大室佑介 入門  (第一回)     2025・3・9   その2へ 作成:佐藤敏宏

呼び出し音
大室:もしもしどうも今晩は。
佐藤:絵なしでいきますか。
大室:メッセンジャーですね。パソコンのほうでもう一回繋ぐので、一回かけなおします。
呼び出し音
佐藤:どうも、
大室:どうも今晩は。
佐藤:よろしくお願いします。福島まだ寒いんで着ぶくれしてます。
大室:今日はこっちも寒いですね。

佐藤:今日は仙台で卒制・日本一展が開かれているようです、結果でたかもしれませんね。今、工学院大学の先生から学生が3位になりました、とメッセージが入ってます。・・・共にわらう・・・ 大室さんは20年前に日本一位になった。おめでとうございました。
大室:ちょうど20年前ですね!
佐藤:今日は仙台で聞き取りしてから15年です。(2010年3月の記録へ
大室:あれは震災前ですものね。

農業用ダム決壊現場に

佐藤:1年後、東日本大震災が起き、絶妙なタイミングで仙台に来ていただきました。震災後、大室さんには我が家にも家にも来ていただき、須賀川市内の農業ダム決壊の現場に一緒にいきました。あの時、大室さんが線香をあげていたのは、なかなか賢いなと記憶に残りました。俺は線香の発想はなく花を持っていったけど、やがてゴミになるので途中からやめました。線香はいい。
大室:そうですね、何泊かする予定だったから、かさばらないしいいかなと思って。
佐藤:さすがに発想が違うな。あの時、動画撮ってYouTubeに2本アップしたら計3.5万再生され、マス・メディアで報道される切っ掛けになってました。まだ見つからない人もいるんです。

大室:農業ダム、あれはいきなり上から降って来るというか。
佐藤:誰も想定してなかった、山奥にあるダムの水。地震でゆすられ水柱が立ち徐々に高くなって、一気にドスンと落ちる。ダムの最も弱い場所が抜けてしまった。その様子を見てた人がいたらしいです。
大室:その時に佐藤さんから聞きました!
佐藤:水がゆすられて干渉し合って高くなる、そんなことあるんだな・・・。巨大地震が起きると津波は海の沿岸だけに起こるのではない・・・警鐘を鳴らせたのはよかった。
大室:そうですね。
佐藤:辻さんの家の東側を流る天竜川にはダムが一杯ある。南海トラフ大地震などでどうなるのか分からないけど、抜けたら大災害だ。
大室;我が家の上流にもダムがあるので怖いですね。

佐藤:そうですか!近隣の流域とか地形は調べましたか?
大室:あんまりしっかり見てないですね。
佐藤:三重を訪ねたら地形調べみることにしましょう。辻さんの友達の聞き取りも始まったんですけど、天竜川のもっとも下流域の河川敷に町があって多くの人が住んでいる。一段高いところにお城があり、それより高い三方原台地は戦前は不毛地帯だったが、灌漑用水を敷設し、開拓して農地にした。人は天竜川の広い川幅にほとんど住んでいるんだよね。天竜川の上流でダム決壊したら大変だな。だから、大震災以降はどうしても地形は気になる。今日は地形の話ではないです(笑)大室さんの聞き取りを2年かけてやろうということです。


 2010年集合写真
 前列右から2人め大室さん















2年かけて聞き取り

大室:2年!?ですか。
佐藤:去年一年間は辻琢磨さんと鈴木達治郎先生の10年ごとの人生を聞き取りました。SNSが荒れてしまったので、いろいろな人を聞き取る世ではないようです。一人の語り合いをじっくりする。SNSは各自が情報を加工して発信できるので、縁ができた人に長時間付き合っていただき、話を聞いてまとめる予定です。
去年、辻さんと鈴木さんの体験からさらに進めたらいいなと思いました。鈴木さんはプルトニュウム問題を専門に研究している先生です。俺と同じ年齢なのですが、今は核廃絶の運動を長崎大学を拠点にしています。今日までニューヨークで核廃絶についての会議だと言ってました。
福島で原発事故があったので、建築だけをノンビリ語っていては座りが悪いんです。原発関係も基礎知識としてプルトニュウムどうなっているの?とか、日本の原子力はどうなっているの、とか1年かけて聞きました。年齢が一緒だったので10年ごとにきく。俺は1951年生まれだから年代ことに区切りやすいので10年ごとに分けて聞きやすいんです。

