耐震強度偽装問題 審議 内容 を見やすくしてみました
home
打ち込み書き換え間違いがあるかもしれませんので 衆議院TVにて確認ねがいます
163-衆-国土交通委員会-11号 平成17年12月14日
姉歯元建築士喚問 目次
01 02 03 04
01 163-衆-国土交通委員会-11号 平成17年12月14日
国土交通行政の基本施策に関する件(建築物の構造計算書偽装問題)
○
林委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件の調査に関し、建築物の構造計算書偽装問題について、
姉歯秀次君より証言を求めることといたします。
この際、証言を求める前に証人に申し上げておきます。
昭和22年法律第225号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によって、
証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことになっております。
宣誓または
証言を拒むことのできるのは、まず、
証人、証人の
配偶者、三親等内の
血族もしくは二親等内の
姻族または証人とこれらの
親族関係があった者及び証人の
後見人、後見監督人または
保佐人並びに証人を後見人、後見監督人または保佐人とする者が、
刑事訴追を受け、または有罪判決を受けるおそれのあるときであります。
また、医師、歯科医師、薬剤師、助産師、看護師、弁護士、弁理士、公証人、宗教の職にある者またはこれらの職にあった者は
、業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについても、本人が承諾した場合を除き、宣誓または証言を拒むことができることになっております。
証人が宣誓または証言を拒むときは、その事由を示さなければならないことになっております。
証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または10万円以下の罰金に処せられ、また、
宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは3月以上10年以下の懲役に処せられることになっております。
以上のことを御承知おきください。
次に、今回の証人喚問に関する理事会の申し合わせについて申し上げます。
その第一は、資料についてであります。
証人は、証言を行うに際し、
資料を用いることは差し支えありませんが、委員長の許可が必要であります。また、これらの資料は、いずれも当委員会に提出していただくことになっております。
その第二は、
証人がメモをとることについてでありますが、尋問の項目程度は結構でございます。
以上の点を御承知おきください。
この際、お諮りいたします。
証人の宣誓及び証言中の撮影及び録音につきましては、議院証言法第5条の3の規定によりまして、委員長が証人の意見を聞いた上で委員会に諮り、許可することになっております。
証人の意見は、お任せいたしますとのことであります。
宣誓及び証言中の撮影及び録音について、これを許可するに御異議ありませんか。
異議なし」と呼ぶ
○
林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めることにいたします。全員御起立願います。
○
林委員長 それでは、姉歯秀次君、宣誓書を朗読してください。
○
姉歯証人
宣誓書 良
心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います 平成17年12月14日 姉歯 秀次
○
林委員長 宣誓書に署名捺印してください。
○
林委員長 御着席ください。
これより証言を求めることといたしますが、
証人の御発言は、証言を求められた範囲を超えないこと、また、御発言の際には、その都度委員長の
許可を得てなされるようお願いいたします。 なお、こちらから質問しているときは着席のままで結構でございますが、御発言の際には起立してください。
委員各位に申し上げます。
本日は、申し合わせの時間内で重要な問題について証言を求めるのでありますから、不規則発言等、議事の進行を妨げるような言動のないように特に御協力をお願いいたします。
