2007年度〜2009年度の活動記録
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連続シンポジウム 早稲田大学→→→立教大学
<海外からの視点―中国、米国人ドキュメンタリー映画監督たちは語る>


6月22日 早稲田大学 「ドキュメンタリーは世界を変える」
6月25日 立教大学  「いま、ニッポンのナショナリズムを問う」  のお知らせ

●趣旨●
 
「不況の進む中、日本人の関心はますます内向きとなり、外に開かれた意識を自ら閉じつつある。
再び、偏狭なナショナリズムの時代が来るのだろうか」―。
 
日本軍元「慰安婦」や靖国神社などをテーマにして日本の姿を記録してきた、
3人の中国、米国人ドキュメンタリー映画監督たちの「ニッポン論」に耳を傾け、海外からの視点で日本社会を照射します。

○パネリスト○
 
・ジャン・ユンカーマン (「チョムスキー9.11」、「映画日本国憲法」監督) 
・班忠義(バンチュンイ) (「ガイサンシーとその姉妹たち」監督)
・李纓(リ イン) (「靖国」監督)
 
 
「ドキュメンタリーは世界を変える」
 
○日時:6月22日(月)16:30〜19:00
 
○場所:早稲田大学 14号館201号 (地下鉄東西線・早稲田駅より徒歩10分)
 
○コメンテーター 野中章弘
       (ジャーナリズム教育研究所客員研究員、アジアプレス・インターナショナル代表)
 
○司会  花田達朗(早稲田大学教授、ジャーナリズム教育研究所長)
○主催 早稲田大学ジャーナリズム教育研究所、早稲田大学オープン教育センター
 
○問い合わせ 早稲田大学ジャーナリズム教育研究所 03-5286-1870(花田研究室)
 
 
「いま、ニッポンのナショナリズムを問う」
 
○日時:6月25日(木)18:30〜21:00
 
○場所:立教大学 8号館8202号 (池袋駅西口より徒歩12分)
 
○コメンテーター  カプリオ・マーク(立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授)
 
○司会  野中章弘(立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授)
 
○主催 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科
   共催 早稲田大学ジャーナリズム教育研究所
 
○問い合わせ 立教大学独立研究科事務室 TEL 03−3985−4530
 
 
* 申込不要・参加費無料(両日とも)



早稲田大学メディア・シティズンシップ研究所開設記念シンポのお知らせ

早稲田大学メディア・シティズンシップ研究所開設記念国際シンポジウム
「メディア文化研究を社会に開く:批判的知の実践に向けて」


日時・会場:11月15日 (土) 午後1時〜6時 早稲田大学14号館102
  11月16日 (日) 午前10時〜午後6時30分 早稲田大学26号館602

新自由主義と手を携えたグローバル化の進展が、世界規模で格差を拡大し、人々をこれまで以上に断し、公共性が市場、個人責任、国益の論理によって縮小されるなか、いかにしてより民主的な社会の公共空間を再構築するかは緊要な問題となっている。これには社会全体のあり方を変革するという壮大な取り組みが必要となるが、人々はメディア文化をとおして日常において世界で起きている事象を理解し、自己と他者との関係性を身体化、そして様々な境界を超えたつながりを生成していることを鑑みるとき、より民主的な社会の再構築に向けてメディア文化が果たしうる役割は大きい。より多くの人に社会の一員として安らぎを与える帰属意識と責任ある主体としての参加意識を与えるために、メディア文化はどのような役割を果たすことができるのか。脱政治化された「消費者」でもなく高度に抽象化された「市民」でもなく、実際に生きる社会主体として、少しでも社会における埋もれた声に耳を傾け、相互に疎外されている自己と他者の関係を見直し、世界で起きている問題を自らのこととして考えることを可能にするようなメディア文化の使い方はないのだろうか。そして、メディア文化研究はそれにいかに関われるのか。いかにしてメディア文化研究における批判的な視座を社会の変革に向けた多様な実践と接合していくことができるのか。どうしたらメディア文化研究で得られる批判知を社会のなかで実践し、また政策化・制度化につなげることができるのか。
本シンポジウムでは、大学を多様な研究・実践・ネットワークが交錯する、社会へと広く開かれた場とすることを目的とした早稲田大学メディア・シティズンシップ研究所の設立にあたり、このような極めて緊要な今日のメディア研究にとっての課題について徹底的に討議することを目的とする。初日は、早稲田大学メディア・シティズンシップ研究所設立の趣旨とそれが目指す取り組みについて説明したあと、香港でメディア文化とシティズンシップの問題に取り組んでいる研究者に根本的な問題関心とこれまでの実践の成果について報告してもらい、会場の参加者と討論を行う。二日目は、公共空間で周縁化されている声や関心を発する場とそれらに耳が傾けられる場の創造、既存のマスメディアを巻きこんだメディア文化実践の変革、社会における幅広い学びの促進の3点について、具体的な事例、取り組み、そして構想提言を土台にしたワークショップを催して、さらなる進展に向けた参加者とともに実践的な議論を交わしたいと考えている。


企画内容

11月15日  国際シンポジウム「社会に開かれたメディア研究のために」
   パネリスト 伊藤 守(早稲田大学メディア・シティズンシップ研究所所長)
           Stephen Chan (Lingnan University, Hong Kong)
  討論者    阿部潔(関西学院大学)、 丹羽美之(東京大学)
   司会    岩渕功一(早稲田大学)

11月16日  ワークショップ1 午前10〜12時
    テーマ:「消費者―市民」を超える文化の学びと実践
         土屋豊(映画監督)
         毛利嘉孝(東京藝術大学)
          河合優子(東海大学)
         松浦敏尚(市民メディアセンター・Medi R事務局長)
     司会  山本敦久(上智大学)

11月16日  ワークショップ2 午後1〜3時 
      テーマ:多文化表現の「場」と「知」を結ぶ
         須本エドワード(ミックスルーツ関西・ミッシュリングループ代表)
         梁英姫(映画監督・映像作家)
         浜邦彦(早稲田大学)
         田嶋淳子(法政大学)
     司会  岩渕功一(早稲田大学)

11月16日  ワークショップ3 午後3時30分〜5時30分
      テーマ:メディアと市民運動の連携
          水島宏明(ジャーナリスト・日本テレビ)
          宮田興(NHKプロューサー)
           丹羽美之(東京大学)
          谷川建司(早稲田大学)
     司会  藤田真文(法政大学)

11月16日  総括討論 午後5時45分〜6時45分


*どなたでも参加できます。     
*参加費は無料です。
主催:早稲田大学メディア・シティズンシップ研究所
共催:早稲田大学ジャーナリズム教育研究所、早稲田大学オープン教育センター
お問合わせ先:早稲田大学メディア・シティズンシップ研究所
TEL03-5286-1868,mamorui@waseda.jp


「リダクテッド 真実の価値」特別上映会&シンポジウム のお知らせ

テーマスタディ/映画・映像コース+ジャーナリズムコース合同特別公開講座
特別上映会&シンポジウム「映画『リダクテッド−真実の価値』をめぐって―フィクション・ドキュメンタリー・ジャーナリズムの重層性」の開催(お知らせ)

