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建築家渡辺豊和さん その3
・・・龍神村体育館の外観スライド・・

本当は集合住宅もあるけど、今日は持ってこなかった。面白いことやっていたんだけど。今日は単体ものばかり持って来た。
龍神村の体育館。これ木造なんだけど半分コンクリートなの。建築法規上は木造になってるのは屋根が木造にしたから。半分コンクリートなの。これで
学会賞もらったもんだだから、今度こういう仕事ばかり来るんだ。体育館という意味じゃないよ。木造とコンクリートと半々ぐらいでやってくれ、と。これも僕しか出来ないみたいだけど。
実際には子供塾開いた先生の家。あそこでやってるの。コンクリート半分木造半分。ほぼあの構造と一緒。そこで一回出来てるから出来たんですけど、スケールが全然違うから、あれは50坪ぐらい。これは300坪かな、体育館だから部屋は一つだけ。
・・入り口回りの立面スライド・・

難しーいよ、体育館って単調だから。体育館のようなものを建築として面白いモノ作るの、ものすごく知恵・工夫がいる。普通だったら単なるこれ(切り妻の形を両手で示す)で終わりじゃない。
実際体育館て面白くないもんだからそれを面白くするために盛んに考えた。内部にいっても結構面白いんだけど外も面白くないといかんから。これね
船を考えたまず。
子供塾の先生の家もね。先導多くして船丘に登るという諺があるじゃない、そいうの好きなの。船を丘の上の登らせたらいい、そいうやりかた。丘の上に船を載っけると、イメージで作った。これはモノが大ききから。
ガレー船ってあるじゃない、ガレー船の絵を見てるとね、これ櫂のイメージなんですよ。もう一つは僕の小さい時は木造体育館だった。僕の所は明治の初めころに出来てた小学校だから、今にも倒れそうだったの。
それをバットレスで、つっかえ棒、柱毎に、それを思いだして、あれ良いなと思って。ようし、つっかい棒作ろう!と。ここまでコンクリートだからね。ここから木造。これだけで持たないのよ。タッパが高すぎてもたないから、つっかい棒いる。
じゃ大々的にやろうと。いかにも極端にやってみようと。
表現ていうのはね、極端にやらないと駄目なモノもあんの。
日本人の美意識は、なるべく押さえて空白の美とかね。それはそれで日本の良さなんだけど、俺は日本の美をヤローッという気は全然ないから。とにかくなるべく
過激にやろう、なるべく
極端にやろう、ということで、これだけ必要ないのよ。
4メーター出す必要ないのよ。「バーンと」写真だから、それほど一杯出ているように見えないけど実際行って観るとすごい出てるの。
会場笑い
こっからここまで高さは6メーターでしょう。すごい迫力よ。
このぐらいの規模の体育館としては迫力ばっぐん。近畿のチベットと言われてる所。、和歌山県の山の中のつづら折れの道を延々と、4時間ぐらい行かないと着かないのよ。ほんで、バガっとそこだけ開かれる。と、これ見えるわけ、それも仮面の家と一緒、ガラット開けると見える。
これも一緒、「あぁーと」
会場 笑い
それをちゃんと意識してやっている。
場所を選定するときそういう場所でやらせて欲しい。田舎だから田圃かえたりして。初め別の敷地だったんですよ。「
村長、これでは面白くないから一寸こっちにしてくれませんか」と言つたら「あいいすよ」で買った田圃、返して
会場 笑い
簡単な話「
買った田圃かえしてこっち買えば良いですから」て言う。本当に。田舎ってそいうもん安いんですね。着いた瞬間「あぁーつ」て感じ。実際にこの建物そんな変わった建物ではないですけど、つづら折れでしょう、着いた瞬間バカーと見えてるからね。なんて言うの、
心理の落差って言うのかな、そういこと考える建築家、
物書きの意識なんだよね。建築家一般の持つ意識とは違うんです僕の考え方と言うのは。なるべく
文学的に表現しようと考えるから。
・・反対側立面・・
佐藤君も似てるよね、俳句つくつたり。結構文学的だから、この人の方が詩人だなー。
佐藤:急に俺に振らないでくださいよ。
渡辺:俺は極めて散文的。だいぶ出てると解るでしょう。構造的には非常に合理的なんですよ。
・
・・内部スライド・・

内部はこういう感じですね。こっちの方コンクリート格子。こういうこと誰もやる人いないけど、最近の建物全部こうやるよね。その格子はね、子供の時見た映画の、イメージなんですよ。江戸時代の牢獄はこういいう格子でしょう、あれが好きだったんよ。
会場笑い
木格子の内側からね、差し入れすんじゃない、物もらったりするの見て感動したもんなんよ。
会場笑う
あれヤッタレ・・・と前から思ってた。始めてこれで出来た。
会場笑い
何回もやったけど、住宅では出来ない。これは規模がないと出来ないでしょう。これで2メートルでしょう。(格子一桝を指し示す)ですから相当大きくないとできませんよね。このとき初めてできた。
しかも
写真もね牢獄の内側から外側を撮る意識なんだよね。普通の人だったらアリーナをメインと考えるじゃない、それはどう意識したって良いんだけど。
建築家の意識としては、チッチャな部屋、
狭い所の方が建築家にとってはメインなわけよ。そこから格子越しに見る。外界を望む。
そういうことでも考えないと、
体育館ってほんと退屈なの。だからいかに退屈じゃなくするかとものすごく考えたね。
だから秋田の体育館は成功した。これ一回やったからだと思う。
秋田の体育館は施設としても成功してるけども、建築としても大成功したと思う。それはこういう所で試してきてるから、いかに退屈させないかと、退屈じゃないように考える。
・・アリーナな天井見上げスライド・・

これ見たら普通のアリーナだもんね。それでも森のイメージとかいろんなこと考えたけどね。森の枝が繁。これが幹ですけど。
構造屋さんに言ったら、僕は柱と柱の間を狭くしてた。そしたらその人「不合理だ」と言うんだよ。「それほどいらない」と言うの。僕は空間的に絶対いると思ったんだけど。
構造的に厭だと言うんだ、スパンん短くすんの。
こっちは木が密になればいいと思ったんだけど。
出来てからその構造屋さん「渡辺さん失敗しました」と言うんだよね。「あのときやっぱりあなたのいうこと聞くべきだった」と構造屋さんが言う。だからっていわなかったけど「いやいやこれでいいんだよ」と言つたけど。次の角館は成功してんの、彼もこのスパンが失敗したと思ってるから。
・・・幹の根本のスライド・・

いかにも枝が伸びてるような・・それは成功したけど木の量が少ないんですよね。
7頁へ続く