佐藤敏宏   この人に聞く    

 2009年6月30日   本江正茂さん (第1回)         home 

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 その04

本江:で、中はよくって表っ側に何が起こるかじゃん結局はみたいな。要は見た目みたいな。表に何があるか研究をやる
佐藤:表象文化論が盛んになった
本江:盛んになるような頃と文脈もある。で表に何が有るかって、結局情報
佐藤:記号論だな

本江:記号論なんですよこれ。で、どんな記号が表示されて在るのかと。
佐藤:構造主義はもういいと
本江:でも表層の構造。ややこしいんですけど。伝統集落もありますよね〜っていうこと。そんなようなことも調べてですね。
佐藤:都市だって面白いぞと

本江:そうそう。イリーガル・ストラクチャー。でシムシティーとか。
佐藤:何ですか?
本江:シムシティーって、コンピュータの。ゲームで町づくりをやるやつです。一番最初に出たやつ。これが何と凄い!ゲームか?って、みんなで感動しながらやったですけど。そんなような事をしたのです。

これは香港の研究で大野研ではコンペとか、これは茨木の県営住宅ですけど。筑波に在るんですが。表層とそこに現れる記号論みたいなものを。

佐藤:お!でましたね〜隈さん建築M2
本江:この時代でございます。
佐藤:ああ懐かしいねやっぱり。92年

本江:92年。僕はね修士の学生ですよこういう歴史的な様式の操作みたいなのは僕らの仕事ではないなとは思っていたけど。例えば大野研の僕がドクターにいたり、助手をやっていたりするときは。看板の研究とか。一杯やっていたですよ。上野から秋葉原までずーっと、ファサード写真撮って。何て字が書いてあるか。それは何色かとか。
佐藤:路上観察学とも違うわけですか
本江:近いけれども、同時代ですよね。トマソンとかやっていた頃でもあるけれど。そいう面白可笑し物というよりは、構造主義的な。デッカイとチッチャイ字、あるいは色が青いとか、明朝体とゴシックのメッセージの内容とか。
佐藤:細かく構造を比較して考えると  

本江:細かくそういうことをやったりしたですね。都市にはそういう情報が満ちていて、それをピックアップしている、我々はどういうものかっていうのがあって
佐藤:社会が成熟してデリケートで細部な事象へと視線が移っていく
本江そうそう。大野研は一貫してハイブローなものじゃなくって、こういうローブローって言うとあれだけど。お洒落ポストモダンなものに、眼中になくって。普通の建築。町場のオヤジが作っちゃった建築。あるいは行政が勢いに任せて作っちゃった集合住宅か。原さんが集落の調査をずーっとやっていたことが。まあ、集落系のものについては迂回して遠ざける。

佐藤:やっぱり都市だと
本江:大都市と資本の論理が暴走するとこういう事が。それと、ほとんど何の意味があるのか
佐藤:この写真はゴミに見えますね〜
本江:新聞紙が積んであるゴミみたいに見えますけど、集合住宅!。

佐藤:そうか〜!新聞紙積んであるゴミの写真にしか見えないふふふふふ
本江:僕らもまさに「新聞紙」と呼んでいたんです。これはこういう断面ほとんど何の意味があるのか?と思う。香港は北回帰線より南にあるから、夏はね垂直に日射が在るんですね。だからこんな(斜線)何もいらないんだけど。暑いだけだし。
佐藤:斜線制限を真似ているわけですね。

本江:まあ色々経緯があってこうなっている。そういうローブローな町場の建築で、そこにどういう事が操作して。そういうようなものを調べたりして。
佐藤:この写真も路がどこにあるか判らない、渾然一体ですね〜
本江:渾然一体としている。みんなが見えなくなちゃってるので。(看板)一杯付け過ぎて、しょうがないから、ギリギリまだ。下限はルールであるので。

佐藤:自動車通らないと道にならないしね〜
本江:そうそう。ランドスケープデザイナーは決してやらないこの緑の採り方、撮ったりとかね。そんなような事を。
佐藤:建物から木が生えてますね〜

本江:そんなような事なんかをやってて。
佐藤:現地へは何度か行かれたんですよう
本江:行った行った。2回ぐらい行って。
佐藤:臭いとか凄いでしょうね〜ふふふふふ

本江:もちろん凄いです。
佐藤:都市と人間が臭いまき散らし、まさに生きている状況ですね〜
本江そいう感じがする

佐藤:市場が在るのはいいな〜
本江:好いですよ。すごいね〜こんなマーケットの中を!!2階建ての路面電車が通り抜けて行く。
佐藤:これは今(2009年)観ても世界最先端都市という感じがするな〜
本江:そうそう、で今はこの。今行っても観れない

佐藤:え!!もう無いの!
本江:無いの。97年に返還されたんですよ。その時に「恥ずかしいからって、シェービングしたんだ」って言ってましたけど。髭を剃るように!、全部こういうの(ファサード事象)全部 とっちゃって。

佐藤:記憶を抹殺してるわけですね
本江:そうそう。でイリーガルなものを撤去する事によって。これなんか凄い良いんだよ。こう素晴らし!建物が在った、90年の最初の調査で。ベースは四角の建物なんだけど、全部違うペントハウスが載っていて。一個一個みんな違う、石山さんもびっくりみたいな。これなんとか頼み込んで、全部実測をやらせてもらおうと思って、翌年行ったらさ、無い?!。使用前・使用後だから逆なんです。全部無くなって。僕ら息を呑みましたけども。こんなような事が起こった。そのシェービングが徹底的に行われて。上海バンク、ノーマンフォスターは在って。

