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建築家渡辺豊和さんと建築あそび  その3

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・・・階段状の家の外観スライド ・・台所で音がする・・

   
今の建物を見た一寸年寄りの画家が頼みに来て。自分の後輩の画家達が頼んだもんだから、負けん気だしたんですね。俺はもっと良いモン作ってやれと。

僕より大分年上だった。関西では抽象画かで有名な人だった。僕が40ぐらい彼が50ぐらい。

 これは大変だ、変わった人で、この人に怒られないで尚かっ好きなことやるにはと。考えたねぇー

 出来てきた絵をみてもだめだから「制作してるところ見せてほしい」と3日間だったかなー、1週間かなー彼が絵を書く途中を見てた。

真っ黒けな絵なんですよ。黒板みたいな絵なんですね。タダ黒いんじゃなくて下塗り何回もするんですよ、よく見ると。黒と黒。別っ黒なんですよく見るとね。一寸遠くなると真っ黒け。

 そういう絵とは知ってたけど、どなんして描くのか見てたら解るだろうと思ってとにかく通った。通っているうち解ってきた。

 この人は「こいう建築は絶対喜ぶな」と解るんです。最終的にこう成りましたけど。一等最初に彼の気に入るの出せなかったの。もう一寸1・1/2のに近いようなことをやっていた。曲線使ってね。曲線嫌いなんですな。そういう人は。「渡辺君 僕は直線が好きだ」真っ黒けの絵だしね。だぶんそうだろうと。じゃ墓の時の感じで行うとでこれ出した。アクソメ出したらもうこれで「OK」


 
これ階段使ってるでしょう。こう上がって行って3階が画室。大きい絵を描いたりする人で持ち運び出来ないのでしょう。直接ドアを開いてここから おろして。「それを是非作ってくれ」と言う。建築的に難しいんです。下手にやると失敗する。

考えたわけ。よし解ったそれなら「一直線にしてやれ」これ階段には違わないけど、廃墟。壁が崩れるじゃない。

崩れるような階段は危ないから、ぎりぎり廃墟に見える感じまで持っていってこの階段を作った
。初めは階段から考え始めたけども、こっちも廃墟的に見えないと話しにならないから、そいいう風に考えて作った建物です。

元々殺伐とした所だった。大阪でも東大阪って殺伐したとこなんですよ。そのイメージなんですよ。黒ーい絵の人だからなるべく殺伐として嘘寒いと。そういうイメージで行うと思った。
         会場 んなー
すごく喜んでくれた。「渡辺君、俺のイメージそのままだ」いまでもそう言ってるけどね。でも売っちゃった
        会場笑い
しんどいらしい歳取ると 70超えてるからしんどいんだよね。買い取った人はそのまま使ってる。

         

色んなやり方あるけど思いつきでやるんじゃなくて、いかに廃墟に見えるかで、あの遣り方してる。芸術や彫刻に近い世界。








             
柱が一本ちょん切れてるわけね。電話かかってきてね。「渡辺君この柱いらねんだよな」と言うから「僕に設計を頼んだということは僕に少しは好きなことをさせ気あったでしょう」「そうや」と言うから。

「そのぐらいさせてくださいよ」(笑う)そしたら怒らなくなった。怒ったらあんた画家じゃないよという言い方したからね。言外に判るよに言ったら一切言わなくなつた。「ま悪くないね」とか。(笑う)
  会場  笑う
 
              

ほら逆階段でしょう。
   会場笑う
上れないもんね。この二つはいらないモンなんですけど、これがないといわゆる廃墟のイメージ出なかったんで。内部にも廃墟のイメージいるから。内部にも出していこうと。どうしても僕にとっては必要なモノだった。画家だから理解はしてくれました。バランスが大変なんですよ。あんまりそれにかけすぎると施主の人達いるから判るけど、「つまらんもので遊ぶなよ」と言いたいわね。



・画室のスライド ・・
            




この画家は自分で教室開いていたね。普通にしても悠々と生活出来るんだけど教室開いてたね。いまはそれも70こえたし。





          

これも画家。このときはホントに画家が続いたね。僕より2つほど上の人。この人の絵はファンキーな絵なのよ。レジエの絵を漫画つぽくした絵。ポップに近いんだけども漫画ではない。

・・・玄関正面絵スライド・・
         

でこれねオッパイなんですけどね。奥さん可愛い奥さんなんだけど何か片チンバに見える。なにもしませんよ、服きてんだから判かんない。何となく片チンバ、で奥さんのんオッパイ・・ヤッタレと思ってね。
         会場  やったね
だってその人の絵そのものが一寸滑稽いな絵だったから滑稽はいいんだけどね。その人の絵にあわせた建築を作ったの。これも外部より内部がずつと面白い。
これは坊主頭でしょう。そういう漫画ぽいことやろうと思って考えたものなんです。

オッパイの片ビッコってのが一番やりたかったことなんです。後で施主が気がっいてね。絵描きは感がいいから、気が付いて。「別のこと考えてやったんじゃない」「解ります」「解るよ」と言われたけどね。
     会場 笑い

           

これ打ち出の小槌、これは違う雷様がもってるあれ・・、
s:でんでん太鼓ですか
でんでん太鼓。全部そういう考え方で行った。これは徹底してそれで行こうと。
・・・外部オッパイのスライド・





