2022/9/28 笹岡周平さんに聞く@大阪
作成:佐藤敏宏


笹岡周平さん
ノートによる自己紹介 
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その02

雇われた事務所で爆弾処理班と先輩に言われ

笹岡:あんまりないですね。
佐藤:それは現代社会から求められた店舗と営む人を、きっちっと造っているんだね。
笹岡:変な人が来たら仕事を断るんですよ。相性があるんで、水商売の店舗は設計しないというのと、脱サラして喫茶店やりたいのは分るんですけど。趣味的な店舗設計はやらないようにしているんですよ。これで飯、食う!気合入っている人と一緒に仕事したいんですよ。

佐藤:人生賭けて店舗を開らこうとしてない相手じゃないと、やる気が起きないんだ。
笹岡:じゃないと、こっちもやる気にならないからです。 

佐藤:デザインも甘い気持ちで取り掛かるものではないと。
笹岡:自分が食らって、いままで生きて来ているので、そんなに簡単に言うなよ、みたいな感じがあります。本気で使い倒してくれそうな人と仕事したいなというのがずっとあって。選んではないけど、そうなってますね。

佐藤:笹岡さんがそういう思考をしていれば、そういう思いをもった人が集まって来るでしょう。
笹岡:そうです。紹介もそうだし。
佐藤:雇われていた事務所が忙しいというのは、仕事を請けすぎ、取り過ぎということ、なのか人気ありすぎるのか。

笹岡:人気ありすぎですね。こうなるとメディアって、グンと来るじゃないですか。そしてがくっと落ちるんですね。そうなってももちろん潰れないですが人数はへらしつつ、ずっとやってはるので 忙しすぎる時に入ったので、人も追いつかなくって。若手が育ってないし、あれここれも自分がやらなきゃいけない。
今だったら、イオンモールに入っている服屋さんあるじゃないですか。あの店も昔は路面店。ワールドとかアパレルメーカーがお洒落な店をつくり始めた時期だったので、そこも担当していたんです。一個ブランドを造ったら全国の店に広がる。そういう仕事を一杯受けていたんですよ。それはまだ、一度雛型を作ればデザインは決まっているので、手数少なくいけるんです。だからその物件はまだ楽なんです。

僕はそういう中で、爆弾処理班と呼ばれていたんです。お金が無い、変な物件、大変そう、みたいなやつを。コミュニケーション能力はあったんだと思います。

佐藤:爆弾処理的物件に遭っても鍛えられてきたんだと、なるほど。
笹岡:お前、けっこう処理するやん!みたいに言われてた。(笑)それが多かったので、疲れましたと。

佐藤:数年年期が経ったら追い出す、やり方ではなかったんですね。
笹岡:1年目で追い出されている人もいました。年期が来たら辞めるということではなかったですね。

佐藤:大阪芸大の先生をこなしながら、たくさん仕事もこなしている、弟子たちが教えていたんですか。
笹岡:僕は教えてないです。何年か前に神戸芸工大に非常勤で5年ぐらいお世話になりましたけど。
佐藤:5年間と言ったらたいした長い時間じゃないですか?

笹岡:確かに。
佐藤:教えるの好きな人もいますが、笹岡さんはどうですか?
笹岡:教えるのも好きではあるんだけど、暖簾に腕押し状態は歯がゆいから。
佐藤:学生おれは相手にしたくない。何もないから学校に来ているだろうけど。
笹岡:一握り熱いやつがいるじゃないですか。ちょっとですよね 

佐藤:かといって俺のような老人に反応されても困る(笑) 若い人たちは老人の話を聞いてる暇があったら、新しいことをあれこれ試行錯誤しろ、と言いたくなるよ。
笹岡若者よ、面白いことを教えてくれよと(笑)

佐藤:若者が面白いことを言えないとすると、人生賭けて店つくろうとする人の方が圧倒的におもしろいよね
笹岡:そうです、刺激的ですね、経営者は面白いんですよ
佐藤:それぞれの業界で、経営者独自の商哲学がないと離陸したり成功しないだろうし。
笹岡:癖ありますけど、面白いですよね。