佐藤:これが恥ずかしいっていう考え方っていうのは、庶民じゃなくって統治する人の考え方なんでしょうね
本江:だってもう、民主主義じゃないから
佐藤:そうかそうか。今でもそうだよねふふふふふ。その後こういう無機的な物が建って。
本江:こういうボートピープルも居て。本当に海におっこって子供が死んだりするからもあるんだけど。徹底的に上陸政策。

佐藤:船の中で暮らしている人も沢山いた。
 
 ワイワイガヤガヤガヤ居酒屋店内が賑やかになってくる

本江:東京でも同じ様な事をやっている。表層の研究。都市の表面にどんなものが情報として在るか?。それをどう受け取りながら・・なので。
佐藤:オモロイですね
本江:凄く面白くって、色んな事の。

佐藤:布野さんとは連携しなかったんですか
本江:布野さんはアジア集落系だった。
佐藤:アジア都市系は
本江:これのシリーズで後はジャカルタとか、クアラルンプールとか調査に行っているんですけど。
佐藤:今となっては貴重な写真が天こ盛りですね

本江:で、九龍城ってて有名ですけど。九龍城はちょうど壊されている処。九龍城は閉じているから、また特別なエリア。
佐藤:入ると出てこれないという伝説があるとかないとかで

本江:
壊れ始めてた状況だったのでちゃんと入って出れましたけれど。でもそういう頃の記録ですね。いわゆる街並に情報があって、それをピックアップしながら、我々は興奮していて。で身体的なスーケールと渡り合うみたいな。そんなような事を。たぶん今、僕が、問題意識とまったく直結していると思うんですが。そういうのはここら辺で、意識をしてやったな〜と。

佐藤:この当たりは建築の表層というか、構造の上に情報を載っけている物や都心の調査だけども、今 本江先生はデータベースに載っけ蓄積していくという、具体的には違うけど。精神性は似ていますね
本江:こういう事をやりながら、同時にユニックスを解らないままサーバーの管理をやっていたというのを

佐藤:ふふふふふ
本江:何かアマルガムになって

佐藤:そうですね、そこが面白いですね。本江さんの個人的な趣味としてはですね、こんな事を聞いてもしょうがないんだけど。こういう、混沌は嫌いですか?
本江:こういうのは好きです。やっぱり独特の迫力というかですね。
佐藤:構造が しっかりしたベースがあって、一戸一戸自由に載せていくっていうね

本江:雑貨屋に行くと色んな部品が売っている。それをみんな買ってきて、付けて。メーインのやつがアンカーを打つようなやつは本物の職人がいるので。勝手にやっているんだったらドンドン増殖しそうなもんじゃないですか。2mまでは一応認められている。それ以上だめどか。後台風になると落ちるんですね

佐藤:はははははは自然が暴力的に掃除をしてくれるとはははは
本江:地震は来ないんだけど台風は来る。そうするとレベル幾つとかあって。外出禁止になるんですよ。本当に危ないからみんな外に出なくなる。そうすると「ガシャーン」とか落ちる。それで時折淘汰されるんで。
佐藤:植物みたいだ。台風で、枝が折れたり、樹皮が落ちたりするように

本江:そんな感じとかあって。あくまでもそんな感じですね。暑い感じとか、まだ町中に空港があったころで、フォスター(空港)のが郊外に出来るまえですけど。ビルの間がーんと降りるときの混沌 ワイワイガヤガヤガヤ

佐藤:修士から博士過程を経、助手過程まではごった煮状態で周辺事態が進展してた感じですね
本江:ごった煮状態で色んな事をやっていた

佐藤:ふふふふふふ
本江:そうそう、だかねブロジェクト断ったりするな!何でもやるべし
佐藤:ふふふふ、その時に培われたものが洗練され養分になり芽を吹いてる感じですね
本江:芽吹いて来ます。サーバーの管理だって。出来るからやったんじゃないですけども。
佐藤:とりあえず言われた事をやってみると
本江:まあ出来ないこともないだろうみたいな、思い上がった部分もあるわけですけど。乱暴さが有った当時の

佐藤:本江さんの「青の時代」で、それないとな〜

本江:でもそれがないと。それやっていて、傍らコンピュータが有ってこれはそんなに遠くない事だな〜というのをありましたしね。

佐藤:わかりました、丁度1時間です。本江さんの青き坩堝・時代のお話しを聞かせていただきました。青色混沌の時代から何が芽吹いたのかは又の機会、次回にインタビューさせて頂きます。ありがとうございました。これから音は採ってますが文字に起こしません、雑談タイムです

 ワイワイガヤガヤ居酒屋さんは多いに賑わいだす。


09年6月30日pm7時仙台駅集合、4時間ほどお付き合いいただきました。4時間後また仙台駅前で散会となりました。本江先生お忙しいところ時間を割いていただ貴重なお話をありがとうございました、引き続き次回もまたよろしくお願いします

第1回目、「本江正茂さんに聞く」はこれで終わりです。読んでいただきありがとうございました  (文責 佐藤敏宏)