○
林委員長 これより証人に対して証言を求めます。
まず、委員長より委員会を代表して総括的にお尋ねをして、その後、委員各位の発言を願うことといたしております。 それでは、私からお尋ねいたします。
あなたは姉歯秀次君ですか。 生年月日、住所、職業をお述べください。
○
姉歯証人 姉歯秀次です。
昭和32年◎月◎日生まれ。職業は、現在、無職であります。
○
林委員長 住所。
○
姉歯証人 住所は、千葉県市川市富浜◎の◎の◎◎です。
それから、委員長、ちょっと冒頭一言おわび申し上げたいんですけれども……
○
林委員長 いや、これから質問します。
○
姉歯証人 はい。
○
林委員長 それでは、お尋ねいたします。
あなたは建築確認に必要な構造計算書の偽装を行っており、これまでに国土交通省及び関係地方公共団体が確認をしたところでは
71件の
マンション、ホテルなどで
偽装が確認されていますが、まだ全容が解明されておりません。
あなたは国家資格である一級建築士の免許を受け、建築物の設計や構造計算等の業務を行ってきました。
建築士法第18条第1項に、建築士は、その業務を誠実に遂行し、建築物の質の向上に努めなければならないと規定されていることはよく御存じのことと思います。
建築物は国民の生命、健康及び財産を保護する器であります。その建築物の安全性確保に最も重要とも言える構造計算書に関して、
あなたはなぜ悪質な偽装を行ったのか、あるいは行わざるを得なかったのか、その背景と理由について説明してください。 また、あなたはいつから建築物の構造計算書の偽装を行ってきたのか、
偽装した物件は全部で何件になるのか、お答えください。 さらに、構造計算書の偽装とは、
どのような形で行われたのか、具体的に説明してください。
どうぞ。
○
姉歯証人 お答えします。 まず、偽装のきっかけになったことですけれども、始まりは多分
1998年ごろだったと思います。
それで、きっかけになったのは、今言われています
木村建設の東京支店長、篠塚氏から鉄筋を減らすように相当プレッシャーをかけられまして、最初、プレッシャーをかけられました。 あとは何でしたっけ。
【(注意)
06年5月29日 読売web 姉歯被告による構造計算書の改ざんが発覚した98物件のうち、別の業者が施工した川崎市高津区のマンションは、98年6月ごろまでに建築確認がおりていた。これについて姉歯被告は、証言が虚偽だったことを認め、「ウソを言って申し訳なかった」などと供述したという。・・
公判経過を 注視するしかなさそう】
2006年6月26日 国交省から 建築士制度見直し素案発表にともない 参考資料2のなかにおいて 偽装内容の年後や物件数など と 対応が発表される。
○
林委員長 大きい声で。
○
姉歯証人 はい。あと、何でしたか、質問事項がちょっと。
○
林委員長 なぜこの悪質な偽装を行ったのか、また行わざるを得なかったのか、その背景と理由。
○
姉歯証人 当時、
木村建設がメーンでありまして、仕事の90%ぐらい木村建設から請け負っていましたので、鉄筋量を減らさなければ仕事を一切出さないということでしたので、それが、うちとしても、なくなると生活ができない状態になってしまいましたので、それでやむを得ずそういうふうになったということです。
○
林委員長 いつからこの偽装を行ってきたのか。物件は全部で何件ぐらい。
○姉歯証人
1998年ごろだったと思います。1998年ごろだったと思います、最初は。
今記憶している範囲では、60前後だったとは思います。
○
林委員長 60前後。
○姉歯証人
60前後だったと思いますけれども、はっきりとはちょっとわかりません。
○
林委員長 構造計算書の偽装は、どのような形で行いましたか。
○
姉歯証人 スーパービルドSS2という、現在はSS2というコンピューターのソフトになっております、その中の、地震時の、低減する項目がありまして、通常1.0で入力されているわけなんですが、そこの部分を低減、例えば0.5とか0.4とか低減して、地震時の応力を少なくして偽造いたしました。
○
林委員長 以上で私からお尋ねすることは終わりました。
