最初の審議 新聞スクラップ01 ・11月29日審議11月30日 参考人質疑12月7日12月08日参院 姉歯元建築士証言12/14平成17年12月14日・ 06年H18年04月28日・5月06日建築士系団体の国会発言 ・藤田氏吠える ・同上質疑応答

  耐震強度偽装問題 審議 内容 を見やすくしてみました   home
      打ち込み書き換え間違いがあるかもしれませんので 衆議院TVにて確認ねがいます 
目次 01 02  03 04 05 06 07 08 
  163-衆-国土交通委員会-8号   2005年 平成17年11月30日 
  経過説明・政府より報告  質疑  

 01
林委員長 これより会議を開きます。
 この際、新たに就任されました国土交通副大臣及び国土交通大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。国土交通副大臣松村龍二君。

松村副大臣 国土交通副大臣の松村龍二でございます。
 主に安全危機管理関係施策、交通関係施策及び北海道開発関係施策を総括しております。 委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

林委員長 国土交通大臣政務官後藤茂之君。

後藤大臣政務官 大臣政務官の後藤茂之でございます。 主に災害対策関係施策及び社会資本整備関係施策、特に公共事業の適正な執行の確保に関する事務を命ぜられております。 どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

林委員長 国土交通大臣政務官吉田博美君。

吉田大臣政務官 大臣政務官の吉田博美でございます。 主に国土関係施策及び北海道開発関係施策、特に新国土計画の策定及び土地対策の総合的な推進に関する事務を命ぜられております。 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
     


林委員長 国土交通行政の基本施策に関する件、特に建築物の構造計算書偽装問題について調査を進めます。

 昨29日、国土交通委員会においては、建築物の構造計算書偽装問題の実情調査のため、千葉県船橋市内の民間分譲マンション、セントレジアス船橋及び東京都中央区内のホテル、京王プレッソイン茅場町を視察してまいりました。

 この際、視察委員を代表して、その調査の概要を私から御報告申し上げます。 参加委員は、理事衛藤征士郎君、望月義夫君、長妻昭君、三日月大造君及び私、林幹雄、その他、参加者多数のためお名前の紹介は省略させていただきますが、総勢28名であり、現地参加議員が一名おられます。

 御承知のとおり、今回の事件は、姉歯建築設計事務所が構造計算書の偽装を行い、元請の建築設計事務所や、その設計を建築確認したイーホームズ株式会社等におけるチェックにおいても、偽装であることが見過ごされたというものです。国民の生活、活動の器である住宅等の建築物において、居住者、利用者の安全性や信頼感を著しく脅かす事件が発生したことは極めて遺憾であり、近年、大規模地震の切迫性が高まっている状況も踏まえると、早急にしかるべき対策を講じる必要があります。

 国土交通委員会としても、偽装が行われた建築物の現場を調査することは、今後の真相究明、再発防止策等を検討する上で極めて重要であると認識し、閉会中での現地調査の実施となった次第であります。 それでは、調査の概要について申し上げます。

 まず、現地調査への参加委員は、船橋市内のマンション建設工事現場へ向かう車内において、国土交通省大臣官房和泉審議官ほかから、本問題の概要、視察先物件の概要等について説明を聴取いたしました。

 次に、船橋市内のマンション、セントレジアス船橋及び中央区内のホテル、京王プレッソイン茅場町の現場を視察いたしました。

 マンション、セントレジアス船橋建設工事が途中で停止された状態であり、船橋市や施工業者から概要説明を受けた後、八階及び十階のコンクリートがむき出しの工事現場を視察いたしました。参加委員からは、当該物件の構造上の問題について質問がありました。

 また、ホテル、京王プレッソイン茅場町は既に竣工し営業を開始したものですが、現在は営業を休止した状態でありました。建物の安全性が保証できないため内部に立ち入ることはできず、正面エントランス前で建物所有者から概要を聴取いたしました。参加委員からは、解体等今後の対処方針、周辺住民への説明状況、損害賠償に関する検討状況等について質問がありました。
 両現場において多数のマスコミの取材があり、本問題への関心の高さを再認識いたしました

