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    164-衆-国土交通委員会-20号 平成18年05月16 
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村上参考人 お答えします。 いわゆる金融に関する問題、私、分野外でございますし、今回の建築分科会等でも全く審議していない状況でございまして、申しわけございませんけれども、お答えする情報を持っておりません。申しわけありません。

穀田委員 わかりました。でも、現実問題というのは、救済をどうするか。そこは、先ほど神田参考人が分けてということも文章の中で書いていましたけれども、これは緊急に解決すべき問題として、党派を超えて、今の窮状をどうするかということについては知恵を集めたいと私は考えています。 そこで、大越参考人にお聞きします。 先ほどもありましたが、日本の建設、建築全体の業界に占めているのは、貫かれている問題は、実はコストダウンという問題が非常に多いと思います。 その点でいいますと、これは緊急調査委員会の中間報告でも、「建築ストック重視社会への転換」として、スクラップ・アンド・ビルドの体質からの脱却の必要性を述べておられます。そして、JSCAの場合の問題でも、試算でいいますと、耐震性を基準法水準の設計から免震設計にグレードアップしたマンションの場合、建設費は10%高くつく、しかし、耐震のグレードが上がれば上がるほど大地震の修復費用は少なくて済んで、建設費と修復費の合計は20%程度安くなるということが言われています。これはそのとおりだと思うんです。 こういう問題が、私、今大事な時期に来ているんじゃないかと。つまり、今、つくる側も安ければいいと。あの一連の、今回の事件であった圧力というのは、鉄骨だとかその他安くしろ、ホテルの場合も、どういう工法で安くできるか、そしてさらに検査機関の問題についても、早くどうしたらできるか。早くできるというのは結局コストなんですね。こういう中で、実は、それを規制緩和という土台の中で進めたというのがこのあだ花が咲いた問題じゃないかと私は考えています。 そういう意味でいいますと、コストというのは正当にかかるものだ、そしてまた、生涯コストというのはこういうものなんだ、また、本来的にいいますと、今のスクラップ・アンド・ビルドの体質から脱却が必要なんだ、こういうあたりについて、いわばつくり手の側として、またそれを支えるものとして、きちんと訴えていく必要があるんじゃないかと思うんですが、その辺についてのお考えをお述べいただければ幸いです。

大越参考人 私は構造設計者ですから、我々アンケートをとりましても、実は黙って丈夫にしているんですね。というのは、先ほど、自分ではやはり社会性があるし。ただ、こういうだんだんオープンになりますと大変難しくはなってきますが、個々の設計者は、私たち約2000棟をチェックしておりますけれども、やはり鉄筋を減らそうというのはいないんですよね姉歯氏しかいなかった。そういう意味で、ですから設計者は基本的には、先ほど言いましたように、プライドの問題からいうとかなり真剣に考えてやっております。 ただ、このコストダウンの問題は今に始まったことではございません。霞が関に始まって、プロジェクトをつくるときには必ずやはりコストダウンの問題というのは出ております。でも、それでめげるような人は、本来、構造設計者の資格がないわけですね。 ただ、一つ問題は、逆に、今回、偽装事件以来、4月にアンケートをあるところでとっておりますが、では買う人は何を重視するか、逆に言えば、安全性を何番目に重視するかというのは、実は残念ながらこういう事態でも四番目なんですね。ですから、今回のいろいろな問題を含めて、国民が本当に安全性、つまり社会資本として百年もつ建物をつくろうという気構えが、いわゆるこういう上層部だけで議論していても始まらないと思います。そういう意味では、やはり大事なのは、国民に対する教育をちゃんとしないといけないのではないかと思っております。

穀田委員 国民的合意というのが必要だなということを改めて思うんです。 私は、ただ、スクラップ・アンド・ビルドというのは、では、つくる側からそういうふうに求めたかというと、そうでもないわけですよね。ですから、与えられたものでして、その辺はなかなか難しいなと思うんです。 したがって、設計士のそういう地位の問題につきましても、先ほど諸先生からお話がありましたように、みずからのコストという問題でさえ叩かれるという問題について抗することができないという事態についても、これは社会的にも明らかにして頑張っていきたいと思うんです。問題は、再発防止のために私どもも頑張りたいと思います。 きょうは本当にどうもありがとうございました。