次に、発言の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺具能君。
○
渡辺(具)委員 自民党の渡辺具能でございます。
恐らくきょうは国民の皆様がかたずをもって
姉歯証人の証言を聞かれるわけでありますが、その喚問、証人喚問の先頭を切らせていただいた、お役目をいただきましたことをまずもって委員各位の方々に感謝を申し上げたいと思います。
最初に、姉歯証人に申し上げます。 このたびの大変深刻なこの偽造事件は、すべて姉歯証人の行った偽造から始まったわけです。そのことによって多
くの人々に大変なる苦痛を与えたわけであります。
まず最初に、このような大変な事件を起こした姉歯証人に、現在、
あなたの心境をまずお伺いしたい。そして、多くの
被害者の方々に伝えたいこと、言いたいことがあるんじゃないかというふうに思うわけでありまして、まずそのことをお聞きしたいと思います。
○
姉歯証人
マンション住人の方々、それから国民の皆様、それと関係各位の皆様には、このたびは大変御迷惑をおかけしたと深く反省しております。
大変申しわけありませんでした。
○
渡辺(具)委員 今、偽造をやって、林委員長の質問にも偽造をやったということをおっしゃっているし、今反省をしているという発言がありました。私は、そういう反省あるいは責任感を感じるというのは当然のことだというふうに思うわけであります。
私からお願いなんですけれども、責任を感じているとすれば、姉歯さん、あなたが今できることは、
もうやったことは取り返しのつかないことでありますが、今あなたができることは、反省をして、責任を感じて、こんなことが二度と起こらないように、そのことに資するように、あなたが
真実を語る、真相を語っていただけることが一番大切だというふうに思いますので、これから私が質問いたしますけれども、本当のところを、そして、なるべく知っている多くのことを思い出しながらお話をしていただきたいというふうに思います。
先ほどもお答えの中に少しありましたが、最初に偽
造した物件はどれで、それはいつのことだったか、もう少し詳しくお答えください。
○
姉歯証人 はっきりとは覚えていませんけれども、恐らくですが、
1998年ごろの
グランドステージ池上だったと思います。
○
渡辺(具)委員 それでは、その打ち合わせのときに出席した人、つまり、あなたの言葉で言えば、
鉄筋を減らしなさいというような打ち合わせをしたときに居合わせていた人はだれとだれですか。
○
姉歯証人 木村建設東京支店長篠塚明さんです。
○
渡辺(具)委員 二人で打ち合わせをしたんですね。
○
姉歯証人 はい、そうです。
○
渡辺(具)委員 それでは、大変聞きやすくなりました。
そのとき、
鉄筋を減らせということをおっしゃったというふうに言われましたが、もう少しそのところを詳しく、
どんなふうに言われたのか。私は、あなたのお答えの中に
相当のプレッシャーを感じたということを
おっしゃっているので、その原因になった言葉は何だったか、もう一回、できるだけ思い出してお話をしていただきたいと思います。
○
姉歯証人 初めは偽装云々ということはしておりませんでしたので、まず正規で、要するに計算を、
計算書を作成いたしまして、それで図面を提出いたします。そ
の図面を見て、鉄筋量が多い、これじゃ合わないから減らしてくれ、そういうことは当初からずっと続いておりましたので、
私は、これ以上無理ですと、何度もそのたびに言ってきたんですけれども、これじゃ予算が合わないから減らしてくれということです。
○
渡辺(具)委員 何度もそれはできませんというふうにお答えになったというのは、
私は初めてきょう今知りました。私は、一回偽造をやったのを、やるときに初めて言われたのかと思ったんですけれども、もう
何回もそれまでに言われていたというのは初めて知りましたが、あなたは、そ
れに対してできないとお答えになったわけですけれども、なぜできないとお答えになったんですか。
○
姉歯証人 こ
れ以上できないという意味合いは、要するに法令に触れる。私は、もう最低限のぎりぎりの世界で法令内でやってきましたので、それまでは。これ以上できないということは、法律に触れるということの意味合いで私は言ってきました。
○