 今回の視察を通じて、私どもは、本問題に係る真相を徹底究明すること、関係建築物の居住者周辺住民等の安全や居住の安定を第一に考え、移転先の確保等により居住の安定に十分配慮すること等の重要性を痛感いたしました。

 最後に、私どもの調査に御協力いただきました関係の皆様に感謝の意を表しまして、報告といたします。 この際、政府より報告を求めます。国土交通大臣北側一雄君。


北側国務大臣 姉歯建築設計事務所による構造計算書の偽装につきまして御報告を申し上げます。

 今回、建築士による構造計算書の偽装が行われたこと、そして、これが指定確認検査機関や特定行政庁においてチェックできなかったことはまことに遺憾であります。これにより、多くのマンションの居住者、所有者の方々、また、休業をやむなくされているホテルの関係者の方々等の御不安と御心配はいかばかりかとお察しいたします

 国土交通省におきましては、国指定の民間の指定確認検査機関であるイーホームズ株式会社より、審査を行った構造計算書に偽装があるとの報告を受け、10月28日から調査を進めてまいりました。その結果、11月16日までに、国土交通省においても、竣工済みを含む21物件について偽装を確認するとともに、偽装された構造計算書をもとに建築された場合、耐震性に大きな問題があるおそれがあることが判明した次第です。

 これを受け、翌17日に、特定行政庁を通じて所有者、居住者の方々にその旨を連絡するとともに、国土交通省において事実を公表いたしました。

 さらに、このほか、千葉県が行った姉歯建築設計事務所への立入検査の結果、姉歯建築士が構造計算を行った案件が、さきに判明した21件を含む201件あることが判明いたしました。現在、それらが所在する特定行政庁において偽装の有無等の確認を行っておりますが、本日までに総合計で8都県42物件において偽装が確認されております。

 国土交通省におきましては、以上のような事態にかんがみ、まず第一に居住者の方々の安全確保を最優先すべきと考えました。このため、関係特定行政庁などで構成する構造計算書偽造問題対策連絡協議会をこれまで3回開催し、相談窓口の設置公営住宅等受け入れ住宅のあっせん退去を促す基準や手順等について協議しておるところでございます。

 一方、11月25日には、売り主瑕疵担保責任に基づき所有者、居住者に誠実かつ真摯に対応していただくよう、居住者対策の考え方、状況についてヒアリングを行いました。これらを踏まえ、安全確保のための実効的な方策についてさらに検討を進めてまいります。

 また、姉歯建築士につきましては、建築士資格の取り消し処分について11月24日に聴聞を行うなど、その手続を進めるとともに、建築基準法違反により告発すべく、警視庁と連携を図りながら対処をしているところでございます。

 さらに、再発防止策の一環として、11月17日付で、全国の指定確認検査機関及び特定行政庁に対し、建築確認における構造審査方法に関する緊急点検を指示いたしました。それとともに、今後、指定確認検査機関への立入検査を順次実施し、構造審査について個別案件ごとに調査することとしております。

 なお、イーホームズ株式会社につきましては、既に11月24日、25日の両日、立入検査を実施し、適切な構造審査を行っていないものがあることを確認しております
 これらの総点検をできる限り迅速に行った上で、その結果も踏まえながら、現行の建築確認検査制度の見直しについて、社会資本整備審議会に専門部会を設置して検討を進めることとしております。

 今後につきましては、引き続き居住者の方々の安全確保を最優先に考え、偽装物件の確定を図り、耐震性に大きな問題のある建築物から居住者が早期に退去できるよう調整を進めてまいります。また、周辺住民の方々の安全にも配慮する観点から、建てかえを含めた違反是正を進めるとともに、関係者の処分を含めた今後の再発防止に全力を挙げて取り組む所存でございます。

林委員長 以上で政府の報告は終わりました。
 

林委員長 この際、お諮りいたします。 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長竹歳誠君、住宅局長山本繁太郎君、住宅局建築指導課長小川富由君、警察庁生活安全局長竹花豊君、法務省大臣官房審議官深山卓也君及び法務省刑事局長大林宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 