10月25日公開のブライアン・デ・パルマ監督*1作品『リダクテッド−真実の価値』

特別上映会&シンポジウムを行います。
参加を希望する方は、以下の要領にしたがって申し込んでください。


日時:10月20日(月)14:30開場 15:00開始
場所:小野梓記念講堂(27号館地下1階)
    http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html
主催:早稲田大学オープン教育センター、早稲田大学文化推進部
共催:大学院国際情報通信研究科、ジャーナリズム教育研究所
 
■概要 ───────────────────────────────

15:00 映画『リダクテッド−真実の価値』上映(90分)*2
16:40 シンポジウム(70分)
      テーマ「フィクション・ドキュメンタリー・ジャーナリズムの重層性」
       安藤 紘平(国際情報通信研究科 教授)
       加藤 正人(脚本家。シナリオ作家協会会長)*3
       鎌仲ひとみ(ドキュメンタリー映画監督)*4
       野中 章弘(アジアプレス・インターナショナル代表)*5
       花田 達朗(教育・総合科学学術院 教授)
17:50 終了

*1 アメリカの映画監督。『キャリー』『スカーフェイス』『アンタッチャブル』『ミッション:インポッシブル』等、数々の作 品を手がけた。ベトナム戦争を題材にした『カジュアリティーズ』(1989 年)でも米兵による  戦争犯罪を描いている。
*2 ビデオフォーマットBETACAMによる上映となります。
*3『雪に願うこと』『日本沈没』など数々の脚本を手がける。今年公開された『クライマーズ・ハイ』では日航機墜落事故を追う地方紙の新聞記者たちを描いた。国際情報通信研究科客員准教授も務める。
*4 フリーの監督として医療、経済、環境をテーマにNHKでも番組を多数制作。自主制作で『ヒバクシャ −世界の終わりに』『六ヶ所村ラプソディー』などを監督。両作品は全国で自主上映が続けられてい  る。東京工科大学メディア学部准教授も務める。
*5 カンボジア紛争、ビルマ内戦、アフガニスタン内戦、イラクなど、アジアの紛争地と社会問題を取材。小型ビデオを使うビデオジャーナリズムの手法により、ドキュメンタリー番組などを数多く制作してき   た。ジャーナリズム教育研究所客員研究員、立教大学大学院教授も務める。
        
■参加要項 ─────────────────────────────

申込方法:

●本学学生・教職員・校友の方
    Waseda-netポータルの「システム・サービス」>メニュー内の「申請フォーム入力」から
    『「リダクテッド 真実の価値」シンポジウム&特別上映会』を選択し、ご応募ください。

●一般の方
    氏名・ふりがな・連絡先(電話/e-mail)・「『リダクテッド』シンポジウム&特別上映会 
    参加希望(一般)」と明記のうえ、open-event@list.waseda.jpにメール送信してください。

申請期間:10月6日(月)9:00〜10月13日(月・祝)23:59

当選発表:10月17日(金)までに、当選者へメールを送信します。

備  考:応募者多数の場合は抽選となります。ご了承ください。ただし、応募者が定員に満たない場 合は、応募しなくても当日入場が可能となる場合もあります。
      なお、入場は無料です。


問合せ先:オープン教育センター 03-3204-9196

■映画内容 ─────────────────────────────

2007年ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した本作品は、賛否両論を巻き起こした話題作。
この映画は、2006年に米兵がイラクで実際に起こした事件を題材に描かれているが、ただの反戦映画ではない。題名の「リダクテッド」は「編集済み」の意味で、告訴に繋がり得る情報が削除された文書や映像を指している。私たちがマスメディアを通して得ている情報は真実なのか、情報操作の恐ろしさもこの映画は訴えている。映画、ジャーナリズムを学ぶ者には、ぜひ観てほしい作品だ。


ソーシャル・ドキュメンタリー写真とは何か?写真家の声を通して

2008年8月7日(木)、特別ワークショップ「ソーシャル・ドキュメンタリー写真とは何か?写真家の声を通して」が開催されました。

貧困や人種差別といったアメリカ社会が抱える問題を、ドキュメンタリー写真を通して静かに、根気づよく、かつ力強く表現してきた写真家のケン・ライト氏。彼は近著Witness In Our Times:The Lives of Social Documentary Photographers(2000)で、現代を代表する22名のドキュメンタリー写真家やエディターらのインタビューを試みています。
 本ワークショップでは、ライト氏を講師としてお招きし、彼自身や彼が出会ってきたドキュメンタリー写真家らの仕事や視点を紹介していただきます。同時に、参加者がソーシャル・ドキュメンタリーの今日的意味について考え、語り合う、躍動的な場を作りたいと思います。
 情報の溢れる今の時代に、ソーシャル・ドキュメンタリーが持つ意味を、考えてみませんか?

講師: Ken Light  ケン ライト氏(写真家/UCバークレー教授)
日時: 2008年8月7日(木) 10:00−13:00
会場: 津田塾大学(千駄ヶ谷キャンパス)
問い合わせ/申し込み: 津田塾大学津田梅子記念交流館事務室
     TEL 042-342-5146 FAX 042-342-5109
主催: 津田塾大学メディアスタディーズコース
共催: 津田梅子交流館 早稲田大学ジャーナリズム教育研究所

ケン・ライト(Ken Light)氏 プロフィール:
 写真家/カリフォルニア州立大学バークレー校教授。同校のThe Center for Photographyで、キュレーターも務めている。ソーシャル・ドキュメンタリーと呼ばれるジャンルで、アメリカを代表する写真家の一人。複数の写真がサンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)やニューヨークの国際写真センター(ICP)などにコレクションとして保管されている。ソーシャル・ドキュメンタリー写真家に関する著書 Witness In Our Times:The Lives of Social Documentary Photographers〈2000)の他、写真集も数多く出版している。アメリカの農場労働者に関するWith These Hands(1986)、メキシコからの違法越境者に関するTo The Promised Land(1988)、米国南部の黒人の貧困と生活に関するDelta Time(1995)、テキサスの死刑囚監房に関するTexas Death Row(1997)など。近著Coal Hollow(2005)は、妻Melanieとの合作で、5年かけて撮影したというアメリカ南部ウエストバージニアの炭坑に暮らす人々のドキュメンタリー写真に加え、ライフヒストリーが織り交ぜられている。


