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佐藤敏宏の2013年ことば悦覧@大阪 幸家大郎 編 01 02 03 04 |
02 幸家:でその後に 作った建築です。 これは山科の改修なんです・・。ひょろひょろの数寄屋っぽい作りですね。ほとんど壁が無い開口部ばっかしの、遊びの為に庭の中に在る古い元料亭が在って。若い夫婦の家族が土地ごと買ったんですね。建て替えも崖の上です、申請上 めちゃくちゃややこしいということで、綺麗にして使いたいと、予算も無いしということで。 本当に予算が無かったんで。建物の半分をクリーニングして畳入れ替え。サッシの調整ぐらいで。 建物の半分の壁がめちゃめちゃ少なくって、めちゃくちゃ寒いので。京都の山科の山の辺なので。 壁量があまりにも少なすぎたので補強材を入れながら。壁を増やしつつ断熱もして。 ここで暖炉を燃していますけれども、一階と2階を空気的につなげて、暖をとって。めちゃくちゃ寒い冬も寝れるぐらいな。 古い方の開口部だらけの畳の間は季節の好いときに遊ぶぐらいな感覚で。そのまま置いておいた。 佐藤:家族二人で暮らすんですか。 幸家:子供1人います。大人二人ですね。 佐藤:どこに手を入れなおしたのか、わかりにくいですね。この物件で、古い建築を改修するのは初めてですか。 幸家:1番最初の古建築改修は 僕が今住んでいる、阿倍野の自分の家です。古い建築 そのまま置いておいて。新しい部分を付け足すような感じでいくと。 佐藤:実家の建築のような新築と、山科の物件のような改修に対する幸家さんの違いっていうのは どんなことですか? 幸家:あんまし目立たないんですけれども。どんな住まい方するか?っていう、そういうイメージってあるじゃないですか。写真にあんまし出てない部分っていうのが 有るんです。 そのバランスみたいなの決めるのが楽しかったですよね。 佐藤:古い建築に現在の耐震性を持たせるための壁なり断熱なり機能なりを入れて、現在の暮らし方のために建築に調整してい 、それが面白いと 幸家:調整して古いやつをそのまま楽しんで使えるっていう、シュチュエーション作りっていうか。 佐藤:実家の建築の場合いはやりたい放題できるけれど 改修は既存の縛りがあるので 幸家:でも実家の方はおとなしい建物だけですけど。 佐藤:山科の既存改修の場合は 建物の大きさや柱の位置など在るので、そのなかで必要な性能や新しい用途を作っていくというか 幸家:この辺も写真で分かり難いんですけれども。 例えば古い方と新しい方をつなぐ、この引き戸なんですけれども。これは新建材なんですね。段ボールのような形したプラスチックの建材ありますね。アクリルか何かで。ガラスじゃなくって。 佐藤:新建材で仕切っていると。 幸家:昔の感覚で言うとガラスのゆらゆら感があって、それっぽく調整できないかなーと思って。 佐藤:外壁はほどんど修繕してないんですか 幸家:ほとんどやってないです。 2009年ぐらいの仕事です。それと同じぐらいの時にやっていった。こっちのほうが自分らしいかも知れないんですけれども。雑貨屋さんのショールーム なんですけれども。今の事務所が入っている、ビルを1棟ごと借りているクライアントさんが居て。輸入やっているんですけれど。お香とか、ロックバンドの、そういう音楽系統をやっているんですけれど。 佐藤:輸入雑貨屋さんのショールームだと。 幸家:この物件は床・壁・天井を剥がしただけなんだですけど。床壁を大工さんにやってもらって。その間に建具類を自分ところで作って。 佐藤:ファサードの金属建具ですね、自分で作ったと。斜めのドアですけれども、うまく開きますか。 幸家:どっち方面にも斜めにたっているんですけれども。前面道路が坂路になっているですね。 谷六の近所なんですけれども。上町台地っていうか、そこからぐーっと降りていく坂があって。その坂路に直角にドアを設えたかったんですね。 佐藤:前面道路の勾配に直角に設えた ドアだと。 幸家:坂の斜め感を店舗に取り込んで、ついでに扉も斜めに開くと。いうかたちのものです。 佐藤:スムーズに開くんですか? 幸家:開きます。開くときに 足下がヒンジになっているんで、1番下の板を引きずりながら開くことになるんですけども。 下にローラーが付いていて。 佐藤:扉閉めておいて 風吹くと下の調整部分は動くんですか 幸家:ガラスはめて止めるようになっているんです。