林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 今般の構造計算書偽装問題、国民に対して大変大きなショックと不安を投げかけております。偽装物件は日を追うごとにふえ、現時点で国交省確認分で37件に達し、自治体の検査機関でも偽装を見逃していたケースが相次いでおります。事態はさらに拡大の様相を示しております。

 きのうの参考人質疑におきましても、これはまさに驚きとため息の連続でありました証言の食い違い複雑でゆがんだ人間関係、あるいは新たな問題も続々と出てまいりました。問題は複雑に根深いな、そんな印象を持った次第でございます。問題の所在がどこにあるのか、徹底した真相究明が求められる、そのことを実感いたしました。

 また、耐久性にすぐれ、生涯安心できる、そんなふれ込みを信じて、大金をはたいてこれを購入した居住者の方々が、これが中程度の地震であすにも倒れるかもしれない、そのことを知ったときのその胸中は、察するに余りあるものがあります。まず、居住者や近隣住民の安全確保と精神面でのケアが求められると思います
 この問題は、建築行政の根幹を揺るがして、大きな社会不安を招きかねない極めて重大な問題であります。今回の事態に臨む大臣の決意と現下の政府の対応状況について、まずお伺いをいたします。


北側国務大臣 先ほど、冒頭申し上げさせていただいたとおり、今回の姉歯建築士による偽装、そしてそれを見抜けなかった指定確認検査機関、また特定行政庁、まだまだ事実関係が判明していないところがあるわけでございますが、極めて遺憾であるというふうに考えております。今委員がおっしゃったように、建築行政、また建築確認検査制度そのものに対する信頼が今大きく揺らいでいるというふうに考えております。

 まずは、やはりこの事実関係というものを徹底して明らかにしていく必要があるというふうに思いますし、また、その偽装物件というものの確定について、ここをしっかりと明らかにしていく必要があるというふうに考えているところでございます。

 一番急ぐべきことは、最優先でやるべきことは、今も委員がおっしゃった、居住者の方々また周辺住民の方々の安全を確保していくこと、そして居住者の方々の居住の安定をどう確保していくのか、そこに行政が一体どういう支援ができるのか、そこをしっかりと示していくこと、そうしたことが今一番急がれていることであるというふうに考えております。

 先ほど申し上げましたように、さまざま今国土交通省としても取り組みをさせていただいているところでございますが、まず一番急ぐべきことは、居住者の安全確保、そして事実関係を早く明らかにしていくこと、そこが急ぐべきことであるというふうに考えておるところでございます。

 いずれにしましても、全力を挙げまして、信頼確保に向けて、また再発防止に向けて全力を挙げて取り組みをしてまいりたいと考えております。


小里委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願い申し上げます。

 構造計算書は、地震や台風などの外力に対して建築物が安全であることを示す大変重要な書類であります。構造計算書の作成に当たっては、まず最初に、地震の力や想定される風の力などを入力いたします。そして後半の方で、必要とされる、予定される、例えば柱の太さであるとかコンクリートの量であるとかを入力いたします。

これで建物がもつかどうかを自動計算して、その結果としてエラーが出た場合、これは当然のこととして、鉄筋の量をふやしたり柱を太くしたりして対応いたします。
 
 これを、あろうことか姉歯建築士は、これに加わる地震の力を小さく想定した数値を入力して、いわば無理やり結果として適合の表示を出させて、その文書を別に用意して、その二つの、二重の文書の都合のいいところをいわば継ぎはぎをして偽装文書をつくっております。この結果として大変大きな事態を招いたわけでありますが、まさにその手口は悪質であり、狂気のさたとしか言いようがありません。

 建築士の使命は、建築物の安全性の確保質の向上を図って、もって国民の生命と財産を守るという、そのことにあります。この建築士に対する信頼を損ねて多くの住民を窮地に陥れ、あるいは人命を奪いかねなかったその責任は、極めて重大であると言わざるを得ません。