佐藤:関西のゼネコン設計部で採用され東京で仕事しならが育ったので、関西系の発注者の面白さは少しわかります。彼らは仕事相手に愛情をこめて、デザイナーや建築士をぼろ糞に言う(笑)笹岡さんもぼろくそに言われたでしょうね。

笹岡:言われましたよ(笑)はっきりしてますよね。

佐藤:商都大阪だから商売上に必要な多数の本質的なことを突いてくるからね、値踏みされるというか、度量を試し見られるというか、はっきりしているのでやり易いですよね。
笹岡:議論で異論はあっても、喧嘩することはないですよね。


リーマンショックで、振り出しに戻り、ゼロから再スタート

佐藤:2009年に、お聞きしてから15年経ちました、あの当時は事務所は靭公園そばから、いきなりスタートでしたっけ。

笹岡:事務所は一度、北浜に行って、リーマンが来て、あかんようになって。お金が無いから、ちっちゃい場所を借りなおして、ゼロからスタートしました。
佐藤:借金は背負ってなかったんですか。

笹岡:借金は背負ってなかったんで、よかったんですよ。で、結婚はしてたんで、家族に借金していたんですよ。奥さんの方にお金借りていて、それを10年掛けて返しました
佐藤:下手な処理すると巻き添えで家庭崩壊もあるから、厳しいお金の借り方だよね。

笹岡4年前ぐらいに完済したのかな

佐藤:日本には若い人に投資する人がいないので、誰からお金を借りて事務所を始めるのか、それは、それは難しいよね。
笹岡:お父さんは「ほんまに復活できるのか分らないのに銀行からは借りるな」と言われたんですよ。「俺が貸してやる」と言われた。そっちの方が厳しいじゃないですか。
佐藤:いい父ちゃんだけど、家族もろとも全て蒸発するから厳しいね。この金好きに使え、くれてやる、じゃなくって貸す・・・だからな、利子は無しですか?
笹岡:利子は無し。で、10年返済で返してました。今は銀行にお金借りてます。

佐藤:銀行から借入おこさないとデザイン事務所は運営・資金繰りは難しいですか?
笹岡:そういう訳でもないですね。
佐藤:工事も請負ってしまうこともあるんですか。
笹岡:設計だけです。

佐藤:だったら人件費と家賃などだから、工事費なみの多額の借入は起きないように思いますが。
笹岡:そうなんですよ、人数が増えたので、安心のためというか、何かあったときに「銀行は困った時に傘をもっていく」と言われてるじゃないですか。
佐藤:銀行は、不景気になると貸しはがしも貸し渋りもするよね。

笹岡:だから良い時に借りておいて、利息分はあるんですけど、現金がある状態で返済しながら、また借りて・・・という繰り返しで運営している。

佐藤:株式会社にして投資は募らないの?
笹岡:うちは株式ですよ。
佐藤:増資して投資してもらって配当する、金利だと必要経費になるから安いかな。配当は利益から配るから。
笹岡:それもできるな。

佐藤:日本全体が理由は不明ですが、若い人に投資しないんだよね。アメリカに行ったことないだけど彼らは若者に投資して、巨大な利益を得る話しはよく聞くね。潰れて投資金額返ってこないこともあるだろうが、それが投資だからね。
この20年の間、日本に暮らしてる俺の身の回りでは若い人に投資したって聞いたことないですね。20年以上も若い人を中心に見ているんだけど聞かない。例えばグーグルのストリートビューのようなソフトを開発しててた学生を手伝いながら、ワイワイ試行錯誤して、開発ソフトを使い倒してたんだけど。その人もお金も、人も集まってこなかったね。
で、グーグルに抜かれて、「作られちゃいました」で終わったね。IT関連は日進月歩だから、一気に、お金と人を投資しないと、世界競争に負けちゃう。それを見てて思ったが日本は若者に投資しないだな・・・そんな実感あります。

笹岡:若い才能に投資する感覚は日本は少ないじゃないですか。

佐藤:今現在政府は国民投資に投資しろと言っているけど(笑)今ごろかよ。
笹岡:増えると思っていても、投資信託すらしない人が多いだろうし、難しいですよね。 佐藤:若い相手に理屈は語っても、若い人に投資してもらったり、お金を貸すのは難しいと考えている人が多いように思います。
笹岡:出資法上、あのお金は返さなくっていいですからね。でも利益出たら還元しますよということですから。利益だして返さなきゃという思いが湧くのでエンジンにはなると思うんですけどね。