   

・・・・内部玄関のスライド・・

            
内部になるとガラーッと感じが変わるの。外部はポップ。内部はポップじゃなくて。本格的な建築表現。非常に純度の高いのにもつていこうと思った。でも壁一枚の違いだからね。化粧をしてるわじゃないから。外部から見て凸、内部から見たら凹んでる。その応用だけでいってるだけど。

・・坊主頭の内部が現れる・・
             

さつきの坊主頭。これ完璧に芸術表現ですよね。これも非常に評判が高かった。ただねオッパイハウスと言ったのがまずかったらしいんだ。「渡辺はふざけすぎだ」と言われてさー。「なんでこれだけちゃんとした建築をオッパイなんて言わなくたって、判るんだからもう一寸真面目なこと訴えてくれれば良かった」と盛んに言われたけどね。評判が高かった。僕は今でもこの建築は非常に良くできていると思う。

仮面の家もそうだけど、内側と外側の印象を変えて、印象の落差でもって勝負しようと。これはね。彫刻では出来ないことなの

彫刻は一面だけだから。これ建築でしかできない。建築でも住宅のような小さなモノじゃないと無理だね。大きい建築はね猛烈大きすぎてね。こういう彫刻か建築かそのギリギリのとこなんで、表現の面白さという、ほんと面白いね住宅。

だけどこの頃 施主が付かないんだ。みんな同じぐらいな歳取ってきたから、みんな家持ってんのよ。住宅したいと思うけどこういうこと「うん」いう施主は若くないと駄目ですからね。だだ若い人と世代のズレがあるから多分無理だと思うけどね。住宅も10年ぐらい来ないの。

・・見上げ寄りつきスライド・・
           

自分でも結構綺麗。特にこういうとこに穴開けるなんて何でもないように見えるけどなかなか難しいものなんですよ実は。案外気が付かないもんですよ、しかもこっちは屋根に向かつた穴で、こっちは外、外光でしょう。大きさの違いとか相当考えてやらないと成功しない。建築は彫刻じゃないから必ず光りの取り方によるからね

光をどう採るか。闇に向かうモノとの対比とか、全部そういうモノで出来てる。そういう芸術なんですよ建築は

・・・  もっと寄りつくスライド・・
      

                    ・・ 2階廊下スライド ・・
  さっきの坊主のね、グルーッと内部に入り込んできて、ドームの半分しか見えてなかったよね。さらに四分の一は内側に入り込んできてるの。それが内側に見えてるのね。部屋の中にこれが入り込んでる。この部屋それ以外に何にも使えないのよ。
s:笑う

そういうこと・・やってんんだよ。

s:笑う


画家だからね。僕の場合 画家だからね。僕の場合誰も怒らんけどね、そうするためにね、設計頼まれた時直ぐ図面書かないの。住宅は時間かかって良いわけだから。、半年は図面かかないんですよ。ダンダンイライラするの「一寸会いにきません」喜んで来るからね、喜んで来ても図面ないのよ
            会場笑い
呑みに来てね、呑むのはしょちゅうやってる。これが限度だなと思ったときバッと出すの。そうすると何でも良いわけ。

:笑いながら同調気味に「酷いですね
            会場笑う


そうすると何でも良いわけ。面白いですね。所がね私の施主は大酒呑み、奥さんの人気あんまり良くないけど、そのうちファンになる。旦那の方は凄まじいすごいファンになっちゃうわけ。佐藤君もそういうとことあると思うけど、

 そうやって何でも出来るようにしてしまう。すごいことやって来たと自分で思うけど、訴訟なんてされたことがない。今でも施主が喜んでくれる。私がいるとこ大都会でしょう。アツコッチいるでしょう。そんなに密につき合えるものじゃないんですよ、散らばっているわけですよね。安藤なんて普通のモンでしょう。僕のなんか普通のモンじゃないけど、やられたことない。まず変えてない、一切。

 20何年経っても建った時のまんま。行くとそのまんま。我ながら不思議な建築家だと思うけど。それは設計する間、1年ぐらいだけど。ちっちゃい建物でも、酒呑んで密にして子供なでたりして、子供に人気 出てくる。

そうやってね・・佐藤君も巧いと思うけど、とにかくそうやって家族みんなファンにさせておいて やるわけ。

s:大声で笑う
     
・・階段見上げスライド ・・
               ・・ドームの穴のスライド・・・

            
これさっきの穴から見てるわけでしょう。こういう風景が見えて来るのがハッキリ知っていてやつてるよね。結構いいもんなんですよこういうの。穴といっても大きな穴ですけどね。

・・蓮根状の穴のスライド・・
            

 外から見るとデンデン太鼓だけど、内側から見ると堂々としたインテリアに成っちゃう。スケールが違うから外側から見ると全体が見えるでしょう。内側から見るとごく一部しか見えないからね、その見え方の違いを意識してやると出来るわけだけど。





・点から光りさすスライド・・
             
これなんか極めて迫力あるよ、見に行ったら。










・・・模型のスライド・

             
ここに車輪が有るんだけどなんか法的なことがあって後に付けたの。違法の建築じゃなかった。











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