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橋本浩司さん編    金沢市 2014年5月28〜29日   真夏日 
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佐藤:橋本さんは設計の自分の仕事を 設計施工をしたり、大きな建物の場合は大きな工務店にお願いして仕事を完成させるという他に 金沢職人大学で教えているんだと。職人大学の内容を教えていただけますか
 
橋本:あるていど経験のある職人さんを主に本科というプログラムと修復専攻科というプログラムがあるんですけれども。本科は僕は設計は入ってないんですけれども。石工さんとか左官さんとか、大工さんとかは。これも3年間ベテランの伝統的なお仕事をされる方にみっちり、週1回ですけれど、教えてもらう伝統的な地元のやりかたをみっちりたたき込まれるプログラムが、まず職人さん用にあるんですけれど。

佐藤:金沢市で作っている大学ですか
橋本:市が音頭をとって、今は公益法人が

佐藤:毎週3年間。板金、畳、瓦などそれぞれ3年間ですか
橋本石なら石工を3年間 週一でずーっと
佐藤:長いですね 56週×3年だから 週一はどのぐらいの時間ですか

橋本半日くらい掛けて。大変な苦労、玄人さんようなので。それを終わった人でさらにもうちょっと突っ込んで勉強したい方と設計と市役所の人と交じって修復専攻科というのがあるんですけど。これも週一で、半日で3年間

佐藤:通して学ぼうとしると6年間 通うわけですね ばりばりのプロを育てていくと。生徒は何人ぐらい入るんですか。

橋本:40〜50です。3年ワンスパンです。3年に1回しか入るチャンスがない。
佐藤:うっかり乗りおくれると3年待つんだと。専攻科へはそのまま進む人が多いんですか

橋本:半分ぐらいです、職人さんが半分減ってその代わりに行政と設計が入るというようなかたちです
佐藤:行政の人が授業に参加し直接関わっている
橋本:そうです。市役所の歴史的な建物を扱う課の人達が送り込まれてきます。その人達にもちゃんと勉強してもらうと。そうしないと。助成している場でどんな改修がいいのかっていう対応が分からない 割とぱっと役所の人々は異動があるのであるので そこを補うと。

佐藤:
行政と補助金や審査システムと連動した大学になっていると。入学試験とかは無いんですよね
橋本:無いですね。経験があって。漏れることはそんなに無いんですよね。
佐藤:私が福島から金沢に移住してきて も入れると
橋本:入れますね 富山からとか来てますね。
佐藤:入学金も無いんですか

橋本:全部ただです
佐藤:やる気があれば入れるって 凄いですね
橋本:授業もただです

佐藤:隣の県からも来てしまうほどの人気があるんだと。先生はボランティアですか

 
事務所で電話中の橋本

橋本:
先生は日当をもらえます。1番トップの人が文化財建造物 文化庁の国宝をなおしてきた先生毎週京都から来てます。あとは僕らみたいなのが何人かおって。専門委員という人も国宝をいじれる人。プロの人が2,3人で構成してます。

佐藤:橋本先生もその中の1人ですから 凄いですねー
橋本:僕らは本当に補助的な話しなんです
佐藤:実習の補助をするとかですか。何年ぐらい携わっていますか
橋本:5,6年です

 (現シェアオフィスは元洋裁学校)

佐藤:
古い建物も それを作る技術も残していこうということで 市が力をいれ改修工事には4〜500万の補助金も出していると。 橋本さんはこれからも継続して教え続けるんでしょうか。
橋本:呼ばれればですね。各職方の知識を直に色々触れることで、凄い吸収出来るんですよ。石なり、左官なり 本当に知らんことだらけなんでまだまだ

佐藤:古建築の技術を学習する場がほとんど無いですからね。下請け任せの感じですからね。
橋本:大学はみんなフラットな関係で誰が発注してどうのこうのじゃないので、みんな教え合って。

佐藤:教科書はあるんですか 
橋本:ないですね。その都度その都度です。文化財を直すときの、色んな資料をその都度渡して行くっていうような。昔先生方が文化財なおしたときの資料で教えていただく。月報があって監理して行く方法 など教え込まれます。教科書的なものというよりは 授業の為に資料を渡して行くとか