 ところが、今、刑事告発の準備が進んでおりますが、仮に建築基準法違反の容疑であるとすれば、50万円以下の罰金刑にすぎません。極めて軽いと言わざるを得ません。これは未必の故意による殺人未遂に近いとする指摘もあるほどであります。建築基準法第一条にある、国民の生命、健康及び財産の保護を図るとの法の目的に照らしても、これは極めて重大な違反行為であります。罰則の体系を抜本的に見直すべきではないかと考えます。

 また、これに関連して、建設業者から姉歯氏に対して圧力がかかったと姉歯氏が供述をしております。きのうの参考人質疑でも、その疑惑は深まったと私は認識をいたします。もし、建設業者、発注者、そして建築士らが一体となって、この問題となったマンションを建設して、何も事情を知らない一般の方々にこれを販売したとなれば、これは詐欺罪そのものではないか、そういった指摘もあるわけでございます。 まず国交省、そして法務省にお伺いをいたします

山本政府参考人 建築基準法におきまして、構造規定に違反する建築物の設計者に対しまして、50万円以下の罰金が科せられるということになっております。今回事案におきまして姉歯建築士が行いました行為の重大性、それから被害の大きさ等を考えますと余りにも低いのではないかという御指摘は、御指摘として理解できるわけでございます。
 ただ、この規定は、実は昨年の通常会で建築基準法を改正していただきました際に、従前の30万円以下の罰金から引き上げたばかりのものでございます。御指摘を踏まえまして、これから社会資本整備審議会の建築分科会の中に特別の部会を設置いたしまして、総合的な確認検査制度の検証を行います。その中で、罰則の強化を含めまして、改善について幅広く御議論をいただきたいと考えておりますので、その中で検討していきたいと考えております。

大林政府参考人 私どもが報道等を通じて今回の一連の問題を把握する限りにおきましても、尋ねのような疑念をお持ちになることはごもっともかと思いますし、法務当局といたしましても関心を持って見守っていかざるを得ないと考えているところでございます。
 しかしながら、現段階におきまして私どもは事実関係の詳細を承知しておりませんし、また、犯罪の成否は捜査機関が収集した証拠に基づいて判断すべき事柄でありますので、本件において詐欺罪等が成立するか否かについお答えすることが困難であることを御理解いただきたいと存じます。

小里委員 ありがとうございました。 重ねてお尋ねをいたします。
 特に、建築基準法において確かに罰則の改正はあったばかりでありますが、これは懲役刑の設定も視野に入れて、慎重に、かつ積極的に議論を進める必要があると思います。大臣の御見解をお伺いいたします。

北側国務大臣 これから社会資本整備審議会におきまして、建築確認制度を含むこのありようについて、どこに問題があり、どう改善をしなければならないのか、しっかり議論をしていただきたいというふうに思っております。その中で、今おっしゃった罰則の強化の問題についてもぜひ御議論をいただきたいというふうに考えているところでございます。


小里委員 よろしくお願い申し上げます。
 それでは、指定確認検査機関制度でありますが、これは平成10年の法改正において、民間にできるものは民間にとの、官と民との役割分担の見直しにより、それまで行政が行っていた建築確認業務を民間機関ができるようにしたものであります規制緩和による民間開放の、そのはしりとも言えるものであります。これにより効率的な執行体制が創出をされまして、民間活力の導入で、民間機関による対応が昨年度約6割に達しております。また、古い建物の改善や違反指導など、従来の懸案であった分野に行政がよりシフトできるようになった、そういった効果もあらわれております。改革の方向性としては、私は間違っていないと認識をいたします。

 しかしながら、期待をされましたその民間指定機関が今回偽造計算書を見逃して、大変大きな事態を招きました。何人かの建築士に聞きましたが、もし報道のとおりであれば、この文書は極めて整合性のない不連続な文書であって、見る人が見ればその不正は十分に予測可能であった、そういうことで一様に口をそろえております。