渡辺(具)委員 それでは、そういうプレッシャーの中で、仕事も来なくなるからという心配をしたというお話もありましたが、
偽造しようというふうに心が動く直前にはできない、できないと答えていた中で、じゃ、鉄筋を減らせとおっしゃるけれどもどうして減らしたらいいんですかというようなことは聞かれなかったんですか。具体的に鉄筋を減らす方法について、
どうやって減らせとおっしゃるんですかというような質問をされませんでしたか。
○
姉歯証人 そういう質問はしておりません。
○
渡辺(具)委員 それから、またこの話、もとに戻りますが、一回ここでお伺いしておきますけれども、鉄
筋の量を減らしてほしいと言ったのは、このときには篠塚支店長であるわけですけれども、その他の物件でも、あなたはいろいろな打ち合わせをしているわけですが、鉄筋の量を減らしてほしいと言ったのは、
ほかにどういう、だれとだれがいますか。あなたの記憶の中で答えてください。
○
姉歯証人 私の記憶の中では、
篠塚明東京支店長です。
○
渡辺(具)委員 ここで重要なことは、
篠塚支店長は、参考人招致でお答えいただいているんですけれども、
鉄筋の量を減らせと言ったのは言ったけれども、これは遵法の中でやれと言ったつもりだというふうに篠塚さんは言っているわけです。
この答弁を私聞いたときに、私は、
こんな答弁を真に受け取るつもりはないんです、
真には受けません。
例えは悪いかもしれませんが、本当に例えが悪くて申しわけないんですが、わかりやすいので申し上げると、
暴力団の親分が殺人を教唆するときに、だれだれを殺してこいというようなことは言わないんです。そんなことを直接言うわけがない。どんなふうに言うかといえば、
何とかしろ、何とかしろよと。あるいはそこまで言わないかもしれない。
あいつがいるから非常に困っているんだみたいなことを言うかもしれない。
それに比べれば、
鉄筋の量を減らせというのはかなり私は直接的な、あなたに相当のプレッシャーを与えたという言葉がありましたけれども、
相当のプレッシャーを与えるだけの私は言葉だったというふうに受けとめ、だからあなたが偽造に走ったというふうに私は思うわけでありますが、あなたが偽造をするに至るときに、篠塚さんが言った
鉄筋を減らせということは、
違法をしてでも減らせというふうに感じたかどうか、そのことをお答えください。
○
姉歯証人 私は、
その前に、要するにこれ以上はできないというふうに支店長の方に言っておりますので、
そう感じました。
○
渡辺(具)委員 今重大な、私は、答弁があったというふうに思います。
違法をしてでもやらなきゃいけないというふうに自分は思うほどの篠塚さんの言い方だったというふうなことを正直にお話しいただいたわけです。
そこで、前回の参考人招致のときも、篠塚さんとの間には
謝礼、あなたの設計料からのキックバックというんですか、そういうものもあったらしいというような話も出たわけでありますが、あなたに改めてお伺いしますけれども、
篠塚支店長に対してそういう謝礼というものが本当にあったのかどうか、あったとしたら何回ぐらいあったのか、お答えください。
○
姉歯証人 篠塚支店長の方からダミーの請求書を、そうですね、ダミーの請求書を上げろと言われまして、合計、そうですね、7回ぐらいは渡っていると思います。
○
渡辺(具)委員 ただいまの姉歯さんの発言は、私は重大な発言だと思います。
ダミーの設計の案件をつくって、それを領収書を出したと。もう悪意で、悪意があって、仕組んで、悪事を完全にやっていたということが私は証明できる、十分なる情況証拠ではないかというふうに思います。
そして、私は、姉歯さんは偽造をやったということを、まあ金額なんかも聞きたいんですけれども、もう時間がありませんので先に急ぎたいので、後に時間があればお伺いしますが、私は、姉歯さんはもう偽造をやったというふうにお答えになっているわけです。
ここで大事なことは、
この悪事があなただけで終わったということにしてはいけないということなんです。もういろいろな話が、
関連する人たちが出てきておりますけれども、
あなただけを悪者にしてこのことをおしまいにしてはいけない。つまり、トカゲのしっぽ切りだけをやるつもりは我々ないんです。