『沖縄戦は終わらないPart2』開催のご案内

この度、第436回沖縄大学土曜教養講座『沖縄戦は終わらないPart2』を開催することとなりました。

日時:2008年8月10日(日)13:30〜18:30
場所:沖縄大学3号館101教室



  沖縄タイムス 2008年8月5日 記事
  


j-freedomシアター第3回目プログラム

日時:2008年6月21日(土)17:00〜19:30
場所:早稲田大学西早稲田キャンパス 8号館B102教室


j-freedomシアター「NHKドキュメンタリー制作者と世界を語ろう!」
第3回『日中戦争 なぜ戦争は拡大したのか』(74分) 
    2006年8月13日放送
文化庁芸術祭テレビ部門大賞
放送文化基金・テレビドキュメンタリー番組賞
放送人の会・グランプリ
 1937年、盧溝橋(ろこうきょう)事件に始まった日中戦争。戦闘は8年間にわたり、日中双方におびただしい犠牲をもたらした。そしてこの戦いを通じて日本は英米との関係を悪化させ、太平洋戦争への道を突き進んでいく。日中戦争はなぜ拡大したのだろうか・・・。
 その背景を物語る重要な資料が公開された。当時、中国国民政府を率いた蒋介石の日記である。この日記から浮かび上がる蒋介石の意図。それは日中戦争を世界戦争へと連動させ、米ソの力で日本軍を倒すという長期的な構想である。
 蒋介石は戦前からドイツ軍事顧問団によって軍を近代化し、最新兵器による軍備を進めていた。さらに戦争が始まると、国際社会の注目が集まる上海近辺に精鋭部隊を派遣。英米の経済制裁やソビエトの参戦によって戦局の好転をはかろうとした。
 これに対し、日本政府は国際社会の批判を避けるため、不拡大方針を掲げたにも関わらず、なしくずし的に全面戦争に突入してしまった。その背景には、蒋介石政権を弱小と見て、「一撃で倒せる」と考えた日本軍の誤った状況認識があった。出先の軍を率いる司令官らは満州事変の経験から中国の力を過小評価し、独断で首都南京攻略へと進軍。日本政府もこれを追認してしまったのである。
 中国の真意と力を読み違えた日本。それは泥沼の日中戦争から太平洋戦争という破局をもたらした。初公開の資料から、日中戦争を日中だけでなく、アメリカ、ドイツも含めた国際的な視野からとらえ直す。そして日中戦争がなぜ拡大したのかを明らかにしていく。
(NHKオンラインより)

ゲストスピーカーの主な作品
 塩田 純(しおた じゅん)氏:NHK制作局第一制作センター(文化福祉番組)チーフ・プロデューサー ・「ドキュメンタリードラマ 幸田家の人びと」  2003年1月2日放送
      ATP優秀賞
 ・「BSドキュメンタリー アジアに生きる子どもたち お母さんに会いたい
                         〜フィリピン・ムスリムの兄と妹〜」  2004年11月6日放送
     イタリア賞グラナロロ特別賞・アルジャジーラ国際映像祭銀賞
 ・「NHKスペシャル 日本国憲法誕生」 2007年4月29日放送
     文化庁芸術祭テレビ部門優秀賞
 ・「NHKスペシャル A級戦犯は何を語ったのか〜東京裁判・尋問調書より〜」  2007年8月13日放送
 ・「NHKスペシャル 学徒兵 許されざる帰還〜陸軍特攻隊の悲劇〜」 2007年10月21日放送

共催:NHK(日本放送協会)
    早稲田大学オープン教育センター/テーマスタディ(全学共通副専攻)/ジャーナリズムコース
 


j-freedomシアター第2回プログラム

NHKドキュメンタリー制作者と世界を語ろう!第2回『こども・輝けいのち3 涙と笑いのハッピークラス〜4年1組・命の授業』(52分)         2003年5月11日放映
  「学校に来るのはハッピーになるためだ。みんなでハッピーになろう」
そう約束したクラスがある。金沢市立南小立野小学校の4年1組である。担任は金森俊朗さん。命を大切にする心を育てたいという大ベテランだ。
 このクラスの朝は、少し変わった風景から始まる。
 一日3人ずつ、クラスメートにあてた手紙をみんなの前で読むのだ。手紙には、うれしいことも悲しいことも、時には怒りや悔しさまで、友達にいちばん言いたい気持ちが素直に書いてある。手紙を聞いた仲間は、感じたことや考えたことを、その場で発表する。
 毎日「気持ち」をやり取りしながら、子どもたちは、国語や算数といったふだんの授業だけではわからない友達の意外な一面に気づいていく。
 友達のいいところ、自分のいいところ。お互いに認め合いながら、心をつなげていく子どもたち。彼らは、泥んこサッカーやいかだ乗りなど「仲間と生きる喜び」を全身で味わいながら、命を大切に思う気持ち、自分や友達を思いやる心を自然な形で育てていく。
 「みんなでハッピー」を目指し、一生懸命に毎日を生きる小学4年生・10歳の成長を見つめる。(NHKオンラインより)

日時:2008年6月14日(土)17:00〜19:00
場所:早稲田大学西早稲田キャンパス8号館B102教室


ゲストスピーカーの主な作品
 嘉悦 登(かえつ のぼる)氏:NHK大阪放送局放送センター(番組制作)チーフ・プロデューサー    
    ●「瞳先生と仲間たち」
      (大阪の公立中学校、人権教育の実施記録)
      「地方の時代」奨励賞
    ●「明日の福祉〜私たちからのメッセージ」
      (当事者運動をはじめた知的障害者たちがはじめての自己主張を行うまで)
    ●「少年少女プロジェクト特集〜ききたい!10代の言い分」
      (2年間続いた一連の番組、子どもの声にひたすら耳を傾けた)
  そのほか
   「その時歴史が動いた」、NHKスペシャル「生きるために声をあげる〜中国・エイズウィルス感染者たちの挑戦〜」、
   「きらっといきる」「プロフェッショナル」「にっぽんの現場」などを制作。
    

共催:NHK(日本放送協会)
    早稲田大学オープン教育センター/テーマスタディ(全学共通副専攻)/ジャーナリズムコース


j-freedomシアター
「NHKドキュメンタリー制作者と世界を語ろう!」第一回の報告

2008年6月7日(土)17:00から、早稲田大学大隈小講堂にて開催されました。当日の参加者は、早稲田大学の学生を中心に、さまざまな大学から約90名が集いました。
冒頭に、ドキュメンタリー作品「ワーキングプア 働いても働いても豊かになれない」(74分)が全編を通して上映されました。

作品は、すでに共通語となっている「ワーキングプア」という言葉を、初めて世に出したドキュメンタリーです。作品では、働いても働いても家賃をはらえず、住所がないためにさらに職探しが困難になるケースや、地方都市の衰退に身動きできなくなっていく人々、親の貧困が子供たちへと連鎖していく様などが描かれています。憲法には基本的人権が謳われているのに、拡がっている日本の貧困を辿りつづけて、出来た作品です。「努力すれば報われる社会」を目指してきたはずの日本の、目に見えにくい現状に光をあて、将来への問題提起となった作品です。
作品上映後に、制作を担当したNHKの春原チーフ・プロデューサーと松島ディレクターから、企画の狙いや取材の様子、編集のポイントなどについて、20分ほどトークがありました。
      
ネットカフェなどに1ヶ月ほど通って取材を進めていくうちに、「ネットカフェ難民」といわれている人々のなかに、バイトをいくつもかけもつなど、働きつづけているのに、それでも貧しさから抜け出せない人たちがいることが見えてきて、テーマが定まっていったこと、「あなたの貧乏を撮らせて下さい」という取材相手との対話が500人くらいに及んで出来た作品であること、その中で「顔を出してもいい」と取材に応じてくれた人々に密着し、「食べているものから通帳まで」見せてもらいながら日本の貧困を見つめていったという、取材の経緯が語られました。
会場からの質問は時間を超えて続き、今後につながるきっかけの多いj-freedomシアターの初回となりました。