○林委員長 日森文尋君。


日森委員 お疲れのところ大変恐縮でございます。社民党の日森文尋と申します。座って質問させていただきたいと思います。 野城先生にちょっとお伺いしたいんですが、緊急調査委員会の最終報告で、「大臣認定プログラムであっても、構造計算の内容の適正さを保証するものではない」というくだりがあるんですが、そうすると、現在の大臣認定プログラム、この制度も含めてなんですが、ここにどこか問題点があったということなんでしょうか。 ちょっとまとめてで申しわけございません。それが一点と、それから、最終報告の中で同じく、行政の対応についてというところで「通報のあった情報の扱い、」というのがございまして、そこで幾つか具体的な提言を行政に対して行っていますが、国土交通省は具体的にどんなリアクションがあったんでしょうかということが二点目。 もう一つは、まとめてで申しわけないんですが、先ほど話が出ていました青田売りの問題なんです。これも最終報告で「「青田売り」の課題」というところがあるんですが、先日の新聞を見ていましたら、建築Gメンの会顧問の中村先生は、そもそも青田売りが問題であって、これは禁止すべきだという意見もあるわけですね。この青田売りの問題について、どのような議論がされて、どんな方向に持っていこうとしているのか。 例えば保険の問題や、それから中間検査、完了検査の問題があるんですが、それがきっちり終わって、この建物は安全に住むことができるんだという確認ができるわけですね。本来、その上でそもそも建物を販売するというのが常識的な線なんだけれども、現在はそうなっていなくて、もうどんどん広告、つくる前にばんばん売っちゃっているという青田売りの問題について、ちょっと御見解をお聞かせいただきたいと思います。

野城参考人 まずプログラムについてですけれども、誤解のないように申し上げたいのは、プログラムの機能に瑕疵があるというより、入り口と出口でございまして、要はその入り口部分で建築物をどのような構造のモデルとして考えていくか、そこに先ほど申し上げたように裁量が入りますが、その裁量の適切さを保証するものではない
 また、先ほど例を出しましたように、多くのプログラムというのは、建物がマッチ棒のような、いわゆるシングルライの線ででき上がっているようなモデルになっておりますので、それに必要な、断面に必要な鉄筋の本数が出てくるんですけれども、先ほど申し上げましたように、具体的にそれが現実の断面に入るかどうかということを検証するような機能はプログラムにございません

 これは、私どもが調査委員会で伺ったプログラムの開発の方々が言うには、当然これはプロの方がお使いになるいわば一種の電卓であるので、まさかそんなことまでプログラムの中で面倒を見るつもりはありませんということでございまして、ですから、プログラムの計算過程そのものの問題ではなくて、入り口出口についてはむしろそれは人の問題であるという意味で、そういったことを書いてございます。

 二つ目の「通報のあった」云々でございますけれども、報告書では三つほど指摘しておりまして、一つは、神田先生初めいろいろな方々が危惧をされたような、現行制度に対する危機感が担当者に薄かったがために、通報があったときに非常に現実感を持って対応しなかったことが一点。それともう一つは、実際、問題が深刻だということで情報を集めようとしましたけれども、図面が散逸、散在していたという点。そしてさらに、その図面が集まったものについて検証するような役所の内部の人材が極めて限られていたという点が、通報してから事態を把握するまでに遅れたことは大変問題であるということを書かせていただいています。

 三点目でございますけれども、青田売りの件でございます。これは私も建築技術者の端くれですから、いかに現場の監理によって建物の品質が違うかということを肌身で感じておりますが、一般には、先ほど申し上げましたように、事業をされる方からしますとできるだけ資本の回転を速くする、つまり、一たん投資したものが売れたという気色があれば、またそこで借金をして次の事業に移れるというようなことで、これはまさに資本を回転していこうという方の論理が先行しているわけでございまして、これは禁止するのはともかく、少なくとも、こういった青田買いをすることについては大変なリスク、不確実なことを含めてお買いになることなんですよということは、国民的な常識にしていく必要があろうかというふうに思います。

