大橋力さんにきく @兵庫県篠山市 | 作成:佐藤敏宏 | |
02 01 03 |
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佐藤::駅の改札傍に丹波篠山市の移住支援窓口ありましたが、それに乗っかって移住してきたわけではないですよね。 大橋:ちがいますね。それに乗って移住したわけではないですね。仕事先が篠山ではなくって、丹波市、もう一つ北の町なんです。そこの人の紹介で「古民家貸してくれる・・・」となって。最初は紹介された家に住んでいたんですけど、住みながらどこか?条件に合う所はないかなと探してました。 佐藤:自分の所有物になったから固定資産税を払っているんだね。 大橋:払ってますけど、年間2万5千円ぐらいだと思います。 佐藤:俺は100坪の敷地に建物で、年間12万円税支払っている。 大橋:そんなに払っているんですか。 佐藤:大橋さんは年間25000円だと、月2000円だね。 大橋:最近、親が茨木の中で・・・引っ越しして、金額が全然違う、10倍ぐらい違う(笑)世界が違うな(笑)それであんな家に住むんや!? 佐藤:そんなこと言っちゃいかんよ(笑)都会に住んでいると好い事あると思っているんだから。 大橋:(笑) 佐藤:田舎に住むと稼ぐ場所ないのでしょう、で、生きていけないと思う。都会は仕事が溢れているから、いつの世もそうで都市に集まるんだ。大橋さんのように自分で作って町に持っていって付加価値つけて高く売ることができれば、田舎ほど家土地安いのでいいよね。田舎に住んで作家生活できる人はそうするだろうね。 大橋:一番シンプルです。 佐藤:丹波篠山市には若い人が多く移住してきているんですか? 大橋:多くはないけど、少なくもないと思います。最近、友人も大阪の茨木から引っ越してきました。彼は勤めてます。ここから西宮まで出てます。1時間ぐらいで通勤できるんです。そこまで苦ではないですね。 ・・・・ 大橋さん昼飯、スパゲッティをつくり始めた・・・・・ 佐藤:西宮まで通勤片道1時間では、大都会に暮らす人なら一般的な通勤時間かな。 大橋:考えられない、(笑)一時間も電車に乗ってなきゃいけないなんて考えられない!絶えられない。 |
篠山城下町 丹波焼の里 農の都 |
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佐藤:福島土産地、酒持参してもいいだけど、会う人多すぎて、数が多くなると重すぎで持ってこれない。金賞酒蔵数は9年連続日本一なんだ、福島県内、酒蔵多いよ。丹波篠山市は杜氏の人が多いって駅に書いてあったよ。農閑期でイノシシ撃てない人は杜氏になって灘の酒造ってたんだろうかね。 大橋:昔はこの辺りの人はそんな感じやったんでしょうね。 佐藤:丹波杜氏と書いてあった。今もこの地には酒蔵一軒あって、酒は美味いぞ!と、フリペ広告おいてありました。 大橋:今、どこでもブランディングとか凄い上手なところがありますね。 佐藤:どこでも同じ手法で広報するから似たようなパンフレット情報多い、地酒は呑んでみないと(笑)日本酒の味はいいとは言えない。 大橋:ちょっといいデザインにしてね。頑なに昔風に変えずに仕事している方も篠山には居てるかなと思います。 佐藤:奥さんは「こんな田舎嫌だ!」と言わなかったの? 大橋:言わなかったですね。実家はもっと田舎なので、人口3千人とかの町なので。ぼくより全然、田舎慣れしているんです。 佐藤:それなら、ここの方が落ち着くよね。大阪の茨木だと京都と大阪に挟まれてて人多いし疲れるよね。 大橋:茨木だと合っていなかったと思いますね。 ■料理する大橋さん 佐藤:大橋さんは料理の技はどこで身に付けたんですか? 大橋:大阪でバイトしてたときですね。料理について僕があれこれ言うから鬱陶しがられますね(笑) 佐藤:それはそうだ、食い物店でバイトしてた料理だから本格的味だよね。 大橋:だから絶対意見が合わない(笑) 佐藤:大阪の客は食い物の味と値段には五月蠅いよね。 大阪:五月蠅いですか?なんとなく自分で自覚はありますけど。みんなそうなんか・・・どうなのか分らない。比較がね。 佐藤:俺の大阪友達は美味しくて安いところしか連れていかないよ。大阪友に連れまわされて「串カツ屋はぜったいここ」とか食い物の拘りは一杯あるなかで、ここじゃないとアカンいうて行くね。「安くて美味い店は2軒しかない」と大阪の地下街、連れまわされる。駅のそばなんだけど、あれこれ安くてうまい店の話題で尽きない。店に行くと昼から並んでいるし1時間半で出て行けもという。時間制限もある大衆店は多いよ。どんどん客回転もいいからネタもいいし値段は安いわけよね。 大橋:そうじゃないと許さないかもしれない。 佐藤:大阪に来て福島駅そばのビジネスホテルに寝泊りしてるんだけど、そこで美味いラーメン屋見つけたいと思っているんだけど、見つけられない。中華料理屋が無い(笑)大阪の人は中華食わないのかな? 大橋:喰いますよ。 佐藤:居酒屋だらけだね。おでん屋見つけましたよ、安いです。5時過ぎたらサラリーマンが行列つくる。5時前に行って座るのがコツだ。1時間半の時間制限ありだから。材料の仕入れ上手なんだろうね。 |
