼は何も得るものないわけよね。ウザクもなるわけよ。
 人を通して、人間の魅力が現代のシステムによってそぎ落とされてしまう過程が見えるわけよ。だから面白いわけ。露骨に時間の流れは人格を露わにしちゃうからね。怖いんだよ時間ってのは。継続的に話を聞き続けるってことは鋭い刃物を得てしまう事に似ているよ。

辻:そうですね残酷に出てきますよそれは

佐藤:聞かれた方は似たようなことを喋っているつもりだろうけど、10年前に何話しんだったかなーは覚えてない。質問内容は変えていても、同じことを繰り返すことがその人の核心なんだろうなーとも思うし。時が経ても変わらないそれがね。
 その時力説していても10年経ったら言った事も忘れている内容も多い。10年前のこと、どうした?と聞きたくなるけど訪ねてはいけない。黙って聞く。聞き取りは面白いよ。

:継続しないと面白さが出てこないですけど。
佐藤:時間というのは恐ろしいなーと思う、今日も石川初さんの記録2004年の我が家での講義録、リメーク2021版をつくって、今でもHPつくるのへたくそだけど、前も、もっとへただったのでリメーク版。この新コロナ到来の機会に少しリメークしようと思って。「リメークしたらから、オンラインしまよう」と誘っているわけです。話しかける切っ掛けがないとね。以前の彼と現在の彼を重ね書きして見えて来るのもたくさんあるし。

 リメーク版見て思ったけど、彼の言動がバージョンアップし続けていて細部が深化しているというのかな、デジタル技術はリアルと癒合することで私物化が深化し広がり続けるっていうイメージを持ってしまうんだよね。デジタル空間で地上を自分の庭にしてしまう。デジタル以前には見えることができなかった人間の活動・運動だよ。空間情報も私物かしていくっていいなーとおもってね。20ねん経つと人が感受性がく変わっておもしろいなーんだよね。 















 村上製本 観察ノート
話変わるけど田中浩也さんて知っていますか。
:はい慶応の藤沢の。

佐藤:今日びっくりしたんだけど、デジタルと生物と3Dプリンターが融合した新アートができてきそうなんだよね。2000年当時は彼を支えるマンパワーが無かったし。彼に投資する人が無いかった。検索エンジンも、ストリュートビューもGAFAに先を越されてしまった。で、GAFAから買わされるだけの国になったのかな。

これらの生き方は田中さんのやり方もあるけど、辻さんの奥さんのような老後の人の本を作ってあげて仕合せを配達する、直に人に効く仕事のやり方もある。そういう自力の合う連なる社会の作り方の方もいい。もしかすると原発事故に遭って思うんだけど、新しい技術で世界を牽引するというのはやめた方がいいかも。技術者はやめないんだけど、そのほうがいいんじゃないかな。田中浩也さんはその二つの困難をどういうふうに突破していくか注目しています。

 辻さんの所に行きもしないで分ったようなことを言っているのは後ろめたいんですけど・・・・。
:はははは。

佐藤:行かないと本当のことは感じられない、分からない、奥さんの本作っている所も見ないとね。川勝さんの奥さんが制作しているところを見ている、言葉の外が分る。それが貴重なんだよじんわり来ることが多いんで。物を見て体験するって大切だよね。今は新コロナでちょと無理だけどだけど。奥さんと仲良くするのだよ。

辻:はははは。

佐藤:文字お起こして公開する前に連絡するからね、加筆してね。どうもありがとうございました。
:楽しみにしています。

佐藤:次回は三回目でその後バージョンをお願いすると思います。本当は行きたいんだけどね。
:自邸も改修をずーっとやっていてそれも是非観ていただきたいんです
佐藤:いいですね ありがとうございました またお会いしましょう 奥さまによろしくお伝えください。

佐藤・辻: では、さようなら

もくじ

その1
その2
その3

 最後まで読んでいただきありがとうございます
 (文責:佐藤敏宏)  home