質問内容は、取材を受けてくれた人との金品のやりとりはあるのかどうか、なぜ専門家のコメントがはいっているのか、働く貧困層や最底辺というナレーションの言葉は適切かなど、さまざまな角度から寄せられました。金品のやりとりは一切なく、金品のやりとりになりそうなときは取材を打ち切ったことや、さまざまな見方を専門家の語りに盛り込むことで作品全体のバランスをとった、といった話もありました。
ワーキングプアは、個人の責任ではなく、社会の責任である。制作者たちが足で歩き、人と会い続けるなかで導きだしたこの答えは、その後ますます広がる格差社会を予感させるものとなっています。これからどうすればいいのか。さまざまな問いかけのある作品に触れるとともに、その作品の裏側で積み重ねられている記者たちの、文字通り「足をすり減らして」続けられている日々の地道な努力に、改めて気づかされる場となりました。(記録・別府)


j-freedomシアター第1回プログラム

j-freedomシアター「NHKドキュメンタリー制作者と世界を語ろう!」

第1回 『ワーキングプア 働いても働いても豊かになれない』(74分) 2006年7月23日放映
 今、日本では、「ワーキングプア」と呼ばれる“働く貧困層”が急激に拡大している。ワーキングプアとは、働いているのに生活保護水準以下の暮らししかできない人たちだ。生活保護水準以下で暮らす家庭は、日本の全世帯のおよそ10分の1。400万世帯とも、それ以上とも言われている。
景気が回復したと言われる今、都会では“住所不定無職”の若者が急増。大学や高校を卒業してもなかなか定職に就けず、日雇いの仕事で命をつないでいる。正社員は狭き門で、今や3人に1人が非正規雇用で働いている。子どもを抱える低所得世帯では、食べていくのが精一杯で、子どもの教育や将来に暗い影を落としている。
 一方、地域経済全体が落ち込んでいる地方では、収入が少なくて税金を払えない人たちが急増。基幹産業の農業は厳しい価格競争に晒され、離農する人が後を絶たない。集落の存続すら危ぶまれている。高齢者世帯には、医療費や介護保険料の負担増が、さらに追い打ちをかけている。
  憲法25条が保障する「人間らしく生きる最低限の権利」。それすら脅かされるワーキングプアの深刻な実態。番組では、都会や地方で生まれているワーキングプアの厳しい現実を見つめ、私たちがこれから目指す社会のあり方を模索する。(NHKオンラインより)

日時:2008年6月7日(土)17:00〜19:30
場所:早稲田大学大隈小講堂


ゲストスピーカーの主な作品
春原雄策(すのはら ゆうさく)氏:NHK報道局報道番組センター(社会番組)チーフ・プロデューサー       
       ●よど号と拉致〈後編〉〜北朝鮮 大物工作員の暗躍〜(2003)
          2003 ABU賞/情報番組部門/ABU最優秀情報番組賞 受賞
       ●ひとり団地の一室で(2005)
           2006「地方の時代」映像祭/放送局部門/グランプリ(大賞)
          2006 ABU賞/テレビ・ニュース番組部門/ABU最優秀テレビ・ニュース番組賞
       ●ワーキングプアU〜努力すれば抜け出せますか〜(2006)
          2007 放送文化基金賞/テレビドキュメンタリー番組/優秀賞
          2007 放送文化基金賞/個別分野部門/企画賞
          2007 ギャラクシー賞/テレビ部門/激励賞                    
 松島剛太(まつしま こうた)氏:NHK報道局報道番組センター(社会番組)ディレクター
       ●原爆の絵〜市民が残すヒロシマの記録〜(2006)
          2003 バンフテレビ祭/歴史・伝記番組部門/ロッキー賞
          2003「地方の時代」映像祭/放送局部門/グランプリ(大賞)
       ●ワーキングプアU〜努力すれば抜け出せますか〜(2006)
              同上  
共催:NHK(日本放送協会)
    早稲田大学オープン教育センター/テーマスタディ(全学共通副専攻)/ジャーナリズムコース 


j-freedomシアターのご案内

早稲田大学ジャーナリズム教育研究所主催
j-freedomシアター
「NHKドキュメンタリー制作者と世界を語ろう!」

私たちが生きている世界の「いま」と「ここ」を捉えるドキュメンタリー。時代の底流と世界の波頭を描くジャーナリズム。制作者たちは何を思い、どのような作品を作り、なぜ世に問うのか。私たちはその作品とどう向き合い、何を思い、何を得るのか。
 今回、j-freedomシアターは「NHKスペシャル」で放映されたドキュメンタリーを取り上げます。作品を観て、その制作者と私たちが語り合う、双方向の場を作り出したいと思います。
土曜日夕方、3回シリーズのラインナップとゲストスピーカーは次のとおりです。
みなさん、 j-freedomシアターへのご来場をお待ちしています。

「ワーキングプア 働いても働いても豊かになれない」(74分)
      春原雄策:NHK報道局報道番組センター(社会番組)チーフ・プロデューサー
      松島剛太:NHK報道局報道番組センター(社会番組)ディレクター
      2008年6月7日(土)17:00〜19:30
      会場:大隈小講堂
「こども・輝けいのち3 涙と笑いのハッピークラス〜4年1組・命の授業」(52分)
      嘉悦登:NHK大阪放送局放送センター(番組制作)チーフ・プロデューサー
      2008年6月14日(土)17:00〜19:00
      会場:8号館B102教室
「日中戦争 なぜ戦争は拡大したのか」(74分)
      塩田純:NHK制作局第一制作センター(文化福祉番組)チーフ・プロデューサー
      2008年6月21日(土)17:00〜19:30
      会場:8号館B102教室

入場無料・定員まで先着順(会場の最大収容能力は300名)
場所:早稲田大学西早稲田キャンパス(東京都新宿区西早稲田1-6-1)
    地下鉄・東西線「早稲田駅」から徒歩10分、もしくはJR山手線「高田馬場駅」から
バス「早大正門前」行きで終点
モデレーター:花田達朗(早稲田大学教育・総合科学学術院)
         野中章弘(アジアプレス・インターナショナル代表)
お問い合わせは早稲田大学ジャーナリズム教育研究所・花田研究室、電話03−5286−1870へお願いします。

共催:早稲田大学オープン教育センター テーマスタディ


シンポジウム無事終了

6月2日(土)、ジャーナリズム教育研究所設立記念シンポジウム「ジャーナリズムの自由と独立のために」は、無事終了しました。当日は、東京六大学野球の優勝を決める早慶戦と同じ時間帯であったにもかかわらず、延べ300人の学生、ジャーナリスト、研究者、市民の方々が足を運んでくださいました。ほんとうにありがとうございました。