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■奥さまは美容院 佐藤:どうもどうも久しぶりです。お二人とも好い所に住んでいるね。 奥さま:本当ですか。 佐藤:3人で撮りましょう。大橋の旦那も頑張って機械一杯手に入れて、子供が生まれてよかったね。 奥さま:そうなんですよ。 佐藤:日中は幼稚園に行っているの? 奥さま:行ってますね。 佐藤:篠山で不動産持って資産家になってしまったから。今日はよろしくお願いします。久しぶりですね。 奥さま:本当に。そうだよね。 佐藤:京都・北山の川勝真一さんの家で頭を刈ってもらって以来、だから10年ぶりぶらいかな。最近自刈りです!(笑) 奥さま:凄い上手(笑) 佐藤:美容室商売どうですか? 奥さま:ありがたいことに、ぼちぼちです。お客さんはほとんど近場の人たちですね。相場ぐらいの値段なんですね。ぜんぜん高く取らないです。 佐藤:対話してる話、漏れ聞こえてたけど、美容院が居場所というか語り合いにも来てる感じで、いいよね。人の言えないけどここで言える、愚痴をこぼして帰ると気持ちいいんだと思うね。土地も広いから家庭菜園たくさん出来そうだけど美容院、忙しいと作付け手入れしてる暇ないね。 奥さま:耕すところから始めないといけないので、「家庭菜園したいなと思いながら、なかなか手がでないですね。 佐藤:農業したことあるんですか? 奥さま:ここに来る前に住んでいた所は1,2年近所の畑を借りて、ちょとだけ耕しました。 佐藤:年取ってくると、犬猫可愛がるか、野菜を畑で可愛がるか、どちらかに分かれるよね。 奥さま:笑) 佐藤:手間を掛けるほどにすくすく育つから、やりがいあるよね。子供は大きくなると相手にしてもらえないから畑や猫に向かう人多いかも。 大橋:笑) 佐藤:豆は自分で作っているんですか 奥さま:隣の人が作ってます。 佐藤:長年放置してたので開墾に近いかね?力仕事になっちゃうかな。大木生えてないから、なんとかなるかな。 奥さま:大変そう。 佐藤:虫や蚊はいるでしょう、夏は蚊帳を吊って寝るんですか。 大橋:夏は、蚊は出てない気がします。今の時期(9月末)の方が蚊が飛んでる気がしますね。 佐藤:今年の夏は暑かったから蚊も出にくかったのかな。工作機械も一杯買っちゃっていいね。 奥さま:そうなんですよ。 |
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■機械を集めた 鮪立でのボランティア 大橋:あれでも、機械は少ない方なんですよ。 佐藤:何の仕事でも機械に凝りだす人、いるね。機械に凝るタイプなの? 大橋:凝らないタイプです。 佐藤:機械集めると家具できた気分になってしまうと困るよ(笑) 大橋:モノづくりしている人に「あるある」ですよ。 佐藤:最近はPCと連動させて複雑なカットできる工作機械もたくさんあるから、凝ると大変なことになりそうだね。椅子で大橋モデルを編み出せるといいね。デザインはどうしているの。 大橋:似たようなのを作ってます。 佐藤:これは日本で作ってないですよね、どこで作っているの? 大橋:デンマークです。これはほぼ自動でできるやつなんです。編んでいるから手作りっぽく感じるやつです。背は温めて曲げてますね。 佐藤:型に入れておいて冷やすとこういう形になると。最初に神戸大の歴史の先生の所に押しかけて行ったら、大橋さんに会って。その次には宮城県の唐桑半島に鮪立に来てくれたからね。『新建築』から依頼され、載った俺の文章を読んで、大橋さんは神戸大に話聞きにきたんだよね。宮城県まで来るとは思ってなかった。社会人でただ一人だった、気仙沼まで来たのは。他は大学の先生と外国人の生徒ふくめたくさん来た。学生は勉強なのか支援なのか分らないよね。俺は瓦礫片付けさせなかったから、変わったボランティアしてもらいました。唐桑での飯はどうしたんだったか?俺は覚えてない。 大橋:食事代は払ってないです。 奥さま:誰かが作ってくれたと話してました。 