やはり事の真相を明らかにして今後に生かしていかなきゃいけないわけです。
というのは、あなたは、
あなたが偽造して建設が始まるわけですけれども、そこには施工会社も必要だし、あるいは確認検査機関も必要なわけで、あなただけでこの悪事ができるわけはないわけであります。
あなたはこの偽造をきっかけにいろいろな物件に手を出していって偽造をやるわけでありますが、その過程の中で、今考えてみて、いいですか、あなたの偽造をおかしいな、偽造というかその設計計算がおかしいな、
あなたの偽造を偽造と知っていただろうとあなたが推測できるのはだれとだれですか。つまり、今までの答弁を聞くと篠塚支店長さんはどうもその一人であるように思いますが、もう一回、非常に複雑な質問かもしれませんからもう一回はっきり申し上げると、あなたのやっている偽造を、これは偽造しているなというふうに気づいているだろうなとあなたが推測できる人はだれとだれですか。
○
姉歯証人 それはちょっとわかりません。
○
渡辺(具)委員 まあ私は、
今のお答えはある程度想定内の答えであるわけです。それは、ここで大事なことは、鉄筋を減らせと言われて、
あなたは鉄筋の減らしたやつを持っていった。そのとき、じゃお尋ねしますけれども、
木村建設、あるいは篠塚支店長、あるいは木村建設の工務担当の人だったかもしれませんが、あなたが偽造をした設計書を持っていったときに、鉄筋の量を減らせ減らせと言って鉄筋の量が減ってきたわけですけれども、
どうやって減らしたんですかということを木村建設のだれかが聞きませんでしたか。
○
姉歯証人 どうやって減らしたかというふうな聞き方はされたかどうかは、ちょっとその辺は
覚えておりません。
○
渡辺(具)委員 私は、それも想定内のお答えなんですけれども、恐らく聞いていないんだと思うんです。
木村建設は気になるところではあるけれども、あるいは計算書を見たらわかるわけで、認識していたかもしれませんけれども、木村建設はあなたに、じゃどうやって減らしたの、これは普通聞きたいはずですよ。
鉄筋の量がコストに、私は、鉄筋の値段だけじゃなくて工期が短くなるんですよね、鉄筋の量を減らすと、工期が短くなるから、工期がすなわちコストなんですよ。
ここが大事なところで、必ずしも、皆さん誤解しているところがあるので、鉄筋の量が減ることによって、そのままのコスト削減だけじゃないんですね。それは工期が減るから、そうですよね、姉歯さん。また後でお答えいただいてもいいんだけれども、
工期が減るから、鉄筋の量を減らすと全体のコストが下がるから、本当は知りたいわけなんですよ。どうやったら、
どういう構造にしたら鉄筋を減らせるのかと知りたいわけなんですよ。
しかし、それをあなたに聞こうとしなかったのは、意図があるからだと思うんです。
わざわざ、それは違法ですよねと、ああそうですか、違法ですよね、その違法の設計図でこれから物をつくりましょうね なんというばかなことをするわけがない。そこに、
私は悪意の、あなたがやった 偽造に対する 悪意の連鎖があった、あるいは
悪意の人たちの輪が私はあったというふうに思うんです。だからそういうことを聞かなかったと思うんです。そのことについて、姉歯さん、どう思いますか。
○
姉歯証人 聞かれたかどうかは、はっきり言って覚えていません。ただし、
図面を見れば、プロが図面を見れば明確にわかるわけでありまして、その時点で判断できると思います。
○
渡辺(具)委員 私もそう思います。図面を見ればわかるはずだと思っておられたから、わかっている人たちかもしれないなというふうなことは思われたかもしれません。
この悪事が、
なぜこれだけたくさんの悪事がばれないで進んだかということは、一つは、私は、
暗黙の了解というか、ああ、これは都合がいいことだからこのままやろうと。何もそれをほじくってあからさまにすることはないわけですよ、それは
得なんだから。それで、悪意の連鎖の中で行われたというふうに思うんです。
それを私は調べてみると、あなたは大体
71件、きょう現在で71件の
偽造があるんですけれども、この工事は、
71件のうち半分近くを木村建設とヒューザー、あるいはシノケンが受注しているんですよね。その他の物件は、元請会社があるんですが、私が元請会社に一々電話をして尋ねたところ、教えてくれないところもあったけれども、教えてくれたところは、一件を除いてほとんど