佐藤:国宝級の建築を修繕しながら、それを職人教育現場の素材にして授業をすると。技術を伝授するというか古建築修繕研究にも似ている感じですね
橋本:今は、物件よって違うんですけれども、まさに指定文化財みんなで解体しながら調査するという実践的な授業している最中なんです

佐藤:全国的にも珍しい大学ですよね
橋本:割と視察に来られますね〜 富山にも一つあるですけれども。ヘリテージマネージャーの方は割ととっつき易いはずなんですよ。

佐藤:
ヘリマネは入門編のように思いますね 文化財を解体調査修復の実践は無いので とっつき易いですよね。昨年受講しましたけれども多様な職人さんは参加していないので 職能・専門修繕技術には深く入らないんですよね。 頭の中だけで実施が無いと 資格だけでは問題は今後 多くなりますよね。利活用の方法もその後の課題で残ると。そのバランスは金沢ではうまく保たれているように感じますね。

橋本:京都とかですと 大き過ぎてまとまらないとかなんで 金沢は丁度いいバランスなんじゃないですかね。

佐藤:橋本さんの場合いは宮本さんの現代的な建築を設計しつくることから建築人生が始まり、学生によくある現在雑誌建築コンプレックスみたいなものは無く  金沢に来て、どちらがいいか選択比較できるんですよね。現代建築も設計しつつ金沢での伝統的な建築の修繕技術も活かしならが 地方で生きる建築家の道を模索しているんだと

橋本:そうですね 明らかに。

佐藤:将来はとんがった現代建築を設計する可能生はまだあるんですか
橋本:今のところ自分ではないと思います

 ともに ふふふふふ

橋本:それって根を張りながらちょっと表現的にうろちょろはするかも知れないけれども。根っこは・・・
佐藤:金沢の大地から栄養を得て、教育にも携わり、建築家の活動もし、精神的にバランスが良く保たれているように感じます
橋本:そう思います。割と健康的に。精神的にも健康生活ですね

佐藤:地域の職人大学で教えられていて 更に健康が保てているので
橋本:今は美大でも何か木造を教えているんですけど。金沢美術工芸大学ですけれども。それも去年から始まって。
佐藤:非常勤講師ですか

橋本:そうです。
佐藤:通例 美大では現代建築に偏るんじゃないですか
橋本:木造を教えてくれという話しやったんで。工法というか

佐藤:博士号はとられていましたっけ
橋本:ないですね。教授とかは全然縁ないですけど。
佐藤:教え好きですか 
橋本:いや苦手です ふふふふふ 関わっている木造を若い人に伝える 教えるの全然だめでした。反省して今年もやるんです。

佐藤:教えると自分も復習しなければいけないので勉強になりますよね ふふふ そこにプレッシャーを感じながら町の仕事も実践しながら 建築技術者として多様な領域に関わって完成していくとうことだと思います。それから集団化していこうとは考えているでしょうか。現在は4人ですけれども。

橋本:それは今のところは無いです
佐藤:仲間が増えちゃってしまうこともあるんじゃないですかね
橋本:今で限界ですね。増やすと見切れないというか。

佐藤:5年後もまた来ますが相当 変化しているでしょうね。6年前は中村さんと二人でしんみりと暮らすような話しでした が 今回来てみると 予想外に金沢に根を張り社会性をもっているので 想定外のことが起きるかもしれませんよね。職人大学の事は話しにも出てこなかったですしね

 いろいろ本当にめでたいです

橋本:今から何があるのか分からないですけど
佐藤:若い人と 関わって建築を作り続けているのは素晴らしいことですね。同世代の大工さんと町なかで実践的に改修工事をされてもいるし。忙しくってしょうがない中で 今日は案内していただきました

橋本:地元の建築家とか設計の方とはふれあいあんまり無いんですね ふふふふ。職人さんとのふれあいの方が多い

佐藤:
あつい建築議論も悪くはないですが 造り上げることが大切なので建築を作りだす職人さんも少なくなってきましたし外国人研修生の問題も顕在化し対応無しです。橋本さんの姿勢、それが好いと思います。さらに 多様な活動をしているので 忙しでしょう。また5年後 金沢に来ますのでよろしくお願いします

橋本:よろしくお願いします ありがとうございました 

          
                2014年5月金沢の 町屋 ゲストハウス前にて 

  以上で橋本浩司さん 第二回ことば悦覧おわります 次回の聞き取りは 2019年予定です お待ちください