佐藤:飯づくりの女性二人は俺が雇ったの。公民館みたいな場所だった。 大橋:もしかするとその分割り勘で払ったかもしれない。 佐藤:地域の人たち、被災してて、養殖筏も流されちゃって仕事ながいので、代わりに飯づくりできる人に連絡して、来てもらった。1日幾ら支払ったのか?覚えてない。食材の仕入れはどうしたのか、それも頼んだような気がする、忘れたよ。 大橋:冷凍してた鮪とか食べた覚えありますね。いい刺身食べさせてもらった記憶あります。 佐藤:各家庭に大きな冷蔵庫持っているんだよ。畳1畳ぐらいの上蓋形式の冷凍庫もっていて、皆さん猟師だから魚獲ってきたら、冷凍しちゃって保存して置くのよ。魚類、安く仕入れて、たくさんストックしてある。自分で獲ったのもストックしてたし。一杯保存してあったよ。奥さん大橋さん、旦那は食堂でバイトしてたらしいよ、飯作り方、相当うるさい感じだよ。 奥さま:相当うるさいですよ(共に笑) 私はぱっぱ作らないから。 佐藤:昼飯、作るの慣れた手つきだ、1人前も無駄なくつくれるし。大橋さんは何処で暮らしても自分で飯つくれるから心強いよ。 最近若い人もつくるし、大阪建築仲間は、自my飯つくる人多いよ。お好み焼き大得意いな友達もいる。茨木ではお好み焼きは焼かない? |
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大橋:焼きますけど。 佐藤:友達は、広島焼き大阪焼き両方焼いてくれて、外国人の家で焼くと凄く受けると話していた。 大橋:へぇー。 佐藤:鉄板に玉子を割ってヘラで円を描いて玉子焼くと拍手喝采らしいよ。大阪駅から1時間ほどで篠山駅に着きましたから近いですよ。大橋さんが家土地買って、美容院まで作られて、内部は綺麗にしたんですよね。 奥さま:もちろんです。綺麗にしました。会社も別々にして借金して改修しました。 佐藤:それはいいね、借金背負うと気合入るよね。 大橋:俺借金してない、何故か親が引っ越す時にリフォーム代として借りたお金があって、そのなかから、やり繰りして。 佐藤:いい親だね!ここは静かだし、音がでる家具工房にはこのような場所はいいよね。売れる製品を作って。椅子の展覧会を開いていたよね? 大橋:しました。昼飯、出来ましたよかったら食べてください。 ・・・・大橋さん手製のスパゲッティを食べる二人・・・ |
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■椅子の売上目標 公的助成 佐藤:手作り椅子は月どのぐらいの数をつくるんですか? 大橋:多いときで10脚ぐらいですかね。年間で80脚ぐらいです。年商400万円いったらいいなと思ってます。でもいかないですね。売上じゃないですよね。売り上げは月100万円目指していますが、40万円弱です。準備ばっかりしている月もあるので。 佐藤:材料など仕入れは高価なの? 大橋:まだ安い所で買うようにしているんです。丸太で仕入れているんです、丸太は原価が一番安いんです。 佐藤:二人で手に職あるから、心強くって、いいよね。 大橋:美容院、店始まってそう思います。毎月お客さん来るし。 佐藤:美しく見せたいという願いは不滅に近いからね。俺は自刈しちゃうけど、美しく見せたいとは思わないけど。ちょっとでも、だれよりも美しくありたいという思いは活力になるからいいね。店は一月半ぐらの感覚で着て頂くお客さん、リピーターは多いのかな? 奥さま:そうですね、ほとんど一月半ですね。 佐藤:俺、素人自刈ですけど、少しずつ切って、何度もこなすと何となく見映えするようになりますよね(笑)最初は分らないから沢山切ってしまうと段になる(笑)美容店は回転率いいよね。家具屋さんは数十年使えるよ。 奥さま:お客様は上の年齢の人が多いので髪を染める仕事が多いんです。 佐藤:白髪のままで放置せずカラー染めるだけで若返るよね。生涯年収は奥さんの方が多んじゃないかな(笑) 奥さま:笑) 大橋:髪結いの亭主っていうじゃないですか(笑) 佐藤:働かないで遊んでいると、ろくなことにならないよ。 大橋:落語の世界になる(笑)最初こっちに越して来た時、周りの人によう言われた。ちょっと嫌な感じやなー・・・と思ってました。 佐藤:なるほど。新参ものは一度見下す地方色・・あるんじゃないの? 奥さま:手荒らな感じではなかったですね。小さい子どもがおったから、子供がいると来てくれてありがとう、みたいなのは、人が少なくなるのでありますね。 佐藤:駅に若者移住支援の部屋もあったし、ポスターも見たよ。移住支援金は市役所で支給したりしてないんですか? 奥さま:地域によりますね。ここまではギリギリ無くって、ここよりもうちょっと奥に行ったたら支給されてる感じです。 大橋:助成はありますね。 奥さま:改装費に何パーセントとか助成してくれます。 大橋:篠山市の工務店を使って改装すればとか、条件はありますけど。 |