木村建設が受注しているんです。
だから、元請はほかの会社になっているけれども、ほとんど木村建設が受注しているわけなんですね。だから、私は悪のいわゆる輪の中でやられたというふうに思うんです。
なぜ悪の輪の中だけでやろうとしたかというと、
姉歯さんがつくったトリックは極めてシンプルだから、見る人が見ればわかるから、私はその悪意の輪の中で行われた、知っているやつらだけでやらないとばれると思ったと思うんです。
そこで、大変大切なことでありますので、今度の偽造がどんな偽造だったか、どこをどう偽造したかということをお話ししたいと思います。ちょっとパネル。
私の説明を聞きながら、後で御意見を伺いますので教えていただきたいんですが、これは設計書の一部なんですね。これは110ページぐらいの設計書なんですけれども、まず、22ページに、外力、設計外力を与えるところがありますね。これは水平、この力は1.25倍になっているんですが、これは御承知のとおり、
国土交通省の施行令では1.0なんだけれども、東京都のたしか行政指導で1.25になっているんです。
国民の皆様にも偽造のからくりをぜひわかっていただきたいから私は言うんですけれども、柱なら柱に対して
重力加速度の1.25倍を掛けるわけです。そのときに、どんな部材にどんな力が働くかということを、三十八ページに、電算機で計算した結果が出ているんです。
例えば、Aの三番目の柱には1375、これはキロニュートンなんですけれども、1370キロニュートンの力が軸力としてかかる。これは
テンションですね、Tというのはテンションですね、テンションがかかる。これは、括弧は
剪断力ですけれども、849キロニュートンの剪断力がかかるということなんです。ところが、これを入れてずっと計算するとエラーが出るわけです。こんな大きな力に耐えられない。
そこで98ページに、この外力を入れるときに操作をしている。つまり、このA3の柱にはこの
1375を入れなきゃいけないところを757しか入れていない。つまり、この157いうのは、ここにかえると
六割分ぐらいしかない。だから
外力を落としているんです。どの柱も、一つだけじゃないんです、ここが肝心なんですけれども、
どの柱もこうやって偽造、違う値を入れ込んでいるんです。
だから、
この偽造を発見しようと思えば簡単なんですよね。計算機も何も要りませんよね。手は後ろに回していて、この計算書をずっと眺めていくだけでわかるからくりなんです。極めて単純といえば単純。私は、
この偽造は大胆不敵な偽造だなというふうに思いましたが、そういうことなんです。
ところが、一般の方々の反論は、
この計算書なんてコンピューターがやっているんだから正しいと思うから見やしなかった、本
当は見なきゃいけないんだけれども、見やしなかった、
だからなかなか気がつきにくかったとおっしゃるわけです。でも、これには図面がついているんです。その図面を見れば一発でわかるような図面なんです。
図面があるんですが、その図面を説明しますと、これです。この計算書にはこういう図面がついていますね。これは何かというと、同じ柱の断面図を1階から11階まで書いてあるんです。どの柱についても、その断面図が書いてあるんです。
で、これがなぜわからなかったか。断面図を見たら鉄筋の量が少ないからわかるじゃないかとだれかが言ったときに、いや、たった一つでは比べるものがありませんから、正しいものと正しくないものが二つあったらすぐわかるけれども、一枚だけではなかなかわかりませんと言う人がいたので、私は、そのことに対する反論としてもこれを持ってきたんですけれども。
同じ、ここが大事なことですけれども、一枚の紙、いいですか、
一枚の紙に1階の断面図と11階の断面図が載っているんです。これじゃわかりにくいので、これを私がつくらせた。今の図面の中から引っ張り出したら、1階の断面図がこれです。5階も参考までにしてある。それで、11階の断面図なんですね。これを見たら、本当はもう、少しでも経験のある人なら、
学生でもわかりますよ、一発でわからなきゃいけない。
そこはどこかというと、まず
、柱の大きさが同じなんですね、これ。850ミリなんです。それで、