本気の起業家とつながり、仕事したい

佐藤:リーマンショック後、笹岡さんは奥さまの家族から借財して乗り切ってきたと。なによりです。
笹岡:ゼロからスタートして、この事務所へは3年ぐらい前、コロナ禍真っただ中に引っ越してきました。コロナの時も仕事は止まりました。あれから3年経って、まだ影響でてます、工事が止まっているのが3件あって「いつ改修できんのやろ?」設計料の回収ができてないのもあります。でも、今年はそろそろ動くんじゃないという感じです。

佐藤:9月24日大阪に向かっての新幹線は台風で大幅5時間ぐらい遅れました。ホームにも人が溢れてました、大阪に来て数日たちましたけど、新型コロナに気をつけながら飲み食い駄弁る。そんな様子は見ないですね、昔と同じようにワイワイ呑んでいます。でも、電車の中だけはマスクしてますけど。
笹岡:僕の見立てで言うと、彼らがシンドかった分、工事に取り掛かっちゃったものを完成させないと余計に損するから、もしやるとしたら、次の投資は控えるはずなんですよ。来年か再来年は緊縮しそうだなと思っていまして、何かしないといけないと思ってる時期です。

佐藤:店舗は回転が早いから、そういうことなのか。建築だと数年計画で造るので、影響の出方が店舗や内装の仕事とは速度が違うんだね。
笹岡:うちは店舗設計でも長めの方ではあるんです。行政がらみで何年かで調査開発してから造るという仕事もあり、建築の人たちの見ると短いですね。副業はするわけではないですけど、仕事を取りに行くことをしたことは無いんですけど、やろうかと

佐藤:仕事とりに行ったら一杯来ちゃうんじゃないですか。
笹岡:そんなことないですよ。お客さんにたどりつくのが難しいです。起業家とか、本気で事業やりたいという人とつながりながら、仕事したいわけなので。で商工会議所とか、どこに行ったら賭けている起業家がいるのか分らないんですよ。

佐藤:青年会議所とか経営者の集まり場所にいくのか。地方の建築士がのし上がるには議員の秘書を経て、行政に顔を売ってからだといいんじゃないかな。代議士のカバン持ちやりながら、行政が発注する仕事を首長さんの了解のもとでと、巧みにこなす。と言っても大ぴらに、しない。どう仕事を確保してくのが、最も従来的で確実だと思う。俺は分っていても、そういうことしたことない。

笹岡:へーえ。
佐藤:時間も掛かるんだけど、先生は4年に一度落選する可能性が高いからね。選挙参謀になりつつ、土建業界の親分するのが確実だ。周りの同業者は見ているから危険だけど。顔は売れるしからそれを戦略的に仕組んでいくのが要点だと思います。

笹岡:公共の仕事は、選ばれないといけないから指名業者として資格とらないといけないですよね。
佐藤:指名願いってやつですよね、一応競争入札して落札という形をつくるから、議会の承認が伴うからそうなるよね。その上、前例主義が多い。

笹岡:ゼロの人って指名入札に入れないじゃないですか。
佐藤:入れないね。オープンコンペやプロポ・コンペぐらしかない。実な見せかけですでに決めた事するのは簡単だからね。純粋にオープン競争にすると行政サイドも事務手続きも多くなるので、まあ裏・談合して業界の方で人を決めることになるだろうね。役所サイドでは無難で長持ちする質のものを造ればいいという考え方に落ち着くよね。議会の対応考えると発注する担当者は問題おこしたくないじゃない。斬新な施設造ったら問題だらけだったら大弱りするでしょう。
庁内の職員どうしでのチクリで、多くの問題は発覚しちゃう、内部告発っていうやつだね。後ろから弾を打撃されちゃうこともある。なかなか公共施設の仕事をこなすのも初心者にはハードル高いんと思うけどね。
日本に暮らすやる気があり若い才能をどう育て活かすか課題は放置されたままだと思います。俺の見る限りいい手法が見つかっていない。安価でマンパワー集めやすい大学系の方々、いわゆる有識者ですが公共施設の設計を請負うかたちが多いのはしかたないんだろうね。オープンコンペするには役所の担当者のやる気満々とデザインする若者のやる気満々があって、合致すると出来上がったとしても・・・数十年使うなかで行政のメンテナンス担当する人にとっては迷惑施設になる事も多くある。