日森委員 ありがとうございました。 神田先生にお伺いしたいんですが、建築基本法制定準備会の会長もおやりになっていらっしゃるということなんですが、その準備会の基本制度部会中間報告に対する意見書というのがございまして、もちろん先生の方でお書きになったものなんですが、その中で、「確認制度の維持強化よりも、建築の質向上のための実効性のある具体案を」というふうに提唱されています。ということは、現在の確認制度そのものに問題点がある、先ほど来の話で大体わかったような気もするんですが、何かそういう問題点があるのかどうかお聞きをしたいということが一つ。 それからもう一点は、これは基本的な問題で、具体的に先生の御本を読んでいないものですから大変失礼なんですが、現在の段階で建築基本法がなぜ必要なのか、この基本法をなぜ今つくっていかなければいけないのかということについて教えていただきたいと思います。

神田参考人 一番目の、「確認制度の維持強化よりも、建築の質向上のための実効性」ということに関しましては、そもそも、性能設計あるいは品確法とかいったものが、建築物の性能がよりよいものをつくるというインセンティブを国民に植えつけようというのがねらいだったというふうに思います。 それがやはり実効を伴うような仕組みをどうするかということを考えていく必要があると思いまして、それは、平成10年の法改正のときも自己責任というようなことは随分議論されたのでありますけれども、建築主がどういう建築をつくることによっ社会がよくなっていくのか、あるいは社会資産の構築になっていくのかということを認識できないと、よいものをつくるというインセンティブも働きませんので、単に審査を厳格にするという方向ではない方向で、質を上げていという方向で、結果的に最低のものも上がっていくというような方向をやはり目指す必要があるだろうと。具体的には、もちろん資格制度の整備とかいったことにつながるかと思っております。

 二番目の御質問、基本法のことでございますけれども、これも先ほど御質問のときにもお答えしたんですが、やはり1950年代と現在で社会の状況が大きく異なっております。先ほど来ストックの話もたくさん出ておりますけれども、たくさんあるストックをどういうふうにしていくのかというようなことは、そもそも建築基準法の中で目的として整備されている問題ではございません。建築基準法が目指してきた位置づけというのは、最低のものを、そのかわり効率的につくっていこうというような法律でございますから、やはり建築の理念ということになりますと、つい先ごろ議論されたかと思うんですが、住生活基本法、あれも住宅はそもそもいかにあるべきかという議論がその中でなされていると思います  しかし、建築基準法が実質的にさまざまな形の縛りになっておりますので、やはり建築の理念を社会の中で確認して、憲法のようなものかと思うんですけれども、単に財産権を守るということではなくて、隣に家が建つときにその環境をどうするのかといった権利、いろいろな形の、人権も含めて、建築がいかにあるべきかという議論から基本理念というものを構築して、それから関係各位の責務を明らかにする。関係各位の責務も、建築士には専門資格があるから責任があるということになるんですが、建築主の責任というようなことはほとんど唱われておりません。でも、やはり、こういうストック社会の中で建築主の役割というのは非常に大きいと思うんですね。 現在、我が国でも、土地基本法ですとか、住宅も基本法がございます。それから、景観に関しても基本法的な役割の法律ができてまいりました。やはり今、建築に対しても、そもそもどうするのかという議論をしていただいた上で、それに見合った形で、さまざまな、膨大な数の法整備をわかりやすい形に再構築していくということが大切ではないかと思っております。

日森委員 ちょっと僣越ですが、住生活基本法に対する先生の御評価はどんなことでしょうか。ちなみに、私ども、反対をした経過がございますので。住宅局長、申しわけございませんが。

神田参考人 昨年の5月ぐらいに朝日新聞に書かせていただいたのがあるんですけれども、基本理念のところでは、やはり、住宅に居住している人、利用している人が保護されなければいけないとか、住宅も長く使うものであるとか、あるいは、最初の御質問にございましたか、例えば木造の技術をどうやって伝承していくのかとか、理念的には大切なことがたくさん書かれておりますが、責務の部分がいま一つ明らかになっていないような気がいたします。 それから、もしそういう、そもそも住宅はこうあるべきだということを実現していこうとするのであれば、それに合わせて建築基準法も根本から変えていくというようなことがやはり必要だと思いますが、そのあたりを触れずに法律だけつくればということにはならないと思いますので、これから、基本法というのはそもそも、つくった後でその後施策がどう展開されていくかということがポイントだと思いますので、そういう議論をしていただければと思っております。