地震荷重というのは横からかかりますから、一番下に大きな力がかかりますね。だから、一番下の柱が大きくなきゃいけない。しかも、コンクリートというのは引っ張りに対応できないので、
地震に対しては鉄筋でもつんですけれども、鉄筋の量が全然変わっていないんです。これは12本なんです。ここも12本なんです。
ところが、これを普通、通常の設計でやったものがこっちなんです。これだけ違うんです。これだけ違うはずなんです。一枚の図面を見たら、これは通常でやると、これが12本だったら、一階は18本要るんです。
そ
れぐらい違うんだから、私は、この偽造は見る人が見たらすぐわかる。見る人が見たらすぐわかるから、
内々、暗黙の了解のついている中でこの悪事をやらなければばれちゃうぞと思ったと思うんです。
今まで私が話したこの偽造のからくりあるいは私の説明したことについて、思うことあるいは反論、ありましたら言ってください。
○
姉歯証人 全く今おっしゃったとおりでございます。
それで、補足でちょっと御説明させてもらいますと、先ほどの応力図、一枚目のパネルですけれども、
真ん中が応力図といいます。それで、
下の段のが断面算定表といいまして、それで、一番わかりやすいのが、その剪断力、例えば三番目のとおりですと849。Aの3の柱で、右側の849のところが、一番右側ですね、849あるべきのところが、そこは何、数字……
(渡辺(具)委員「四百六十八」と呼ぶ)468となっていますので、要するに、468割る8百何がしですか、で
割り算すれば、低減が幾らかかっているかと一目瞭然でわかります。
(渡辺(具)委員「それと、この剪断力の合計をすると、この値に合っていなきゃいけませんよね、当然」と呼ぶ)はい。今回、
偽造したのは、そこの1.25という、これは東京都の指針なんですけれども、通常、基準法上は1.00の係数がかかります。そこの部分を低減したということです。
○
渡辺(具)委員 で、もう一回確認をしておきますが、
この偽造は大胆不敵だと私は思っているんですけれども、見る人が見たらすぐわかりますよね。もう一回お答えください。
○
姉歯証人 構造のプロであれば、すぐわかると思います。
○
渡辺(具)委員 したがって、私は、イーホームズさんが、これもこの
イーホームズさんが建築確認されているわけですけれども、イーホームズさんが、
垂れ込みがあって、まあ垂れ込みというか問い合わせがあって、それを突きつけられて、偽造だということをわかって、これは早く公開しなきゃいけないというふうに言って
、自分がその公表のきっかけになったというようなことを盛んに力説されておりましたけれども、私は、むしろそうじゃなくて、これに気がつかないというのは、悪意の輪の中にいたか、あるいは全然設計図なんて見もしなかったからだと。私はその両方だと思っているんです
その両方だと思っているんです。だから、私は、
イーホームズさんは、いずれにしても大変なことをしたというふうに思うんです。だから、ばれないように、私の言う悪意の輪の中の人たちだけでやったと。
施工機関もそういうことであった。
ところが、
悪意の輪の中だけでやれない物件があったんですね。それは私も、
志多組さんが、北千住の物件を受注されて、おかしいなと思って、それを持って
アトラスの渡辺さんのところに走られて、それで
アトラスの
渡辺さんが、姉歯さんもいる、イーホームズさんもいる場所でそれを指摘されて、この
イーホームズさんはこれは初めて気がついたということをおっしゃっているんだけれども、私は、初めてそこで気がつくような、そんな複雑な間違いというか、これは間違いじゃないんですよね。
つまり、
計算ミスじゃなくて、この応力を入れかえているということは、それを見たらもう
即座に悪意とわかるわけです。
わざと複雑な計算の中で計算間違いをしているんじゃなくて、これは意図的にやった、仕組んでやったということがわかる私は偽造だったというふうに思うんですけれども、もう一回、そのことについて、姉歯さん、どう思いますか。このミスに気がつけば、これは意図的にやっているなというのを感じるはずですよね。どうですか。
○
姉歯証人 その数字を比較して低減率がわかれば、意図的にやっているということになると思います。
次 2頁へ