 また、今回、国交相認定のソフトを使っておりますが、これを使って正しく作成された文書であれば印字されるはずのヘッダー、認定番号でありますが、これがついておりません。ついてなかったから即不正というわけではございませんが、その場合は、その計算過程を詳細にチェックすることが求められております。これを今回、イーホームズはなしておりませんでした。そしてまた、きのうの参考人質疑におきましては、イーホームズは処理能力の限界を訴えております。ちなみに、省略制度を使わずに詳細にチェックする場合であっても、21日以内に処理することが制度上求められております。

 一方で、民間検査機関の指定に当たっては、行政の裁量を極力少なくして、例えば技術者の数とか財務力であるとか、一定の客観的な要件が備わればほぼ自動的に指定がなされます。その要件設定において問題がなかったのでありましょうか

 あるいはまた、今回、問題となったイーホームズに対して国交省が何回かの立入調査を行っております。最近の調査において、98件の抽出検査を行った中で89件において問題点が確認をされております。今後、民間検査機関への実効ある立入調査をどのように行っていくかが問われております

 あるいはまた、設計書類の保存期間の問題であります。これも、いざ問題が発覚したときに備えて、その適切な保存期間がいかにあるべきか。あるいは、自治体の検査機関の執行体制に無理がないのか、今後いかにあるべきかも問われております。
 コストや受注を優先する余りに安全性が損なわれることにならないように、問題の再発防止に向けて徹底した、制度を含む検査体制全般の見直しが求められると思いますが、政府の御見解をお伺いいたします。


山本政府参考人 幾つか御指摘をいただきました中で、まず、確認検査員の質と必要数の問題でございます。

 確認検査員になりますためには、建築基準適合判定資格者検定に合格した後に国土交通大臣の登録を受ける必要がございます。この建築基準適合判定資格者検定の受検資格は、一級建築士試験を合格いたしまして、かつ、建築行政または指定確認検査機関における補助員等としての業務について2年以上の実務を有することとしておりまして、この検定に合格した者については、建築確認事務を遂行する上での必要な能力を有しているものと考えております。

 問題は、2番目に指摘していただきました必要な確認検査員数でございます。

 指定確認検査機関として必要な確認検査員数でございますけれども、これは、法令の規定に基づきまして、確認検査の業務を行おうとする建築物の種類、規模、それから数に応じまして単位を定めまして、必要な員数を算出するということが定められております。この確認検査員の数を規定されました必要数以上に確保することは、指定確認検査機関の指定基準の一つでございます。大事な基準の一つでございます。確認検査業務を適確に行うための重要な要件でございます。今の御指摘は、その原単位自体に問題はなかったのかという御指摘だと受けとめております。

 それから、立入検査の問題でございます。

 指定確認検査機関への立ち入りにつきましては、各機関について年一回程度定期的に行っておりますし、指定確認検査機関による重大な違反が発生した場合、それから、内部、外部含めましていろいろな方から通報を受けた場合には、必要に応じまして緊急の立入検査なども行っております。

 それから、今回のような事案が発生しました場合に非常に大事になる、書類の保存期間についても御指摘がありました。非常に大事な御指摘だと受けとめております。
 これにつきましては、確認検査事務が先般の地方分権の改革の中で自治事務と規定されまして、書類の保存期間も、建築主事が置かれております地方公共団体において条例で定めるという形になっております。今度のようにいろいろな事実関係を究明する際に、それで支障がないのかどうかといったような問題意識も持っているところでございます。

 これまで、今御指摘いただきました諸点について、それぞれ考え方を定めた上で基準を定めてとり行ってきたわけでございますけれども、今回、指定確認検査機関が確認検査を行った物件でこのような偽装問題が発生したことは、まことに残念なことでございます。今後、社会資本整備審議会の建築分科会に専門の部会を設けて制度全体の見直しを行いますけれども、御指摘を踏まえまして、きちんとした再発防止策として意義があるものとなるよう御検討いただきたいと考えております。


小里委員 ありがとうございました。
 今回の問題で、建築士全体に対して大きな疑問の目が向けられております。私は、ほとんどの建築士の皆さんが日ごろまじめに仕事をなさっておると信じております。