行政発注の店舗デザインは少ない

笹岡:店舗デザイン業界で、アカデミックというかパブリックの仕事はそんなに無いのかなと思います。
佐藤:公共施設なかの内装設計はたくさんあるから、初期の段階から設計チームに入るように共同の仲間に入る努力は要るかもね。
笹岡:そっちに入るようにしたらいいのか。

佐藤:易いし値切られることはあるだろうが、大手のゼネコンさんとコラボ形式がもっとも安定するだろうけど、台風手形払いや踏み倒される可能性もある(笑)ゼネコンさんにコラボしませんか?と聞くのはいいんじゃないかな。支払い条件を確認しながら、腕を売り歩くのもいいと思う、ゼネコンもお金の支払いや契約方法は大きくなるほどに役所化しているし、小さくなると社長の独善と踏み倒しの可能性は含みおかないと危険だけど。
柳原さんスーパーゼネコンとコラボしてた。作品見せてもらいましたよ、彼は賢くこなしてます。

笹岡ゼネコンの担当者がデザイナーに興味があるとコラボし易いですよね
佐藤:そうだね、デザイナーと仲良くしたいゼネコン設計マンもいるので、そういう人とお付き合いするといいよね。例えば、店舗嫌いで福祉施設大好きな設計マンとかいそうだよ、多くの人と仲良しになる機会をつくり、お誘いし交流を重ねる。一緒に仕事したいと思わせる、笹岡さんの腕次第ということになるけど。まずは中堅から始めるのがいいかもね。
笹岡:確かに困っているかもしれませんね。設計もやるけどいい店も造ってよと言われて困っているかもしれない。

佐藤:俺がゼネコンに居た時に巨大なお菓子の工場を設計し現場監理した。その発注者は店舗も工場も、お抱えデザイナーを参加させていたので、担当した俺としては色決めとか内装とかしなくっていいから、楽ちんだった。ただ時間を守らないと、俺が現場から怒られた(笑)
笹岡:たしかにゼネコンコラボはありますね。

佐藤:ニーズはたくさんあると思うな。料金は易いきがするが。建築でも内装とか色決めは一番見せ場で派手で決めになる、依頼者が観る要点だから、好い腕の人とコラボしたいはずだよ。それするゼネコン設計部長は賢い人だと思うよ。逆目もあるので要注意しながら、笹岡さんの動物的感覚しだいで運命は決まるね(笑) それをベース仕事にしつつ窓口、確保できていれば、笹岡さんますます打たれ強くなる。大阪の地元の中規模工務店などもコラボに乗りやすいかもね、教えてレベル上げつつ笹岡さんの力を認めさせていく手法だよね、チーム笹岡にいずれ抱え込む、人脈確保、そんな気分だよね。

笹岡驚くほど大阪で仕事をしてないんですよ。地元ってあるので、そういう所に当たるのはいいですね。
佐藤:日本人って垣根なくなって、親しくなってしまうと仕事だだだだと依頼する人多いから。
笹岡:結局そうですよね仲良くなった人に頼みますよね。

佐藤:始まりは断られた時から、スタートの記し始まりだから、何度も足を運ぶと。笹岡てきワサビの存在を示して、覚えてもらわないと、仕事来ないでしょう。
笹岡:単純接触、ちょっと増やしていく。会社案内など書いた資料あるから、それをもって回る。難しいのは大概の人は読まないから、分かり易い、覚えやすい案内が要るよね。

