長崎漫遊 2024  その05
作成:佐藤敏宏 2024年6月
01 どうして長崎 02 長崎まで 03 原爆資料館に向かう 04 原爆資料館
05 爆心地に立つ 06 鈴木達治郎先生に会う
  07日本二十六聖人記念館へ

■05 爆心地に立つ 平和公園をたずねる

長崎市を訪れ爆心地をたずね、周囲の地形を感じることも大切なことだと思っていた。原爆資料館から下ること約18mほどの、急な階段をカクカクしながら下った。エレベーターは設えてあったけど乗らなかった。下の川を渡ると爆心地公園にたどりついた。
上空数百メートルで起爆したのだろうが、鍋底のような爆心地には碑が立っていて、誰にでもひと目で分かった。資料館ほどではないにしても、公園には海外からやってきた人々もふくめ、多数の人が何も無いその台地を行き交っていて印象深い。何かの底という空気に満たされているのは予想外だった。

黄色ライン、漫遊経路図。原爆資料館の見学を終え、爆心地公園を経て、平和の泉から平和の像に至る

爆心地公園を出て、平和公園をめざして歩きだしたが、5月末とはいえ気温が上昇しているのと、長時間見学し歩いているので、多少の疲労がたまってきているようで、足が重く感じる。スタスタ歩くmy長女は、時々振り返り待っている。

平和公園には数名の小学生に対しボランティアガイドをしている老人を何人も見かけた。このような活動は称賛されていいはずだし、若い人々へ悲劇の記憶を継承するためには、その肉声は特に役立っていることだろうと思った。

平和公園の坂を登りきると平和の泉があった。原爆投下によって被爆死された人、容貌を失って数日生きていた人々が、水を求め呻いていた・・そう記録にも口承でも知ることだ。噴水の水があることで上空で炸裂したファットマンの火を想像することにもなる。

平和の像を囲むように池があるのをしらなかった。老女たちが「全国から集まったから記念写真撮影、お願い」と言って来たのでmy長女は、平和の像を背にした20名ほどの老女立ちの集合写真のシャッターを切った。

 
 「平和の像」あたりは海抜25〜26mほどだ。     平和の像手前にある「平和の泉」には虹が掛かっていた。左奥「平和の像」

爆心地は背景の山が浅いので、小さな州の地だった。そこは海抜3.5mほどで浦上川と下の川に挟まれいて印象深く記憶に残ってしまう場所だ。令和5年8月9日、原爆死亡者は195、607名とあった。



老人佐藤には上り下りがきつかったので、平和祈念像、浦上川、 爆心地、下の川、資料館の断面図の絵を貼っておく。 断面図 国土地理院地図情報より採取


各施設の位置関係図


右資料館エリア 海抜21m
 左:爆心地エリア 3.5m
 下の川から上流を見る


■爆心地に立つ、原爆資料館を体験する。この2つの目的は達成できて、一気に気が緩んだように思った。東西に山並みが見え、浦上川が南下している。この当たりは海風が吹いてきているようで、福島市の盆地の空気とは異なり、爽やかである。

平和公園を下り、路面電車の平和公園駅から電車に乗って、長崎駅をめざした。下校時になっていたのだろ、女学生が増えている。視線を下げmyズボンに目をやると膝のあたりが真横に破けている。膝の屈伸が激しくって、破けたようだ。それを見ていると、my長女は「今夜は長崎大の鈴木達治郎先生に会うのだから、新しいズボンを買おう」と提案してきた。

路面電車の長崎駅で下車し、工事中の長崎駅前広場を突切り、できたばかりなのだろうか、店内がピカピカの4階にある男性衣料品売り場でズボンをプレゼンとされた。「丈が長いので短く縫い直すのに1時間ほど要るから、取りに来てほしい。」そう売り場の男性に告げられた。

駅前広場のビルのフロアは各階で繋がっている、とばかり思って歩いて、駅を目指して進んだら駐車場にでてしまった。表向きはビルが固まって繋がっているよに見えたのだが、駅前ビルの各棟は連結していなかった。

駅前のヒルトンホテルに預けた荷物を受け取り、チェックインすることにした。豪華な部屋で、稲佐山の山頂や周囲の山並み、そして立ち昇るかのような建築の数々、麓には浦上川が北から南へくだる。長崎市街の特徴がぐるりと見渡せた。浦上川の流れ下る先には造船所があるらしく軍艦のような船の突端がみえる。

部屋からの眺望もよい。間取りは洗面所まわりの設えが変だったけど、部屋とベットが広くって申し分ない。というより贅沢な感じ。「ひさかたこのようなホテルに泊まっていなかった・・・」そう言ったら、「たまには良いじゃん!マイレージ・・」とmy長女は応じて微笑んだ。いいねいいね。
ズボンが仕立てあがるまで、約1時間、当たりを見回したり、撮り集めたデータをPCに整理したりしながら過ごした。



到着したばかりの29日11時頃、長崎駅周辺は曇っていた。駅前の陸橋より原爆資料館の方、北を見下ろす絵だ。午後にはいると雨はあがり、すっかりいい天気になった。

写真、左手、その足元は、駅前改修工事中の工事現場の現状である。路面電車の軌道が中央に2本を走り、両側が3車線ほどの車道である、南北方向の車の流れで東西方向の車の行き来がすくないので、思ったより渋滞もなく自動車は順調に行き交っている。







my長女は老女たちの集合写真をパチリ
その6,長崎大学、核廃絶センター教授・鈴木達治郎さんに会う へ続