 その建築士として設計業務に携わる人たちが大きく三つの分野に分かれております。一つが、意匠設計、つまりデザインであります。あるいは、構造設計に通じた人たち。あるいはまた、設備設計に通じて、これに主として従事する人たちであります。この中で、人命にかかわり、より高度な技術を要する構造設計の分野において、公的な認定制度をつくるお考えはないでしょうか。

 例えば、代々木のオリンピックプールなど、有名な建造物を多く手がけられたあの丹下健三さんには優秀な構造設計士がついていたからこそ、あのような歴史に残る建物ができたと聞いております。

 構造設計士としての資格を明確化した上で、責任を持った対応をとること。例えば、公的認定を受けた構造設計士が建築確認申請書類の内容に責任を持って、かつ、署名をしてこれを提出することを義務づける、そのようなことをまた考える必要もあろうかと思います
。一方でまた、建築士の資格について更新制度を設けるべきじゃないか、そういった指摘もあります。あわせて政府の見解をお伺いいたします。


山本政府参考人 御指摘いただきましたとおり、建築設計につきましては、意匠の設計、構造設計、設備設計に大別されまして、特に大規模の建築物については、それぞれの分野を専門とする建築士の共同作業によりまして設計がとり行われております

 地震国であります我が国におきましては、構造設計は建築物の安全性を確保し国民の生命財産を守るために必要不可欠な要素であることにつきましては、かねてから十分認識しておりまして、現行の一級建築士試験の学科の試験、四科目ございますけれども、この中の一科目は構造でございまして、構造について所定の知識を有する者でなければ建築士の免許を与えられないというのがそもそも制度の前提でございます。

 このたびの構造計算書偽造問題につきましては、建築士が故意に偽装を行ったものでございます技術者としての倫理観を欠いた行為がその原因ではありますけれども、姉歯建築士に発注いたしました元請の一級建築士事務所においてこの偽装がチェックされなかった点にも問題があると認識しております

 免許の問題もございます。

 我が国のいろいろな免許制度、特に更新がある制度につきましては、例えば運転免許が典型でございますけれども、身体的な能力がだんだん失われるというようなこともあって、視力、体力ですけれども、更新制をとっていると聞いております。そのほかの、教員、医師等のいろいろな議論が行われていると聞いておりますので、今御指摘いただきました事柄、更新制も含めまして、建築審議会での検討の中ではきちんと検討した上で結論をいただきたいと思います

 特に、設計業務が専門分化している状況下における建築士と建築士事務所の能力の維持向上を図るための方策として、御指摘のような点を含めて、広く意見を伺いながら検討していく考えでございます。


小里委員 ありがとうございました。

 大半の入居者の方々は、ついの住みかとして一生に一度か二度の買い物をして、かつまた、多数が巨額のローンを抱えております

 住宅の品質確保に関する法律では、構造上の欠陥につきまして売り主に十年の瑕疵担保責任を義務づけております。まず、これにより、売り主が賠償すべきであることは言うまでもありません。また、他の関係者も含めてその責任が徹底的に追及されるべきである、そのことはまた言うまでもありません。

 そこで、関係者にその義務遂行能力がない場合あるいは倒産した場合、被害者の救済策が問われます民間検査機関を国が指定している、そのことを考えた場合、行政が全く無関係とは言えません。行政としての責任と救済措置のあり方をどうお考えになるのか。
 

 また、関連して解体の問題でございます。

 倒壊するおそれのあるマンションやホテルの解体が急がれております。売り主に解体の負担能力がない場合、所有者たる住民に負担が行きかねません。公的負担によることは考えられないでしょうか阪神・淡路大震災では、その瓦れき処理を公的負担において行いましたこれが復旧へのその第一歩となって、スムーズな復旧がなされたわけであります。

 近隣住民の早急な安全の確保と入居者への救済対策として、また、これは道路など公的な部分における被害も想定される話であります。あわせて大臣の御見解をお伺いいたします。


北側国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、まず第一義的には売り主としての瑕疵担保責任、これは契約責任です無過失責任です瑕疵があることは本件では明らかです。である以上、売り主としての責任をまずはしっかりと果たしていただきたいというふうに考えておるところでございます。

