HOME 佐藤敏宏のことば悦覧 録 | 橋本浩司さん編 金沢市 2014年5月28 真夏日 |
02 橋本:知り合うを通じて 「こんな人おるよ」って。 中村:なので 災害があった時にでも、井戸水が有るといいという話しで。そういうところからも来ています。 佐藤:金沢は犀川、浅野川に挟まれて 水はたっぷりあるから活用しなければねー。 息子さん眠くなったのかな 橋本:そうみたいですね。 中村:だっこしておこうね よいしょ。 佐藤:甘納豆屋さんで井戸を掘ったと。311の大災害の時もそうだったけど市の水道管が破裂して。水の供給断たれてた長い暮らしは大変でしたからね。水は要る 橋本:この井戸は災害なんやらに指定されているんです 中村:そうなんです 橋本:この水を使ってくださいっていうことです 佐藤:日本海側は地震は少ない あまり聴かないけれど備えおくと 橋本:もう、そろそろ来るんじゃないかと言われていますけれども。 佐藤:独立し 1年間は2人でこなしていたけれど 仕事が増えて来て。野田さんが加わりました。人を雇うと何かと苦労が多いと思いますが 橋本:たいへんですね。仕事をとり 回していかないといけないですね。 佐藤:関西圏では一時多かった 無給奉公じゃないでしょう 橋本:じゃないですね。ある程度は払っています。子供が産まれてからもう1人加わり4人です。 佐藤:所員の方も古い建築に興味のある方が多いんですか 橋本:そうですね。 佐藤:橋本さんは金沢職人大学校の先生もされているんですよね 橋本:そうですね。 佐藤:先生の弟子が事務所に雇ってくださいと やってくる 橋本:そんなに古建築〜って感じでもないんです でもみんな興味を持っています。 佐藤:家族に子供が加わりました。6年前の聞き取り活動の時には皆さん 子供を育ててる人が居ませんでした。 が 今回 数人に電話したんですけれども 子供が産まれている人が多い ともに ふふふふふふ (中村さんによる甘納豆屋さんの用水と庭→) 子供が産まれると仕事の仕方が変わるのかな。気合いはいりますかね。 中村さんの方は子育てと庭設計を両方こなすのはかなり大変だと思いますが いかがですか 中村:そうですね。まだ探り、さぐりなんです。どんなふうになるかは、分からないですけれど。 佐藤:共稼ぎの人は子供を保育園に預けて働く夫婦もおりますけれども。そういうのは考えてはいないんですか。金沢市内は待機児童が多すぎて考える余地がないんですか 中村:今はなんですけれども。打ち合わせで人と話しをしなきゃいけない時は一時預かりで。 佐藤:ニュースで話題になったネットで預けるですか、キチンとした組織はあるんですか。 橋本:美術館の中とか市場の中とかにそういうのが あります 中村:市営の あるんです。金沢市は子育てしやすいと、みんな言ってますね。子育て支援がかなりあります。 橋本:手頃な子育て支援施設があるのでしばらくは預けずに、自分で育てたい。 中村:そうですね。 佐藤: 君は いいお父さんとお母さんのもとに生まれてよかったね〜 橋本:遊びにいかんのんねー 福島にも 佐藤:福島に来ると だめかもね 放射能問題も収まらずだからね。とても心配している親もいるし 大丈夫という親も居るし。 橋本:ねー訳 分かりませんね 佐藤:いずれ機会があれば福島の放射能あれこれの話しおしますが。 古建築以外は何か作られましたか 橋本:新築しました でも写真無いね〜住宅と作家さんの工房が一緒になっていた家を建てました。新築です。 佐藤:金沢市内ですか 橋本:はいそうです 佐藤:金沢市内の人間関係によって仕事が繋がっていくと 橋本:そうですね 佐藤:営業はしてないですか 橋本:してないですね 佐藤:凄いですねー 橋本:地方での人と人との独特のつながりが凄い。そればっかりやね。 佐藤:金沢市は人口何人ですか 橋本:40数万人です 佐藤:設計事務所だって沢山あるでしょうしね 中村:一杯ありますね 佐藤:沢山あるのに 橋本さんに仕事が依頼される。だから凄いですねー 橋本:たまたまです 佐藤:町並み建築賞とかがあって応募した受賞したとかはあるんですか 橋本:出来たばかりなので 何もしてないですけど 佐藤:独立して所員も増え ました。事務所発足当初の考えのように進展していますか。 橋本:いや 流されてますね。 ともに ふふふふふふふふ 佐藤:流されているってどういうことですか 仕事が来ちゃうんだと 橋本:考える前にやらないと ってな感じで。 佐藤:仕事の依頼のされ方は工期がタイトの場合いが多いんですか 橋本:一つ一つは 1年とか2年とか長いのが多いんですけど。それが割と複数重なっている。落ち着いて考える時間がそんなにとれないですね。