渡辺菊眞個展2019 目次へ  記録作成 文責佐藤敏宏 
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■ 岩崎泰 さんによる感想

 25年前に作った模型と、再会した

佐藤:きょうは高知まで菊眞の展覧会を観に来ていただき、ありがとうございました。岩崎さんは菊眞先輩を大尊敬しているので、忌憚なく感想を言えるか、心配なんですが、感想などお願いします。
岩崎:実際、菊眞さんのお手伝いで、前の個展の時に模型を作った。
佐藤:その話、学生の時の個展(1998年3月3日)の時ですよね。
岩崎:そうです、学生の時です

佐藤:地底建築ですね。
岩崎:そうです。今日、展示された、昔の、あの模型を、作らせてもらているので。
佐藤:無理やり、模型つくらされたんじゃないの。
岩崎:いやいや、そうではありません。作らさせていただいたのです。それを懐かしく拝見させていただくために、わざわざ今日は京都から高知まで来ました。

佐藤:自分の昔の一部に、会いにきたんだと
岩崎:そう、そう。
佐藤:なるほど、そういう見方もあったか。
岩崎:そうです。あとは真ん中のゾーンです。写真。あれの中にも、菊眞さんに連れて行って頂いて。奈良の古墳の中とか、今はもう入れないらしいんですよ。でも、その当時は、自由には入れて。中に一緒に入らせてもらったりとか。
 ブロック塀の池端に生えている、ブロック塀「あれは安藤忠雄」だとか。騙された。あれは、凄く僕の中では凄く、重要な経験であって、菊眞さんに言われたら、「そうかな」と思うじゃないですか。

佐藤:ははははは

岩崎:実際、安藤さんの「騙されちゃいけないなー」ということを、学ばされた。凄く貴重な経験だったのです。それも、改めて今日来て、確認しました。

佐藤:菊眞氏は、なんで岩崎さんを、そんなに連れ回し、こき使ったりしたんだろうか。愛しちゃったのかね。
岩崎:ふふふふ。知らないですけど。
佐藤:うまが合うんじゃないか、酒が強いとかでしょう、たぶん。

岩崎:そう、酒が強い
佐藤:一緒に、呑んでいても、酔いつぶれないから、楽しいんだと、なるほと。
岩崎:よく、一升瓶を持って、僕の下宿に来た。一升瓶ちょうど無くなるころに、二本持って。
佐藤:ただの呑み友達じゃねーか。
岩崎:そうです。
佐藤:今日は懐かしい模型に再会して、一緒に撮った写真にも再会して。今回の展覧会は学生の時分の模型もふくめ、実作まで全部並べてありますよね。それを観てどう思いましたか。全部、並べたのを観たことないでしょう

岩崎:そうですね。特にアフリカの建築とか、実作の仕事は、インターネット上で見た事はあったんです。「実際どういう経緯で」というのは知らなかったんですね。今日、観て、ああいうものを実現するっていうのは、凄いなーとね。土嚢建築とか。
 今日聞いて面白かったのは、土嚢建築でも、パッシブ建築でも、意外と受け身。「切っ掛けは受け身だったんだな」と。聞いて、それは面白かったですね。

佐藤:「菊眞氏は受け身の仕事はしない人だ」と思っていたと











 岩崎さんに模型製作手伝ってもらったと言う998年3月4日個展について菊眞語りへ。頁中頃から

■ 勇気をもらいました

岩崎
:うーん、僕自身も。今は茶室とか造っていますけど、それも受け身なんですね。同じ研究室の北岡君の代わりに、アルバイトで入った。その設計事務所が数寄屋の設計事務所だった。やってみたら面白かった。そういう、本当に受動的な、感覚、受け身でやっている事が、今の仕事につながっているんで。
 菊眞さんって、あんなにね、自分の個性でやっているようなイメージであって。でも、意外に切掛けはパッシブ建築で、土嚢建築であっても、受け身で。
佐藤:受け身で、消化・アウトプットは柔軟なんだと
岩崎:そう、それを受け入れて。でも受け入れたら、とことん、あそこまでやると。受け入れた後の本気度。
佐藤:ちゃんと、消化できていると
岩崎:そうですね。受け入れられない人も居るし。
佐藤:単に拒絶してしまう人もいると。
岩崎:そういう人が、多いじゃないですか。

佐藤:そういう意味では、奥深い人間だと。
岩崎:それが、全体に繋がっているというか、パッシブ建築になったり、土嚢建築だったり。一方では、学生の頃からやっている、風景に対する自分の思いというもの、何となく、「全部一つにまとめて見せる」。本当に勇気をもらいました

佐藤:その他には何か、「これが一番良かったな」というのは何かありますか。
岩崎:建築に対するエネルギーですね。「こんだけ、エネルギーを掛ける人に、なかなか会うことながない。そのエネルギーに接しに来れて、よかったな」と。

佐藤:こんな感じで、いいですか、何か付け加えることはありますか

岩崎:いえいえ、来たかいがありました。

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