そういう仕掛けしないで羽みたいに動く方が面白かったですね。ひらひらして。 佐藤:犬とか猫とか自由に入れちゃうので問題かな。 幸家:これは表情を作るための開口で天気の好いときには 色々な隙間の開け方だって出来るし。店でセールやったりイベントやるときにちょっとした表情が出来るんじゃないかなーということで。 通常は 木の扉を普通に引き戸で開くんですね。 手製の扉が閉まっていても木の扉が開く。これが通常の扉です。 佐藤:イベントしたりセールするときに人を招き入れるため 全開するために動く壁。そういう扉機能も果たしているんだと。普段の商売では使わないんだと。なるほど。木製の扉が通常営業用に別にあるんだと。なるほど。この改修で実施したかったのは坂路に直角に動く壁兼イベント用扉を設えることだったと。 幸家:そうですね斜め感をなんとなく中に引き込みたかったという形で。 佐藤:この扉、動く壁の設置 この当たりになるとアメリカで学生時代につくっていた、アート作品に近づいてきているようだね。 幸家:そうですね。 こういうの嫌いじゃなかったんですねふふふふ。 佐藤:今日聞き取りしているこ現場、 古建築の改修も幸家さんらしいですね。昔試行錯誤して作品をつくっていた 幸家さんらしさらこの建築に現れていると思います。ではその次の仕事は? 聞き取りしている幸家さん改修建築の内部写真 幸家:その次にまたオーソドックスなものを。 佐藤:大阪には発注者が色々居るからね。 幸家:そうですね。僕は仕事選べるような 者ではないので。頼まれればなんでも受注するんで。 これは天川村の旅館です。 佐藤:旅館の改修ですか 幸家:これは旅館の新築です。 佐藤:すごいですねー新築 障子変わってますね 幸家:これは1番最後に建具屋さんと 雪見障子デザインして。 佐藤:旅館は部屋が何室だったんですか 幸家:手前に老舗があるんですよ。古い温泉街なんですけど。奈良県の天川村というところです。手前は温泉街なんですけど。奥に行った敷地に高台があって、そこに別館を建てたいという話があって。階数でいうと4,5階ぐらい上がった処になりますね、1番表の通りからみると。 佐藤:別棟で木造で建てたと。 幸家:左右対象で2部屋。こんな感じの風呂付きの部屋です。ところが この建物の表は景色が見えるんですけれども。建物の裏は この集落の墓所なんですね。どひゃーっと墓石が見えるんですよ。ふふふふふ。で見えないような形で光だけ足下だけ 光を入れるというか。 佐藤:全オープンにすると村の墓場が見えちゃうんだ 幸家:見えます。 佐藤:それでは客室としては難しそうだね。 幸家:外側にも目隠しして見えないようになっているんですけど。 佐藤:障子が特徴的で 縁側も、ベランダが木造で付いている点が珍しいかな 一般的にはコンクリートが多いかもしれない 幸家:そうですね。ここは雪深いんですけれども。それなりに軒出して。雨被るけどいけるかなーっていう処で。 佐藤:障子の桟は幸家さんデザインしているね〜 幸家:ふふふふ。 佐藤:プランはオーソドックスだけど 細工物が特徴的で太郎さんらしいですね。和風旅館の客室のプランって 広縁があって畳の部屋があって床の間があって、が一般的 幸家:そうですね、そこはスタンダードですね。 対面の紅葉の、崖っぷちに。お寺の裏の崖なですけど。ここの紅葉が凄く綺麗で。春の新緑も綺麗なですよ。それなので障子はちょっと遊びで 。 佐藤:紅葉と新緑のシーズンに風景を障子で切り取って見せたいと。 幸家:天井高がクライアントともめたんですけども。もう10センチぐらい僕は落としたかったんですけども。1番したの商店街の通りがあって、古い建物くぐって、まだかまだかみたいな所に ぎゅーっと絞った階段を上っていって。すぽんと高台に出るような感じなんですけど。そこを出来るだけひらたーい感じの。座るようなイメージですね。 立ったら狭いって思えるようなスペースにしたかったんです。 佐藤:天井は2.1m位に押さえているっていうことですか 幸家:本当はそうしたかったんですけど。2.3mと。普通なんですね 佐藤:なるほど。旅館も建ててしまいましたね。この物件は施工はやってないんでしょう。 幸家:まさかですよ 地元の大工さんで 佐藤:これで3物件ですね 建築作ってますね。奈良では通うのが遠そうだね。 幸家:通うのは2時間ぐらいですね。でも慣れたら通って1泊して、朝現場にでて帰りは夕方。でこの頃からだと思うですけど、何て言うんですかね〜。