 第1部の「ゲルト・コッパー氏(独ドルトムント大学)の記念講演」と花田達朗所長との対談、第2部の「ビデオレターの上映と研究所スタッフからのメッセージ」とも、ジャーナリスト教育における課題を多角的に論じることができ、シンポジウム開催の当初の目的を果たすことができました。また、質疑応答では、聴衆の皆さんから数多くのご質問、ご意見が寄せられ、ジャーナリスト教育に関する関心の高さとその必要性を強く実感いたしました。

 なお、シンポジウムの内容については、近日中に発言録を掲載する予定です。いましばらくお待ちください。

参加していただいた皆さんや裏方のボランティアとして汗を流した学生の皆さんへ、改めてお礼申し上げます。


j-freedomカフェ第4回
『真実への道〜知る権利を守るということ』を終わって


<2008年2月9日(土)午後5時30分より8時半まで。参加者は学生を中心に20数名(於・早稲田奉仕園)>

 2月9日土曜日、jカフェ4回目が開催された。07年度のjカフェ「ジャーナリズムの使命と価値」の最終回である。ゲストに、原寿雄氏をお迎えした。原氏は、「ジャーナリズムの良心」の率引役として長年、多方面にわたって発言してこられた、まさに第一人者である。

 当日は寒さが厳しく、カフェが始まった頃から雪となった。夜8時半を回って閉会した頃には、本降りとなってあたり一面が真っ白だった。しかし会合には、原氏による縦横無尽の力強い語りと、参加者の真剣さが呼応した、とてもホットなものとなった。今日のジャーナリズムが直面している難しい現状の中にも、心機一転の新たな気運に希望がもてる一夜となった。

 会の冒頭、司会役の大石泰彦氏から、学生時代に原氏の数多くの書籍に触れて感銘を受けていたことを披露された。話を引き取った原氏は、自身のジャーナリストとしての原点となっている『菅生(すごう)事件』から話をはじめた。

 同事件は、1952年に大分県菅生(すごう)村で起きた、国家権力による自作自演の駐在所爆破事件に関し、共産党員らが冤罪で有罪判決を受けていたものである。原氏や同僚だった斉藤茂男氏ら共同通信社会部記者たちが、警察組織にかくまわれていた主犯の警察官を捕まえたことで、事件が明るみにでた (『ジャーナリズムの条件1 職業としてのジャーナリスト』岩波書店191頁参照のこと)。

 この一件を通して原氏は、「権力とは、こういうものか」とその恐ろしさに驚くとともに、「それすらも捕まえることができるジャーナリストはすごい」と実感したという。これが、原氏にとっての「ジャーナリストとして開眼された体験だった」という。
 続いて話は、昨今のジャーナリズムの自由をめぐる動きについて、4方向から話があった。

 ひとつは、読者と新聞の関係についてである。例えば、毒入り餃子の一件で、全国レベルでその危険が共有されるまでに時間がかかったことについて、原氏は、「なぜ誰も、社会部に知らせよう、と思わなかったのか。かつて、困ったことがあったら社会部に相談した。社会部は、いわば社会にとっての駆け込み寺のような存在だった」という。

 2点目は、日本が世界トップレベルのマスコミの自由をもっていながら、皇室報道などで現実にはタブーを持ち、自主規制という名の自己検閲をしてしまっている問題。 
 3点目は、この数年のいわゆる三点セットといわれるメディア規制法案の問題。

 4点目は、施行される予定の「裁判員法」や「軍事機密」を突破口として、取材できないことが合法となる領域が日本の中に生まれつつあることについての重大な懸念。 
 これらの根底にはいずれも、権力の論理と、資本やマーケットの論理が働いており、表現の自由が狭められている。また、記者クラブによって、議題設定の主導権を発表者側に握られている現状打開の必要性などが解説された。

 こういった現状の中ではあるが、と、ジャーナリズムに関する日本の現状の厳しさを分析した上で、それでもなお、日本のジャーナリズムには今日、みるべきものが多数あり、可能性もあるとして、話の流れを次へ移した。

 例えば、NHKスペシャルや、地方民放局のドキュメンタリーなどに、良質のジャーナリズムを生み出す土壌があること。権力が表現の自由を圧迫することは常であり、ジャーナリズムはその圧迫を、両腕で左右に押し戻していく活動であると指摘。そのためには、取材力を持ち、組織的に権力と社会の不正を監視する責任を持つことが大切であるとして、ゲストトークをしめくくった。

 参加者からは、記者クラブ、政教分離、沖縄密約事件、記者の主観と発表もののメリット/デメリット、国籍や国益とジャーナリスト、企業内労働組合等々について、さまざまな質疑があった。原氏は、データなどを引用しながら、ひとつひとつに対応し、ジャーナリズムの使命が参加者に確認されていった。

 最後に、ジャーナリストを目指す学生参加者へ、以下の5点がアドバイスされた。
 (1)ジャーナリストは既成事実に弱いのが欠点。ジャーナリストは、営利のために働いているのではないので、現実主義者にならないようにする。理想や理念を掲げ、現実に対して意義申し立てをすること。(2)ジャーナリストは、社会正義を追及できる最適の職業であること。例えば、下級裁判官が無罪判決を出すのは、実際には今日の司法機構のなかで難しいが、ジャーナリズムはそういった権力機構とは距離をおいた独自のスタンスがとれる。(3)日本のジャーナリズムの、自由の領域は相当に幅広くあり、問題はジャーナリスト側にあること。(4)真実を追究し、表現の自由を広げる一人になること。ジャーナリストは、席が用意されている職業ではなく、自由を拡大する仕事である。そのためには、仲間と話し、社内の空気を変え、ぶち当たって自由を広げること。(5)歴史的なものの見方と、外国語を最低ひとつはマスターすること。以上の5点である。

 3時間におよぶJカフェの最終回を終え、筆者自身も、自らのスタンスや取り組みに対する意義を再確認・再構築する、非常に有意義なものとなった。帰宅後、久しぶりに、『デスク日記』(みすず書房、1965年)を開いてみた。著者である小和田次郎は、原寿雄氏の当時のペンネームである。

 1963年当時、ジャーナリズムの最先端を走る原氏の耳に、『「社会の公器」を自認する新聞が「社会の凶器」と呼ばれたり…』といった巷の声が聞こえている。原氏は、『日々の仕事の中でできるだけいい作品記事を生み出す努力と同時に、自分たちの仕事をめぐるいろいろな事実について大いに「釈明」することも必要ではないかと思う』と記しておられる。本の出版は、筆者が乳幼児のころのことなのである。ジャーナリズムの閉塞状況は常にあり、ジャーナリストの仕事は自由を押し広げる仕事なのだ、という原氏の言葉が、深く胸に響いた。
 悪天候のなか、足を運び、酒席までともにしてくださった原さん、J-freedomの試みに参加してくださった皆さん、本当にご苦労さまでした。また、お会いしたいと思います。(記録 別府三奈子) 


j-freedomカフェ第3回
『表現者としてのプロフェッショナリズム』を終わって


〈2008年1月12日(土)午後5時30分より8時まで。参加者は学生を中心に20数名(於・日経ノティオ)〉

 j-freedomカフェ第3回は、冷たい冬の雨が降るあいにくの天気にもかかわらず、ジャーナリスト志望の学生を中心とする熱心な参加者が集い、盛り上がった。講演会とも大学の授業とも異なる「カフェ」という形式とその意義が、回を重ねるにつれて明確になり、また、参加者間でそれらが共有されつつあることに、主催者であるj-freedomの一員として喜びを感じている。第1回と第2回は外部からゲストをお招きしたが、今回はj-freedomのメンバーであるジャーナリスト・野中章弘氏(アジアプレス・インターナショナル代表)の話を聞き、ジャーナリズムの価値と使命、とくに「記録への意志」と「分断への架橋」について考えるという形式がとられた。司会は別府三奈子氏。