テーマを持ってというのもなかなかです。 佐藤:充分にベテランになってるし考えずに出来るプロでしょうから。また宮本事務所のように個性ばりばりでテーマ強すぎの経験も経て来てるし。逆に・・すいすいこなしせば個性が出てしまうと思います 橋本:新築も気持ちいいです。個性的な改修とかじゃなくっても、素朴な当たり前の改修の方が気持ちいいですね。当たり前のものが 佐藤:素朴な建築 肩に力がはいっていない建築を作るのは難しいですからね。人口が減って来ているので 空き屋は多くなるので活用方法を探る機会が多いでしょうからね 橋本:空き家は社会問題ですからね。 佐藤:各地を聞き取りして歩いていますが改修に関わっている若い人も5年前より多くなっていますよ。人が減りだして急速に社会問題になってきているんでしょうね。 橋本:民家改修などは補助金がけっこう出るんです 金沢旧市街地の全域ぐらい でるんです 佐藤:表面だけじゃなく構造をも工事してもですか 橋本:構造も設備ふくめて出ます。お店の場合は最大500万とか。工事費の1/2以下で500万まで。住宅は400万 佐藤:そのような補助が出ると古民家改修へのエンジンは掛かりやすいですよね 橋本:そうなんです それで 僕らとしては助かってますけれど。 佐藤:構造計算はどのようにするのでしょうか古民家の場合いは 橋本:「今よりもよくなれば」というスタンスが基本です。耐震改修の補助金は別にあって、その時は計算しないとだめです。利活用の場合は。基本的に皆さん柱を抜きたがるので。壁を増やす方向という条件はある 佐藤:柱を邪魔にし抜きたがりますかね 橋本:そうですね。 佐藤:日本の古い木造は柱の上に横に木材積み重ねるような構造なのに〜柱を抜きたがりますか〜 柱無しでは辛いですよね 橋本:そうなんです。補助金のおかげもありますね 改修活用できるのは 佐藤:中村さんの庭造りの方には補助のシステムは無いのですか 中村:生け垣とか、町の緑化に対するものには出るときがありますかね。新築のお客さんは1万円分必ず樹木植えてますけど ふふふふ。そんなくらいかな。 佐藤:おふたりの仕事に対する話しは6年前と比べるとかなり具体的な内容になってますね。具体的に金沢の実社会とコミットしている様子が伝わりますね。 ともにそうですね 6年前は独立したら いいわねー だったが今回は渋い内容が多いですね。ゴロゴロ倶楽部つくって 公園で楽しむような 時々遊ぶ内容でしたが ふふふふ 子供は育てちゃうわ古建築は改修するは、忙しくなりましたねー ともにほんとうですねふふふふふ だいぶ現実的になってきましたねー 橋本:そうですね。 佐藤:テーマは無くってもいいような気もします。311の地震が起きて 変わりましたか? 橋本:先ほども言いましたけれど、より当たり前の方向に近づいているような。 佐藤:当たり前とうのはどういう内容ですか 難しいです 橋本:難しいですね。 佐藤:宮本先生と比べれば 大方の建築は当たり前になるように思いますがふふふふ 橋本:特別なことしたいとかいう欲求があんまりなくなった。 うん。素直に人から求められることを、いいと思うことを素直に。地震の後 よけいにそう思うような気がしますね。 佐藤:奇抜な建築をつくるために気張らなくっても平凡な建築で人の生活が守られていれば それでいいだろうと。 橋本:それから大義名分としては古いよきものをちゃんとなおしてというのももちろんありますけれど。 佐藤:最近福島県の猪苗代で観た古建築の改修費を聞くと、あまりにも高額なので・・・。今日も泊めていただいている金沢のゲストハウスの工事費の内容が案内書に書いてあるんですけれども。ボランティア改修されていて めちゃめちゃ安価で仕上げている。工事費150万円とか報告書を見まして安心したんですけれども。 改修工事で坪単価100万円超と言われちゃうと 新築に肩入れしたくなりますね。 橋本:さっきの補助の話しじゃないですけれども。1500万円掛けても500万円出れば皆さんわりと やりやすいですよね。 佐藤: 古い建築を好きな人多いのは どうしてですかね。とんがった建築家に出会うことが多かったんだが 311以降急に古建築好きすき、関係者に出会うことが多くなりました 橋本:なんでですかね〜 佐藤:以前の出会いは俺の立ち位置による偏りだったもしれないな。 新築する仕事がなくなって来たからなのか 新建築をつくるための社会のエネルギーがなくなってきているからなのかな〜 息子さんは 人なつこいね〜 初対面でも泣いたりしないね 中村:そうですね 橋本: うわうわうわうわ・・・ とあやしている 佐藤:お二人には宮城県内に来ていただき津波被災後の現場を観ていただきました。