大室:じゃ僕と佐藤さんは30才違いです、1981年に生まれたので。僕も10年おきで計算しやすいかららくですよね。

佐藤:なるほど、10年ごとに聞き取ってみたけど思ったより面白いんですよ。突然ですが大室さんが今いる所は三重ですか。
大室:三重ですね
佐藤:立派な書斎があるんだね。農家に住んでいるんだと思い込んでたものですから。そうかそうか。
大室:ちゃんとした家ですよ。

佐藤:10年ごとに聞くだけでも回数が増えちゃって、2000年代以降は出来事が多くなっている・・・大震災後も現在もコロナも起き継続中の2020年代です。だいぶ激変しちゃったよね。最近に近づくほど話す内容が多くなってしまいます。帝国主義の時代は終わったかな、と思ったとたんにウクライナ戦争が始まっちゃって。トランプ2.0もそうだけど自国主義を優先する政治に帝国主義の世へ逆戻りしそうです。新自由主義も加わって日本の若者事情も激変しちゃいました。今は民主主義も壊れだし、SNSでフェーク・ニュース放流し代議士になる人まで現れてしまいました。ですから、話合わなければいけないことが沢山あって。建築の領域では、空き家も1000万戸もある、単身者世帯40%に近づいて、外国人にタワマン売っている、商業主義に乗った建築も作っている場合じゃないな、売れればなにやってもいいのか、資本主義、お金が一人に集まり過ぎる問題も明らかになってます。


ドナルドジャット本

大室さんのように都心で移築家をやり、アートで棺桶つくったり。三重に移住されてもアート表現もするし、美術館開館したり、多様な活動をされている人を知りません。アートで建築を批評する大室的思考はまっとうだなと再確認する作業になるとおもいます。15年前よりさらにまっとうな存在になってきている。
 共に笑う
大室さんのような活動しないと、20年前よりは、活動すべきことははっきりしてきていると感じますので、大室さんの聞き取り記録を残しておきたいと思いました。くわえて大室さんは公園も作ったりしているし、私設美術館も作ったり開館したりされてます。
2023年、我が家に来ていただいたときにドナルド・ジャットの活動をまとめたものを差し上げました。
大室:いただきました。
佐藤:友達の故・大島哲蔵さんの翻訳です。アートと建築の批評しながら淀屋橋で洋書店を開いていた方です。彼はマーファまでジャットの作品を観に行って、直接交渉し許可を得て翻訳した。大阪の山口画廊から刊行し10冊ぐらいもらったんだけど、だれも興味示さないだろうと思ってたら、建築もアートもどちらもされている大室さんが現れました。俺は、建築設計して設計料もらって幸せっていうのは、ただの人だろうと思うところがある変な奴なんです。大室さんも俺に目を付けられ迷惑していると思いますけれど。
大室:いえいえ、お互いさまです。

佐藤:これから2年間よろしくお願いします。今日は2年間かけてなにやるかね?という話合いです。15年前は卒制の内容について語っていただき記録を保存できました。それ以前と、その後の事について記録できたらいいなと思ってます。
その後は大学院に入って地上にトロッコみたいに木製枕木をしいて棺桶を載せる、走らせる、作品の上には他の人が作品を吊るしているまでは聞いている。
その後も自邸の半分ぐらい売ったんですか。その前は鳩小屋のようなものを建てて自分が住んでいいのかな・・物置なのか分からなかったけど。

大室:小屋みたいなの造ったのは2010年だったかな。 (大室さんHPへ







2024年辻琢磨さんと両親に聞く








絵:2024年11月鈴木達治郎先生2010年代を語る

練馬区/春日部市:百年の小屋
Haus-000

絵:(大室さんHPより

多摩美術大学に入学

佐藤:大学院時代の先生とのバトルもあるし、作品も作られている。多摩美に行ったことないので毛綱モン太さんと関わってますよね。
大室:毛綱さんは僕が一年のときに学科長でいたんです。学校の設計は毛綱さんではないと思います。

佐藤:毛綱さんとも知り合いだったから、多摩美に行くんで設計するみたいなことを言ってたような気がしたけど。
大室:もしかしたらキャンパス設計とか、僕が入るまえにそういう処にちょっと関わっていたのかもしれないです。
佐藤:神道とか・・・語りが胡散臭い感じで建築家らしくっていい。他人の金をつかってぶったてるわけだし。大室さんが大学に入る前の話、美術大学をどうして選んだか。聞きとりしてて、多摩美から芸大にいったのは中山さんかな。
大室:多摩美にいきなながら芸大を受けていた、という話は聞きますね。