 野中氏の話はまず、1987年に結成されたユニークなジャーナリスト集団であるアジアプレスの紹介から始まった。野中氏はその中で、アジアプレスの仕事が、ニュースメディアを媒体とするものであるか否かにかかわらず、あるいはメンバー相互間の思想・意見の相違を受容しつつも、「戦争と差別に反対する」という一点において揺るぎがないこと、それは、アジアのさまざまな現場を踏むことによって獲得された「人間にとって最大の脅威は戦争である」という痛切な認識にもとづくものであると語った。もちろん、ジャーナリストが伝えるべきことは戦争には限られない。しかし現在、日本のマス・メディアが戦争、とくに戦場の取材に必要な経験と力量をもっていない以上、誰かがその部分を意識的に担う必要があるのではないか。野中氏の話は明快だった。

 しかし、戦場(戦争に巻き込まれる市民)の取材・報道にはさまざまな困難が伴う。それにはもちろん「危険であること」や「経費がかかること」も含まれるが、むしろ「経験」すなわち「目の前の殺戮の本質を見抜き、適切に行動する力」が大切であり、むずかしいと野中氏は語った。その上で、しばしば、人々は戦場ジャーナリストの死を美化するが、仕事に危険が伴うのはジャーナリストに限ったことではなく、英雄視は不適切なのではないかと疑問を提出した。

 当日後半には、以上のような野中氏の話をうけて、次のような質問・意見が出された。「戦争を取材・報道するジャーナリストは、戦場の出来事だけではなく、『戦争の原因』を探求すべきではないか?」「歴史的に見て、ジャーナリズムは国家が戦争に突入する、その『最後の一押し』をしてきたのではないか?」「日本においては、フリーランス・ジャーナリストの立場が弱すぎるのではないか?」「戦争や差別をテーマとするジャーナリストに必要な資質は何か?」「テレビ・ジャーナリズムについてどのような思い・考えをもっているか?」これらに対して野中氏は自らの考えを述べ、また、参加者からの意見表明も行われた。

 そのすべてをここに紹介することはできないが、野中氏がその際、「日本はイラク戦争の当事者なのに、あまりにも人々に当事者意識がなさすぎるのではないか」、「ジャーナリストにとって必要な資質は、『他者の声に耳を傾ける力』ではないか」、「テレビで仕事をする場合、視聴率至上主義や政治的圧力などに直面する場合があるが、それらとの『小さな闘い』を継続することが必要なのではないか」と述べたことが特に印象的であった。本稿筆者はこれらを、当日のテーマ「記録への意志」「分断への架橋」に関する、野中氏からのメッセージと考えている。(文責・大石泰彦)


j-freedomカフェ第3回
『表現者としてのプロフェッショナリズム』開催のご案内


 j-freedomカフェ「ジャーナリズムの使命と価値」というテーマの第3回目『表現者としてのプロフェッショナリズム』のご案内です。ジャーナリズムの関心がある学生、ジャーナリストを志望する学生、ジャーナリズム現場で仕事をする若い方々のご参加を期待しております。

日程:2008年 1月12日(土)
時間:17:30〜20:00
場所:日経ノティオ(丸の内オアゾ、ショップ&レストラン1階)
    〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-6-4-101
    http://nikkei-notio.com/
主催:早稲田大学ジャーナリズム教育研究所
              参加費:無料
定員:40名(お申し込み多数の場合は抽選となりますので、あらかじめご了承ください)
申し込み方法:日経ノティオのホームページを通じて参加申し込みしていただきますが、
         早稲田大学ジャーナリズム教育研究所の関係者は、研究所事務局へ事前に
         メールでの参加ご希望の連絡をお願いいたします。
         おって案内のメールを送付いたします。
j-freedom:ジャーナリズム教育研究所所長 花田達朗

プログラム:第3回『表現者としてのプロフェッショナリズム』
 プロとアマチュアの違いは何か。正確で客観的な報道とは何か。今回はj-freedomスタッフでもある
 アジアプレス・インターナショナル代表の野中章弘氏に、観察者としてのジャーナリストのあり方を
 語っていただきます。

 野中章弘(のなかあきひろ)氏:1953年兵庫県出身。ジャーナリスト、プロデューサー。
  立教大学大学院教授。早稲田大学ジャーナリズム教育研究所客員研究員。
  87年、アジアプレス・インターナショナルを設立。小型ビデオを使うビデオ・ジャーナリズム
  (VJ)の手法によるニュースリポートやドキュメンタリーを制作・プロデュース。
  04年5月、第3回「放送人グランプリ特別賞」受賞。


第4回(最終回)のテーマは次のとおりです。
2月9日(土) 第4回『真実への道〜知る権利を守るということ』
        ゲスト:原寿雄氏(ジャーナリスト) 


-freedomカフェ第2回
『伝えるべきこと〜ニュース・バリューとは何か』を終わって


 <12月22日(土)の午後5時半より8時まで、参加者はジャーナリスト志望の学生を中心に30数名(於・日経ノティオ)>
 
今回のキーワードは、「歴史の再検証」と「危機への警鐘」。東京新聞論説委員・菅沼堅吾氏をゲストに迎えて行われた。菅沼氏は、政治部長・社会部長を経て、1面のコラム「筆洗」を担当。司会は花田達朗所長で、最初に菅沼氏から30分ほど、「戦争の記憶をどう伝えてきたのか」という話があり、その後は講師や参加者からの質問やコメントに答えるという形で進めた。
※ (菅沼氏のお話の概要)
社会部長時代には、毎年20代の記者たちを集め、戦争の記事を書かせていた。戦争を伝えるための原則は以下の3つ。@無名の庶民にとっての戦争を伝えるということA一人ひとりの記者が戦争体験者の記憶を自分の心に刻み込む決意で取材に望むということBできる限り、取材相手の記憶の現場を歩くということ。戦後60年を機に、17名の社会部記者たちが取材にあたり、その集大成として『あの戦争を伝えたい』
岩波書店)を2006年に出版。若い記者たちの中にはこの取材を通じて著しい成長を見せる者もいる。
新聞の使命は、「権力の監視」。しかし、理屈や論理ではなかなか政治家にはかなわない。また権力の側による情報コントロールは、ひとりの記者が簡単に対抗できるレベルではない。記者が権力を監視するという使命を全うするには、「(そう言っても)現場での事実はこうですよ」と突きつけることがもっとも有効である。