日森委員 ありがとうございました。 もう時間が余りございませんが、大越先生にお願いしたいんです。 協会の方で限界耐力計算法について見解をお示しになっていますね。この見解と関連するんですが、先ほど来話が出ました、今、経済設計というのが大変大きな問題になっているんですが、これについて御意見があったら、率直なところをお聞かせいただきたいと思うんです。

大越参考人 現在使われています許容応力度等計算法というのは1970年代につくられて、もともとそろばん計算尺、多分御存じないと思いますが、そういう時代の実は法律なんですね。そういう意味で、ですから安全率は非常に高くとってあります。というのは、わからなかったわけですね、昔は。それで、現在、その後20年の近代科学の発展する中でより細かくつくられて、ですから精度を上げていく。限界耐力は20年後にできたわけですから、そういう意味で、ある条件で正確に解析できればできるほど、結局は安全率は下げていきます。 そういう意味では、あるところは経済的になりますけれども、実はこれは、地盤のいいところに対しては確かに経済的にできます。ただし、地盤の悪いところについては、逆に、もっと不経済な設計を要求することになります。ですから、必ずしも、精度を上げていけば安全率が落ちるから経済的であるという議論ではありません

日森委員 ありがとうございました。 ちょっと時間が早いですが、終わります。ありがとうございました。


○林委員長 糸川正晃君。


糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。 参考人の皆様におかれましては、本委員会にお忙しい中お越しいただきまして、また貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。私からも数点、質問をさせていただきたいと思います。 まず、村上参考人に御質問させていただきたいと思うんですが、日本建築学会では、去る3月9日、「健全な設計・生産システム構築のための提言の枠組み」、こういうものをまとめていらっしゃいます。その中で、法令規制強化というものは必ずしも構造安全性の向上には結びつかないということ、また、むしろ、建築主及び建築の設計、生産にかかわる関係者の自己規律性が十分に強化されるということが、今回の事件の根を絶ち、国民に安全、安心な建築を提供するための根幹である、こういうふうにされております。 関係者の自己規律性の重要性を強調されておりますけれども、その考え方は、世間やマスコミの認識とはずれがあって、審議会の議論や国土交通省の認識、そして、今回提出された法案とも方向性が異なっているのかなというふうに思います。 建築学会の会長でありまして、また、社会資本整備審議会建築分科会の会長でいらっしゃいます参考人の御見解をお聞かせいただきたいなと思います。

村上参考人 建築学会の場合には、建築界全体をにらんで、どういうふうにすればいい社会資本としての建築ができるか、そういう形で建築学会としての報告をまとめております。社会資本整備審議会の建築分科会は、行政的な法令に絞って検討しております。ですから、初めから議論の枠組みが建築学会の方が広いわけでございます。 それから、建築の専門家は、いい建築をつくるためには法令規制だけでは不十分で、建築関係者が自分たちでいいものをつくる、そういう意欲なしには決していいものはできないということは、これは多分、皆さん共通認識だと思うのでございます。 建築学会ではそういうところを強調しておりまして、そういう自分たちの自助努力がまず第一で、それを補完するものとして法令規制がある、そういう位置づけになっておりまして、補完する法令規制の部分に関しては、私は、建築学会の主張と建築分科会の中間報告はおおむねそろっている、そういうふうに判断しております。

糸川委員 ありがとうございます。 続きまして、野城参考人にお尋ねしたいんですが、野城参考人は、国土交通省の構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会に委員として出席されておりました。1月18日に開催された第三回の委員会におきまして、私見未定稿、こういうもので断りながらメモを提出された。 その中で、耐震性を含む建築の安全性を担保する柱として、諸法令に基づく建築に対する規制ですとか、それから、建築の生産にかかわる当事者みずからの努力の推進、保険に基づく安全性、信頼性の担保、この三つを挙げられていらっしゃいます。これが実際、建築学会が3月9日にまとめられた「健全な設計・生産システム構築のための提言の枠組み」というものの最初に、提言にかかわる基本認識としても記述されておるわけでございます。 これら三つの柱に着目して、今回のこの構造計算書の偽装問題の本質、そして今後のとるべき対策として、参考人の御見解をお聞かせいただければと思います。

