2021年4月12日17時40〜18時40分 辻琢磨さん ROOM 記録 その1 その2 その3 | |||
その2 |
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佐藤:オンライン・ワイワイ35分経ちました。横浜国立大学時代に入ってしまいました。 辻:ぼくの高校時代は、それこそ恋愛が〜、一番印象に残っていて。高校3年生ぐらいから付き合った彼女が。その彼女に凄いほれ込んでしまって。滅茶・滅茶・振り回されたみたいな。 佐藤:マゾですか。相手はどんな子だったの。 辻:そうかも知れないですね。2時間ぐらい待たされるとか。それで、いっきにデスルんですよ。今何を考えているんだろうと。その時に割と相手の気持ちを本当に想像してみる、みたいな、そんな事を学んだ気がする。 佐藤:それをキチンとこなせると作家になれるよ。 辻:ふふふふ。結局、振られたり、一回付き合ったりとかして、大学にぼくが現役で入ったんですけど、彼女は浪人して遠距離恋愛だったんですよ。横浜と浜松でも何とか続いて。彼女が翌年、早稲田に受かって「ようしゃ!近づける!!」と想ったて。入学式から1ヶ月後ぐらいに振られて。振られるタイミングと設計が始まるタイミングが寄っていて。それまではずーっと「彼女、彼女」だったんですけど、それが無くなって設計が始まって、上手く横滑りして、設計にはまっていった、という感じです。 佐藤:彼女に向けていた情熱を建築設計に向け変えたと。 辻:本当にそういう感じでしたね。 佐藤:その女性のどんな点に魅かれたの、魅力、ここが好き好きっていのかな、顔がいいとか頭がいいとかセンスが合うとか。 辻:そいう意味では文化人というか、本が好きだったり、芸術が好きだったり、ぼくに無いものを確実にもっていた。文才があったりとか。 佐藤:憧れふうだ、それは馬鹿にされる可能性高いかも。 辻:不思議系というか。完全に文系女子ですね。馬鹿にされていたかどうかは分んないですけど。ぼくは、ばーっと行くから。 佐藤:文系女子からはウザがられる。 辻:ふふふふふ。 佐藤:文系の女の子とは、感性が合わなかったり、本読んでない、共に同じ文章に共感なしでは、辛いからね。 辻:ウザイと思われたかどうかは分らないですけどね。 佐藤:いい恋愛経験しているね、うらやましいよ。 辻:それは、ぼくの人生の中で一番大きい経験でしたね。 佐藤:若いうちに恋愛でも仕事でも対話で大失敗した方がいいよ。 辻:そのとき、盛大に振られましたからね。 佐藤:恋愛で失敗し、設計課題へ。彼女に振られて、なんとも感じない逞しさが身に付いたんだね。設計で褒められるより、彼女に振られる方が苦痛が大きいよね比較するまでもないんだけど、どつちも求める派かな。 辻:振られてからまた、スムーズに横滑りしたわけじゃないって。めちゃめちゃ凹むじゃないですか。なんで俺はこんなに辛いんだろう・・・・と。何がこんなに辛くさせているんだろうか・・・・という事を悶々と考えたり、友達に相談したりしていった結果、メディアとか少女漫画とか、ドラマとかに、めちゃめちゃ作られている感情で、要するに「資本主義に踊らされているだけなんじゃない」みたいな。それで、踊らされているのに・・・なぜ、しかもこんなに辛いんだと。ふふふふ。 |
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佐藤:誰かが作った恋愛物語をなぞるように失恋を哀しむ。その辻に気付いた辻が生まれたと。恋愛モデルをナゾル人なのに恋愛を創造的に作り替えることができなかった俺のことに気付いたと。 辻:自分でものをちゃんと考えるって・・・どういう事なんだろうかと。資本主義ってなんでそんなことになっているだろうとか。それを滅茶苦茶考えました。失恋したときに。 佐藤:大好きな女性に振られてよかったね。 辻:辛いのをなんとかしたかった。 佐藤:フクシマで原発事故起きて、辛いから言葉にしようという感じの人は少ないんだけど。辛いことを言語化して消化しようとすることは救いに有効だよ。それと同じ行為だ。言葉にするとだいぶ癒される、というか問題を半分ぐらいは解消することがあるよね。 辻:そうですね、人に話したりすると。その時は僕は運よく高校のサッカー部もそうですけれど、同級生が割と同じようなレベルで議論できていて。みんな大学1年生ぐらいに村上龍を読み始めて。村上龍の文学系じゃなくって、批判系あるじゃないですか、批判系のストーリー『愛と幻想のファジズム』とか『5分後の世界』とかを廻しよ読みしていて。ぜんぜん今の日本政府はだめだと。 佐藤:ふふふふふ。 辻:村上龍さんには救われましたよ。 佐藤:18才で俺、社会人になったばかりに『限りなく透明に近いブルー』で登場した、セックス麻薬と若者みたいな内容だったか、芥川賞だったとおもうけど、設計部内でも話題になっていたよ。村上龍の批判系は読んだことないけど分るような気がする。大学1年末、恋愛で大きな挫折を味わって色々思考が深まっていった。 辻:そうです、本当に挫折だったなーあれは。 佐藤:人生で一番大きな節になっているという感じだね。 辻:そうですね、あれが最大のターニングポイントだったな。 佐藤:失恋した記憶を無くなってしまったから、文学的になれないんだけど。 辻:はははは、失恋辛いですよ。ただ辛いです。 佐藤:俺は振られそうな異性と付き合わないからかな、高望みはしない、リアルな関係をつくれるのか、直感で分る。あまりにも異なる感情の人と付き合うと破綻するの分るから、それより設計していた、ほうがいいじゃない。 辻:まあねー。 佐藤:その当たりはロマンティックでいいじゃん。失恋して本を読んで現在の社会矛盾を村上龍を通して学んだというのは、おつりが来たね。 辻:おつり来たですかねー。今考えればそうですけど。その時はマイナスでしかなかったですけど。ふふふふ。 佐藤:おもしろいよね、自分の描いたイメージ、欠落したときに何とかして手当して手前勝手なイメージを修復しようと、正しい形に戻そうとする。そうして、また墓穴を掘るという姿のような、人らしいよね、繰り返すと。 辻:ふふふふ、そうですねー本当に欠落というか、喪失というか。世界が終わるみたいな感覚だったなー。 佐藤;話聞いてて思うのは学校教育っていうが完全無欠の近代社会に合った人間を人格みたいなのを描いてね全部満たされて、人として進んでいく・・・みたいな、出鱈目な教え方あるじゃない。欠落だらけで喪失だからけで人間生きて居られる〜って教えないんだよね。そこに気付くまでに自分が自分をズタズタにしちゃうよね。その仕掛けに気付かないで生き続ける人は苦労するよね。 辻:そうですねー。 |
絵:3枚WEBより |
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その3へつづく | |||
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