が 石巻が最初でしたかね 中村:そうですね 佐藤:石巻の本間家土蔵に調査に来ていただいたことが最初でしたかね。その日の内に無理矢理 調査報告書を書いていただき、翌日早朝 本間さんに届けました。そうしないと傍に自衛隊が来てミンチ状に解体されちゃいますからねいそげー。震災遺構でもある古建築がブルドーザーを使い廃棄物にされる寸前でした。急いで調査と報告書を書いてもらっちゃいました・・。指示だしている俺も無茶くちゃ「今日中に書いてくださいとか」 中村・橋本 ふふふふふ むちゃ言っていると思いましたが。その場で手描き報告書を出すという凄い荒技で対応していただいた。そのお陰様で希な震災遺構保存工事物件運動がおきちゃって 保存されました。世界中の人が寄付してくれまして 完成しました 橋本:どうやって宣伝というか 佐藤:告知 ですね。本間さんは 石巻の祖先が漂流して世界に行く、その事例を顕彰する会があります。 漂流民の会 とか千石船の会とう全国組織があったんですね。その面々にまず呼びかけたということ。それから、なぜかマスメディア 主に新聞社の記者が書いて、記事を全国に配信してくれたんですね。記録はHPを作ってアップしておきました(紙面ペタンもあり)。 その2つ幸運が資金集めの原動力になってますね。 先月 完成のお祝い会があったんです。 四国の栗焼酎が送られてきました。四万十川のめずらしい有名で手に入らない焼酎なんだそうです。凄い人間のつながりが起きております。残した遺構蔵をきっかけに色々な人間関係が生まれています。 蔵の周りで結婚式もおこなわれました 中村:結婚式! 佐藤:東京のシェフたちもあつまり 結婚式用のケーキをこしらえたりして。手造りの結婚式がおこなわれました そういう色々不思議なことが起こってますね。公的な支援などをうけ改修資金とし 無理矢理 美術館などの機能を発明し活用するケースとは異なる状況がおきてしまいました。古建築に強引な新機能の押しつけは地域の人との分離が起きる可能生をはらむ場合が多いと推測します。が、 本間家の土蔵はちっちゃいんですけれども、そのまま保存活用し1階はいつでも公開しているので 門脇町の大地に根を張ったままで修繕できたのです。 古くていい建築も多いけど 新時代の活用方法が いまいち 地域社会と肌割れしている物件多そうですし。古建築を修繕した意味が地域の人人にも分からないのが多いかもしれませんね 橋本:そうですね。公的なものは特に 佐藤:調査と保存は 大方よいのですが。利活用になると俄然 無理があるように思う。無理筋に店舗にするとかで なかなかぴったりした新しい機能が発明できない場合いが多い。 橋本さんの改修された甘納豆屋さんのにように そこに古い店が続いていて蔵があって 改修によって工場機能が継続されるなら素晴らしいわけですが。機能が無くなってしまい、放置された古建築の場合は 観光資源になるぐらしかないかも知れませんね。 人口減ですし安易な再生・利活用は将来に負担を強いるかもしれないと推測しています。 橋本:津波によって普通の生活が奪われるのを観ると 普通がいいなと思いますね 佐藤:3年すぎてもまだ ほどんど何も出来ていないですね。福島の放射能災害下ではこれからどうなるのか 不明です。そういう状況があります 福島は終わりの無い戦争状態みたいですけれどね。 中村:こないだ 東北の今の写真を見せてもらったんですけれど。今の方がすごい不思議な感じがしました。 佐藤:瓦礫だけで道の無い時点で 石巻にも来て観ていただいたからねー。瓦礫が撤去されて 原野にもどったような 何も無いですからね。 中村:佐藤さんと石巻や荒浜近辺に行ったときも不思議なことになっているなーと思ったんけども。今の方がもっとなんだろうって感じがしました。 佐藤:6年前に俺が金沢にきたおかげで 東北の津波被災地にまで引っ張りだされてしまい ご免なさいです 中村:橋本:いやいや 佐藤:40、50年ぐらいにやって来るそうですが 今回の被災は千年に一度ぐらいの大災害らしいんです。 3年経ってもまだ防潮堤問題をふくめ どのように収束していくのか不明ですね 橋本:もう一回 被災地をうかがって確認したいですね 佐藤: そうですね なにか機会を作って来ていただきましょう この続きはまた明日 橋本さんが手に入れた建築を観たあとで この続きをお聞きします 橋本 :はい、そうしましょう そのご金沢の町に出て橋本さんが改修された店で仕事仲間と呑む 野田・佐藤・橋本・ 吉田 翌日(2014年29日)の聞き取り その3へ |
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