等身大の戦争を伝えることで、一人ひとりの命の重さもリアリティーをもって伝えることができる。それなら、戦争を知らない世代にも、「自分とは関係がない」という過去の退屈な話にならないのではないか。

いまの日本が再び戦争への道を歩んでいるのではないか、という指摘を読者からよく受ける。戦争の記憶が次の世代へ受け継がれていけば、世の中がおかしくなるとき、次に何が起きるかを想像できる。「任せてください」と戦争体験者にこう言える世代になりたい。

政治部記者は、政治家と癒着しやすい。自戒が必要だが、記者クラブ制度など、政治部記者のあり方を検証すべき点は多い。

※ (感想)
「東京新聞にはまだ自由な雰囲気が残っている。議論も行う」と語る菅沼氏の言葉どおり、東京新聞は民主主義を侵すような事件(「立川自衛隊反戦ビラ逮捕事件」など)や戦争関連(「沖縄集団自決の教科書検定問題」など)については、他紙よりも大きく扱う。菅沼氏の話からも、権力を批判する新聞記者の気概が感じられた。(文責・野中章弘)

 

j-freedomカフェ第2回『伝えるべきこと〜ニュース・バリューとは何か』
開催のご案内


早稲田大学ジャーナリズム教育研究所(j-freedom)では「j-freedomカフェ」を開設しました。今回は「ジャーナリズムの使命と価値」というテーマの第2回『伝えるべきこと〜ニュース・バリューとは何か』のご案内です。ジャーナリズムに関心がある学生、ジャーナリストを志望する学生、若手ジャーナリストの方々などのご参加を期待します。

日程:2007年12月22日(土)
時間:17:30〜20:00
場所:日経ノティオ(丸の内オアゾ、ショップ&レストラン1階)
    〒100−0005 東京都千代田区丸の内1−6−4−101
   http://nikkei-notio.com/
主催:日本経済新聞社、早稲田大学ジャーナリズム教育研究所
              
参加費:無料
定員:40名(申し込み多数の場合は抽選となりますので、あらかじめご了承ください)
お申し込み:日経ノティオのホームページを通じて参加申し込みしていただきますが、早稲田大学ジャーナリズム教育研究所の関係者は、研究所事務局へ事前にメールでの参加ご希望の連絡をお願いいたします。おって案内のメールを送付いたします。
締め切り:12月14日(金)

プログラム:
 第2回「伝えるべきこと〜ニュース・バリューとは何か」
  日々発生する事件の中で、何をどう伝えるべきなのか。民主主義社会に必要不可欠なジャーナリズムの価値基準について、東京新聞論説委員の菅沼堅吾氏をお迎えして具板的な事例を挙げていただき、受講生とディスカッションしたい。
  菅沼堅吾(すがぬまけんご)氏:1955年生まれ。78年中日新聞入社。岡崎支局、静岡総局など地方支局で勤務後、東京本社の社会部、政治部の記者として取材。政治部長、社会部長を経て、2006年からは論説委員として一面コラムの「筆洗」を担当している。


*第3回目以降のテーマは次のとおりです。
1月12日(土) 第3回「表現者としてのプロフェッショナリズム」
2月 9日(土) 第4回「真実への道〜知る権利を守るということ」

第1回j-freedomカフェ「ジャーナリズムの使命と価値」第1回を終わって


第1回は「ジャーナリズムの立脚点〜弱者への寄り添い、不正義の告発〜」をテーマとし、ゲストに吉田敏浩さん(フリー・ジャーナリスト)をお迎えした。最初にj-freedomの別府三奈子さんより、「ジャーナリズムの立脚点」ということが、ジャーナリズムとは何か、ジャーナリストとは誰かという問いから導出されるという、その倫理について次のような説明があった。ジャーナリズムは「よりよき社会を創る」という使命をもっていると考えられる。よりよき社会を創ろうとすれば、まず問題の所在を正確に把握する必要がある。そのためには社会の置かれた状況を理解するための材料が必要だ。そして、より正しい解決策を創り出すためには多角的な視点も必要とされる。材料と視点が提供されて初めて人々はより正しい判断をすることが可能となるだろう。すなわち情報とは「意見の糧」なのである。だからこそジャーナリズムによる情報提供はパブリックに奉仕する仕事(パブリック・サービス)と見なされる。このような前提に立つとき、ジャーナリズムの仕事は専門職能と位置づけられ、その性格は金儲けという意味のビジネスでもなく、権力獲得を目指すポリティクスでもないと言わなければならない。ここにジャーナリズムをプロフェッションとして捉える論拠がある、と。

 そのあと、吉田さんは淡々と語り始めた。まず、「不正義の告発」「弱者への寄り添い」という言葉についての注意深い指摘から始まった。吉田さんは「不正義」についてジャーナリズムは正義の立場に立つものではない、「弱者」についても他人事ではなく、自分自身がいつそのような立場に立たされるかわからず、自分がそういう立場に置かれたときにどうするかという思いがスタート地点にあると言われた。ジャーナリストとして自分は苦悩をかかえた当事者に会うのだが、その時当事者はジャーナリストに語って当然だとか、それを聴くのがジャーナリストの使命だとかいう考え方は自分にはない。あるテーマに取り組んでいる自分とは何かということを常に自分に問いかけ、常に自分自身を相対化している。そして、当事者の前に粛然として立って、当事者の声に耳を傾け、当事者から学ぶ。

 吉田さんは開催前に次のようなメッセージを寄せておられた。「現在、月刊誌『望星』(東海教育研究所)に『人が「資源」と呼ばれる時代に「人的資源」の発想が奪う命と尊厳』という題名の連載をしています。戦前・戦中の国家総動員体制にルーツを持ち、人間を物資と同様に資源と見なす「人的資源」の発想がもたらす様々な歪みについて、歴史を掘り下げながら、現代社会の問題も含めて取材し、考察しています。」吉田さんは「人的資源」という用語、さらに戦争における「やむを得ない犠牲」という言い方のなかにある大きな問題性を指摘されることを通じて、最初に述べられた視点を明らかにされていった。

 吉田さんのお話を伺って、筆者は「不正義の告発」「弱者への寄り添い」という表現は安易に使うべきではないなと改めて思った。「立脚点」とは、どこから発話するかということでもある。自分を絶対的正義の立場に置いて「不正義の告発」を言うのか、自分を安全地帯に置いて「弱者への寄り添い」を言うのか。そして仮にある人々を「弱者」と呼ぶとき、そう定義する自分とは何者なのか。弱者とは具体的な人間を指すのか、状況を指すのか。弱者と強者、強者と弱者は固定されたものではなく、簡単に入れ替わってしまうことがあるのではないか。問いは尽きない。おそらくは正解や正答というもののない問いが続いていく。(文責:花田達朗)

j-freedomカフェ「ジャーナリズムの使命と価値」開催のご案内

 早稲田大学ジャーナリズム教育研究所(j-freedom)では「j-freedomカフェ」を開設します。今回は「ジャーナリズムの使命と価値」というテーマで4回シリーズの講座を開催します。ジャーナリストの優れた仕事に接し、その作品を通じてジャーナリズムの原則を考えるという学びの場です。ジャーナリズムに関心のある学生、ジャーナリストを志望する学生、ジャーナリズム現場で働いている若い方の参加を期待します。