スタンダード的な仕事もしながらも、もうちょっと変化が欲しくって。なぜか農作物作ったりすることとか、ちょっと興味が芽生えまして。今は自分でやっているですけど。この2009年 10年当たりで、農業にちょっとした興味を持ちだして、関わりだした感じですね。 観光農園じゃないですけれども。作物作りたい人集めて、で町から畑に行って。そこで畑をやって、遊んで帰るみたいな。そういうパティーっていうか。そんなのを企画している人達にくっついていったりして。 その中で、それも京都の山奥なですけどもね。古い集落なんで。地元の人たちと色々会うなかで、外から持ち寄ったアイディアで、こんなのを作ってみましょうかみたいな話をべたべたで地元の人とお話して来たり。 それをワークショップで、町中の学生とか募って。橋を作ってみようかとか。それは計画だけで終わったんですけども。 地元に落ちているような間伐の細い材量を番線でゆわえつけるぐらいな程度でもいいんですけど。もし ここに橋が出来たら ここに場所ができますよね。でここで遊べますよね、そういうストーリーを作っていきたいなということに、関心があったんですね。 要するに素人の手を借りながら、ストラクチャーというか構造物つくりみたいな、そんなことをしてみたいなーという、発想だけ芽生えて。何もしてないんですけどね ふふふふ。 佐藤:その地域の調査はしたんですよ。調査をしてプランを提示して 幸家:模型ぐらいはですけど 佐藤: 村の人と話合ったんですね 幸家:はいそうです。橋の模型をもって行ったら、どん引きされて、ノックアウトで。そこからはちょっと離れてしまったんですけど。 佐藤:農業をやりつつ構作物をつくったり、それらをセットで地方の人と都市の人をつないでいく活動を考えていると。 幸家:はい、何か出来合のものを地方にぼんと作ったり、することよりも、地元の人と 何かちっちゃい物でも。ベンチでも作るとするじゃないですか。地元の人と一緒に作ると。共有した形の風景が出来て、「ああこんなのありかなー」みたいな、ヒントがそこに出て来たりとか。 そのようにして風景が少しずつ出来てもいいかなーと思ってたんですけどね。今でもそれは思っていて。 佐藤: 橋を模型つきで提案したら 地元の人がどん引きして 第1回目の提案は大失敗だったと。 幸家:失敗ですね ふふふふふふ。こんなの いらへんみたいに言われて。ふふふふ。 佐藤:反省点はなんですか 幸家:ちょっと早すぎたんですね。僕も地元の農作物作るっていうやつで もっとどっぷり浸かれば好かったんですけど。人に付いて行ったかたちなんで。 佐藤:地元の人との交流が熟す前に 橋の模型を出されちゃったら 仕事しに来たのかと思われちゃう 幸家:そうですね。反省点としては、地元の人とべったり何か作るときは、べったりした付き合いの中で巧い具合にストーリーの組み立て。時間かけないと無理かなーと。 あとは プロデューサーみたいな人が居て、話の下地を作って。デザインとして利用してもらうみたいな。作り方もあるんですけどね。それは しっくり来ないんですよね。そういう形で作っていっても好いと思うんですけども。 最初は自分でやってみたかったかなと、まだやり切れてない感じです。そこは。 佐藤:地域の人だって都合が悪くなると、「都会から来た人との縁を切れる」という軽さを渡さないと。幸家さんとしては無理矢理入り込もうとすると 村の人にとっては うざったいからね。 その当たりの調整し 力の入れ具合はよそ者には難しいので。間に演出する人が居たり、向こうから都市に出かけて来て調整してくれる人が居たりすると。調整がスームーズになりそうだけど。いきなり出かけて行くとどうしても自分の行いたい活動が先行してしまいがちで。地元の人は無くてもいい活動だったりするので、その辺の関係調整の構築 は難しい。地域とコミットするときに何をフックとして関わるか、フックが沢山有る方が構想を進め易いんだろけど。 物を作ることが村と関わる目的だとすると、好い関係がつくれない気がするね、お話を聞いて感じますね。 幸家:そうなですね。ややこしい感じが先に出て来てしまう。拒否反応ですね。 佐藤:村の人達と関わって工作物をつくる、初めの段階にも関わってみたと。 幸家:でまあこの時 もっていた問題が 今の活動につながっていることがある その03へ |
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