佐藤:俺、聞き取りしたんだけど、聞いてないこともずっと語ってた。高校時代の器械体操クラブの大会の話もしてた。
大室あの話は面白いですよね。
佐藤:中山さんらしさが溢れているけど、そこまで語っていいのか、言わなくってもいいのに、と思って聞いてたけど。でも喋りたかったんだろうね。
大室:うんうん。

佐藤:俺も高校時代器械体操やってたから、彼はマットの上でごゴロゴロしてただけだ。それは器械体操とは言わないよ。でも聞いてた。そういうエピソードも喋りたくなってしまう、のちのち格好つかなくなちゃうんじゃないの・・・と。彼は、建築家に対するあこがれた非常に強い人です、建築家病みたな気配もあっておもしろい。縁があってO邸に何度も泊めてもらいました。O邸を観てきたけど、my設計のその後を体験してても建築は人の暮らし方に大きな影響を与えるね。

大室:そうですね。



大室美術館 と 博覧会開催

佐藤:2025年から大室さんにコツコツ聞くよと。大室さんは2年かけるんだったらこんなこと話したいうのがあれば。今年は1回大室さんの三重に行きますから。どんな所に住んでいるのか、まず体験・共有させてもらいます。
大室:うんうん。

佐藤:今年は大室万博ですね。そろそろ始まるんですか。
大室:大阪万博と同じタイミングで始めるんで、4月12日から始めます。大室万物博覧会ですね。
佐藤:プログラムとかやることは決まったんですか。

大室:いくつか展示が決まっているだけですね。実際、私設・大室美術館(2016年5月14日(土) 開館の展示と、そんなに変わらないので。

佐藤:美術館の他に私設公園もあるんですよね?
大室:そこにパビリオンを8個作る予定です。
佐藤:8個もつくるんですか!
大室:ちっちゃいやつ、鳥小屋みたいなパビリオンを8個つくります。

佐藤:それは近所の、お爺さんおばあさんが建てるんですか、アーティスト、それとも大室さん?
大室僕が作った小さい小屋の中に一つの作品を入れてもらおうかなと思ってます。各々石とか土とか万物のテーマでパビリオン。
佐藤:家というと、屋根型になっていて、扉を開けて見るんですか?

大室:小さい家型になっていて、ぱかって開ける感じです。
佐藤:4月から始まっちゃうんですか。
大室:4月から10月までそれを置いておこうかなと思ってます。
佐藤:期間中いつ行ってもそれが在ると。
大室:それ以外に大室美術館の本館のほうの展示も同時開催でやる予定です。

佐藤:美術館の同時開催は入れ替えとかあるんですか。
大室:4月に一人、5月にも一人決まってます。あとは10月か11月にもう一人やる予定です。
佐藤;美術館の展示内容は月かわりなんですね。
大室:月替わりだけど夏になると、暑くって中に入っていられないので、6・7・8月はやらないです。
佐藤:建物の屋根の断熱ないということですね。


 絵:大室美術館 ストリュートビューより


 大室美術館の内部 絵:大室さんHPより

大室断熱してないです。そのまま。
佐藤:ただの物置だったのを美術館に改修したのかな?波型鉄板一枚なんですかね、6,7,8月は暑いので美術館はやらないと。
大室:その間パビリオンは置きっ放しだからいつ来てもいい・・・・そんな感じですね。
佐藤:大室・美術館の展示内容はアーティストの作品を展示するんだと。
大室:アーティストが個展やります。


多様な分人をいきる大室さん

佐藤:いいね、私設の公園があった私設の美術館も持っている。何って言ったらいいか分からないけど、聞いているだけで楽しい。リッチな気分が伝わってくる。「おれは美術館もっているぞ!」と。公園ももっているぞ!大室さんが歩み学んだ関係は全部もってて、見せちゃうぞ!(笑)

大室:今は一応館長ですからね。
佐藤:そうそう、建築家というのも、移築家というのも、作家だし、館長に公園長だし、夫であり、お父さんだし、いろいろ大室さん役ありますね!。平野敬一郎さんおすすめの分人、あのように、あるときは移築家になり、ある時は建築家になり、あるときはお父さんになったりして、分人たくさんあって豊でいき詰らないですね。文章も書いてなかったですか?