佐岡:大阪の建築業界・設計業者の方と、つながるのっていいね。
佐藤:業界は横のつながり強いから、一物件成功させ評判とると、仕事来るよ。役所は担当者もドンドン変わり続けるから、担当者コネを育てるのは諦めて、政治家筋からアプローチになっちゃうよね。でも東京オリンピック汚職まみれに巻き込まれてしまうので、それも難しい。世はデザインビルドに傾いてしまったので、共同設計企業体に入る努力がよさげだね。大阪の建設業界は民間も多そうだから、先ずベースは民間仕事で固めるのが良さそうな気がするけど、どうですかね。
笹岡:そうですね。役所関係はお客さんがお城を使って宿泊事業とかやっている、それに付いているので、城もいろいろ観にいっているんです。古建築の活用方法ですね。最初はコンサルで行くんですよ。町中にある古い建物調査しますね。「使えますか」みたいな話しで調査から。程度を見てゾーニング書いて、ガチャガチャやって、で行政に提案して、やりたいとなったら一緒に仕事する。

佐藤:行政系で古建築を専門に調査施工している人たちいますよね。古建築の再生復活仕事しているんだったら、そちらの道とのコラボは固めた方がいいがすでに組織が出来てしまっているかもよ。
笹岡:しかし固いなと思いますね。そこは自分で取りにいっている訳じゃないので、どうなのかなと。
佐藤:文化庁の下り先かもね。役所は前例主義が主だから、固いのは当然で、成功すると芋づる式で増えていくけど、同じような仕事は増えてしまうね。新しい内装に挑むとかデザインは、ほとんどしないから、詰まらないかもね。

笹岡:「前例無い」ってほんまに言いますよね。
佐藤:私は責任おいたくないと言葉を変えて言っているんだね。釈迦に説法になるけど、笹岡作品がいろいろなメディアに載って流布されれば、担当者は言い訳が出来るよね。

建築士とのコラボ道

笹岡
:去年(2021)グランピング施設やらしてもらったときに、ドームテントを仮設じゃなくって「建築確認下す」というお題目が来てて、おろしたこと今まで無くって。指導課と土木で喧々諤々やって、ドーム天井で確認おりました。その時に平均天井高どうやって算定するねん。いろいろ言われて。防火じゃなかったんで外壁は大丈夫だったんです。「屋根はどこからなのか」、そういう議論が。
佐藤:全部屋根でいい気がしますが・・・。
笹岡:壁ないじゃん、となる。

佐藤:「基礎と屋根だけです」と言えば通らないかな。
笹岡:解釈がいろいろ難しくって、面白かったです。そういうのに挑戦するの好きですけど。僕も建築事務所の資格持ってないので、外注さんと一緒にやるんです。建築士事務所登録とったほうがいいのかなと。
佐藤:建築士資格もっているんですか、今はとるの大変だし、一級とっても監理建築士になるに、3年修行することになるね。気心知れた建築士とコラボで続けるほうがいちばんいいと思う。

笹岡:とったところで申請図描けるわけないので。
佐藤:資格者を雇えば、設計事務所開設者は管理建築士を雇えば無資格でも開設できる。それが一番いいね。若い人建築士だと嫌がって逃げられるかもしれないけど。
笹岡:ハローワークに行くと建築士資格者も暇をもてあましている方いらっしゃらないかな・・・と、思ったりしてます。そういう資格者いらっしゃいますかね。
佐藤:居ると思うよ、退職後、に若い人と一緒に建築事務所できると嬉しいんじゃないかな。例えば、ゼネコン設計部の退職者など一杯いそうだよね。脱サラしていきなり事務所を始めても成功する確立低いので、期間限定でコラボしつつ、所員の方にも有資格者になってもらう、など方法ありそうだ。大きなゼネコン設計部の人、法律専門、構造専門、設備専門など専門化して育つから、オールラウンド資格者になってもらうのもよさそうだけど、好い人に出会うといいよね。人間関係のつくりかたに尽きるかな

新型コロナ禍後の店舗設計

佐藤:新型コロナのリバウンドがあるか?
笹岡:影響あるだろうな、怖いなという感じですよ。
佐藤:コロナ解禁で数日前から外国人も一杯来るようになったね。2017年に京都に聞き取りに来たときは外国人が多すぎまして身動きができないほど、四条界隈は酷い有様だった。同時に町家は買いあさるし、外国人たちが改修仕事を発注し、受けてる京都の若い人々は鼻から火を噴いている、インパウンドバブル状態でしたね。