野城参考人 きょうの冒頭に申し上げましたように、包括的な、ですからこれは、ただ一つある施策をとったからといって今回の問題が解決できる問題ではない。やはりこれは、からめ手でさまざまな政策を複合的にしていかないといけない。それが今御紹介いただきましたような三つの柱でございまして、ですから、これは単に法令の規制だけではなくて、情報を流通させるとか、あるいは保険制度をさらに拡充するといったようなからめ手が必要だろうということで、そういった記述をさせていただいております。

糸川委員 ありがとうございます。 もう余り時間もないんですが、ぜひ皆さんに一言ずついただきたいので、大越参考人にお尋ねいたしますが、3月9日に建築学会がまとめました提言の枠組みというもので、基本認識の一つとして、構造技術者の偏在というものを挙げております。構造設計にかかわる高度の知識経験を持った構造技術者の大半というものが、構造設計事務所、それから大手の設計事務所ですとか建設会社などに所属されておるわけでございます。 そういうことで、参考人自身も建築構造技術者でいらっしゃいまして、また技術者団体の代表でもいらっしゃいますので、例えば、工学的判断も含めて高度化した構造設計の技術的適切さというものを第三者検証しようとしても、検証する側である特定行政庁ですとか民間確認検査機関側において、検証される側である構造設計者に匹敵するだけの構造技術にかかわる専門的能力を持った人材は限られている、こういうふうに指摘されていらっしゃいますので、今御紹介したような指摘というものがそのとおりであるというふうにお感じになられているのか、御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

大越参考人 前提として、建築の話工学の話を分離していないので、まず、そこの前提が問題であると考えております。 そういう意味で、まず建築主事がやらなくちゃいけないのは、膨大な建築六法みたいなものを勉強しなきゃいけないわけですね。ですから、我々が、では構造設計をやっている人がああいう逆の立場になれるかというと、実はなれません。というのは、やはり専門分化が、全く違う分野ですから、建築主事もエンジニアの建築主事だったら多分対応できたと思います。ただし、それでは建築主事になれません、今のでは。 ですから、そういう意味では、余りにも今の一級建築士、それから建築主事というのはオールラウンドを求められ過ぎているというところの問題で、やはり無理ではなかったかと考えております。

糸川委員 わかりました。ありがとうございます。 では最後に、神田参考人に質問させていただきますが、神田参考人は、建築基本法制定準備会の代表を務められていらっしゃるわけでございまして、去る4月に、審議会の1月の中間報告に対して幹事会名にて意見書を発表されていらっしゃいます。この中で、「現状認識と確認制度の位置づけにおいて、行政の制度維持のための意図的な表現により歪められており、事件を契機にして国の権限強化を図る部分が強調されたものになっている。」こういう厳しい評価を下されていらっしゃるわけでございます。 2月24日に取りまとめられた審議会の中間報告ですとか、そういうことを踏まえた今回の政府の提出法案に関しまして、主にどのような点が問題と認識されているのか。また、民主党から対案が出されておりまして、政府案と同じ内容も多いんですが、幾つかの主要ポイントで独自の提案を盛り込んでおるわけでございます。これについてどのように評価されているのか、簡潔にお答えいただければなと思います。

神田参考人 今まで申し上げなかった言い方を一つ申し上げますと、やはり今回、こういった事件が起きるに当たりまして、確認の検査済証があたかも安全のお墨つきのような形で利用されたわけですね。あれは明らかに利用されたんだと僕は思うんです。 

本来、マンションを提供する業者だとか設計者、施工者というのは、自分たちの責任において安全なものをつくる義務があるわけですけれども、それを、検査済証があることが安全ということなんだというお墨つきの使い方をした。そういった使われ方は本来の使われ方ではないわけでありますが、それが今回のように、計算の部分だけまたチェックしますよというようなことになりますと、結局、そういった温床をそのまま残すことになってしまう。それが私が一番危惧するところでありまして、本来、問題なのは何かというとやはり建築主であり、あるいは設計者である、その責任の順番が非常に見えにくい改正案になっているということを痛感しております。

糸川委員 ありがとうございました。終わります。

○林委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 この際、参考人の方々に一言御礼を申し上げます。 本日は、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして心から厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。 次回は、明17日水曜日午前8時50分理事会、午前9時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後5時59分散会