大室:文章もチョコチョコですね、依頼がたまにあるぐらいです。自分から書くことはあまりないですけど。たまに依頼があるかなという程度です。
佐藤:作家でもある、言葉と関連するかは分からないけど、作品集は出しているんですか。

大室:作品集はまだまとめてないです。今度まとめようかな、と思ってます。
佐藤:作品集用の写真はプロの方に依頼しているんですか。

大室:前一緒に佐藤さんのところに行った若林君。写真家に毎回、彼に撮ってもらってます。
佐藤:彼は原発の写真も撮ってたんじゃなかった?
大室:そうだそうだ。

佐藤:職業カメラマンなんだね。建築系の写真家とは違うのかな?美術品や建築は撮ってないのでは?
大室:美術が大半で建築はたまに撮るみたい。いろいろ撮ってます。

佐藤
:どういう関係で撮ってもらうようになったんですか。
大室:東京の友達かな。最初は僕がギャラリーで展示しているときに知り合って、そこから、原宿にあった秋山画廊。今は秋山さんが亡くなっちゃってギャラリー自体はたたんじゃったんですよ。そこで知り合って、毎回彼に同じように撮ってもらってます。

佐藤:それはいいね。
大室:あまり気持ちを込めないで撮ってくれるから、いい
佐藤:暑苦しい写真じゃないのね。
大室:空間を撮ろうとか、生活を撮ろうとか、そういう意思を消してくれるので、建築というよりは建物という感じで、物として撮ってくれるから・・・。僕としてはお願いしてていいですね。

佐藤:作家との相性が大切だからね。
大室:そうですね、写真家は。




 大室美術館位置









多摩美大に入学

佐藤:今日はこんな感じで総論を語ることで、いいかなと思ってます。ちょっとだけ聞いておきます。詳しくは何度か聞きますけど、美術大学に行くというのは、建築家になるために入学したんですか。

大室:美大は建築じゃないですね。僕は最初お店とかショップデザインとかやりたかったんです。ファッションの店ですね。高校生のときにストリート・ファッションが流行っていたんですよ、原宿とか、1997、8年とかですね。
佐藤:俺が独立し事務所始めたときに生まれたんだね、分かりやすい。
大室:笑っている。
佐藤:年の差ありますね(笑)俺、年の差自覚してないから・・・。

大室:まだ、高校生ぐらいの気持ちでいるんじゃないですか?
佐藤:年齢の自覚ないですね。若い人の話を聞いて面白がってていい。老人はなぜか説教する人が多いからね。
大室:はい、はい。
佐藤:それで、そういう人と交流するの嫌だから、じょじょに若い人を対象にしてきてる。50才ぐらいになると老人化するのかなと思います。何ぜかしらないけど、社会的役割が決まるからかな。子供のときも自慢話をするらしいんだけど。ある時期しなくなって、お爺さんになると自慢話が復活する、ということらしい。
大室:そうかもしれない。
佐藤:葬儀の場でも自分の自慢話している老人いるらしいよ(笑)。他者の話を聞いてるほうが面白いし。
大室聞く方が面白いですよね
佐藤:そうなんだよね、知らないことばかりだものね。
大室:うん、うん。

佐藤:辻さんの所に行って、両親まで聞き取りしちゃって・・。辻さんの両親どういういきさつで結婚に至ったのか・・・辻さんは知らないみたいで俺が聞いちゃって(笑)。思わぬ言葉が発せられるからね、とても興味深いです。