 また、今委員がおっしゃったように、本件にはさまざま関係者がいらっしゃいます。その関係者の方々の責任はないのか、しっかりと明らかにしていく必要があると思っております。

 委員のまず最初の御質問は、行政はどうするんだ、行政の責任をどう考えているんだというお話かと思います。

 この建築確認という行為は、これは公の事務でございます。民間の検査機関がやっている場合が今半分ぐらいあるわけでございますが、民間検査機関がこの建築確認行為をやったとしても、これは公の事務でございます。さらに言うならば、これは自治事務なんですね。私は、そういう意味で、この問題については、純然たる民民の問題であるというふうに割り切るわけにはいかないというふうに考えております。

そこは行政としてしっかり、関与があるわけですから、行政としての責任を果たしていかねばならないというふうに私は考えておるところでございます

 きょうも、実を言いますと、この委員会と、昼間の時間帯に関係局長会議を開かせていただいております。昨日は関係大臣の会合もさせていただきました。関係大臣間でしっかりこの問題について現状と課題について認識を共有していただく必要があるということで、私からお願いをいたしまして、関係大臣の会合もさせていただきました。きょうは関係局長会議を開かせていただきまして、今後の行政としての対策についてどうしていくのか、具体的な議論をさせていただいているところでございます。

 解体の費用についても、解体の問題についても同様でございまして、今、この公的支援に関する基本的な考え方につきまして早急に取りまとめるよう私も指示をし、まだその議論をして検討をしているところでございますので、もう少しお時間をいただきたいというふうに考えております。

小里委員 ありがとうございました。
 対策全般として迅速かつ的確な対応をお願い申し上げまして、質問を終えます。ありがとうございました。


林委員長 松本文明君。

松本(文)委員 自由民主党の松本文明でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 私は、今回の問題について、三つの視点を頭に入れて質問をさせていただきたいと思います。第一は、被害者救済をどうしていくのか、これが第一の視点であります。第二の視点は、犯罪者を厳しく裁かなければならない、そしてまた瑕疵保証責任、これを徹底的に追及していかなきゃならない、これが第二の視点。第三は、最も重要でありますけれども、今後こうしたことが起こり得ない制度に今日の制度を改めなくちゃならない。この三点を頭に置きながら質問に入らせていただきます。

 まず、きょう現在で倒壊のおそれのある建物、これが何棟あって、そしてそれぞれに何世帯の方々がお住まいで、それは人数にすると何人になるのか教えてください


山本政府参考人 きょう現在で、都府県から偽装の報告が参っておりまして確認できている建築物は、42棟でございます。このうちマンションは23件でございますが、すべてについての総戸数、それから入居者数は把握できておりません。

 戸数が把握されております竣工済み13棟のマンションについて、総戸数は471戸となっております。損失資産を大まかに試算しますと、戸当たり約3000万円といたしまして約140億円という計算になります。入居者の方の人数はまだ把握できておりません


松本(文)委員 住宅局長、まだそこに何人がお住まいになっているのか実情を把握できていないというのは、事件が発生して既に一カ月近くたとうとしているさなかで、もうちょっと危機感、スピード感を持って対応をお願いしたいと思います。

 これらの被害者の方々は、ある日突然地震に襲われたようなものでありまして資産を一瞬のうちに失って、なおかつ借金をしょい込んで、夢を打ち砕かれて、そして今この瞬間にも命が失われるかもしれない、そういう状況の中にある。こういう認識でよろしいですか、局長。


山本政府参考人 今回の事案に係る住宅には、建築主がみずから賃貸住宅を経営される方もございます。それから、ディベロッパーとして投資用のマンションを建築して、投資家にこれを販売された方もございます。三つ目の類型が、マイホームとして、頭金を積み立てた上で多額の借金をして、自分の生活の本拠として住宅を購入された方々もあるわけでございます。こういう自分たちの生活の本拠として借金をしてマンションを購入された居住者の方々にとって、今回の事件は突然の出来事でございまして、また、最終的にこの責任関係に決着をつけるには司法手続によるほかはないわけでございますけれども、それにも非常に長い時間がかかります

  次の頁へ