笹岡:経営者仲間がいるんで、外国人が買ったけど、手放したのを買っている。そういう知り合いがいるんです。外国のみなさん売って帰っちゃった。投げ売りですよ。でもまた戻ってきた感覚はあるけど・・・。
京都にはゲストハウスは滅茶苦茶増えましたね。その影響か民泊のハードルが滅茶苦茶上がりました。あと、行政によって分散型ホテルの解釈がまちまちで、営業許可を取るのに苦労することがありました。違法で民泊しているところを「管理がちゃんと出来ないだろうと建付けで増やさないようにしよう」という条例はそういう感覚ですね。

佐藤:聞き取り旅行して思うけど、一般の家のように分棟型で、それを一ヵ所管理でいいよ。台所風呂、洗濯場と寝床がある宿のほうが使い易いけどね。若い旅行客からすれば機能分散・離れていても問題ないと思う。お金持ち老人も楽しめるように思うけど。

笹岡:ご飯は、食べに行く。条例を見てておもしろいのが、兵庫県などは民泊に敏感で、規制掛かっているんですよ。有馬温泉とか城崎温泉があるから経営者は民泊でどんどんお客さんをとってしまうのを怖がっているんですかね。
佐藤:政治的圧力が掛かっているわけだ。旅館業界と政治家たちから圧力掛かるだろうね。
笹岡:旅館がない地域などは民泊でどんどんお客さんを呼びたいから、ウエルカムという行政もあります。なるほど、よく出来ているなと思って(笑)分り易いんですよ。

佐藤:政治かは票が命で、客が寄り付かない旅館は潰れてもいいとはならないね。
笹岡:そうなんですよ。努力してない宿は潰れても仕方ない部分もあると思うんですよ。そこまで守らなあかんのかなと思っちゃったりします。


城崎温泉でのこと (後半に詳細説明あるも)

佐藤:ゆっくり潰していかないと失業者があふれて社会問題がおきてしまうので、次の社会に移行するための手加減が難しいんだと思います。城崎温泉、演劇の街構想で、流行ってないんですか
笹岡:演劇の町、平田オリザさんが、引っ越されて住んでいるのかもしれません。
佐藤:東北まで、城崎演劇祭はいい感じだと伝わってきているけど。

笹岡
:二俣さんというデザイナーさんが、仕事されていていますね。僕も城崎にはお世話になっていまして、一人のオーナーさんですけれど、何回もご依頼いただいています。
こないだ、絵本作家さんと一緒にコラボした、部屋が日本空間デザイン賞、入賞したんです。ありがたかったです。

佐藤:アーテストとコラボ部屋造りましたか。内装かな、芸術家入れた改装話しもちょくちょく聞くようになってきたね。個性的な作家の部屋に泊まると眠れない(笑)体験ができていいかも(笑)
笹岡:うちでデザインしているのは馴染む作品です(笑)お子さんと一緒に楽しめる部屋です。
佐藤:場所は不明だけど巨大な髑髏を飾ってある内装を見た気がするけど、何がいいのか?不明、話題性か。
笹岡:インパクト強いですけどね。
佐藤:びっくりハウス。注意喚起型。話題とってるのもいいけど、一過性かな。すこしズレるけど、日本各地でアート祭り盛んですけれど、関わってませんか。

笹岡:瀬戸芸、大きくなりましたね。
佐藤:教育産業ベネッセがエンジンですよね。関わっていますか。
笹岡:関わってないです、周りにはいます。ドットアーキテクトや建築家で関わっている人たち多いですね。

佐藤:家成さんはビートたけし+ヤノベさんコラボの像に被せる神社造ったりしてたね(笑)
笹岡:家成さんたちは不思議な人たちだから、面白いです。

佐藤:家成ドットの面々にも15年前に聞き取りして分ったことだけど、三人で独立したときからアーテストの手伝いや予算の無い内装の設計施工のような事からスタートしていた。今は家成さんは大学の先生に成ってしまいました。「彼らは新しいこと建築で始めそうだな」と思いました。その後、建築界の方にどんどん引っ張られてスター扱いされていて、普通の建築家になっているか?今回はその点を聞き取りして確かめるのが楽しみなんです。
笹岡:笑
佐藤:いろいろな事があったようで、三人バラバラに分かれてしまったようです。
笹岡:赤代さんも居ないのかな。
佐藤:赤代さんすでに居ないそうです。代わりに若い人達が集めって来て、家成さんは相変わらず、面白そうなことをやっているそうです。 