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佐藤:他所から移住してくると、この地域繁栄の一助だし、どうしても人口を増やしたい行政なんで、人が居ないと税収も減るばかりだし。 奥さま:完全予約制なんです。そろそろ店に戻りますね。 佐藤:この後は工場でしゃべりますので、仕事に戻ってください。 大橋:庭師の人、来ているんだけど、美容院の話しばっかりしてますね。「ようけい、お客さん来ている」って。石屋さんの仕事は材料代が掛かるみたいんなんですよ。 佐藤:重たいし。 大橋:材料屋さんに、足下見られるらしいんです。現金のみでしか対応しません、と。 佐藤:小さい石屋さんだと、潰れたら困ると、足下、見られちゃう信用が無いと。そこは辛いところだね。大手の業者だったら年間何万々トンと事前契約してくれるから、売上予測できるは資金回収はできるから、どうしても売り渋りに遭うよね。商売慣習でしょうがないことだよね。コンビニ化やホームセンター化が進よね。薄利多売のほうが経営が安定する、そう考えている、売上主義者が多いんだろうね。 ・・・・調理をしている大橋さん・・・・ |
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■結婚し子供が生まれた 佐藤:結婚して子供が生まれたのはここでしたか? 大橋:ここに引っ越しする前ですね。難産やって、生まれるのは直ぐ生まれたんです。入院、何回かいかしたんですよ。早産気味とかいろいろあって、緊急入院して1ヶ月とか。西宮の方の病院まで。 佐藤:看護が大変だったね。 大橋:その時にたまたま家が出て来たから、見に来て、生まれた後に一緒に見に来て。どうですか」と言って。生まれてからも最初の一月、子供だけ入院してたりしてたんですよ。 佐藤:それは心配でしたね。俺、病院通いが多くなってきたけど、医療技術も高度になってきているから、好い社会ですよ。 大橋:大丈夫なんかな・・・と思いましたけどね。その影響かは分らないですど、成長が遅いので、ずっと何かに引っかかっている感じはありますね。 佐藤:正常な人間とか子供って基準ないから、その子なりに育てるのがいいんじゃない。親が子供に欲望を持ったり、いい子に育てるとか、心配したら切りがないしよくないと思うけどね。極端だと、生まれた途端に金稼いでくれる子供がだったらいいなと、言い出しちゃうようになるよ(笑)親の欲望と馬鹿っぷりってのは、果てが無いよ。 大橋:笑)僕らは気にしないんだけど、言われるから。 佐藤:どうしても比較する他人はいるんだろうね。正常な子供とか正常な大人の定義っていまだに、俺は分らない。比べてもせん無いことだからね。特異な才能があればそれにこしたことはない社会と合わずに苦労するよ。笑って周りを和やかにしてくれるのも才能だから。人は存在しているだけで価値はあると思うね。存在しているだけで親や他の人も豊かにしてくれると思うけどね。 大橋:今は役に立つ人間もとめられるから 佐藤:役に立つ?とかコスパがいい人間って?何か変だよ(笑) ・・・・ 食器をかたずけている大橋・・・・ 佐藤:これは丹波焼ですか 大橋:違います信楽風です、でも地産地消というと流行りですけど、意識はしてます。そんな便利なものはないですね。昔の人はどうしたんでしょうか? 佐藤:烏賊とれるところは毎日三食烏賊ばかり喰っていた1週間は喰いつづけた、そのように民俗学者の宮本常一さんは記録残しているよ。同じ食べもを食い続けていたようだよ。 佐藤:今は毎食、違う食べ物食わないといけないと思い込みすぎてるのかも・・・・だよね、だから無駄も多く、フードロスとか言葉もあり、社会問題にもなっているよね。 ・・・食事済んだから、工場に行きましょうか? 大橋:はい、そうしましょう その3に続く |
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大橋さんが最近聞いている曲です YMO - Behind the Mask ~ La Femme Chinoise (live at 1993 TOKYO DOME) |
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