辻琢磨さんは移築家一番弟子

大室:辻君ね、一昨日家に来てたんですよ。津市の方で高校生相手にワークショップすると言って、主催は三重県の教育委員会かな。
佐藤:教育委員会。辻さん顔広いね。
大室:出張授業みたいだったとか、街歩きしてワークショップする。前の日に我が家に泊まって、両親の事まで聞かれたという話してたんです。
佐藤:聞いたんですよ(笑)両親に聞かないと、辻さんの事は分からないんだよね。彼の性格はどうしてできてきたのか、分からなかったんですよ。両親に聞くと分かった気になるもんだね。あまり笑わないじゃないですか、家族が真面目な人で、おじいちゃん、おばあちゃんが居た家に、お嫁に来ちゃつたからね。お嫁さんはアホラ・オホラできにくい、笑ってられないじゃない。そういうことが分かって来て、辻さんの両親が実家から離れて、新しい家を建てたことで、辻さんがお爺さんの家に入り改装、更新設計し始めた。御しゅうとさんいると、笑ってられないんだと思う。立体的に分かった気にならないと聞いた気がしない。
辻さんのお嫁さんに会ったら、嫁さんの方が才能あるぞと・・言っちゃってさ。
大室:大笑いしている
佐藤:こんなこと言っていい?言っちゃったからおそいな、と。奥さんと彼は相性がいいと思った。奥さんの方が身の回りの社会に対して好い事やっている・・・なんて言ってしまって。辻さんは奥さんに教わることが多いんじゃないの、とか。こんなこと言っていいのかなと思ったんだけど。それが事実なんだからしょうがないよ、言うよ。
奥さんは素直に生きてきていて、浜松市に着地した。彼女の人生が落ち着く、というのかな、居場所が見つかるという、そういう感じが凄くしたんです。文章もちょっとしか書いてないんだけど、詩のような文章なんだよ。ロンドンに留学して製本作家になったという話をしているんだけど、そういう勝気な感じはなくって、ドイツ系で寡黙な感じで詩人タイプみたいな人だなと思った。浜松に行く前に製本所の資料送られてきただけだったんです。

浜松市に行ってみたら、奥さんはここに着地するために生きてきた人なんだなと、凄く思っちゃって。辻さんもいい人に巡り合った、すごい腑に落ちた。辻さんが更新設計し始めたのも奥さんの影響が大きいじゃないかな、と。

大室:なるほど。
佐藤:俺はそう思った。俺の現在の結論は、辻さんは外観をもたない建築を巨大に更新していくところだろうと。まだ内装しか仕事してないので、
大室:そうですね。
佐藤:辻さんに外観は要らないんじゃない・・と。いろいろな建築内で更新節系してそれを繋ぎ合わせると巨大な建築を作るというのがいいんじゃないの、と。

大室:そうですね、だんだん自分がやる範囲、やらなきゃいけない事を分かって来てますよね。辻君がそこで落ち着く場所、範囲みたいなのが分かってきてる。
佐藤:俺は横国の悪口ばっかり言ってた。辻さんはいい奥さんと結婚して、可愛い息子が生まれて、建築家やっているんだから、奇人変人のたぐいの先生なんか崇めてるんじゃない!と、言ってる。辻さんが結婚してなかったら言わなかった。結婚しているんだから普通の人になれやと。それから建築のことを考えても十分だと。それを言ってたら、奥さんに喜んでもらい、時々来てください、と言ってた。以前は横国病になってたね。
大室:なるほど。
佐藤:自邸の更新設計と工事やりつづけて、俺のやるところはここだなと分かってきたんじゃないかな。
大室:うんうん。
佐藤:だから俺はすごい悪影響を与えてしまって。
大室:いや、いや。
佐藤:今の方が楽だし幸せになれるし、辻さんらしさを発揮できる、と俺は思うんだよね。第一勘でそう思った。
大室:そうですね。

佐藤:大室さんの弟子だと言ってた。何を言ってるか分からんな・・。と。更新設計はピッタリだよと。時代は外観と一体になって内部を作るということじゃないよね。都内にたくさんできてるタワマンなん、か外観があるようで無いじゃない。住人達も外国人が買い日本人が住んでるのかも分からない、外国人たちも母国に家があって、東京にもタワマンという内部を買って、多地域居住している。そうして子供には自由な日本風教育を与えているわけです。日本人もそう暮らしている人は多くなっていると思う、大室さん自身が二地域居住実践者だし。辻さんは細かく地味な手法、更新設計をやっている。すごい変わってるよね。
大室:変わってますね。
佐藤:あのやり方は俺はできない、そこまで関係したくない。壁作ったら終わりにしたい。建具もなんもかも自分で入れろ!そう言いたい。昨年、浜松の公共施設の更新設計も依頼されて、更新設計も出来上がって、よかったなと。
大室:そうですね。その名づけがあるからいいですよね、更新とか名づける。真面目だからそういった言葉があることによって、導かれるというか、強みが増してきますよね。