日程:第1回 2007年11月24日(土)
時間:17:30〜20:00
場所:日経ノティオ(丸の内オアゾ、ショップ&レストラン1階)
    〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-6-4-101 (http://nikkei-notio.com)
主催:日本経済新聞社、早稲田大学ジャーナリズム教育研究所
参加費:無料
定員:40名(お申し込み多数の場合は抽選となりますので、あらかじめご了承ください)
お申し込み方法:メールで氏名と所属を明記の上、早稲田大学ジャーナリズム教育研究所事務局(n.uehara@kurenai.waseda.jp)へお申し込みお願いします。お申し込み締め切り後に手続きのためのご返事を差し上げます。
お申し込み締め切り:2007年11月5日(月)

プログラム:第1回「ジャーナリズムの立脚点」
ジャーナリズムの立脚点とは何か。第1回では「弱者への寄り添い、不正義の告発」という点から捉えます。今回はフリー・ジャーナリストの吉田敏浩氏をゲストにお迎えし、同氏の仕事と作品を通じて、このテーマを受講者とともに考えていきます。
 吉田敏浩(よしだとしひろ)氏:1957年生まれ。『森の回廊』(NHK出版、1995年)で第27回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。そのほか『夫婦が死と向き合うとき』(文藝春秋、2002年)、『民間人も「戦地」へ−テロ対策特別措置法の現実』(岩波ブックレット、2003年)『ルポ戦争協力拒否』(岩波新書、2005年)、『反空爆の思想』(NHK出版、2006年)など著書多数。


第2回以降の日程とスケジュールは次のとおりです。
第2回12月22日(土) 「何を考えるべきか〜ニュース・バリュー」
第3回 1月12日(土) 「表現者としてのプロフェッション」
第4回 2月9日(土) 「真実への道〜知る権利を守るということ」

『「個」としてのジャーナリスト』書評

熊本日日新聞(2009年1月25日朝刊9面)に『「個」としてのジャーナリスト』の書評が掲載されました。

『「個」としてのジャーナリスト』(石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞記念講座2008)出版のお知らせ

 この度、石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞記念講座「報道が社会を変える―取材過程論」(オープン教育センター設置科目)の内容をまとめ、『「個」としてのジャーナリスト』を発行いたしました。

『「個」としてのジャーナリスト』(石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞記念講座2008)
(早稲田大学出版部、税込価格1890円)
コーディネーター:花田達朗
―個人の身体からジャーナリズムの肉声(こえ)が聞こえる―
「卓越したジャーナリズム」―その卓越性はどこから生まれるのか。第一線で活躍するジャーナリストたちの問題意識と取材過程、作品、そして人となり、この三位一体の関係が展開されることにより、その秘密が解き明かされる。組織に属し、あるいはフリーランスとしてなど、立場はさまざまであっても、あくまで「個」として社会と真摯に向き合うジャーナリストたち。その「肉声(こえ)」からは深い葛藤と静かな矜持が聞こえてくる。

目次
はしがき  花田達朗
T 
■水俣病報道・取材を通して            進藤卓也(西日本新聞)
■大きなテーマを細かな網目ですくいとる
   〜「談合」「水俣病問題」そして「憲法」〜   山口和也(熊本日日新聞)
■当事者の切実な声と姿から学ぶ        吉田敏浩(ジャーナリスト)
■誰に向けて書く?          
   〜地方紙記者の可能性〜           依光隆明(高知新聞)
■調査報道「志布志事件」の舞台裏        梶山天(朝日新聞)
■社会を変えたキャンペーン報道
   〜「お産SOS」とスパイクタイヤの追放〜   練生川雅志(河北新報)
■アジェンダ・セッティング型の調査報道
   〜「偽装請負キャンペーン」をめぐって〜   市川誠一(朝日新聞)
■インタビューの方法
   〜「よく聞き、よく見る」ために〜         野村進(ノンフィクション・ライター)

U
■映画『ガーダ―パレスチナの詩』ができるまで 古居みずえ(ジャーナリスト)
■「客観・公正」報道で社会は変わるのか?
   〜小児難病「ムコ多糖症」を取材して〜    湯浅次郎(日本テレビ)
■“孤独死”誰にも看取られない死を追う      松本秀文(NHK)
■パレスチナ報道で何が伝えられないのか    土井敏邦(映像ジャーナリスト)
■報道が国家権力に影響を及ぼすとき
   〜中国残留日本人の帰国支援事業の実態に迫る〜 竹下通人(RKB毎日放送)
■TVによる「調査報道」
   〜「同和行政」報道に至るまで〜        東田尚巳(毎日放送)
■現代史を検証する
   〜日中戦争から靖国問題まで〜        東野真(NHK)
■戦争報道
   〜なぜ戦争取材なのか〜            野中章弘(アジアプレス)
■報道とドキュメンタリー 
   〜「水俣」から『靖国』まで〜           山上徹二郎(映画プロデューサー)

各書店にてお求めください。
http://www.honya-town.co.jp/hst/HTdispatch?nips_cd=9983910942


早稲田大学ジャーナリズム教育研究所開設記念シンポジウム「ジャーナリズムの自由よ独立のために」

根底から変化する社会状況とメディア環境のなかで、ジャーナリズムの自己革新と自己変革はどのように可能か、またジャーナリズムの自由と独立はどのように可能か。そして、大学に何ができるか。ジャーナリズム教育はどのようにして可能か。こうした問いに取り組むために、早稲田大学のプロジェクト研究所としてジャーナリズム教育研究所を4月に開設しました。その開設記念シンポジウムを開催いたします。奮ってご参加いただくよう、ここにご案内申し上げます。

日時:2007年6月2日(土)13:00〜17:00
場所:早稲田大学西早稲田キャンパス 14号館201教室
主催:早稲田大学ジャーナリズム教育研究所
共催:早稲田大学オープン教育センター

同時通訳付き(English-Japanese simultaneous translation)
一般公開、入場無料、開場12:30

〈プログラム〉
13:00 開会 総合司会:伊藤守(早稲田大学教育・総合科学学術院教授)

第1部 開設記念講演
13:05 挨拶 花田達朗(ジャーナリズム教育研究所長)
13:15 祝辞 早稲田大学副総長 堀口健治
13:25 基調講演 ゲルト・コッパー(Professor Dr. Gerd G. Kopper)
             欧州ジャーナリズム・センター(EJC)創立初代理事長
             欧州ジャーナリズム・トレーニング協会(EJTA)元会長
             ドルトムント大学ジャーナリズム研究科(研究所)教授
           「ジャーナリズム教育はなぜ現代社会に必要か?
                       −国際的視野から見た問題提起−」
           Why is Journalism Education necessary in modernized society?
                - A view from the international perspective-
13:55 対談 ゲルト・コッパー×花田達朗
14:45 休憩


第2部 ビデオレターの上映と研究所スタッフのメッセージ


16:55 閉会挨拶 伊藤守
17:00 終了