笹岡さん推し曲
折坂悠太 - 坂道 (

マイルド化してる

笹岡
:依頼者のお金で造る、という自覚がどこかで自制心が働くタイプなんですよ。置きにいくといいうか。答えはこれですよね、というのを先に担保しちゃうかな。

佐藤:未知なる場をつくると人間関係、家族関係までも建を築造ると影響がでてしまう、そこが面白い点でもありますけど(笑)、
笹岡:建築家には猛烈な人がいまだに多い気がしますね。
佐藤:変わって来てるでしょう、マイルドな人が多く、若い建築関係者は人当たりが柔らかになっていて、誘導が巧みな人が多くなっていると感じます。
笹岡:アトリエ系を経て独立する人も少ないですかね。

佐藤:設計施工化が進んでいるのでしょう、組織事務所、あるいはゼネコン設計部に入って、仕事するほうがアトリエで頑張るよりは生活は安定するからね。
笹岡:今はチーム作りが上手なのかな。
佐藤:若い人は、自己主張せず空気を読みすぎて、遠慮がち。いつのまにかふわふわと出来上がっていく気配。元気に恥じをかいても意見を主張する人すくないし、そういうコミュニケーション能力だと感じます。
笹岡:なるほど。

佐藤:俺についてこいじゃなく、ワイワイしているうちに、ふわっと出来上がる、豊かな時代なんですよね。そうしてうまい事まとめる。知が継承されるのか不明です。30代半ばはそういう人たちしか知らない。個性ギラギラはほどんど会わない。 無個性に見えせるね。でもコラボを上手にこなしていく。ツバメアーキテックの面々もそういう感じでした。
先生である間宮先生はどういうタイプでしたか?

笹岡:やはり時代ってのは・・・あるんですね。
佐藤:協力し合って造る、柔らかな関係になってきているきがします。意見をガンガン言っては、くさすことはしない。空気を敏感によみながら、仕事を仕上げる。ただパブリックスペースに対する考え方は、以前の強者たちよりはしっかりしていて、周囲の景観の読み込み方は優れていると、ツバメさんたちと交流していて、そう思います。

笹岡:自分たちが使い手の目線があるんじゃないですか。
佐藤:そうだね。マウントをとって建築家として主張することはしない。建築を造って終わりじゃなくって、場に活気をつくりだす、というのかな。その場を利用する人たちが元気になり、新しい行動をし始める、そこを目指してるような気はします。写真写りの良さはあまり、気にしてないんじゃないかな。

笹岡:若手の人のドローイングをたまに観る機会があって、人が一杯いますよね。
佐藤:それに、楽しいとか可愛いとか加わっている。
佐藤:以前ならゼネコン設計部で「可愛い設計ですね・・」と言ったら殴られそうな気もする(笑)
笹岡:笑
佐藤:キモカワイイを消費して後、ゆるキャラ、可愛い空間で快適嗜好かな。
笹岡:ゆる建ですかね。

佐藤:それから共同で仕事する時のジェンダーバランス、上手にこなしていると思う。さらにスマフォの使い方に特徴がでてきている・・・そうです。建築の学生でも、PCじゃなくスマフォで、インスタグラムを建築観てワイワイするそうです。ですから有名事務所はインスタグラムを使って学生にアピールしる対策しているそうです。若い人に見てもらって話題にしてもらい、拡散してもらう。そういう戦術らしいですよ。インスタ流行りなら参加しなきゃしょうがないってことかな。何でもやってみるのはいい。
だいたい1時間、いろいろお聞きしましたので、作品のデータを見せていただいて語りの記録と共に紹介したいので、この15年間における主要な作品画像データなどを見ながら語りをお願いします。

笹岡:自分が思い入れがある作品というか、語れる作品ですね。


03  作品紹介