■ 月1個コンペに挑む、修士でコンペ佳作

佐藤
:辻さんは仲間と学生時代にコンペで佳作になったことあるそうです。布団のような柔らかい床と硬い床に2分した建築。その作品が鈴木了二に認められ、それをずっと引きずってきている。
大室:僕もその時、佳作に入ってるんです。
佐藤:年代が違うのでは?
大室:あれは、僕が大学院2年のときに辻君たちは学部の2年生で佳作に入っているんです。僕のは家に処刑されるみたいな話。

佐藤:たんなるサラリーマンが住宅建ててローンに押しつぶされる(笑、そんなイメージかな。
大室:笑)床と天井が歯みたいのが天井裏に潜んでて、それに押しつぶされる夢を見た住人の話。そんな内容をドローイングでかきましたね。
佐藤:なるほど、悪夢で怖いね。建築家の卵にあるまじ提案だね(笑
大室:いやー、尖ってましたね

佐藤:その物語の話も面白そうだね。院で先生と喧嘩してたから当然の投影か(笑
喧嘩するのは、いいことなんだね。
大室:そうですね。
佐藤:それで先生から脱出できる。親離れ、先生離れしないと。何時までも尊敬する、される先生はどうかな、それは高度成長期モデル。21世紀になってポスト近代もだいぶすぎて、何でもありの世。学生が尊敬する先生・・・・なんて言ってたら、化石扱いされるよ。

大室:そうですね。

佐藤:今日のよもやま話でまた発見、学部の時もコンペは出してたんですか?
大室:僕は1年生の頃から月に1個ぐらいアイディアコンペに出してましたね。
佐藤:それら、記録が全部残っているんですか。
大室:なんだろうな、あと二日の締め切りでもとりあえず作って出す。

佐藤:どうして、授業が面白くなかった・・・とか。
大室:たぶん美術大学で建築やるというコンプレックスというか、このままやってても他の大学に勝てなさそうだな・・・と思って。ちょっと負荷かけてやっていたんです。本当に今よりも、ぜんぜん忙しかったです(笑)

ボクシングジムにこっそり通う

佐藤:スポーツじゃないけど、なんでか、ちょっとピントこないだけど。義務教育でうけた何でも競争の弊害かな。
大室:僕はあまり競争しない、小中はいろいろスポーツはやっていた。直ぐやめちゃっていたんです。
佐藤:スポーツする雰囲気醸し出してないものね。
大室中・高でボクシングやってました!

佐藤:それは希だ!じゃー・・・ジムに通ってたんだね。
大室:そうです、中学の時にお年玉とか貯めて親に内緒でジムに通って、受験でしばらく休んで高校に入ってからそこで部活作ってジムにかよってましたね。
佐藤:ジムはどこに通ってたんですか

大室:練馬駅の近くにあるジムでした。その時は有名な人もいました。
佐藤:大橋さんがやっているのは目白当たりでしたかね、
大室;あれはヨネクラ・ジムですね。それが池袋にあって練馬はサイダ・ジムというのがありました。
佐藤:東京はプロボクシングの試合もいろいろあるからね、ボクシングジム通いは建築界初耳です。

大室:高一の終わりまでかな。
佐藤:走ったりもしてたんだ。
大室:走ってましたね。
佐藤:あしたのジョーかなにか、ボクシング漫画見過ぎたんんじゃないんですか?

大室:『はじめの一歩』という漫画ですね。僕らの世代は(笑
佐藤:その話も面白そうだ、作者はだれですか?
大室森川ジョージが描いて、まだ続いてますよ。
佐藤:うだつが上がらないボクサーの物語ですか。
大室いじめられっ子がボクシング始めるみたいな・・そんな始まりかたでしたね。それ見て漫画の影響うけましたね。(笑


佐藤
:小さい頃は喧嘩に勝つぐらい強くなりたいという願望はあるよね。
大室:たぶんあったんでしょうね。それまでは少年野球とかサッカーとかやって、テニスもやって。人数がどんどん減っていって、最後は一人でボクシング、そんな感じです
佐藤:一人でボクシング部を作って部活、大室さんらしいね、一人で部活やるというのはいいよね。
大室:そうでしたね、やってたな。 
佐藤:一人で部活やってて、寂しいとか思わないところがいいよね。
大室:なんでしょうね。
佐藤:今も、公園も美術館も一人で作っているし、筋金入りのマイペース人生だよね
大室:そうなんでしょうね。
佐藤:一人筋金はいってて、廻りのことに気にとられない。

大室:たぶん集団で何かやると僕が輝かないんでしょうね。


その2へ続く